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Update drafts based on the previous PO changes
[linuxjm/LDP_man-pages.git] / draft / man2 / clone.2
1 .\" Copyright (c) 1992 Drew Eckhardt <drew@cs.colorado.edu>, March 28, 1992
2 .\" and Copyright (c) Michael Kerrisk, 2001, 2002, 2005, 2013
3 .\"
4 .\" %%%LICENSE_START(GPL_NOVERSION_ONELINE)
5 .\" May be distributed under the GNU General Public License.
6 .\" %%%LICENSE_END
7 .\"
8 .\" Modified by Michael Haardt <michael@moria.de>
9 .\" Modified 24 Jul 1993 by Rik Faith <faith@cs.unc.edu>
10 .\" Modified 21 Aug 1994 by Michael Chastain <mec@shell.portal.com>:
11 .\"   New man page (copied from 'fork.2').
12 .\" Modified 10 June 1995 by Andries Brouwer <aeb@cwi.nl>
13 .\" Modified 25 April 1998 by Xavier Leroy <Xavier.Leroy@inria.fr>
14 .\" Modified 26 Jun 2001 by Michael Kerrisk
15 .\"     Mostly upgraded to 2.4.x
16 .\"     Added prototype for sys_clone() plus description
17 .\"     Added CLONE_THREAD with a brief description of thread groups
18 .\"     Added CLONE_PARENT and revised entire page remove ambiguity
19 .\"             between "calling process" and "parent process"
20 .\"     Added CLONE_PTRACE and CLONE_VFORK
21 .\"     Added EPERM and EINVAL error codes
22 .\"     Renamed "__clone" to "clone" (which is the prototype in <sched.h>)
23 .\"     various other minor tidy ups and clarifications.
24 .\" Modified 26 Jun 2001 by Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
25 .\"     Updated notes for 2.4.7+ behavior of CLONE_THREAD
26 .\" Modified 15 Oct 2002 by Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
27 .\"     Added description for CLONE_NEWNS, which was added in 2.4.19
28 .\" Slightly rephrased, aeb.
29 .\" Modified 1 Feb 2003 - added CLONE_SIGHAND restriction, aeb.
30 .\" Modified 1 Jan 2004 - various updates, aeb
31 .\" Modified 2004-09-10 - added CLONE_PARENT_SETTID etc. - aeb.
32 .\" 2005-04-12, mtk, noted the PID caching behavior of NPTL's getpid()
33 .\"     wrapper under BUGS.
34 .\" 2005-05-10, mtk, added CLONE_SYSVSEM, CLONE_UNTRACED, CLONE_STOPPED.
35 .\" 2005-05-17, mtk, Substantially enhanced discussion of CLONE_THREAD.
36 .\" 2008-11-18, mtk, order CLONE_* flags alphabetically
37 .\" 2008-11-18, mtk, document CLONE_NEWPID
38 .\" 2008-11-19, mtk, document CLONE_NEWUTS
39 .\" 2008-11-19, mtk, document CLONE_NEWIPC
40 .\" 2008-11-19, Jens Axboe, mtk, document CLONE_IO
41 .\"
42 .\"*******************************************************************
43 .\"
44 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
45 .\"
46 .\"*******************************************************************
47 .\"
48 .\" Japanese Version Copyright (c) 2001 HANATAKA Shinya
49 .\"     and Copyright(c) 2002, 2005-2008 Akihiro MOTOKI
50 .\" Translated 2001-08-17, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
51 .\" Modified 2002-09-24, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
52 .\" Modified 2005-02-02, Akihiro MOTOKI
53 .\" Updated 2005-04-17, Akihiro MOTOKI
54 .\" Updated 2005-09-10, Akihiro MOTOKI
55 .\" Updated 2006-03-05, Akihiro MOTOKI, LDP v2.25
56 .\" Updated 2007-01-05, Akihiro MOTOKI, LDP v2.43
57 .\" Updated 2007-05-01, Akihiro MOTOKI, LDP v2.46
58 .\" Updated 2007-06-13, Akihiro MOTOKI, LDP v2.55
59 .\" Updated 2008-08-04, Akihiro MOTOKI, LDP v3.05
60 .\" Updated 2008-11-09, Akihiro MOTOKI, LDP v3.10
61 .\" Updated 2009-03-02, Akihiro MOTOKI, LDP v3.19
62 .\" Updated 2010-04-11, Akihiro MOTOKI, LDP v3.24
63 .\" Updated 2012-05-08, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
64 .\" Updated 2013-05-06, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
65 .\"
66 .TH CLONE 2 2014\-09\-21 Linux "Linux Programmer's Manual"
67 .SH 名前
68 clone, __clone2 \- 子プロセスを作成する
69 .SH 書式
70 .nf
71 /* glibc ラッパー関数のプロトタイプ */
72
73 \fB#include <sched.h>\fP
74
75 \fBint clone(int (*\fP\fIfn\fP\fB)(void *), void *\fP\fIchild_stack\fP\fB,\fP
76 \fB          int \fP\fIflags\fP\fB, void *\fP\fIarg\fP\fB, ... \fP
77 \fB          /* pid_t *\fP\fIptid\fP\fB, struct user_desc *\fP\fItls\fP\fB, pid_t *\fP\fIctid\fP\fB */ );\fP
78
79 /* 素のシステムコールのプロトタイプ */
80
