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Merge branch 'work-coreutils'
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2 .\"
3 .\" Copyright (c) 1992 Drew Eckhardt (drew@cs.colorado.edu), March 28, 1992
4 .\" and Copyright (c) 2006 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
5 .\"
6 .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this
7 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
8 .\" preserved on all copies.
9 .\"
10 .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this
11 .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the
12 .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a
13 .\" permission notice identical to this one.
14 .\"
15 .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this
16 .\" manual page may be incorrect or out-of-date.  The author(s) assume no
17 .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from
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20 .\" which is licensed free of charge, as they might when working
21 .\" professionally.
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24 .\" the source, must acknowledge the copyright and authors of this work.
25 .\"
26 .\" Modified by Michael Haardt <michael@moria.de>
27 .\" Modified 1993-07-21 by Rik Faith <faith@cs.unc.edu>
28 .\" Modified 1994-08-21 by Michael Chastain <mec@shell.portal.com>:
29 .\" Modified 1997-01-31 by Eric S. Raymond <esr@thyrsus.com>
30 .\" Modified 1999-11-12 by Urs Thuermann <urs@isnogud.escape.de>
31 .\" Modified 2004-06-23 by Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
32 .\" 2006-09-04 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
33 .\"     Added list of process attributes that are not preserved on exec().
34 .\" 2007-09-14 Ollie Wild <aaw@google.com>, mtk
35 .\"     Add text describing limits on command-line arguments + environment
36 .\"
37 .\" Japanese Version Copyright (c) 1996 TABATA Tomohira
38 .\"         all rights reserved.
39 .\" Translated 1996-07-04, TABATA Tomohira <loba@k2.t.u-tokyo.ac.jp>
40 .\" Updated 1997-12-14, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
41 .\" Updated 2001-08-17, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
42 .\" Updated 2005-02-05, Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>
43 .\" Updated 2005-09-06, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
44 .\" Updated 2005-11-19, Akihiro MOTOKI
45 .\" Updated 2006-08-13, Akihiro MOTOKI, LDP v2.39
46 .\" Updated 2007-01-09, Akihiro MOTOKI, LDP v2.43
47 .\" Updated 2007-06-03, Akihiro MOTOKI, LDP v2.51
48 .\" Updated 2007-10-12, Akihiro MOTOKI, LDP v2.66
49 .\" Updated 2008-04-04, Akihiro MOTOKI, LDP v2.79
50 .\" Updated 2008-11-05, Akihiro MOTOKI, LDP v3.12
51 .\"
52 .TH EXECVE 2 2010-01-06 "Linux" "Linux Programmer's Manual"
53 .SH 名前
54 execve \- プログラムを実行する
55 .SH 書式
56 .B #include <unistd.h>
57 .sp
58 .BI "int execve(const char *" filename ", char *const " argv "[], "
