1 .\" $OpenBSD: elf.5,v 1.12 2003/10/27 20:23:58 jmc Exp $
2 .\"Copyright (c) 1999 Jeroen Ruigrok van der Werven
3 .\"All rights reserved.
5 .\" %%%LICENSE_START(PERMISSIVE_MISC)
6 .\"Redistribution and use in source and binary forms, with or without
7 .\"modification, are permitted provided that the following conditions
9 .\"1. Redistributions of source code must retain the above copyright
10 .\" notice, this list of conditions and the following disclaimer.
11 .\"2. Redistributions in binary form must reproduce the above copyright
12 .\" notice, this list of conditions and the following disclaimer in the
13 .\" documentation and/or other materials provided with the distribution.
15 .\"THIS SOFTWARE IS PROVIDED BY THE AUTHOR AND CONTRIBUTORS ``AS IS'' AND
16 .\"ANY EXPRESS OR IMPLIED WARRANTIES, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, THE
17 .\"IMPLIED WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE
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19 .\"FOR ANY DIRECT, INDIRECT, INCIDENTAL, SPECIAL, EXEMPLARY, OR CONSEQUENTIAL
20 .\"DAMAGES (INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, PROCUREMENT OF SUBSTITUTE GOODS
21 .\"OR SERVICES; LOSS OF USE, DATA, OR PROFITS; OR BUSINESS INTERRUPTION)
22 .\"HOWEVER CAUSED AND ON ANY THEORY OF LIABILITY, WHETHER IN CONTRACT, STRICT
23 .\"LIABILITY, OR TORT (INCLUDING NEGLIGENCE OR OTHERWISE) ARISING IN ANY WAY
24 .\"OUT OF THE USE OF THIS SOFTWARE, EVEN IF ADVISED OF THE POSSIBILITY OF
28 .\" $FreeBSD: src/share/man/man5/elf.5,v 1.21 2001/10/01 16:09:23 ru Exp $
30 .\" Slightly adapted - aeb, 2004-01-01
31 .\" 2005-07-15, Mike Frysinger <vapier@gentoo.org>, various fixes
32 .\" 2007-10-11, Mike Frysinger <vapier@gentoo.org>, various fixes
33 .\" 2007-12-08, mtk, Converted from mdoc to man macros
35 .\"*******************************************************************
37 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
39 .\"*******************************************************************
40 .TH ELF 5 2013\-04\-17 Linux "Linux Programmer's Manual"
42 elf \- 実行可能リンクフォーマット (ELF) ファイルのフォーマット
45 .\" .B #include <elf_abi.h>
46 \fB#include <elf.h>\fP
49 ヘッダファイル \fI<elf.h>\fP は ELF 実行可能バイナリファイルのフォーマットを定義する。
50 これらのファイルとしては、通常の実行可能ファイル・ 再配置可能オブジェクトファイル・コアファイル・共有ライブラリがある。
52 ELF ファイルフォーマットを使う実行可能ファイルは、 ELF ヘッダの後にプログラムヘッダテーブルまたは セクションヘッダテーブル (またはその両方)
53 が続く構成である。 ELF ヘッダは常にファイルのオフセット 0 にある。 プログラムヘッダテーブルとセクションヘッダテーブルの
54 ファイル内でのオフセットは、ELF ヘッダに定義されている。 この 2 つのテーブルはファイルの残りの部分の詳細を記述する。
56 .\" Applications which wish to process ELF binary files for their native
57 .\" architecture only should include
59 .\" in their source code.
60 .\" These applications should need to refer to
61 .\" all the types and structures by their generic names
63 .\" and to the macros by
65 .\" Applications written this way can be compiled on any architecture,
66 .\" regardless of whether the host is 32-bit or 64-bit.
68 .\" Should an application need to process ELF files of an unknown
69 .\" architecture, then the application needs to explicitly use either
73 .\" type and structure names.
74 .\" Likewise, the macros need to be identified by
79 このヘッダファイルは上記のヘッダを C 言語の構造体で記述し、 また動的セクション・再配置可能セクション・シンボルテーブルの構造体も 含んでいる。
81 以下の型は N ビットアーキテクチャで使われる (N=32,64 であり \fIElfN\fP は \fIElf32\fP または \fIElf64\fP を表し、
82 \fIuintN_t\fP は \fIuint32_t\fP または \fIuint64_t\fP を表す):
86 .\" Elf32_Size Unsigned object size
87 ElfN_Addr 符号なしのプログラムアドレス, uintN_t
88 ElfN_Off 符号なしのファイルオフセット, uintN_t
89 ElfN_Section 符号なしのセクションインデックス, uint16_t
90 ElfN_Versym 符号なしのバージョンシンボル情報, uint16_t
91 Elf_Byte unsigned char
100 (注意: *BSD での用語は少し異なる。 \fIElf64_Half\fP は \fIElf32_Half\fP の 2 倍であり、
101 \fIElf64Quarter\fP が \fIuint16_t\fP に用いられる。 混乱を避けるため、以下では、これらの型はサイズが自明な型に置き換えてある。)