81 \fBlong clone(unsigned long \fP\fIflags\fP\fB, void *\fP\fIchild_stack\fP\fB,\fP
82 \fB          void *\fP\fIptid\fP\fB, void *\fP\fIctid\fP\fB,\fP
83 \fB          struct pt_regs *\fP\fIregs\fP\fB);\fP
84 .fi
85 .sp
86 .in -4n
87 glibc ラッパー関数の機能検査マクロの要件 (\fBfeature_test_macros\fP(7) 参照):
88 .in
89 .sp
90 \fBclone\fP():
91 .ad l
92 .RS 4
93 .PD 0
94 .TP  4
95 glibc 2.14 以降:
96 _GNU_SOURCE
97 .TP  4
98 .\" See http://sources.redhat.com/bugzilla/show_bug.cgi?id=4749
99 glibc 2.14 より前:
100 _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE
101     /* _GNU_SOURCE も定義される */
102 .PD
103 .RE
104 .ad b
105 .SH 説明
106 \fBclone\fP() は、 \fBfork\fP(2) と似た方法で新しいプロセスを作成する。
107
108 このページでは、 glibc の \fBclone\fP() ラッパー関数とその裏で呼ばれるシステムコールの両方について説明している。
109 メインの説明はラッパー関数に関するものである。 素のシステムコールにおける差分はこのページの最後の方で説明する。
110
111 \fBfork\fP(2) とは異なり、\fBclone\fP() では、子プロセス (child process)
112 と呼び出し元のプロセスとが、メモリ空間、ファイルディスクリプタのテーブル、シグナルハンドラのテーブルなどの 実行コンテキストの一部を共有できる。
113 (このマニュアルにおける「呼び出し元のプロセス」は、通常は 「親プロセス」と一致する。但し、後述の \fBCLONE_PARENT\fP の項も参照のこと)
114
115 \fBclone\fP()  の主要な使用法はスレッド (threads) を実装することである:
116 一つのプログラムの中の複数のスレッドは共有されたメモリ空間で 同時に実行される。
117
118 \fBclone\fP()  で子プロセスが作成された時に、作成された子プロセスは関数 \fIfn\fP(\fIarg\fP)  を実行する。 (この点が
119 \fBfork\fP(2)  とは異なる。 \fBfork\fP(2)  の場合、子プロセスは \fBfork\fP(2)  が呼び出された場所から実行を続ける。)
120 \fIfn\fP 引き数は、子プロセスが実行を始める時に子プロセスが呼び出す 関数へのポインタである。 \fIarg\fP 引き数はそのまま \fIfn\fP
121 関数へと渡される。
122
123 \fIfn\fP(\fIarg\fP)  関数が終了すると、子プロセスは終了する。 \fIfn\fP によって返された整数が子プロセスの終了コードとなる。 子プロセスは、
124 \fBexit\fP(2)  を呼んで明示的に終了することもあるし、致命的なシグナルを受信した 場合に終了することもある。
125
126 \fIchild_stack\fP 引き数は、子プロセスによって使用されるスタックの位置を指定する。
127 子プロセスと呼び出し元のプロセスはメモリを共有することがあるため、 子プロセスは呼び出し元のプロセスと同じスタックで実行することができない。
128 このため、呼び出し元のプロセスは子プロセスのスタックのためのメモリ空間を 用意して、この空間へのポインタを \fBclone\fP()
129 へ渡さなければならない。 (HP PA プロセッサ以外の) Linux が動作する全てのプロセッサでは、 スタックは下方 (アドレスが小さい方向)
130 へと伸びる。このため、普通は \fIchild_stack\fP は子プロセスのスタックのために用意したメモリ空間の一番大きい アドレスを指すようにする。
131
132 \fIflags\fP の下位 1 バイトは子プロセスが死んだ場合に親プロセスへと送られる \fI終了シグナル (termination signal)\fP
133 の番号を指定する。このシグナルとして \fBSIGCHLD\fP 以外が指定された場合、親プロセスは、 \fBwait\fP(2)
134 で子プロセスを待つ際に、オプションとして \fB__WALL\fP または \fB__WCLONE\fP を指定しなければならない。
135 どのシグナルも指定されなかった場合、子プロセスが終了した時に親プロセス にシグナルは送られない。
136
137 \fIflags\fP には、以下の定数のうち 0個以上をビット毎の論理和 (bitwise\-or)
138 をとったものを指定できる。これらの定数は呼び出し元のプロセスと 子プロセスの間で何を共有するかを指定する:
139 .TP 
140 \fBCLONE_CHILD_CLEARTID\fP (Linux 2.5.49 以降)
141 子プロセスが終了したときに子プロセスのメモリ内の \fIctid\fP が指す場所にある子プロセスのスレッド ID を消去し、 そのアドレスで futex を
142 wake (起床) させる。 このアドレスは \fBset_tid_address\fP(2)  システムコールで変更することができる。
143 この機能はスレッドライブラリで使用される。
144 .TP 
145 \fBCLONE_CHILD_SETTID\fP (Linux 2.5.49 以降)
146 子プロセスのメモリ内の \fIctid\fP が指す場所に子プロセスのスレッド ID を格納する。
147 .TP 
148 \fBCLONE_FILES\fP (Linux 2.0 以降)
149 \fBCLONE_FILES\fP が設定された場合、呼び出し元のプロセスと子プロセスはファイルディスクリプタの テーブルを共有する。
150 呼び出し元プロセスとその子プロセスの一方が作成した ファイルディスクリプタは、もう一方においても有効である。
151 同じように、一方のプロセスがファイルディスクリプタを閉じたり、 (\fBfcntl\fP(2)  \fBF_SETFD\fP 操作を使って)
152 ディスクリプタに関連するフラグを変更したりすると、 もう一方のプロセスにも影響する。
153
154 \fBCLONE_FILES\fP が設定されていない場合、子プロセスは、 \fBclone\fP()
155 が実行された時点で、呼び出し元のプロセスがオープンしている全ての ファイルディスクリプタのコピーを継承する
156 (子プロセスの複製されたファイルディスクリプタは、 対応する呼び出し元のプロセスのファイルディスクリプタと 同じファイル記述 (\fBopen\fP(2)
157 参照) を参照する)。 これ以降に、呼び出し元のプロセスと子プロセスの一方が ファイルディスクリプタの操作 (ファイルディスクリプタの
158 オープン・クローズや、ファイルディスクリプタ・フラグの変更)  を行っても、もう一方のプロセスには影響を与えない。
159 .TP 
160 \fBCLONE_FS\fP (Linux 2.0 以降)
161 \fBCLONE_FS\fP が設定された場合、呼び出し元のプロセスと子プロセスが同じファイルシステム
162 情報を共有する。ファイルシステム情報は、ファイルシステムのルート (root)、 カレントワーキングディレクトリ (current working
163 directory)  や umask などである。 呼び出し元のプロセスや子プロセスのどちらか一方によって \fBchroot\fP(2),
164 \fBchdir\fP(2), \fBumask\fP(2)  が呼び出されると、もう一方のプロセスにも影響が及ぶ。
165
166 \fBCLONE_FS\fP が設定されていない場合、子プロセスは、 \fBclone\fP()
167 が実行された時点での、呼び出し元のプロセスのファイルシステム情報のコピーを 使用する。 これ以降は、呼び出し元のプロセスと子プロセスの一方が
168 \fBchroot\fP(2), \fBchdir\fP(2), \fBumask\fP(2)  を呼び出しても、もう一方のプロセスには影響を与えない。
169 .TP 
170 \fBCLONE_IO\fP (Linux 2.6.25 以降)
171 \fBCLONE_IO\fP が設定された場合、新しいプロセスは呼び出し元のプロセスと I/O コンテキストを共有する。
172 このフラグが設定されていない場合には、 (\fBfork\fP(2)  の場合と同様) 新しいプロセスは自分専用の I/O コンテキストを持つ。
173
174 .\" The following based on text from Jens Axboe
175 .\" the anticipatory and CFQ scheduler
176 .\" with CFQ and AS.
