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2 .\" and Copyright (c) 2006 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
3 .\"
4 .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM)
5 .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this
6 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
7 .\" preserved on all copies.
8 .\"
9 .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this
10 .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the
11 .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a
12 .\" permission notice identical to this one.
13 .\"
14 .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this
15 .\" manual page may be incorrect or out-of-date.  The author(s) assume no
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20 .\" professionally.
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24 .\" %%%LICENSE_END
25 .\"
26 .\" Modified by Michael Haardt <michael@moria.de>
27 .\" Modified 1993-07-21 by Rik Faith <faith@cs.unc.edu>
28 .\" Modified 1994-08-21 by Michael Chastain <mec@shell.portal.com>:
29 .\" Modified 1997-01-31 by Eric S. Raymond <esr@thyrsus.com>
30 .\" Modified 1999-11-12 by Urs Thuermann <urs@isnogud.escape.de>
31 .\" Modified 2004-06-23 by Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
32 .\" 2006-09-04 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
33 .\"     Added list of process attributes that are not preserved on exec().
34 .\" 2007-09-14 Ollie Wild <aaw@google.com>, mtk
35 .\"     Add text describing limits on command-line arguments + environment
36 .\"
37 .\"*******************************************************************
38 .\"
39 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
40 .\"
41 .\"*******************************************************************
42 .\"
43 .\" Japanese Version Copyright (c) 1996 TABATA Tomohira
44 .\"         all rights reserved.
45 .\" Translated 1996-07-04, TABATA Tomohira <loba@k2.t.u-tokyo.ac.jp>
46 .\" Updated 1997-12-14, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
47 .\" Updated 2001-08-17, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
48 .\" Updated 2005-02-05, Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>
49 .\" Updated 2005-09-06, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
50 .\" Updated 2005-11-19, Akihiro MOTOKI
51 .\" Updated 2006-08-13, Akihiro MOTOKI, LDP v2.39
52 .\" Updated 2007-01-09, Akihiro MOTOKI, LDP v2.43
53 .\" Updated 2007-06-03, Akihiro MOTOKI, LDP v2.51
54 .\" Updated 2007-10-12, Akihiro MOTOKI, LDP v2.66
55 .\" Updated 2008-04-04, Akihiro MOTOKI, LDP v2.79
56 .\" Updated 2008-11-05, Akihiro MOTOKI, LDP v3.12
57 .\" Updated 2012-05-29, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
58 .\" Updated 2013-03-22, Akihiro MOTOKI, LDP v3.50