59 .br
60 .BI "           char *const " envp []);
61 .SH 説明
62 .BR execve ()
63 は、\fIfilename\fP によって指定されたプログラムを実行する。
64 \fIfilename\fP は、バイナリ実行形式か、
65 以下の形式の行で始まるスクリプトでなければならない。
66
67 .in +4n
68 .nf
69 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional-arg]
70 .fi
71 .in
72
73 後者の詳細は、後ろの「インタプリタ・スクリプト」の節を参照のこと。
74
75 \fIargv\fP は新しいプログラムに渡される引き数文字列の配列である。
76 \fIenvp\fP は文字列の配列であり、伝統的に \fBkey=value\fP の形式を
77 しており、新しいプログラムの環境変数として渡される。
78 \fIargv\fP と \fIenvp\fP はいずれもの NULL ポインタで終わっている
79 必要がある。引き数配列と環境変数は、呼び出されたプログラムの main 関数を
80 以下のように定義することによってアクセス可能になる。
81
82 .in +4n
83 .nf
84 int main(int argc, char *argv[], char *envp[])
85 .fi
86 .in
87
88 成功した場合、
89 .BR execve ()
90 は返らない。
91 そして、呼び出し元のプロセスの text, data, bss, スタックは、
92 読み込まれたプログラムによって上書きされる。
93
94 元のプログラムが ptrace されている場合、
95 .BR execve ()
96 が成功した後に
97 そのプログラムに \fBSIGTRAP\fP が送られる。
98
99 .I filename
100 で指定されたプログラムファイルに set-user-ID ビットが設定されており、
101 ファイルが存在するファイルシステムが
102 .I nosuid
103 .RB ( mount (2)
104
105 .B MS_NOSUID
106 フラグ) でマウントされておらず、
107 呼び出したプロセスが ptrace されていない場合、
108 呼び出したプロセスの実効 (effective) ユーザ ID は
109 プログラムファイルの所有者 (owner) に変更される。
110 同様に、プログラムファイルに set-group-ID ビットが設定されていた場合、
111 呼び出したプロセスの有効グループ ID は
112 プログラムファイルのグループに変更される。
113
114 プロセスの実効ユーザ ID は保存 (saved) set-user-ID にコピーされる。
115 同様に、実効グループ ID は保存 set-group-ID にコピーされる。
116 このコピーは、set-user-ID / set-group-ID 許可ビットにより発生する
117 実効 ID の変更後に行われる。
118
119 実行ファイルが動的リンクされた a.out 実行形式で、共有ライブラリの
120 スタブを含むものだった場合、実行の開始時に Linux の
121 ダイナミック・リンカ
122 .BR ld.so (8)
123 が呼び出され、必要な共有ライブラリをメモリに読み込んでリンクを行う。
124
125 実行ファイルがダイナミック・リンクされた ELF 実行形式だった場合、
126 PT_INTERP セグメントに指定されたインタプリタが必要な
127 共有ライブラリ (shared library) を読み込むのに使用される。
128 通常、インタプリタとしては、
129 Linux libc 5 をリンクしたバイナリの場合には
130 \fI/lib/ld-linux.so.1\fP が、
131 glibc 2 をリンクしたバイナリの場合には
132 \fI/lib/ld-linux.so.2\fP が使用される。
133
134 以下に示す以外のすべてのプロセス属性は
135 .BR execve ()
136 の前後で保持される。
137 .IP *
138 捕捉されたシグナルの処理方法 (disposition) は
139 デフォルト動作にリセットされる
140 .RB ( signal (7))。
141 .IP *
142 代替シグナルスタックはどれも保持されない
143 .RB ( sigaltstack (2))。
144 .IP *
145 メモリマッピングは保持されない
146 .RB ( mmap (2))。
147 .IP *
148 付加された (attached) System V 共有メモリセグメントは分離される
149 .RB ( shmat (2))。
150 .IP *
151 POSIX 共有メモリ領域はマッピングを解除される
152 .RB ( shm_open (3))。
153 .IP *
154 オープンされた POSIX メッセージキューディスクリプタはクローズされる
155 .RB ( mq_overview (7))。
156 .IP *
157 オープンされた POSIX 名前付きセマフォはいずれもクローズされる
158 .RB ( sem_overview (7))。
159 .IP *
160 POSIX タイマは保持されない
161 .RB ( timer_create (2))。
162 .IP *
163 オープンされたディレクトリストリームはいずれもクローズされる
164 .RB ( opendir (3))。
165 .IP *
166 メモリロックは保持されない
167 .RB ( mlock (2),
168 .BR mlockall (2))。
169 .IP *
170 終了 (exit) ハンドラは保持されない
171 .RB ( atexit (3),
172 .BR on_exit (3))。
173 .IP *
174 浮動小数点関連の環境はデフォルトにリセットされる
175 .RB ( fenv (3)
176 参照)。
177 .PP
178 上記のリストのプロセス属性はいずれも POSIX.1-2001 で規定されている。
179 以下に示す Linux 固有のプロセス属性も
180 .BR execve ()
181 の前後で保持されない。
182 .IP * 3
183 set-user-ID か set-group-ID されたプログラムが実行されている場合、