103 このファイルフォーマットが定義する全てのデータ構造体は、 関連するクラスの "自然な" サイズと配置の指針に従う。
104 必要な場合、データ構造体では明示的なパディング (padding, 詰め込み) が行なわれる。これは 4 バイトオブジェクトに対する 4
105 バイト配置を保証するためや、 構造体のサイズを 4 の倍数にするためなどである。
107 ELF ヘッダは型 \fIElf32_Ehdr\fP または \fIElf64_Ehdr\fP で記述される:
114 unsigned char e_ident[EI_NIDENT];
123 uint16_t e_phentsize;
125 uint16_t e_shentsize;
132 .\" .Bl -tag -width "e_phentsize"
136 このバイト配列は、プロセッサやファイルの他の部分には依存せずに、 ファイルを解釈 (interpret) するために指定される。
137 この配列内のすべてのものは、接頭辞 \fBEI_\fP で始まるマクロの名前が付き、接頭辞 \fBELF\fP で始まる値を持つ。 以下のマクロが定義されている:
139 .\" .Bl -tag -width "EI_VERSION" \" EI_ABIVERSION
142 マジックナンバーの第 1 バイト。 \fBELFMAG0\fP で埋めなければならない。 (0: 0x7f)
145 マジックナンバーの第 2 バイト。 \fBELFMAG1\fP で埋めなければならない。 (1: \(aqE\(aq)
148 マジックナンバーの第 3 バイト。 \fBELFMAG2\fP で埋めなければならない。 (2: \(aqL\(aq)
151 マジックナンバーの第 4 バイト。 \fBELFMAG3\fP で埋めなければならない。 (3: \(aqF\(aq)
154 第 5 バイトは、このバイナリのアーキテクチャを示す:
156 .\" .Bl -tag -width "ELFCLASSNONE" -compact
163 32 ビットアーキテクチャを定義する。 ファイルと仮想アドレス空間が 4 ギガバイトまでのマシンをサポートする。
172 .\" .Bl -tag -width "ELFDATA2LSB" -compact
173 第 6 バイトはファイル内のプロセッサ固有データの データエンコーディングを指定する。 現在のところ以下のエンコーディングがサポートされている:
191 .\" .Bl -tag -width "EV_CURRENT" -compact
192 The seventh byte is the version number of the ELF specification:
205 .\" .Bl -tag -width "ELFOSABI_STANDALONE" -compact
206 The eighth byte identifies the operating system and ABI to which the object
207 is targeted. Some fields in other ELF structures have flags and values that
208 have platform\-specific meanings; the interpretation of those fields is
209 determined by the value of this byte. E.g.:
219 .\" synonym: ELFOSABI_NONE
226 \fBELFOSABI_NETBSD\fP
233 .\" .BR ELFOSABI_HURD
237 .\" .BR ELFOSABI_86OPEN
238 .\" 86Open Common IA32 ABI.
242 \fBELFOSABI_SOLARIS\fP
245 .\" .BR ELFOSABI_MONTEREY
246 .\" Monterey project ABI.
256 \fBELFOSABI_FREEBSD\fP
272 \fBELFOSABI_STANDALONE\fP
280 The ninth byte identifies the version of the ABI to which the object is
281 targeted. This field is used to distinguish among incompatible versions of
282 an ABI. The interpretation of this version number is dependent on the ABI
283 identified by the \fBEI_OSABI\fP field. Applications conforming to this
284 specification use the value 0.
287 .\" As reported by Yuri Kozlov and confirmed by Mike Frysinger, EI_BRAND is
288 .\" not in GABI (http://www.sco.com/developers/gabi/latest/ch4.eheader.html)
289 .\" It looks to be a BSDism
292 .\" Start of architecture identification.
293 パディングの開始。 これらのバイトは予約されており、0 に設定されている。 これらを読み込むプログラムは、これらのバイトを無視すべきである。
294 現在使われていないバイトに意味が与えられる場合、 \fBEI_PAD\fP の値は将来変更されるかもしれない。
298 \fIe_ident\fP 配列のサイズ。
302 この構造体のメンバはオブジェクトファイルタイプを示す:
304 .\" .Bl -tag -width "ET_NONE" -compact
326 このメンバは個々のファイルに必要とされるアーキテクチャを指定する。 例:
328 .\" .Bl -tag -width "EM_MIPS_RS4_BE" -compact
341 Sun Microsystems SPARC.
368 .\" .BR EM_MIPS_RS4_BE
369 .\" MIPS RS4000 (big-endian only). Deprecated.
371 .\" EM_MIPS_RS3_LE (MIPS R3000 little-endian)
373 MIPS RS3000 (ビッグエンディアンのみ)。
397 Advanced RISC Machines
421 .\" Compaq [DEC] Alpha.
424 .\" Compaq [DEC] Alpha with enhanced instruction set.
431 .\" .Bl -tag -width "EV_CURRENT" -compact
446 このメンバは、システムが最初に制御を渡す、 つまりプロセスを開始する仮想アドレスを指定する。 ファイルにエントリポイントが関連付けられていない場合、
450 このメンバはプログラムヘッダテーブルの ファイルオフセット (バイト単位) を保持する。 ファイルにプログラムヘッダテーブルがない場合、 このメンバには
454 このメンバはセクションヘッダテーブルの ファイルオフセット (バイト単位) を保持する。 ファイルにセクションヘッダテーブルがない場合、 このメンバには
458 このメンバはファイルに関連付けられたプロセッサ固有のフラグを保持する。 フラグの名前は EF_`machine_flag' という形式である。
462 このメンバは ELF ヘッダサイズ (バイト単位) を保持する。
465 このメンバはこのファイルのプログラムヘッダテーブルの 1 エントリあたりのサイズ (バイト単位) を保持する; 全てのエントリは同じサイズである。
468 このメンバはプログラムヘッダテーブルにあるエントリの数を保持する。 よって \fIe_phentsize\fP と \fIe_phnum\fP の積がテーブルサイズ
469 (バイト単位) になる。 ファイルにプログラムヘッダがない場合、 \fIe_phnum\fP は値 0 を保持する。
471 .\" This is a Linux extension, added in Linux 2.6.34.