59 .\" Updated 2013-07-22, Akihiro MOTOKI, LDP v3.52
60 .\"
61 .TH EXECVE 2 2015\-01\-22 Linux "Linux Programmer's Manual"
62 .SH 名前
63 execve \- プログラムを実行する
64 .SH 書式
65 \fB#include <unistd.h>\fP
66 .sp
67 \fBint execve(const char *\fP\fIfilename\fP\fB, char *const \fP\fIargv\fP\fB[], \fP
68 .br
69 \fB char *const \fP\fIenvp\fP\fB[]);\fP
70 .SH 説明
71 \fBexecve\fP()  は、\fIfilename\fP によって指定されたプログラムを実行する。 \fIfilename\fP は、バイナリ実行形式か、
72 以下の形式の行で始まるスクリプトでなければならない。
73
74 .in +4n
75 .nf
76 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional\-arg]
77 .fi
78 .in
79
80 後者の詳細は、後ろの「インタープリタースクリプト」の節を参照のこと。
81
82 \fIargv\fP は新しいプログラムに渡される引き数文字列の配列である。
83 慣例では、引き数文字列の最初の要素には実行されたファイルに関連付けられた
84 ファイル名を含めることになっている。
85 \fIenvp\fP は文字列の配列であり、伝統的に \fBkey=value\fP の形式をしており、
86 新しいプログラムの環境変数として渡される。
87 \fIargv\fP と \fIenvp\fP はいずれものヌルポインターで終わっている必要がある。
88 引き数配列と環境変数は、呼び出されたプログラムの main 関数を
89 以下のように定義することによってアクセス可能になる。
90
91 .in +4n
92 .nf
93 int main(int argc, char *argv[], char *envp[])
94 .fi
95 .in
96
97 成功した場合、 \fBexecve\fP()  は返らない。 そして、呼び出し元のプロセスの text, data, bss, スタックは、
98 読み込まれたプログラムによって上書きされる。
99
100 元のプログラムが ptrace されている場合、 \fBexecve\fP()  が成功した後に そのプログラムに \fBSIGTRAP\fP が送られる。
101
102 \fIfilename\fP で指定されたプログラムファイルに set\-user\-ID ビットが設定されており、 ファイルが存在するファイルシステムが
103 \fInosuid\fP (\fBmount\fP(2)  の \fBMS_NOSUID\fP フラグ) でマウントされておらず、 呼び出したプロセスが ptrace
104 されていない場合、 呼び出したプロセスの実効 (effective) ユーザー ID は プログラムファイルの所有者 (owner) に変更される。
105 同様に、プログラムファイルに set\-group\-ID ビットが設定されていた場合、 呼び出したプロセスの有効グループ ID は
106 プログラムファイルのグループに変更される。
107
108 プロセスの実効ユーザー ID は保存 (saved) set\-user\-ID にコピーされる。 同様に、実効グループ ID は保存
109 set\-group\-ID にコピーされる。 このコピーは、set\-user\-ID / set\-group\-ID 許可ビットにより発生する 実効 ID
110 の変更後に行われる。
111
112 実行ファイルが動的リンクされた a.out 実行形式で、共有ライブラリの スタブを含むものだった場合、実行の開始時に Linux の
113 ダイナミックリンカー \fBld.so\fP(8)  が呼び出され、必要な共有ライブラリをメモリーに読み込んでリンクを行う。
114
115 実行ファイルがダイナミックリンクされた ELF 実行形式だった場合、
116 PT_INTERP セグメントに指定されたインタープリターが必要な 共有ライブラリ
117 (shared library) を読み込むのに使用される。
118 通常、インタープリターは glibc をリンクしたバイナリでは
119 \fI/lib/ld\-linux.so.2\fP である。
120
121 以下に示す以外のすべてのプロセス属性は \fBexecve\fP()  の前後で保持される。
122 .IP * 3
123 捕捉されたシグナルの処理方法 (disposition) は デフォルト動作にリセットされる (\fBsignal\fP(7))。
124 .IP *
125 代替シグナルスタックはどれも保持されない (\fBsigaltstack\fP(2))。
126 .IP *
127 メモリーマッピングは保持されない (\fBmmap\fP(2))。
128 .IP *
129 付加された (attached) System\ V 共有メモリーセグメントは分離される (\fBshmat\fP(2))。
130 .IP *
131 POSIX 共有メモリー領域はマッピングを解除される (\fBshm_open\fP(3))。
132 .IP *
133 オープンされた POSIX メッセージキューディスクリプターはクローズされる (\fBmq_overview\fP(7))。
134 .IP *
135 オープンされた POSIX 名前付きセマフォはいずれもクローズされる (\fBsem_overview\fP(7))。
136 .IP *
137 POSIX タイマーは保持されない (\fBtimer_create\fP(2))。
138 .IP *
139 オープンされたディレクトリストリームはいずれもクローズされる (\fBopendir\fP(3))。
140 .IP *
141 メモリーロックは保持されない (\fBmlock\fP(2), \fBmlockall\fP(2))。