177 I/O コンテキストは、ディスクスケジュールの I/O スコープである (言い換えると、I/O コンテキストは I/O スケジューラがプロセス I/O
178 の スケジューリングをモデル化するのに使用される)。 複数のプロセスが同じ I/O コンテキストを共有する場合、 これらのプロセスは I/O
179 スケジューラからは一つとして扱われる。 結果として、これらのプロセスはディスクアクセスの時間を共有するようになる。 いくつかの I/O
180 スケジューラでは、 二つのプロセスが I/O コンテキストを共有している場合、 これらのプロセスはディスクアクセスを交互に行うことができる。
181 同じプロセスの複数のスレッドが I/O を実行している場合 (例えば \fBaio_read\fP(3))、 \fBCLONE_IO\fP を利用することで I/O
182 性能を良くすることができる。
183
184 カーネルの設定が \fBCONFIG_BLOCK\fP オプション付きでない場合、 このフラグは何の意味も持たない。
185 .TP 
186 \fBCLONE_NEWIPC\fP (Linux 2.6.19 以降)
187 \fBCLONE_NEWIPC\fP が設定された場合、新しい IPC 名前空間 (namespace) でプロセスを作成する。
188 このフラグが設定されていない場合、 (\fBfork\fP(2)  の場合と同様) 呼び出し元のプロセスと同じ IPC 名前空間でプロセスが 作成される。
189 このフラグは、コンテナの実装での使用を意図して用意されたものである。
190
191 .\" commit 7eafd7c74c3f2e67c27621b987b28397110d643f
192 .\" https://lwn.net/Articles/312232/
193 IPC 名前空間は、独立の System\ V IPC オブジェクト空間 (\fBsvipc\fP(7) 参照) を提供する 。 (Linux 2.6.30
194 以降では) 独立した POSIX メッセージキュー空間 (\fBmq_overview\fP(7) 参照) も提供される。 これらの IPC
195 機構に共通の特徴として、 IPC オブジェクトはファイルシステムのパス名とは違った仕組みで識別されるという点がある。
196
197 ある IPC 名前空間に作成されたオブジェクトは、 その名前空間のメンバーである他のすべてのプロセスからも見えるが、 違う IPC
198 名前空間のプロセスからは見えない。
199
200 IPC 名前空間が破棄される時 (すなわち、その名前空間のメンバーの最後のプロセスが終了する時)、 その名前空間の全ての IPC
201 オブジェクトは自動的に破棄される。
202
203 Only a privileged process (\fBCAP_SYS_ADMIN\fP)  can employ \fBCLONE_NEWIPC\fP.
204 This flag can't be specified in conjunction with \fBCLONE_SYSVSEM\fP.
205
206 For further information on IPC namespaces, see \fBnamespaces\fP(7).
207 .TP 
208 \fBCLONE_NEWNET\fP (Linux 2.6.24 以降)
209 (このフラグの実装は、Linux 2.6.29 あたりまでには完成した。)
210
211 \fBCLONE_NEWNET\fP が設定された場合、新しいネットワーク名前空間 (network namaspace)  でプロセスを作成する。
212 このフラグが設定されていない場合、 (\fBfork\fP(2)  の場合と同様) 呼び出し元のプロセスと同じネットワーク名前空間でプロセスが 作成される。
213 このフラグは、コンテナの実装での使用を意図して用意されたものである。
214
215 .\" FIXME . Add pointer to veth(4) page when it is eventually completed
216 ネットワーク名前空間は、分離されたネットワークスタックを提供するものである (ネットワークスタックとは、 ネットワークデバイスインタフェース、IPv4
217 や IPv6 プロトコルスタック、 \fI/proc/net\fP、 \fI/sys/class/net\fP ディレクトリツリー、ソケットなどである)。
218 物理ネットワークデバイスが所属できるネットワーク名前空間は一つだけである。 仮想ネットワークデバイス ("veth") のペアにより パイプ風の抽象化
219 (abstraction) が実現されており、 これを使うことで、ネットワーク名前空間間のトンネルを作成したり、
220 別の名前空間の物理ネットワークデバイスへのブリッジを作成したり することができる。
221
222 ネットワーク名前空間が解放される時 (すなわち、その名前空間の最後のプロセスが終了する時)、 物理ネットワークデバイスは初期ネットワーク名前空間
223 (initial network namespace) に戻される (親プロセスのネットワーク名前空間に戻される訳ではない)。
224 ネットワーク名前空間のさらなる情報は \fBnamespaces\fP(7) を参照。
225
226 Only a privileged process (\fBCAP_SYS_ADMIN\fP)  can employ \fBCLONE_NEWNET\fP.
227 .TP 
228 \fBCLONE_NEWNS\fP (Linux 2.4.19 以降)
229 If \fBCLONE_NEWNS\fP is set, the cloned child is started in a new mount
230 namespace, initialized with a copy of the namespace of the parent.  If
231 \fBCLONE_NEWNS\fP is not set, the child lives in the same mount namespace as
232 the parent.