472 .\" .Bl -tag -width "PN_XNUM"
473 プログラムヘッダテーブルのエントリー数が \fBPN_XNUM\fP (0xffff) 以上の場合、
474 このメンバは \fBPN_XNUM\fP (0xffff) になり、プログラムヘッダテーブルの
475 エントリーの実際の数は、セクションヘッダテーブルの最初のエントリーの
476 \fIsh_info\fP メンバに格納される。それ以外の場合、セクションヘッダテーブルの
477 最初のエントリーの \fIsh_info\fP メンバには値 0 が格納される。
481 \fIe_phnum\fP が保持できる最大値を表し、 0xffff に定義されている。 \fIe_phnum\fP
482 はプログラムヘッダの実際の数がどこに割り当てられているかを示す。
489 このメンバはセクションヘッダのサイズ (バイト単位) を保持する。 セクションヘッダはセクションヘッダテーブルの 1 つのエントリである;
493 このメンバはセクションヘッダテーブルにあるエントリの数を保持する。 よって \fIe_shentsize\fP と \fIe_shnum\fP
494 の積はセクションヘッダテーブルのサイズ (バイト単位) になる。 ファイルにセクションヘッダテーブルがない場合、 \fIe_shnum\fP は値 0
497 セクションヘッダテーブルのエントリー数が \fBSHN_LORESERVE\fP (0xff00) 以上の場合、
498 \fIe_shnum\fP には値 0 が入り、セクションヘッダテーブルのエントリーの実際の数は
499 セクションヘッダテーブルの最初のエントリーの \fIsh_size\fP メンバに格納される。
500 それ以外の場合、セクションヘッダテーブルの最初のエントリーの \fIsh_info\fP メンバ
504 このメンバはセクション名文字列テーブルに関連付けられたエントリの セクションヘッダテーブルインデックスを保持する。
505 ファイルにセクション名文字列テーブルがない場合、 このメンバは値 \fBSHN_UNDEF\fP を保持する。 \fBSHN_UNDEF\fP.
507 セクション名前文字列テーブルのインデックスが \fBSHN_LORESERVE\fP (0xff00) 以上の
508 場合、このメンバには \fBSHN_XINDEX\fP (0xffff) が入り、セクション名前文字列
509 テーブルの実際のインデックスはセクションヘッダテーブルの最初のエントリーの
510 \fIsh_link\fP メンバに格納される。それ以外の場合、セクションヘッダテーブルの
511 最初のエントリーの \fIsh_link\fP メンバには値 0 が格納される。
513 .\" .Bl -tag -width "SHN_LORESERVE"
516 この値は未定義・存在しない・無関係その他、 意味のないセクションの参照であることを表す。 例えば、セクション番号 \fBSHN_UNDEF\fP
517 に関連づけて「定義」されたシンボルは、「未定義」なシンボルである。
520 この値は予約済みのインデックス領域の下限を指定する。
523 この値以上で \fBSHN_HIPROC\fP 以下の値はプロセッサ固有の意味に予約されている。
526 この値以下で \fBSHN_HIPROC\fP 以上の値はプロセッサ固有の意味に予約されている。
529 この値は対応する参照の絶対値を指定する。 例えば、セクション番号 \fBSHN_ABS\fP に関連づけられたシンボルは絶対値を保持し、再配置に影響されない。
532 このセクションに関連して定義されたシンボルは、 Fortran の COMMON や C の未割り当て external 変数のような、
536 この値は予約されたインデックスの範囲の上限を指定する。 \fBSHN_LORESERVE\fP と \fBSHN_HIRESERVE\fP は含まれる。
537 この値はセクションヘッダテーブルを参照しない。 つまり、セクションヘッダテーブルは 予約されたインデックスのエントリを \fI含まない 。\fP
542 実行可能ファイルまたは共有オブジェクトファイルのプログラムヘッダテーブルは、 システムによるプログラム実行準備に必要な、
543 セグメント等の情報を記述する構造体の配列である。 オブジェクトファイルの \fIセグメント\fP には 1 つ以上の \fIセクション\fP が含まれる。
544 プログラムヘッダは実行可能ファイルと共有オブジェクトファイルでのみ意味を持つ。 ファイルは自身のプログラムヘッダサイズを ELF ヘッダの
545 \fIe_phentsize\fP メンバと \fIe_phnum\fP メンバで指定する。 ELF プログラムヘッダは \fIElf32_Phdr\fP 型または
546 \fIElf64_Phdr\fP 型で記述される (どちらになるかはアーキテクチャ依存):
578 .\" .Bl -tag -width "p_offset"
579 32 ビットと 64 ビットのプログラムヘッダの主な違いは、構造体における \fIp_flags\fP メンバの位置にある。
582 .\" .Bl -tag -width "PT_DYNAMIC"
583 Phdr 構造体のこのメンバは、 この配列要素がどのような種類のセグメントを記述しているか、 またはこの配列要素の情報をどのように解釈するか、を表す。
587 この配列要素は使用されておらず、その他のメンバの値は未定義である。 これにより、このプログラムヘッダのエントリは無視される。
590 この配列要素は \fIp_filesz\fP と \fIp_memsz\fP で記述されるロード可能セグメントを指定する。
591 このファイルからのバイトデータが、このメモリセグメントの先頭からマップされる。 セグメントのメモリサイズ \fISy\fPp_memsz がファイルサイズ
592 \fISy\fPp_filesz より大きい場合、 「余った」バイトは値 0 となり、 そのセグメント初期化データの後ろに置かれると定められている。
593 ファイルサイズはメモリサイズより大きくてはいけない。 プログラムヘッダテーブルのロード可能セグメントエントリは、 \fIp_vaddr\fP
600 この配列要素は、インタプリタとして起動されるパス名 (NULL 文字終端) の位置とサイズを指定する。 このセグメント型は
601 (共有オブジェクトにもあるかも知れないが) 実行可能ファイルでのみ意味を持つ。 ただし、このセグメント型は 1 つのファイルに 2
602 回以上出現してはならない。 もし存在する場合、このセグメント型は 全てのロード可能セグメントエントリより前になければならない。
605 この配列要素は補足情報 (auxiliary information) の位置とサイズを指定する。
608 このセグメント型は予約されているが、意味は指定されていない。 この型の配列要素を保持するプログラムは ABI に準拠しない。
611 この配列要素は、もし存在しているならば、 ファイルおよびプログラムのメモリイメージ双方における プログラムヘッダテーブル自身の位置とサイズを指定する。