142 .IP *
143 終了 (exit) ハンドラーは保持されない (\fBatexit\fP(3), \fBon_exit\fP(3))。
144 .IP *
145 浮動小数点関連の環境はデフォルトにリセットされる (\fBfenv\fP(3)  参照)。
146 .PP
147 上記のリストのプロセス属性はいずれも POSIX.1\-2001 で規定されている。 以下に示す Linux 固有のプロセス属性も \fBexecve\fP()
148 の前後で保持されない。
149 .IP * 3
150 set\-user\-ID か set\-group\-ID されたプログラムが実行されている場合、 \fBprctl\fP(2)  の
151 \fBPR_SET_DUMPABLE\fP フラグはクリアされる。それ以外の場合、このフラグはセットされる。
152 .IP *
153 \fBprctl\fP(2)  の \fBPR_SET_KEEPCAPS\fP フラグはクリアされる。
154 .IP *
155 (Linux 2.4.36 以降 / 2.6.23 以降)  set\-user\-ID や set\-group\-ID されたプログラムが実行された場合、
156 \fBprctl\fP(2) の \fBPR_SET_PDEATHSIG\fP フラグで設定された parent death シグナルはクリアされる。
157 .IP *
158 プロセス名は新しい実行ファイルの名前にリセットされる。 プロセス名は \fBprctl\fP(2)  の \fBPR_SET_NAME\fP で設定でき、
159 \fIps\ \-o comm\fP で表示できる。
160 .IP *
161 \fBSECBIT_KEEP_CAPS\fP の \fIsecurebits\fP フラグはクリアされる。 \fBcapabilities\fP(7) 参照。
162 .IP *
163 終了シグナル (termination signal) は \fBSIGCHLD\fP にリセットされる (\fBclone\fP(2)  参照)。
164 .PP
165 以下の点についても注意すること:
166 .IP * 3
167 呼び出し元スレッド以外の全てのスレッドは \fBexecve\fP()  中に破棄される。 mutex、条件変数、その他の pthread
168 オブジェクトは保持されない。
169 .IP *
170 \fIsetlocale(LC_ALL, "C")\fP 相当の処理がプログラム開始時に実行される。
171 .IP *
172 POSIX.1\-2001 は、動作が無視かデフォルトに設定されている全てのシグナル の処理方法は変更せずそのままにする、と規定している。
173 但し、POSIX.1\-2001 には一つ例外があり、 \fBSIGCHLD\fP が無視になっている場合、
174 その処理方法を変更せずにそのままにするか、デフォルト動作にリセットするかは 実装依存となっている。 Linux では前者 (変更しない) となっている。
175 .IP *
176 完了していない非同期 I/O 操作はキャンセルされる (\fBaio_read\fP(3), \fBaio_write\fP(3))。
177 .IP *
178 \fBexecve\fP(2)  時のケーパビリティの扱いについては、 \fBcapabilities\fP(7)  を参照。
179 .IP *
180 .\" On Linux it appears that these file descriptors are
181 .\" always open after an execve(), and it looks like
182 .\" Solaris 8 and FreeBSD 6.1 are the same. -- mtk, 30 Apr 2007
183 デフォルトでは、ファイルディスクリプターは \fBexecve\fP()  を行った後でもオープンされたままである。 close\-on\-exec
184 の印が付いているファイルディスクリプターはクローズされる。 \fBfcntl\fP(2)  の \fBFD_CLOEXEC\fP の説明を参照。
185 (ファイルディスクリプターがクローズされると、このプロセスが ファイルディスクリプターに対応するファイルに対して獲得していた
186 レコードのロックが全て解放されることになる。)  POSIX.1\-2001 では、 ファイルディスクリプター 0, 1, 2 が \fBexecve\fP()
187 成功後にどこかでクローズされ、かつ 実行されるファイルに set\-user_ID か set\-group_ID の許可ビットが
188 セットされていてプロセスが特権を獲得した場合、 システムは何らかのファイルをオープンする際に これらの番号のディスクリプターのどれかを使うことがある、
189 とされている。 原則として、移植性が必要なプログラムでは、 特権の有無に関わらず、 \fBexecve\fP()  の前後でこれら
190 3つのファイルディスクリプターがクローズされたままで あることを前提にすることはできない。
191 .SS インタープリタースクリプト
192 インタープリタースクリプトとは、実行許可が有効になっていて、 最初の行が以下の形になっているテキストファイルのことである。
193
194 .in +4n
195 .nf
196 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional\-arg]
197 .fi
198 .in
199
200 \fIinterpreter\fP は有効な実行ファイルのパス名でなければならず、 それ自身がスクリプトであってはならない。 \fBexecve\fP()  の
201 \fIfilename\fP 引き数がインタープリタースクリプトを指定している場合、 \fIinterpreter\fP は以下の引き数で起動される。
202
203 .in +4n
204 .nf
205 \fIinterpreter\fP [optional\-arg] \fIfilename\fP arg...