233
234 For further information on mount namespaces, see \fBnamespaces\fP(7).
235
236 .\" See https://lwn.net/Articles/543273/
237 特権プロセス (\fBCAP_SYS_ADMIN\fP) のみが \fBCLONE_NEWNS\fP を指定することができる。 一つの \fBclone\fP()
238 呼び出しで、 \fBCLONE_NEWNS\fP と \fBCLONE_FS\fP の両方を指定することはできない。
239 .TP 
240 \fBCLONE_NEWPID\fP (Linux 2.6.24 以降)
241 .\" This explanation draws a lot of details from
242 .\" http://lwn.net/Articles/259217/
243 .\" Authors: Pavel Emelyanov <xemul@openvz.org>
244 .\" and Kir Kolyshkin <kir@openvz.org>
245 .\"
246 .\" The primary kernel commit is 30e49c263e36341b60b735cbef5ca37912549264
247 .\" Author: Pavel Emelyanov <xemul@openvz.org>
248 \fBCLONE_NEWPID\fP が設定された場合、新しい PID 名前空間でプロセスを作成する。 このフラグが設定されていない場合、
249 (\fBfork\fP(2)  の場合と同様) 呼び出し元のプロセスと同じ PID 名前空間で プロセスが作成される。
250 このフラグは、コンテナの実装での使用を意図して用意されたものである。
251
252 For further information on PID namespaces, see \fBnamespaces\fP(7)  and
253 \fBpid_namespaces\fP(7)
254
255 Only a privileged process (\fBCAP_SYS_ADMIN\fP)  can employ \fBCLONE_NEWPID\fP.
256 This flag can't be specified in conjunction with \fBCLONE_THREAD\fP or
257 \fBCLONE_PARENT\fP.
258 .TP 
259 \fBCLONE_NEWUSER\fP
260 (This flag first became meaningful for \fBclone\fP()  in Linux 2.6.23, the
261 current \fBclone()\fP semantics were merged in Linux 3.5, and the final pieces
262 to make the user namespaces completely usable were merged in Linux 3.8.)
263
264 If \fBCLONE_NEWUSER\fP is set, then create the process in a new user
265 namespace.  If this flag is not set, then (as with \fBfork\fP(2))  the process
266 is created in the same user namespace as the calling process.
267
268 For further information on user namespaces, see \fBnamespaces\fP(7)  and
269 \fBuser_namespaces\fP(7)
270
271 .\" Before Linux 2.6.29, it appears that only CAP_SYS_ADMIN was needed
272 Before Linux 3.8, use of \fBCLONE_NEWUSER\fP required that the caller have
273 three capabilities: \fBCAP_SYS_ADMIN\fP, \fBCAP_SETUID\fP, and \fBCAP_SETGID\fP.
274 Starting with Linux 3.8, no privileges are needed to create a user
275 namespace.
276
277 .\" commit e66eded8309ebf679d3d3c1f5820d1f2ca332c71
278 .\" https://lwn.net/Articles/543273/
279 .\" The fix actually went into 3.9 and into 3.8.3. However, user namespaces
280 .\" were, for practical purposes, unusable in earlier 3.8.x because of the
281 .\" various filesystems that didn't support userns.
282 This flag can't be specified in conjunction with \fBCLONE_THREAD\fP or
283 \fBCLONE_PARENT\fP.  For security reasons, \fBCLONE_NEWUSER\fP cannot be specified
284 in conjunction with \fBCLONE_FS\fP.
285
286 For further information on user namespaces, see \fBuser_namespaces\fP(7).
287 .TP 
288 \fBCLONE_NEWUTS\fP (Linux 2.6.19 以降)
289 \fBCLONE_NEWUTS\fP が設定された場合、新しい UTS 名前空間でプロセスを作成する。 新しい UTS
290 名前空間の識別子の初期値は、呼び出し元のプロセスの UTS 名前空間の識別子を複製したものとなる。 このフラグが設定されていない場合、
291 (\fBfork\fP(2)  の場合と同様) 呼び出し元のプロセスと同じ UTS 名前空間で プロセスが作成される。
292 このフラグは、コンテナの実装での使用を意図して用意されたものである。
293
294 UTS 名前空間は、 \fBuname\fP(2)  が返す識別子の集合である。 識別子としてはドメイン名とホスト名があり、 それぞれ
295 \fBsetdomainname\fP(2), \fBsethostname\fP(2)  で修正することができる。 ある UTS
296 名前空間における識別子の変更は同じ名前空間の他のすべての プロセスに見えるが、別の UTS 名前空間のプロセスには見えない。
297
298 Only a privileged process (\fBCAP_SYS_ADMIN\fP)  can employ \fBCLONE_NEWUTS\fP.
299
300 For further information on UTS namespaces, see \fBnamespaces\fP(7).
301 .TP 
302 \fBCLONE_PARENT\fP (Linux 2.3.12 以降)
303 \fBCLONE_PARENT\fP が設定された場合、新しい子供の (\fBgetppid\fP(2)  で返される)
304 親プロセスは呼び出し元のプロセスの親プロセスと同じになる。
305
306 \fBCLONE_PARENT\fP が設定されていない場合、 (\fBfork\fP(2)  と同様に) 呼び出し元のプロセスがその子供の親になる。
307
308 子供が終了した時にシグナルが送られるのは \fBgetppid\fP(2)  が返す親プロセスである点に注意すること。このため \fBCLONE_PARENT\fP
309 が設定された場合、呼び出し元のプロセスではなく呼び出し元のプロセスの 親プロセスにシグナルが送られる。
310 .TP 
311 \fBCLONE_PARENT_SETTID\fP (Linux 2.5.49 以降)
312 親プロセスと子プロセスのメモリ内の \fIptid\fP が指す領域に子プロセスのスレッド ID を格納する。 (Linux 2.5.32\-2.5.48
313 では、 同じことをする \fBCLONE_SETTID\fP というフラグが存在した。)
314 .TP 
315 \fBCLONE_PID\fP (廃止予定)
316 \fBCLONE_PID\fP が設定された場合、子プロセスは呼び出し元のプロセスと同じプロセス ID