612 このセグメント型は 1 つのファイルに 2 回以上出現してはならない。 さらに、このセグメント型が存在してもよいのは、プログラムヘッダテーブルが
613 プログラムのメモリイメージの一部である場合のみである。 もし存在する場合、これは全てのロード可能セグメントエントリより 前になければならない。
616 この値以上で \fBPT_HIPROC\fP 以下の値はプロセッサ固有の意味に予約されている。
619 この値以下で \fBPT_LOPROC\fP 以上の値はプロセッサ固有の意味に予約されている。
623 GNU 拡張であり、Linux カーネルが \fIp_flags\fP のメンバーにセットされたフラグ経由でスタックの状態を制御するために使用する。
627 このメンバは、セグメントの先頭バイトがある (ファイル先頭からの) オフセットを保持する。
630 このメンバは、セグメントの先頭バイトがある メモリの仮想アドレスを保持する。
633 物理アドレスが意味をもつシステムでは、 このメンバはセグメントの物理アドレスとして予約されている。 BSD ではこのメンバは使用されない。0
637 このメンバはセグメントのファイルイメージのバイト数を保持する。 これは 0 でもよい。
640 このメンバはセグメントのメモリイメージのバイト数を保持する。 これは 0 でもよい。
643 .\" .Bl -tag -width "PF_X" -compact
644 このメンバはセグメントに関連するフラグのビットマスクを保持する:
660 テキストセグメントは一般にフラグ \fBPF_X\fP と \fBPF_R\fP を持つ。 データセグメントは一般に \fBPF_X\fP, \fBPF_W\fP,
665 このメンバは、セグメントがメモリおよびファイルにおいて配置 (align) される値を保持する。
666 ロード可能プロセスセグメントは、ページサイズを法として \fIp_vaddr\fP と \fIp_offset\fP と合同でなければならない
667 (訳注:「p_vaddr mod ページサイズ = p_offset mod ページサイズ」 でなければならない)。。 0 と 1
668 という値は配置が必要ないことを意味する。 それ以外の場合、 \fIp_align\fP は正で 2 の整数乗でなければならず、 \fIp_vaddr\fP は
669 \fIp_align\fP を法として \fIp_offset\fP と合同でなければならない (訳注:「p_vaddr mod p_align =
670 p_offset mod p_align」でなければならない)。
672 ファイルのセクションヘッダテーブルには、 全てのファイルセクションの場所が記述されている。 セクションヘッダテーブルは \fIElf32_Shdr\fP
673 構造体または \fIElf64_Shdr\fP 構造体の配列である。 ELF ヘッダの \fIe_shoff\fP メンバはファイルの先頭から
674 セクションヘッダテーブルへのバイトオフセットである。 \fIe_shnum\fP はセクションヘッダテーブルに含まれるエントリの数を保持する。
675 \fIe_shentsize\fP は各エントリのサイズ (バイト単位) を保持する。
677 .\" .Bl -tag -width "SHN_LORESERVE"
678 セクションヘッダテーブルインデックスは、この配列の添字である。
679 いくつかのセクションヘッダテーブルインデックスは予約されている。予約されて
680 いるのは、最初のエントリーと、\fBSHN_LORESERVE\fP と \fBSHN_HIRESERVE\fP の間の
682 最初のエントリーは、ELF 拡張で \fIe_phnum\fP, \fIe_shnum\fP, \fIe_strndx\fP に使用
683 される。それ以外の場合、最初のエントリーの各フィールドには 0 が設定される。
684 オブジェクトファイルにはこれらの特別なインデックスに対応するセクションはない。
688 この値は未定義・不明・無関係・無意味なセクション参照の印となる。
691 この値は予約済みのインデックス領域の下限を指定する。
694 この値以上で \fBSHN_HIPROC\fP 以下の値はプロセッサ固有の意味に予約されている。
697 この値以下で \fBSHN_HIPROC\fP 以上の値はプロセッサ固有の意味に予約されている。
700 この値は対応する参照の絶対値を指定する。 例えば、セクション番号 \fBSHN_ABS\fP に関連して定義されているシンボルは、
701 絶対値を保持しているので、再配置に影響されない。
704 このセクションに関連して定義されているシンボルは、 FORTRAN の COMMON や C の未割り当て外部変数のような共通シンボルである。
707 この値は予約済みのインデックス領域の上限を指定する。 システムは \fBSHN_LORESERVE\fP と \fBSHN_HIRESERVE\fP
708 を含む範囲を予約する。 セクションヘッダテーブルは予約されたインデックスに対応するエントリを持たない。
725 uint32_t sh_addralign;
742 uint64_t sh_addralign;
748 .\" .Bl -tag -width "sh_addralign"
749 32 ビットと 64 ビットのセクションヘッダには実際の違いはない。
752 このメンバはセクション名を定める。 この値はセクションヘッダ文字列テーブルセクションのインデックスであり、 NULL
756 .\" .Bl -tag -width "SHT_PROGBITS"
757 このメンバはセクションの内容と意味が含まれるカテゴリを示す。
761 この値はセクションヘッダが不活性であることを示す。 これは関連するセクションを持たない。 このセクションヘッダの他のメンバは、未定義の値を持つ。
764 このセクションはプログラムにより定義される情報を保持する。 この情報の形式と意味は、ひとえにプログラムによって決定される。
767 このセクションはシンボルテーブルを保持する。 一般には \fBSHT_SYMTAB\fP はリンク編集のためのシンボルを提供するが、 動的リンクにも使われる。
768 完全なシンボルテーブルとして、動的リンクには不要な 多くのシンボルを保持できる。 オブジェクトファイルも \fBSHT_DYNSYM\fP
772 このセクションは文字列テーブルを保持する。 オブジェクトファイルは複数の文字列テーブルセクションを持つことができる。
775 このセクションは明示的な加数 (addend) を持つ再配置エントリを保持する。 再配置エントリの型は、オブジェクトファイルの 32 ビットクラスでは
776 \fIElf32_Rela\fP である。 オブジェクトファイルは複数の再配置セクションを持つことができる。
779 このセクションはシンボルハッシュテーブルを保持する。 動的リンクされるオブジェクトは、 シンボルハッシュテーブルを含んでいなければならない。