206 .fi
207 .in
208
209 \fIarg...\fP は、 \fBexecve\fP() の \fIargv\fP 引き数が指すワード列である。 \fIargv\fP[1] から始まる。
210
211 移植性を持たすには、 \fIoptional\-arg\fP は空か 1ワードだけにすべきである (つまり、ホワイトスペースを含めるべきではない)。
212 下記の「注意」の節を参照。
213 .SS 引き数と環境変数の合計サイズの上限
214 ほとんどの UNIX の実装は、新しいプログラムに渡すことができる コマンドライン引き数 (\fIargv\fP)  と環境変数 (\fIenvp\fP)
215 の文字列群の合計サイズに何らかの上限を設けている。 POSIX.1 は、 \fBARG_MAX\fP 定数を使ってこの上限を決める実装を認めている
216 (\fBARG_MAX\fP は \fI<limits.h>\fP で定義されるか、実行時に \fIsysconf(_SC_ARG_MAX)\fP
217 の呼び出しで入手できるかのいずれかである)。
218
219 カーネル 2.6.23 より前の Linux では、環境変数と引き数の文字列群を 格納するのに使用されるメモリーは 32 ページに制限されていた (32
220 ページというのはカーネル定数 \fBMAX_ARG_PAGES\fP で定義される)。したがって、 ページサイズが 4 kB のアーキテクチャーでは、
221 最大サイズは 128 kB ということになる。
222
223 .\" For some background on the changes to ARG_MAX in kernels 2.6.23 and
224 .\" 2.6.25, see:
225 .\"     http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=5786
226 .\"     http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=10095
227 .\"     http://thread.gmane.org/gmane.linux.kernel/646709/focus=648101,
228 .\"     checked into 2.6.25 as commit a64e715fc74b1a7dcc5944f848acc38b2c4d4ee2.
229 .\" Ollie: That doesn't include the lists of pointers, though,
230 .\" so the actual usage is a bit higher (1 pointer per argument).