317 で作成される。これはシステムをハッキングするのには便利だが、 それ以外にはあまり使われない。 Linux 2.3.21 以降では、
318 システムのブートプロセス (PID 0) だけがこのフラグを指定できる。 Linux 2.5.16 で削除された。
319 .TP 
320 \fBCLONE_PTRACE\fP (Linux 2.2 以降)
321 \fBCLONE_PTRACE\fP が指定され、かつ呼び出し元のプロセスが追跡 (trace) されていた場合、子プロセスも 同様に追跡される。
322 (\fBptrace\fP(2)  を参照のこと)
323 .TP 
324 \fBCLONE_SETTLS\fP (Linux 2.5.32 以降)
325 \fInewtls\fP 引き数は、新しい TLS (Thread Local Storage) ディスクリプタである。
326 (\fBset_thread_area\fP(2)  を参照のこと)
327 .TP 
328 \fBCLONE_SIGHAND\fP (Linux 2.0 以降)
329 \fBCLONE_SIGHAND\fP が設定された場合、呼び出し元のプロセスと子プロセスは同じシグナルハン
330 ドラのテーブルを共有する。呼び出し元のプロセスまたは子プロセスのどちらかが \fBsigaction\fP(2)
331 を呼び出してシグナルに対応する動作を変更した場合、 もう一方のプロセスのシグナル動作も変更される。 但し、呼び出し元のプロセスと子プロセスは、
332 プロセス毎に、シグナルマスク (signal mask) と処理待ちシグナルの集合 を持っている。このため、あるプロセスは、
333 \fBsigprocmask\fP(2)  を使用して、もう一方のプロセスに影響を与えずに シグナルを禁止 (block) したり許可 (unblock)
334 したりできる。
335
336 \fBCLONE_SIGHAND\fP が設定されていない場合、子プロセスは \fBclone\fP()
337 が実行された時点での、呼び出し元のプロセスのシグナルハンドラの コピーを継承する。これ以降は、一方のプロセスが \fBsigaction\fP(2)
338 を呼び出しても、もう一方のプロセスには影響を与えない。
339
340 Linux 2.6.0\-test6 以降では、 \fBCLONE_SIGHAND\fP を指定する場合、 \fBCLONE_VM\fP も \fIflags\fP
341 に含めなければならない。
342 .TP 
343 \fBCLONE_STOPPED\fP (Linux 2.6.0\-test2 以降)
344 \fBCLONE_STOPPED\fP が設定されると、子プロセスは最初 (\fBSIGSTOP\fP シグナルを送られたかのように) 停止した状態となる。
345 子プロセスを再開させるには \fBSIGCONT\fP シグナルを送信しなければならない。
346
347 .\" glibc 2.8 removed this defn from bits/sched.h
348 このフラグは Linux 2.6.25 以降では\fI非推奨\fPであり、
349 Linux 2.6.38 で完全に\fI削除\fPされた。
350 .TP 
351 \fBCLONE_SYSVSEM\fP (Linux 2.5.10 以降)
352 If \fBCLONE_SYSVSEM\fP is set, then the child and the calling process share a
353 single list of System V semaphore adjustment (\fIsemadj\fP)  values (see
354 \fBsemop\fP(2)).  In this case, the shared list accumulates \fIsemadj\fP values
355 across all processes sharing the list, and semaphore adjustments are
356 performed only when the last process that is sharing the list terminates (or
357 ceases sharing the list using \fBunshare\fP(2)).  If this flag is not set, then
358 the child has a separate \fIsemadj\fP list that is initially empty.
359 .TP 
360 \fBCLONE_THREAD\fP (Linux 2.4.0\-test8以降)
361 \fBCLONE_THREAD\fP が設定された場合、子プロセスは呼び出し元のプロセスと同じスレッドグループに 置かれる。 \fBCLONE_THREAD\fP
362 についての以降の議論を読みやすくするため、 「スレッド」という用語はスレッドグループの中のプロセスを 参照するのに使うこととする。
363
364 スレッドグループは、 スレッド集合で一つの PID を共有するという POSIX スレッドの概念をサポートするために Linux 2.4
365 に加えられた機能であった。 内部的には、この共有 PID はいわゆるそのスレッドグループの スレッドグループ識別子 (TGID) である。 Linux
366 2.4 以降では、 \fBgetpid\fP(2)  の呼び出しではそのプロセスのスレッドグループ ID を返す。
367
368 あるグループに属するスレッドは (システム全体で) 一意なスレッド ID (TID)  で区別できる。新しいスレッドの TID は \fBclone\fP()
369 の呼び出し元へ関数の結果として返され、 スレッドは自分自身の TID を \fBgettid\fP(2)  で取得できる。
370
371 \fBCLONE_THREAD\fP を指定せずに \fBclone\fP()  の呼び出しが行われると、 生成されたスレッドはそのスレッドの TID と同じ値の
372 TGID を持つ 新しいスレッドグループに置かれる。このスレッドは 新しいスレッドグループの「リーダー」である。
373
374 \fBCLONE_THREAD\fP を指定して作成された新しいスレッドは、 (\fBCLONE_PARENT\fP の場合と同様に)  \fBclone\fP()
375 を呼び出し元と同じ親プロセスを持つ。 そのため、 \fBgetppid\fP(2)  を呼ぶと、一つのスレッドグループに属すスレッドは全て同じ値を返す。
376 \fBCLONE_THREAD\fP で作られたスレッドが終了した際に、 そのスレッドを \fBclone\fP()  を使って生成したスレッドには
377 \fBSIGCHLD\fP (もしくは他の終了シグナル) は送信されない。 また、 \fBwait\fP(2)
378 を使って終了したスレッドの状態を取得することもできない (そのようなスレッドは \fIdetached\fP (分離された) といわれる)。
379
380 スレッドグループに属す全てのスレッドが終了した後、 そのスレッドグループの親プロセスに \fBSIGCHLD\fP (もしくは他の終了シグナル) が送られる。
381
382 スレッドグループに属すいずれかのスレッドが \fBexecve\fP(2)  を実行すると、スレッドグループリーダー以外の全てのスレッドは
383 終了され、新しいプロセスがそのスレッドグループリーダーの下で 実行される。
384
385 スレッドグループに属すスレッドの一つが \fBfork\fP(2)  を使って子プロセスを作成した場合、 スレッドグループのどのスレッドであっても その子供を
386 \fBwait\fP(2)  できる。
387
388 Linux 2.5.35 以降では、 \fBCLONE_THREAD\fP を指定する場合、 \fIflags\fP に \fBCLONE_SIGHAND\fP
389 も含まれていなければならない (Linux 2.6.0\-test6 以降では、 \fBCLONE_SIGHAND\fP を指定する場合 \fBCLONE_VM\fP
390 も指定する必要がある点に注意すること)。
391
392 \fBkill\fP(2)  を使ってスレッドグループ全体 (つまり TGID) にシグナルを送ることもできれば、 \fBtgkill\fP(2)
393 を使って特定のスレッド (つまり TID) にシグナルを送ることもできる。
394
395 シグナルの配送と処理はプロセス全体に影響する: ハンドラを設定していないシグナルがあるスレッドに配送されると、
396 そのシグナルはスレッドグループの全メンバーに影響を及ぼす (終了したり、停止したり、動作を継続したり、無視されたりする)。
397
398 各々のスレッドは独自のシグナルマスクを持っており、 \fBsigprocmask\fP(2)  で設定できる。 だが、処理待ちのシグナルには、