780 オブジェクトファイルは 1 つのハッシュテーブルのみを持つことができる。
783 このセクションは動的リンクの情報を保持する。 オブジェクトファイルは 1 つの動的セクションのみを持つことができる。
786 このセクションはファイルに何らかの印を付ける情報を保持する。
789 このタイプのセクションはファイルの領域を使わないという以外は、 \fBSHT_PROGBITS\fP と似ている。 このセクションは 1 バイトも含まないが、
790 \fIsh_offset\fP メンバは概念的なファイルオフセットを持つ。
793 このセクションは明示的な加数を持たない再配置オフセットを保持する。 再配置オフセットの型は、オブジェクトファイルの 32 ビットクラスでは
794 \fIElf32_Rel\fP である。 オブジェクトファイルは複数の再配置セクションを持つことができる。
797 このセクションは予約されているが、意味は指定されていない。
800 このセクションは動的リンクシンボルの最小セットを保持する。 オブジェクトファイルは \fBSHT_SYMTAB\fP セクションも含むことができる。
803 この値以上で \fBSHT_HIPROC\fP 以下の範囲はプロセッサ固有の意味に予約されている。
806 この値以下で \fBSHT_LOPROC\fP 以上の範囲はプロセッサ固有の意味に予約されている。
809 この値はアプリケーションプログラムのために予約される インデックス範囲の下限を指定する。
813 この値はアプリケーションプログラムのために予約される インデックス範囲の上限を指定する。 \fBSHT_LOUSER\fP から \fBSHT_HIUSER\fP
814 の間のセクションタイプは、 現在または将来のシステム定義セクションタイプと衝突することなく、 アプリケーションで使用することができる。
818 .\" .Bl -tag -width "SHF_EXECINSTR" -compact
819 様々な属性を記述するための 1 ビットのフラグをサポートするセクション。 フラグビットが \fIsh_flags\fP
820 に設定された場合、そのセクションについての属性は "オン" になる。 それ以外の場合、属性が "オフ" であるか属性が適用されない。 未定義の属性は 0
825 このセクションはプロセス実行中に書き込み可能なデータを含む。
828 このセクションはプロセス実行中にメモリを使用する。 制御セクションの中には、オブジェクトファイルのメモリイメージには 存在しないものもある。
829 そうしたセクションの場合、この属性はオフである。
832 このセクションは実行可能なマシン命令を含む。
835 このマスクに含まれる全てのビットはプロセッサ固有の意味に予約されている。
840 このセクションがプロセスのメモリイメージにある場合、 このメンバはセクションの最初のバイトが存在するアドレスを保持する。 それ以外の場合、このメンバは
844 このメンバの値は、ファイルの先頭からセクションの最初のバイトへの バイトオフセットを保持する。 セクションタイプ \fBSHT_NOBITS\fP
845 はファイルの領域を全く使用せず、このタイプの \fIsh_offset\fP メンバはファイルの概念的な位置を示す。
848 このメンバはセクションのサイズ (バイト単位) を保持する。 セクションタイプが \fBSHT_NOBITS\fP でない限り、そのセクションはファイル中の
849 \fIsh_size\fP バイトを使用する。 タイプが \fBSHT_NOBITS\fP のセクションはサイズが 0 でないが、ファイルの領域を使用しない。
852 このメンバは、セクションヘッダテーブルインデックスリンクを保持する。 この解釈はセクションタイプに依存する。
855 このメンバは追加情報を保持する。 この解釈はセクションタイプに依存する。
858 アドレス配置に制約があるセクションもある。 セクションが倍長語 (doubleword) を保持する場合、
859 システムは全てのセクションについて倍長語の配置を保証しなければならない。 つまり、 \fIsh_addr\fP の値は \fIsh_addralign\fP
860 の値を法として 0 と合同でなければならない (訳注:「sh_addr mod sh_addralign = 0 でなければならない)。 2 の 0
861 乗と正の整数乗のみが許可される。 0 または 1 はセクションの配置に制約がないことを意味する。
865 シンボルテーブルのような固定サイズエントリのテーブルを保持する セクションもある。 このようなセクションでは、 このメンバは各エントリのサイズ
866 (バイト単位) を表す。 このメンバが 0 の場合、 そのセクションは固定サイズエントリのテーブルを保持しない。
868 .\" .Bl -tag -width ".shstrtab"
869 さまざまなセクションにプログラム情報・制御情報が保持される:
872 このセクションはプログラムのメモリイメージに配置される 非初期化データを保持する。 定義上、システムはプログラムの実行開始時に、データを 0
873 で初期化する。 このセクションのタイプは \fBSHT_NOBITS\fP である。 属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP と \fBSHF_WRITE\fP
877 このセクションはバージョン制御情報を保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。 属性タイプは使用されない。
880 このセクションは C++ コンストラクタ関数への初期化されたポインタを保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
881 属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP と \fBSHF_WRITE\fP である。
884 このセクションはプログラムのメモリイメージに配置される 初期化済みデータを保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
885 属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP と \fBSHF_WRITE\fP である。
888 このセクションはプログラムのメモリイメージに配置される 初期化済みデータを保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
889 属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP と \fBSHF_WRITE\fP である。
892 このセクションはシンボリックデバッグ用の情報を保持する。 その内容は指定されていない。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP
896 このセクションは C++ デストラクタ関数への初期化されたポインタを保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
897 属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP と \fBSHF_WRITE\fP である。
900 このセクションは動的リンク情報を保持する。 このセクションの属性は \fBSHF_ALLOC\fP ビットを含む。 \fBSHF_WRITE\fP
901 ビットが設定されるか否かはプロセッサによる。 このセクションのタイプは \fBSHT_DYNAMIC\fP である。 上記の属性を参照すること。
904 このセクションは動的リンクに必要な文字列を保持する。 最も一般的には、この文字列はシンボルテーブルエントリと 関連づけられた名前を表す。
905 このセクションのタイプは \fBSHT_STRTAB\fP である。 使用される属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP である。
908 このセクションは動的リンクシンボルテーブルを保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_DYNSYM\fP である。 使用される属性タイプは
912 このセクションはプロセス終了コードに置かれる実行可能命令を保持する。 プロセスが正常に終了した場合、システムはこのセクションにある
913 コードを配置して実行する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。 使用される属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP と
914 \fBSHF_EXECINSTR\fP である。
917 このセクションはバージョン・シンボル・テーブルを保持する。 その内容は \fIElfN_Half\fP 要素の配列である。 このセクションのタイプは
918 \fBSHT_GNU_versym\fP である。 使用される属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP である。
920 \&\fI.gnu.version_d\fP
921 このセクションはバージョンシンボルの定義を保持する。 その内容は \fIElfN_Verdef\fP 構造体のテーブルである。 このセクションのタイプは
922 \fBSHT_GNU_verdef\fP である。 使用される属性タイプは \fBSHF_ALLOC\fP である。
924 \&\fI.gnu.version_r\fP
925 このセクションはバージョンシンボルが必要とする要素を保持する。 その内容は \fIElfN_Verneed\fP 構造体のテーブルである。
926 このセクションのタイプは \fBSHT_GNU_versym\fP である。 使用される属性タイプは \fBshf_alloc\fP である。
929 このセクションはグローバルオフセットテーブルを保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
933 このセクションはシンボルハッシュテーブルを保持する。 セクションのタイプは \fBSHT_HASH\fP である。 使用される属性は \fBSHF_ALLOC\fP
937 このセクションはプロセス初期化コードに配置される実行可能命令を保持する。 プログラムが実行を開始すると、
938 システムはメインプログラムエントリポイントを呼び出す前に、 このセクションにあるコードを配置して実行する。 このセクションはのタイプは
939 \fBSHT_PROGBITS\fP である。 使用される属性は \fBSHF_ALLOC\fP と \fBSHF_EXECINSTR\fP である。
942 このセクションはプログラムインタプリタのパス名を保持する。 ファイルにこのセクションを含むロード可能セグメントがある場合、 そのセクションの属性には
943 \fBSHF_ALLOC\fP ビットが含まれる。 それ以外の場合このビットはオフになる。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
946 このセクションはシンボリックデバッグのための行番号情報を保持する。 ここにはプログラムソースコードとマシンコードの対応関係が記述される。
947 内容は指定されていない。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。 属性タイプは使用されない。
950 このセクションは "Note Section" 形式で情報を保持する。このセクションのタイプ
951 は \fBSHT_NOTE\fP である。属性タイプは使用されない。通常 OpenBSD ネイティブ実行
952 可能ファイルは自身を識別するために \fI.note.openbsd.ident\fP セクションを持つ。
953 これによりカーネルは、ファイルをロードする際に 互換 ELF バイナリエミュレーショ
956 \&\fI.note.GNU\-stack\fP
957 このセクションは Linux のオブジェクトファイルで スタック属性を宣言するのに使用される。 セクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP
958 である。使用される属性は \fBSHF_EXECINSTR\fP だけである。この属性は GNU リンカに対して オブジェクトファイルが実行可能なスタック
959 (executable stack) を必要とする 示すものである。
962 このセクションは手続き (procedure) リンクテーブルを保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
966 このセクションは以下に記述される再配置情報を保持する。 ファイルが再配置を含むロード可能セグメントを持っている場合、 このセクションの属性は
967 \fBSHF_ALLOC\fP ビットを含む。 それ以外の場合、そのビットはオフである。 慣例として、 "NAME"
968 は再配置が適用されるセクションが指定される。 よって \fB.text\fP についての再配置セクションは、通常は \fB.rel.text\fP
969 という名前を持つ。 このセクションのタイプは \fBSHT_REL\fP である。
972 このセクションは以下に記述される再配置情報を保持する。 ファイルが再配置を含むロード可能セグメントを持っている場合、 このセクションの属性は
973 \fBSHF_ALLOC\fP ビットを含む。 それ以外の場合、そのビットはオフである。 慣例として、 "NAME"
974 は再配置が適用されるセクションが指定される。 よって \fB.text\fP についての再配置セクションは、通常は \fB.rela.text\fP
975 という名前を持つ。 このセクションのタイプは \fBSHT_RELA\fP である。