231 カーネル 2.6.23 以降では、ほとんどのアーキテクチャーにおいて、 \fBexecve\fP()  が呼び出された時点で適用されているリソースのソフト上限
232 \fBRLIMIT_STACK\fP に基づいたサイズ上限が使われる (メモリー管理ユニット (MMU) を持たないアーキテクチャーは上記の変更の
233 例外であり、これらのアーキテクチャーではカーネル 2.6.23 より前と 同じ上限がそのまま使用される)。
234 これらのアーキテクチャーでは、合計サイズは許可されたスタックサイズの 1/4 に制限されている (1/4
235 の上限を設けているのは、新しいプログラムが必ずある程度の スタック空間を持てることを保証するためである)。 Linux 2.6.25
236 以降では、カーネルはこのサイズ上限に 32 ページの下限を 設けている。これにより、 \fBRLIMIT_STACK\fP
237 が非常に小さく設定された場合でも、アプリケーションが少なくとも Linux 2.6.23 以前で提供されていたのと同じ大きさの引き数と環境変数の空間
238 と同じだけは確保できることが保証されている (この最低限の保証は Linux 2.6.23 と 2.6.24 では提供されていない)。
239 また、各文字列の上限は 32 ページ (カーネル定数 \fBMAX_ARG_STRLEN\fP)  で、文字列数の最大値は 0x7FFFFFFF である。
240 .SH 返り値
241 成功すると \fBexecve\fP()  は返らない。エラーの場合は \-1 を返し、 \fIerrno\fP を適切に設定する。
242 .SH エラー
243 .TP 
244 \fBE2BIG\fP
245 環境変数 (\fIenvp\fP)  と引き数リスト (\fIargv\fP)  の合計バイト数が大き過ぎる。
246 .TP 
247 \fBEACCES\fP
248 \fIfilename\fP やスクリプトインタープリター名の構成要素に検索許可 (search permission)  が与えられていない
249 (\fBpath_resolution\fP(7)  も参照すること)。
250 .TP 
251 \fBEACCES\fP
252 ファイルもしくはスクリプトのインタープリターが通常ファイル (regular file)  でない。
253 .TP 
254 \fBEACCES\fP
255 ファイルやスクリプトや ELF インタープリターに 実行許可 (execute permission) が与えられていない。
256 .TP 
257 \fBEACCES\fP
258 ファイルシステムが \fInoexec\fP でマウントされている。
259 .TP 
260 \fBEAGAIN\fP (Linux 3.1 以降)
261 .\" commit 72fa59970f8698023045ab0713d66f3f4f96945c
262 \fBset*uid\fP() のいずれかの呼び出しでプロセスの実 UID が変更されたとすると、呼び出し元の \fBRLIMIT_NPROC\fP リソース上限
263 (\fBsetrlimit\fP(2) 参照) を超えてしまう、 現在もまだ超えている。 このエラーの詳細な説明については「注意」の節を参照。
264 .TP 
265 \fBEFAULT\fP
266 \fIfilename\fP または配列 \fIargv\fP か \fIenvp\fP のポインターの一つがアクセス可能なアドレス空間の外を指している。
267 .TP 
268 \fBEINVAL\fP
269 ELF 実行形式で複数の PT_INTERP セグメントが存在する。 (すなわち複数のインタープリターを指定した。)
270 .TP 
271 \fBEIO\fP
272 I/O エラーが発生した。
273 .TP 
274 \fBEISDIR\fP
275 ELF インタープリターがディレクトリだった。
276 .TP 
277 \fBELIBBAD\fP
278 ELF インタープリターが理解できるフォーマットでなかった。
279 .TP 
280 \fBELOOP\fP
281 \fIfilename\fP やスクリプトや ELF のインタープリターを解決する際に遭遇した シンボリックリンクが多過ぎる。
282 .TP 
283 \fBEMFILE\fP
284 そのプロセスがオープンできるファイル数の上限まで既にオープンしている。
285 .TP 
286 \fBENAMETOOLONG\fP
287 \fIfilename\fP が長過ぎる。
288 .TP 
289 \fBENFILE\fP
290 オープンされたファイルの総数がシステム全体の上限に達していた。
291 .TP 
292 \fBENOENT\fP
293 ファイル \fIfilename\fP かスクリプトや ELF のインタープリターが存在しない。
294 .TP 
295 \fBENOEXEC\fP
296 実行ファイルが理解できない形式であるか、違うアーキテクチャーのものか、 その他のフォーマットエラーにより実行ができなかった。
297 .TP 
298 \fBENOMEM\fP
299 カーネルに十分なメモリーがない。
300 .TP 
301 \fBENOTDIR\fP
302 \fIfilename\fP やスクリプトや ELF のインタープリターの構成要素がディレクトリでない。
303 .TP 
304 \fBEPERM\fP
305 ファイルシステムが \fInosuid\fP でマウントされ、ユーザーがスーパーユーザーでなく、 ファイルに set\-user\-ID あるいは
306 set\-group\-ID ビットが設定されている。
307 .TP 
308 \fBEPERM\fP
309 プロセスがトレースされ、ユーザーがスーパーユーザーでなく、 ファイルに set\-user\-ID あるいは set\-group\-ID
310 ビットが設定されている。
311 .TP 
312 \fBETXTBSY\fP
313 実行ファイルを書き込み用にオープンしているプロセスがある。
314 .SH 準拠
315 .\" SVr4 documents additional error
316 .\" conditions EAGAIN, EINTR, ELIBACC, ENOLINK, EMULTIHOP; POSIX does not
317 .\" document ETXTBSY, EPERM, EFAULT, ELOOP, EIO, ENFILE, EMFILE, EINVAL,
318 .\" EISDIR or ELIBBAD error conditions.