399 \fBkill\fP(2)  で送信されるプロセス全体に対するもの (つまり、スレッドグループの どのメンバーにも配送できるもの) と、
400 \fBtgkill\fP(2)  で送信される個々のスレッドに対するものがありえる。 \fBsigpending\fP(2)
401 を呼び出すと、プロセス全体に対する処理待ちシグナルと呼び出し元の スレッドに対する処理待ちシグナルを結合したシグナル集合が返される。
402
403 \fBkill\fP(2)  を使ってスレッドグループにシグナルが送られた場合で、 そのスレッドグループがそのシグナルに対するシグナルハンドラが
404 登録されていたときには、シグナルハンドラはスレッドグループの メンバーのうち、ただ一つのスレッドでだけ起動される。ハンドラが
405 起動されるスレッドは、そのシグナルを禁止 (block) していない メンバーの中から一つだけが勝手に (arbitrarily) 選ばれる。
406 スレッドグループに属す複数のスレッドが \fBsigwaitinfo\fP(2)  を使って同じシグナルを待っている場合、
407 これらのスレッドの中から一つをカーネルが勝手に選択し、 そのスレッドが \fBkill (2)\fP を使って送信されたシグナルを受信する。
408 .TP 
409 \fBCLONE_UNTRACED\fP (Linux 2.5.46 以降)
410 \fBCLONE_UNTRACED\fP が指定されると、 trace を行っているプロセスは この子プロセスに \fBCLONE_PTRACE\fP
411 を適用することができない。
412 .TP 
413 \fBCLONE_VFORK\fP (Linux 2.2 以降)
414 \fBCLONE_VFORK\fP が設定された場合、 (\fBvfork\fP(2)  と同様に) 子プロセスが \fBexecve\fP(2)  または
415 \fB_exit\fP(2)  によって仮想メモリを解放するまで、呼び出し元のプロセスの実行は停止される。
416
417 \fBCLONE_VFORK\fP が設定されていない場合、 \fBclone\fP()  呼び出し後は、呼び出し元のプロセスと子プロセスの
418 両方がスケジュール対象となり、アプリケーションはこれらのプロセスの 実行順序に依存しないようにすべきである。
419 .TP 
420 \fBCLONE_VM\fP (Linux 2.0 以降)
421 \fBCLONE_VM\fP が設定された場合、呼び出し元のプロセスと子プロセスは同じメモリ空間で
422 実行される。特に、呼び出し元のプロセスや子プロセスの一方がメモリに 書き込んだ内容はもう一方のプロセスからも見ることができる。さらに、
423 子プロセスや呼び出し元のプロセスの一方が \fBmmap\fP(2)  や \fBmunmap\fP(2)  を使ってメモリをマップしたりアンマップした場合、
424 もう一方のプロセスにも影響が及ぶ。
425
426 \fBCLONE_VM\fP が設定されていない場合、子プロセスは \fBclone\fP()  が実行された時点での、親プロセスのメモリ空間をコピーした
427 別のメモリ空間で実行される。 一方のプロセスが行ったメモリへの書き込みや ファイルのマップ/アンマップは、 \fBfork\fP(2)
428 の場合と同様、もう一方のプロセスには影響しない。
429 .SS "C library/kernel ABI differences"
430 素の \fBclone\fP システムコールは、より \fBfork\fP(2) に近いかたちになっており、
431 子プロセスの実行が呼び出しが行われた場所から続けられる。 そのため、 \fBclone\fP() ラッパー関数の引き数 \fIfn\fP と \fIarg\fP
432 は省略される。 また、 引き数の順序も違っている。 x86 と他の多くのアーキテクチャにおける、 素のシステムコールのインターフェースは、
433 おおまかには次のようになっている。
434 .in +4
435 .nf
436
437 \fBlong clone(unsigned long \fP\fIflags\fP\fB, void *\fP\fIchild_stack\fP\fB,\fP
438 \fB           void *\fP\fIptid\fP\fB, void *\fP\fIctid\fP\fB,\fP
439 \fB           struct pt_regs *\fP\fIregs\fP\fB);\fP
440
441 .fi
442 .in
443 生のシステムコールのもう一つの違いは、 \fIchild_stack\fP 引き数がゼロでも良いことである。この場合には、どちらかのプロセスが
444 スタックを変更した時に、書き込み時コピー (copy\-on\-write) 方式により
445 子プロセスがスタックページの独立したコピーを得られることが保証される。 この場合、正常に動作させるためには、 \fBCLONE_VM\fP
446 オプションを指定してはならない。
447
448 いくつかのアーキテクチャでは、システムコールの引き数の順序は上記とは異なっている。 microblaze, ARM, ARM 64, PA\-RISC,
449 arc, Power PC, xtensa, MIPS アーキテクチャでは、 4 番目と 5 番目の引き数の順番が逆である。 cris と s390
450 アーキテクチャでは、最初と 2 番目の引き数の順番が逆である。
451 .SS "blackfin, m68k, sparc"
452 blackfin, m68k, sparc では引き数渡しの規約が上記の説明とは異なる。 詳細は、カーネル (と glibc) のソースを参照のこと。
453 .SS ia64
454 ia64 では、別のインターフェースが使用される:
455 .nf
456
457 \fBint __clone2(int (*\fP\fIfn\fP\fB)(void *), \fP
458 \fB             void *\fP\fIchild_stack_base\fP\fB, size_t \fP\fIstack_size\fP\fB,\fP
459 \fB             int \fP\fIflags\fP\fB, void *\fP\fIarg\fP\fB, ... \fP
460 \fB          /* pid_t *\fP\fIptid\fP\fB, struct user_desc *\fP\fItls\fP\fB, pid_t *\fP\fIctid\fP\fB */ );\fP
461 .fi
462 .PP
463 上記のプロトタイプは glibc ラッパー関数用のものである。 素のシステムコールのインターフェースには引き数 \fIfn\fP と \fIarg\fP がない。
464 また、引き数の順序が変わり、 \fIflags\fP が最初の引き数で、 \fItls\fP が最後の引き数である。
465 .PP
466 \fB__clone2\fP() は \fBclone\fP() と同じように動作するが、以下の点が異なる: \fIchild_stack_base\fP
467 は子プロセスのスタックエリアの最小のアドレスを指し、 \fIstack_size\fP は \fIchild_stack_base\fP
468 が指し示すスタックエリアの大きさを示す。
469 .SS "Linux 2.4 以前"
470 Linux 2.4 以前では、 \fBclone\fP()  は引き数 \fIptid\fP, \fItls\fP, \fIctid\fP を取らない。
471 .SH 返り値
472 .\" gettid(2) returns current->pid;
473 .\" getpid(2) returns current->tgid;
474 成功した場合、呼び出し元の実行スレッドには子プロセスのスレッドID が返される。 失敗した場合、 呼び出し元のコンテキストには \-1
475 が返され、子プロセスは 作成されず、 \fIerrno\fP が適切に設定される。
476 .SH エラー
477 .TP 
478 \fBEAGAIN\fP
479 すでに実行中のプロセスが多すぎる。 \fBfork\fP(2) 参照。
480 .TP 
481 \fBEINVAL\fP
482 \fBCLONE_SIGHAND\fP が指定されていたが、 \fBCLONE_VM\fP が指定されていなかった。 (Linux 2.6.0\-test6 以降)
483 .TP 
484 \fBEINVAL\fP
485 .\" .TP
486 .\" .B EINVAL
487 .\" Precisely one of
488 .\" .B CLONE_DETACHED
489 .\" and
490 .\" .B CLONE_THREAD
491 .\" was specified.