978 このセクションはリードオンリーのデータを保持する。 このデータはプロセスイメージにおける書き込み不可能なセグメントに置かれる。 このセクションのタイプは
979 \fBSHT_PROGBITS\fP である。 使用される属性は \fBSHF_ALLOC\fP である。
982 このセクションはリードオンリーのデータを保持する。 このデータはプロセスイメージにおける書き込み不可能なセグメントに置かれる。 このセクションのタイプは
983 \fBSHT_PROGBITS\fP である。 使用される属性は \fBSHF_ALLOC\fP である。
986 このセクションはセクション名を保持する。 このセクションのタイプは \fBSHT_STRTAB\fP である。 属性タイプは使用されない。
989 このセクションは文字列を保持する。 最も一般的なのは、シンボルテーブルエントリに関連づけられた 名前を表す文字列である。
990 ファイルがシンボル文字列テーブルを含むロード可能セグメントを持つ場合、 セクションの属性は \fBSHF_ALLOC\fP ビットを含む。
991 それ以外の場合、そのビットはオフである。 このセクションのタイプは \fBSHT_STRTAB\fP である。
994 このセクションはシンボルテーブルを保持する。 ファイルがシンボルテーブルを含むロード可能セグメントを持つ場合、 セクションの属性は
995 \fBSHF_ALLOC\fP ビットを含む。 それ以外の場合、ビットはオフである。 このセクションのタイプは \fBSHT_SYMTAB\fP である。
999 このセクションはプログラムの "テキスト" または実行可能命令を保持する。 セクションのタイプは \fBSHT_PROGBITS\fP である。
1000 使用される属性は \fBSHF_ALLOC\fP と \fBSHF_EXECINSTR\fP である。
1002 文字列テーブルセクションは NULL 文字で終端されたキャラクタ配列 (通常文字列と呼ばれるもの) を保持する。 オブジェクトファイルはこれらの文字列を
1003 シンボル名とセクション名を表すために使う。 文字列は、文字列テーブルセクションへのインデックスとして参照される。 インデックス 0
1004 の最初のバイトは、NULL バイト (\(aq\e0\(aq) を 保持すると定義されている。 同様に文字列テーブルの最後のバイトも NULL
1005 文字を保持すると定義されている。 これは全ての文字列が NULL バイトで終端されていることを保証するためである。
1007 オブジェクトファイルのシンボルテーブルは、 プログラムのシンボル定義と参照を配置または再配置するのに 必要な情報を保持する。
1013 Elf32_Addr st_value;
1015 unsigned char st_info;
1016 unsigned char st_other;
1026 unsigned char st_info;
1027 unsigned char st_other;
1029 Elf64_Addr st_value;
1035 .\" .Bl -tag -width "st_value"
1036 32 ビット版と 64 ビット版は同じメンバを持ち、単に順番が異なるだけである。
1039 このメンバはオブジェクトファイルのシンボル文字列テーブルの インデックスを保持する。 シンボル文字列テーブルはシンボル名の文字表現を保持する。 この値が
1040 0 でない場合、シンボル名を得るための文字テーブルインデックスを表す。 それ以外の場合、シンボルテーブルは名前を持たない。
1043 このメンバは関連づけられたシンボルの値を表す。
1046 多くのシンボルにはそれに関連づけられたサイズがある。 シンボルがサイズを持たない場合、またはサイズが不明な場合、 このメンバは 0 である。
1049 .\" .Bl -tag -width "STT_SECTION"
1050 このメンバはシンボルのタイプとバインディング (binding) 属性を指定する:
1057 シンボルはデータオブジェクトに関連づけられている。
1060 シンボルは関数またはその他の実行コードに関連づけられている。
1063 シンボルはセクションに関連づけられている。 このタイプのシンボルテーブルエントリは、 主として再配置のために存在し、通常は \fBSTB_LOCAL\fP
1067 慣例として、シンボルの名前は オブジェクトファイルに関連づけられたソースファイルの名前を指定する。 ファイルシンボルは \fBSTB_LOCAL\fP
1068 バインディングを持ち、そのセクションインデックスは \fBSHN_ABS\fP である。 ファイルシンボルは、ファイルに他の \fBSTB_LOCAL\fP
1069 シンボルがある場合は、それよりも先に来る。
1072 この値以上で \fBSTT_HIPROC\fP 以下の範囲はプロセッサ固有の意味に予約されている。
1076 .\" .Bl -tag -width "STB_GLOBAL"
1077 この値以下で \fBSTT_LOPROC\fP 以上の範囲はプロセッサ固有の意味に予約されている。
1080 局所的シンボルはその定義を含むオブジェクトファイルの外からは見えない。 同じ名前の局所的シンボルは、お互いに影響を受けることなく、
1084 大域的シンボルは結びつけられている全てのオブジェクトファイルから見える。 1 つのファイルで大域的シンボルが定義されていたら、
1085 他のファイルでは同じシンボルへの参照は未定義でなければならない。
1088 弱シンボルは大域的シンボルに似ているが、その定義は優先度が低い。
1091 この値以上で \fBSTB_HIPROC\fP 以下の範囲はプロセッサ固有の意味に予約されている。
1094 この値以下で \fBSTB_LOPROC\fP 以上の範囲はプロセッサ固有の意味に予約されている。
1096 バインディングとタイプフィールドを パックしたりアンパックしたりするマクロがある:
1098 \fBELF32_ST_BIND\fP(info) または \fBELF64_ST_BIND\fP(info) \fIst_info\fP
1101 \fBELF32_ST_TYPE\fP(info) または \fBELF64_ST_TYPE\fP(info)
1103 \fIst_info\fP の値からタイプを取り出す。
1105 \fBELF32_ST_INFO\fP(bind, type) または \fBELF64_ST_INFO\fP(bind, type)
1107 バインディングとタイプを \fIst_info\fP の値に変換する。
1112 .\" .Bl -tag -width "STV_PROTECTED"
1113 このメンバはシンボルの visibility (見える範囲) を規定する。
1118 デフォルトのシンボル visibility ルール。
1124 シンボルは他のモジュールからは利用できない。
1127 横取りできず (not preemptible)、公開されない。
1130 visibility 種別を抽出するためのマクロがある。