319 SVr4, 4.3BSD, POSIX.1\-2001.  POSIX.1\-2001 には #! 動作についての記述はないが、 他は互換性がある。
320 .SH 注意
321 set\-user\-id プロセスと set\-group\-ID プロセスは \fBptrace\fP(2)  できない。
322
323 .\" e.g., EFAULT on Solaris 8 and FreeBSD 6.1; but
324 .\" HP-UX 11 is like Linux -- mtk, Apr 2007
325 .\" Bug filed 30 Apr 2007: http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=8408
326 .\" Bug rejected (because fix would constitute an ABI change).
327 .\"
328 ファイルシステムを \fInosuid\fP でマウントした場合に set\-user\-ID/set\-group\-ID の実行ファイルを
329 どの様に扱うかは、Linux カーネルのバージョンによって異なる: あるバージョンでは、すでに必要な権限を持っている場合を除いて、 その実行を拒否する
330 (そして \fBEPERM\fP を返す)。別のあるバージョンでは set\-user\-ID/set\-group\-ID ビットのみを無視し \fBexec\fP()
331 は成功する。 Linux では、 \fIargv\fP と \fIenvp\fP に NULL を指定することができる。 どちらに NULL を指定した場合も、
332 これらの引き数にヌルポインター 1 個だけを含むリストへのポインターを指定したのと同じ効果を持つ。 \fB「この間違った機能を利用しないこと」\fP。
333 これは非標準で、移植性もない。 他のほとんどの UNIX システムでは、これを行うとエラー (\fBEFAULT\fP)  になる。
334
335 POSIX.1\-2001 は、 \fBsysconf\fP(3)  が返す値はプロセスの生存中は変化しないべきだとしている。 しかしながら、Linux
336 2.6.23 以降では、リソース上限 \fBRLIMIT_STACK\fP が変化した場合、 コマンドライン引き数と環境変数を保持するための空間に対する上限が
337 変化したことを反映して、 \fB_SC_ARG_MAX\fP が返す値も変化する。
338
339 .\"
340 \fBexecve\fP() が失敗するほとんどの場合、 制御は元の実行可能イメージに戻り、 \fBexecve\fP()
341 の呼び出し元がエラーを処理することができる。 しかしながら、 (リソース枯渇が原因となった場合など、まれに)
342 呼び出し元に制御が戻る時点を過ぎてからエラーが発生する場合がある。 元の実行可能イメージはすでに破棄されているが、
343 新しいイメージが完全には構築されていないという状況である。 このような場合、カーネルはそのプロセスをシグナル \fBSIGKILL\fP で停止 (kill)
344 する。
345 .SS インタープリタースクリプト
346 インタープリタースクリプトの 1行目に許されている文字数は、 最大 127 文字である。
347
348 .\" e.g., Solaris 8
349 .\" e.g., FreeBSD before 6.0, but not FreeBSD 6.0 onward
350 インタープリタースクリプトの \fIoptional\-arg\fP 引き数の解釈方法は実装により異なる。 Linux では、インタープリター名
351 \fIinterpreter\fP に続く文字列全体がインタープリターに 1個の引き数として渡される。 しかし、動作が異なるシステムもある。
352 あるシステムでは、 \fIoptional\-arg\fP のうち最初のホワイトスペースまでが 引き数として渡される。 また、別のシステムでは
353 インタープリタースクリプトは複数の引き数を持つことができ、 \fIoptional\-arg\fP 内のホワイトスペースが引き数の区切りとなる。
354
355 .\"
356 .\" .SH BUGS
357 .\" Some Linux versions have failed to check permissions on ELF
358 .\" interpreters.  This is a security hole, because it allows users to
359 .\" open any file, such as a rewinding tape device, for reading.  Some
360 .\" Linux versions have also had other security holes in
361 .\" .BR execve ()
362 .\" that could be exploited for denial of service by a suitably crafted
363 .\" ELF binary. There are no known problems with 2.0.34 or 2.2.15.