492 .\" (Since Linux 2.6.0-test6.)
493 \fBCLONE_THREAD\fP が指定されていたが、 \fBCLONE_SIGHAND\fP が指定されていなかった。 (Linux 2.5.35 以降)
494 .TP 
495 \fBEINVAL\fP
496 .\" commit e66eded8309ebf679d3d3c1f5820d1f2ca332c71
497 \fBCLONE_FS\fP と \fBCLONE_NEWNS\fP の両方が \fIflags\fP に指定された。
498 .TP 
499 \fBEINVAL\fP (Linux 3.9 以降)
500 \fBCLONE_NEWUSER\fP と \fBCLONE_FS\fP の両方が \fIflags\fP に指定された。
501 .TP 
502 \fBEINVAL\fP
503 \fBCLONE_NEWIPC\fP と \fBCLONE_SYSVSEM\fP の両方が \fIflags\fP に指定された。
504 .TP 
505 \fBEINVAL\fP
506 One (or both) of \fBCLONE_NEWPID\fP or \fBCLONE_NEWUSER\fP and one (or both) of
507 \fBCLONE_THREAD\fP or \fBCLONE_PARENT\fP were specified in \fIflags\fP.
508 .TP 
509 \fBEINVAL\fP
510 \fIchild_stack\fP にゼロを指定した場合に \fBclone\fP()  が返す。
511 .TP 
512 \fBEINVAL\fP
513 \fIflags\fP に \fBCLONE_NEWIPC\fP が指定されたが、カーネルでオプション \fBCONFIG_SYSVIPC\fP と
514 \fBCONFIG_IPC_NS\fP が有効になっていなかった。
515 .TP 
516 \fBEINVAL\fP
517 \fIflags\fP に \fBCLONE_NEWNET\fP が指定されたが、カーネルでオプション \fBCONFIG_NET_NS\fP が有効になっていなかった。
518 .TP 
519 \fBEINVAL\fP
520 \fIflags\fP に \fBCLONE_NEWPID\fP が指定されたが、カーネルでオプション \fBCONFIG_PID_NS\fP が有効になっていなかった。
521 .TP 
522 \fBEINVAL\fP
523 \fIflags\fP に \fBCLONE_NEWUTS\fP が指定されたが、カーネルでオプション \fBCONFIG_UTS\fP が有効になっていなかった。
524 .TP 
525 \fBENOMEM\fP
526 子プロセスのために確保すべきタスク構造体や、呼び出し元のコンテキストの 一部をコピーするのに必要なメモリを十分に割り当てることができない。
527 .TP 
528 \fBEPERM\fP
529 非特権プロセス (\fBCAP_SYS_ADMIN\fP を持たないプロセス) が \fBCLONE_NEWIPC\fP, \fBCLONE_NEWNET\fP,
530 \fBCLONE_NEWNS\fP, \fBCLONE_NEWPID\fP, \fBCLONE_NEWUTS\fP を指定した。
531 .TP 
532 \fBEPERM\fP
533 PID が 0 以外のプロセスによって \fBCLONE_PID\fP が指定された。
534 .TP 
535 \fBEPERM\fP
536 \fBCLONE_NEWUSER\fP was specified in \fIflags\fP, but either the effective user ID
537 or the effective group ID of the caller does not have a mapping in the
538 parent namespace (see \fBuser_namespaces\fP(7)).
539 .TP 
540 \fBEPERM\fP (Linux 3.9 以降)
541 .\" commit 3151527ee007b73a0ebd296010f1c0454a919c7d
542 .\" FIXME What is the rationale for this restriction?
543 \fBCLONE_NEWUSER was specified in\fP \fIflags\fP and the caller is in a chroot
544 environment (i.e., the caller's root directory does not match the root
545 directory of the mount namespace in which it resides).
546 .TP 
547 \fBEUSERS\fP (Linux 3.11 以降)
548 \fBCLONE_NEWUSER\fP was specified in \fIflags\fP, and the call would cause the
549 limit on the number of nested user namespaces to be exceeded.  See
550 \fBuser_namespaces\fP(7).