1132 \fBELF32_ST_VISIBILITY\fP(other) または \fBELF64_ST_VISIBILITY\fP(other)
1138 各シンボルテーブルエントリは、いくつかのセクションに関連して "定義されている"。 このメンバは関連するセクションヘッダテーブルインデックスを保持する。
1140 再配置はシンボル参照とシンボル定義を結合するプロセスである。 再配置可能ファイルはセクションの内容をどのように修正するかに関する
1141 情報を持たなければならない。 これにより、実行可能ファイルと共有オブジェクトファイルは
1142 プロセスのプログラムイメージについての正しい情報を持つことができる。 再配置エントリは以下のようなデータである。
1149 Elf32_Addr r_offset;
1158 Elf64_Addr r_offset;
1169 Elf32_Addr r_offset;
1179 Elf64_Addr r_offset;
1185 .\" .Bl -tag -width "r_offset"
1188 このメンバは再配置動作が適用される位置を与える。 再配置可能ファイルの場合、この値はセクションの先頭から 再配置で影響を受ける格納単位 (storage
1189 unit) までのバイトオフセットである。 実行可能ファイルまたは共有オブジェクトの場合、 この値は再配置で影響を受ける格納単位の仮想アドレスである。
1192 このメンバは、再配置が行われなければならないシンボルテーブルインデックスと、 適用される再配置のタイプの両方を与える。
1193 再配置タイプはプロセッサ毎に異なる。 テキストが再配置エントリの再配置タイプ またはシンボルテーブルインデックスを参照している場合、 それぞれエントリの
1194 \fIr_info\fP メンバに対して、それぞれ \fBELF[32|64]_R_TYPE\fP と \fBELF[32|64]_R_SYM\fP
1199 このメンバは定数の加数を指定する。 この加数は再配置可能フィールドに格納される値を計算するために使われる。
1201 \&.dynamic セクションは、関連する動的リンク情報を保持している 一連の構造体を保持する。 d_tag メンバは d_un の解釈を制御する。
1212 extern Elf32_Dyn _DYNAMIC[];
1225 extern Elf64_Dyn _DYNAMIC[];
1228 .\" .Bl -tag -width "d_tag"
1231 .\" .Bl -tag -width "DT_SYMBOLIC"
1232 このメンバは以下の値を持つことができる:
1239 必要なライブラリの名前への文字列テーブルオフセット
1242 PLT 再配置 (reloc) テーブルのサイズ (バイト単位)
1245 PLT と GOT (または何れか一方) のアドレス
1260 Rela テーブルのサイズ (バイト単位)
1263 Rela テーブルエントリのサイズ (バイト単位)
1269 シンボルテーブルエントリのサイズ (バイト単位)
1278 共有オブジェクトの名前への文字列テーブルオフセット
1281 ライブラリ検索パスへの文字列テーブルオフセット (推奨されない)
1284 リンカがシンボルの実行可能ファイルより前に この共有オブジェクトを検索した場合は、警告を出す。
1290 Rel テーブルのサイズ (バイト単位)
1293 Rel テーブルエントリのサイズ (バイト単位)
1296 PLT が参照する再配置テーブルのタイプ (Rela または Rel)
1299 デバッグのために使用されている。内容は定義されていない。
1302 これが指定されていない場合、 書き込み不可のセグメントには再配置は適用されない。
1308 実行可能ファイルに制御を譲る前に、 全ての再配置を処理するように動的リンカに指示する。
1311 ライブラリ検索パスへの文字列テーブルオフセット
1322 このメンバは様々な意味に解釈される整数値である。
1325 このメンバはプログラムの仮想アドレスを表す。 これらのアドレスを解釈する際に、 実際のアドレスは元々のファイルの値と
1326 メモリの基底アドレスから計算される。 ファイルにはこれらのアドレスを修正するための 再配置エントリを含めてはならない。
1330 \&.dynamic セクションにある全ての動的構造体を含む配列。 これは自動的にリンカに渡される。
1333 .\" ELF support first appeared in
1335 .\" although not all supported platforms use it as the native
1336 .\" binary file format.
1337 ELF は System V で初めて登場した。 ELF 自体は System V で初めて登場した。 ELF フォーマットは採択された標準である。
1340 .\" The original version of this manual page was written by
1341 .\" .An Jeroen Ruigrok van der Werven
1342 .\" .Aq asmodai@FreeBSD.org
1343 .\" with inspiration from BSDi's
1347 \fIe_phnum\fP, \fIe_shnum\fP, \fIe_strndx\fP に対する拡張は、いずれも Linux での拡張で
1348 ある。Sun, BSD, AMD64 もこれに対応している。詳しい情報は、関連項目を参照。
1350 \fBas\fP(1), \fBgdb\fP(1), \fBld\fP(1), \fBobjdump\fP(1), \fBexecve\fP(2), \fBcore\fP(5)
1352 Hewlett\-Packard, \fIElf\-64 Object File Format\fP.
1354 Santa Cruz Operation, \fISystem V Application Binary Interface\fP.
1356 UNIX System Laboratories, "Object Files", \fIExecutable and Linking Format
1359 Sun Microsystems, \fILinker and Libraries Guide\fP.
1361 AMD64 ABI Draft, \fISystem V Application Binary Interface AMD64 Architecture
1362 Processor Supplement\fP.
1365 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.51 の一部
1366 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
1367 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。