364 Linux はスクリプトの set\-user\-ID と set\-group\-ID ビットを無視する。
365 .SS "execve() と EAGAIN"
366 \fBexecve\fP() を呼び出した際に (Linux 3.1 以降で) 起こり得る \fBEAGAIN\fP エラーの詳細な説明を以下で行う。
367
368 .\" commit 909cc4ae86f3380152a18e2a3c44523893ee11c4
369 \fI直前の\fP \fBsetuid\fP(2), \fBsetreuid\fP(2), \fBsetresuid\fP(2) の呼び出しで、 そのプロセスの実ユーザー ID
370 が変更され、 その変更によりそのプロセスが \fBRLIMIT_NPROC\fP リソース上限を超過してしまった場合 (すなわち、新しい実ユーザー ID
371 に属するプロセス数が \fBRLIMIT_NPROC\fP リソース上限を超過した場合) に、 \fBEAGAIN\fP エラーが発生する。 Linux 2.6.0
372 以上 3.0 以下では、これにより \fBset*uid\fP() の呼び出しが失敗していた。 (Linux 2.6 より前では、このリソース上限はユーザー
373 ID を変更したプロセスには適用されていなかった。)
374
375 Linux 3.1 以降では、上で説明したシナリオでは \fBset*uid\fP() の呼び出しは失敗しない。 なぜなら、
376 返されたステータスの確認を行わず「呼び出し元が特権を持っている場合には」呼び出しは必ず成功するとみなしているバグがあるアプリケーションでは、セキュリティホールにつながることが非常によくあるからだ。
377 その代わり、 \fBset*uid\fP() の呼び出しによる実 UID の変更は成功するが、 カーネルは \fBPF_NPROC_EXCEEDED\fP
378 という名前の内部フラグをセットする。 このフラグは \fBRLIMIT_NPROC\fP リソース上限が超過したことを示す。
379 \fBPF_NPROC_EXCEEDED\fP フラグがセットされていて、その後で \fBexecve\fP() が呼ばれた際にリソース上限がまだ超過していれば、
380 その \fBexecve\fP() の呼び出しは \fBEAGAIN\fP エラーで失敗する。 このカーネルのロジックにより、
381 特権デーモンでよく行われる処理フロー、 すなわち \fBfork\fP(2)  + \fBset*uid\fP()  + \fBexecve\fP()
382 に対して、前と変わらず \fBRLIMIT_NPROC\fP リソース上限を適用できることが保証される。
383
384 (\fBset*uid\fP() と \fBexecve\fP() の呼び出しの間に、この実 UID に属する他のプロセスが終了して) 次に \fBexecve\fP()
385 が呼び出された際にこのリソース上限が超過してなければ、 \fBexecve\fP() の呼び出しは成功し、カーネルは \fBPF_NPROC_EXCEEDED\fP
386 プロセスフラグをクリアする。 同じプロセスによって \fBfork\fP(2) の呼び出しが後で行われた場合にも、このフラグはクリアされる。
387 .SS 歴史
388 .\"
389 .\" .SH BUGS
390 .\" Some Linux versions have failed to check permissions on ELF
391 .\" interpreters.  This is a security hole, because it allows users to
392 .\" open any file, such as a rewinding tape device, for reading.  Some
393 .\" Linux versions have also had other security holes in
394 .\" .BR execve ()
395 .\" that could be exploited for denial of service by a suitably crafted
396 .\" ELF binary. There are no known problems with 2.0.34 or 2.2.15.