551 .SH バージョン
552 libc5 には \fBclone\fP()  はない。glibc2 では \fBclone\fP()  が提供されており、このマニュアルページに記載の通りである。
553 .SH 準拠
554 \fBclone\fP() は Linux 特有であり、移植を考慮したプログラムでは使用すべき ではない。
555 .SH 注意
556 カーネル 2.4.x 系列では、一般的には \fBCLONE_THREAD\fP フラグを指定しても新しいスレッドの親を
557 呼び出し元プロセスの親と同じにはしない。 しかし、バージョン 2.4.7〜2.4.18 のカーネルでは、 (カーネル 2.6 と同じように)
558 CLONE_THREAD フラグを指定すると、 暗黙のうちに CLONE_PARENT フラグを指定したことになる。
559
560 \fBCLONE_DETACHED\fP というフラグが、2.5.32 で導入されて以来しばらくの間存在した。
561 このフラグは親プロセスが子プロセス終了のシグナルを必要としないことを 表すものである。 2.6.2 で、 CLONE_DETATCHED を
562 CLONE_THREAD と一緒に指定する必要はなくなった。 このフラグはまだ定義されているが、何の効果もない。
563
564 i386 上では、 \fBclone\fP()  は vsyscall 経由ではなく、直接 \fIint $0x80\fP 経由で呼び出すべきである。
565 .SH バグ
566 NPTL スレッドライブラリを含んでいる GNU C ライブラリのいくつかのバージョン には、 \fBgetpid\fP(2)
567 のラッパー関数が含まれており、このラッパー関数は PID をキャッシュする。 このキャッシュ処理が正しく動作するためには glibc の
568 \fBclone\fP()  のラッパー関数での助けが必要だが、現状の実装では、 ある状況下においてキャッシュが最新とならない可能性がある。 特に、
569 \fBclone\fP()  の呼び出し直後にシグナルが子プロセスに配送された場合に、 そのシグナルに対するハンドラ内で \fBgetpid\fP(2)
570 を呼び出すと、それまでに clone のラッパー関数が子プロセスの PID キャッシュを 更新する機会が得られていなければ、呼び出し元プロセス
571 ("親プロセス") の PID が 返される可能性がある。 (この議論では、子プロセスが \fBCLONE_THREAD\fP
572 を使って作成された場合のことは無視している。 子プロセスが \fBCLONE_THREAD\fP を作って作成された場合には、
573 呼び出し元と子プロセスは同じスレッドグループに属すので、 \fBgetpid\fP(2)  は子プロセスと \fBclone\fP()
574 を呼び出したプロセスで同じ値を返すのが「正しい」。 キャッシュが最新とならない問題 (stale\-cache problem) は、 \fIflags\fP
575 に \fBCLONE_VM\fP が含まれている場合にも発生しない。)  本当の値を得るためには、次のようなコードを使う必要があるかもしれない。
576 .nf
577
578     #include <syscall.h>
579
580     pid_t mypid;
581
582     mypid = syscall(SYS_getpid);
583 .fi
584 .\" See also the following bug reports
585 .\" https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=417521
586 .\" http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=6910
587 .SH 例
588 以下のプログラムは、 別の UTS 名前空間で動作する子プロセスを \fBclone\fP() を使って作成する例である。 子プロセスは、自分の UTS
589 名前空間においてホスト名を変更する。 それから、親プロセスと子プロセスの両方でシステムのホスト名を表示し、 親プロセスと子プロセスの UTS
590 名前空間でホスト名が異なることを確認する。 このプログラムの使用方法については \fBsetns\fP(2) を参照。
591 .SS プログラムのソース
592 .nf
593 #define _GNU_SOURCE
594 #include <sys/wait.h>
595 #include <sys/utsname.h>
596 #include <sched.h>
597 #include <string.h>
598 #include <stdio.h>
599 #include <stdlib.h>
600 #include <unistd.h>
601
602 #define errExit(msg)    do { perror(msg); exit(EXIT_FAILURE); \e
603                         } while (0)
604
605 static int              /* clone された子プロセスの開始関数 */
606 childFunc(void *arg)
607 {
608     struct utsname uts;
609
610     /* 子プロセスの UTS 名前空間でホスト名を変更する */
611
612     if (sethostname(arg, strlen(arg)) == \-1)
613         errExit("sethostname");
614
615     /* ホスト名を取得し表示する */
616
617     if (uname(&uts) == \-1)
618         errExit("uname");
619     printf("uts.nodename in child:  %s\en", uts.nodename);
620
621     /* sleep を使ってしばらく名前空間をオープンされたままにする。
622        これにより実験を行うことができる \-\- 例えば、
623        別のプロセスがこの名前空間に参加するなど。 */
624
625     sleep(200);
626
627     return 0;           /* 子プロセスを終了する */
628 }
629
630 #define STACK_SIZE (1024 * 1024)    /* clone される子プロセスのスタックサイズ */
631
632 int
633 main(int argc, char *argv[])
634 {
635     char *stack;                    /* スタックバッファの先頭 */
636     char *stackTop;                 /* スタックバッファの末尾 */
637     pid_t pid;
638     struct utsname uts;
639
640     if (argc < 2) {
641         fprintf(stderr, "Usage: %s <child\-hostname>\en", argv[0]);
642         exit(EXIT_SUCCESS);
643     }
644
645     /* 子プロセス用のスタックを割り当てる */
646
647     stack = malloc(STACK_SIZE);
648     if (stack == NULL)
649         errExit("malloc");
650     stackTop = stack + STACK_SIZE;  /* スタックは下方向に伸びるものとする */
651
652     /* 自分専用の UTS 名前空間を持つ子プロセスを作成する;
653        子プロセスは childFunc() の実行を開始する */
654
655     pid = clone(childFunc, stackTop, CLONE_NEWUTS | SIGCHLD, argv[1]);
656     if (pid == \-1)
657         errExit("clone");
658     printf("clone() returned %ld\en", (long) pid);
659
660     /* 親プロセスの実行はここに来る */
661
662     sleep(1);           /* 子プロセスがホスト名を変更する時間を与える */
663
664     /* 親プロセスの UTS 名前空間でのホスト名を表示する;
665        これは子プロセスの UTS 名前空間でのホスト名とは異なる */
666
667     if (uname(&uts) == \-1)
668         errExit("uname");
669     printf("uts.nodename in parent: %s\en", uts.nodename);
670
671     if (waitpid(pid, NULL, 0) == \-1)    /* 子プロセスを待つ */
672         errExit("waitpid");
673     printf("child has terminated\en");
674
675     exit(EXIT_SUCCESS);
676 }
677 .fi
678 .SH 関連項目
679 \fBfork\fP(2), \fBfutex\fP(2), \fBgetpid\fP(2), \fBgettid\fP(2), \fBkcmp\fP(2),
680 \fBset_thread_area\fP(2), \fBset_tid_address\fP(2), \fBsetns\fP(2), \fBtkill\fP(2),
681 \fBunshare\fP(2), \fBwait\fP(2), \fBcapabilities\fP(7), \fBnamespaces\fP(7),
682 \fBpthreads\fP(7)
683 .SH この文書について
684 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.76 の一部
685 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
686 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。