397 UNIX\ V6 では \fBexec\fP()  コールの引き数リストは 0 で終端され、 \fImain\fP の引き数リストは \-1 で終端されていた。
398 そのため、 \fImain\fP の引き数リストは、その後の \fBexec\fP()  コールには直接使用できなかった。 UNIX\ V7 以降では、ともに
399 NULL で終端される。
400 .SH 例
401 このプログラムは、以下の二つ目のプログラムから実行するためのものである。 コマンドライン引き数を 1行に 1個ずつ表示するだけのプログラムである。
402
403 .in +4n
404 .nf
405 /* myecho.c */
406
407 #include <stdio.h>
408 #include <stdlib.h>
409
410 int
411 main(int argc, char *argv[])
412 {
413     int j;
414
415     for (j = 0; j < argc; j++)
416         printf("argv[%d]: %s\en", j, argv[j]);
417
418     exit(EXIT_SUCCESS);
419 }
420 .fi
421 .in
422
423 以下のプログラムは、コマンドライン引き数で指定した名前のプログラムを 実行するのに使う。
424 .in +4n
425 .nf
426
427 /* execve.c */
428
429 #include <stdio.h>
430 #include <stdlib.h>
431 #include <unistd.h>
432
433 int
434 main(int argc, char *argv[])
435 {
436     char *newargv[] = { NULL, "hello", "world", NULL };
437     char *newenviron[] = { NULL };
438
439     if (argc != 2) {
440         fprintf(stderr, "Usage: %s <file\-to\-exec>\en", argv[0]);
441         exit(EXIT_FAILURE);
442     }
443
444     newargv[0] = argv[1];
445
446     execve(argv[1], newargv, newenviron);
447     perror("execve");   /* execve() returns only on error */
448     exit(EXIT_FAILURE);
449 }
450 .fi
451 .in
452
453 二つ目のプログラムを使って一つ目のプログラムを実行するには 以下のようにする。
454
455 .in +4n
456 .nf
457 $\fB cc myecho.c \-o myecho\fP
458 $\fB cc execve.c \-o execve\fP
459 $\fB ./execve ./myecho\fP
460 argv[0]: ./myecho
461 argv[1]: hello
462 argv[2]: world
463 .fi
464 .in
465
466 さらに、これらのプログラムを使って、スクリプトインタープリターの例を示す。 このために、「インタープリター」として先ほど作成したプログラム
467 \fImyecho\fP を使うスクリプトを作成する。
468
469 .in +4n
470 .nf
471 $\fB cat > script\fP
472 \fB#!./myecho script\-arg\fP
473 \fB^D\fP
474 $\fB chmod +x script\fP
475 .fi
476 .in
477
478 作成しておいたプログラムを使ってスクリプトを実行する。
479
480 .in +4n
481 .nf
482 $\fB ./execve ./script\fP
483 argv[0]: ./myecho
484 argv[1]: script\-arg
485 argv[2]: ./script
486 argv[3]: hello
487 argv[4]: world
488 .fi
489 .in
490 .SH 関連項目
491 \fBchmod\fP(2), \fBexecveat\fP(2), \fBfork\fP(2), \fBptrace\fP(2), \fBexecl\fP(3),
492 \fBfexecve\fP(3), \fBgetopt\fP(3), \fBcredentials\fP(7), \fBenviron\fP(7),
493 \fBpath_resolution\fP(7), \fBld.so\fP(8)
494 .SH この文書について
495 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部
496 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
497 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。