184 .BR prctl (2)
185
186 .B PR_SET_DUMPABLE
187 フラグはクリアされる。それ以外の場合、このフラグはセットされる。
188 .IP *
189 .BR prctl (2)
190
191 .B PR_SET_KEEPCAPS
192 フラグはクリアされる。
193 .IP *
194 プロセス名は新しい実行ファイルの名前にリセットされる。
195 プロセス名は
196 .BR prctl (2)
197
198 .B PR_SET_NAME
199 で設定でき、
200 .I "ps\ \-o comm"
201 で表示できる。
202 .IP *
203 終了シグナル (termination signal) は
204 .B SIGCHLD
205 にリセットされる
206 .RB ( clone (2)
207 参照)。
208 .PP
209 以下の点についても注意すること:
210 .IP * 3
211 呼び出し元スレッド以外の全てのスレッドは
212 .BR execve ()
213 中に破棄される。
214 mutex、条件変数、その他の pthread オブジェクトは保持されない。
215 .IP *
216 \fIsetlocale(LC_ALL, "C")\fP 相当の処理がプログラム開始時に実行される。
217 .IP *
218 POSIX.1-2001 は、動作が無視かデフォルトに設定されている全てのシグナル
219 の処理方法は変更せずそのままにする、と規定している。
220 但し、POSIX.1-2001 には一つ例外があり、
221 .B SIGCHLD
222 が無視になっている場合、
223 その処理方法を変更せずにそのままにするか、デフォルト動作にリセットするかは
224 実装依存となっている。
225 Linux では前者 (変更しない) となっている。
226 .IP *
227 完了していない非同期 I/O 操作はキャンセルされる
228 .RB ( aio_read (3),
229 .BR aio_write (3))。
230 .IP *
231 .BR execve (2)
232 時のケーパビリティの扱いについては、
233 .BR capabilities (7)
234 を参照。
235 .IP *
236 デフォルトでは、ファイルディスクリプタは
237 .BR execve ()
238 を行った後でもオープンされたままである。
239 close-on-exec の印が付いているファイルディスクリプタはクローズされる。
240 .BR fcntl (2)
241
242 .B FD_CLOEXEC
243 の説明を参照。
244 (ファイルディスクリプタがクローズされると、このプロセスが
245 ファイルディスクリプタに対応するファイルに対して獲得していた
246 レコードのロックが全て解放されることになる。)
247 POSIX.1-2001 では、
248 ファイルディスクリプタ 0, 1, 2 が
249 .BR execve ()
250 成功後にどこかでクローズされ、かつ
251 実行されるファイルに set-user_ID か set-group_ID の許可ビットが
252 セットされていてプロセスが特権を獲得した場合、
253 システムは何らかのファイルをオープンする際に
254 これらの番号のディスクリプタのどれかを使うことがある、
255 とされている。
256 原則として、移植性が必要なプログラムでは、
257 特権の有無に関わらず、
258 .BR execve ()
259 の前後でこれら 3つのファイルディスクリプタがクローズされたままで
260 あることを前提にすることはできない。
261 .\" On Linux it appears that these file descriptors are
262 .\" always open after an execve(), and it looks like
263 .\" Solaris 8 and FreeBSD 6.1 are the same. -- mtk, 30 Apr 2007
264 .SS インタプリタ・スクリプト
265 インタプリタ・スクリプトとは、実行許可が有効になっていて、
266 最初の行が以下の形になっているテキストファイルのことである。
267
268 .in +4n
269 .nf
270 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional-arg]
271 .fi
272 .in
273
274 .I interpreter
275 は有効な実行ファイルのパス名でなければならず、
276 それ自身がスクリプトであってはならない。
277 .BR execve ()
278
279 .I filename
280 引き数がインタプリタスクリプトを指定している場合、
281 .I interpreter
282 は以下の引き数で起動される。
283
284 .in +4n
285 .nf
286 \fIinterpreter\fP [optional-arg] \fIfilename\fP arg...
287 .fi
288 .in
289
290 .I arg...
291
292 .BR execve ()
293
294 .I argv
295 引き数が指すワード列である。
296
297 移植性を持たすには、
298 .I optional-arg
299 は空か 1ワードだけにすべきである
300 (つまり、ホワイト・スペースを含めるべきではない)。
301 下記の「注意」の節を参照。
302 .SS "引き数と環境変数の合計サイズの上限"
303 ほとんどの UNIX の実装は、新しいプログラムに渡すことができる
304 コマンドライン引き数
305 .RI ( argv )
306 と環境変数
307 .RI ( envp )
308 の文字列群の合計サイズに何らかの上限を設けている。
309 POSIX.1 は、
310 .B ARG_MAX
311 定数を使ってこの上限を決める実装を認めている
312 .RB ( ARG_MAX
313
314 .I <limits.h>
315 で定義されるか、実行時に
316 .I "sysconf(_SC_ARG_MAX)"
317 の呼び出しで入手できるかのいずれかである)。
318
319 カーネル 2.6.23 より前の Linux では、環境変数と引き数の文字列群を
320 格納するのに使用されるメモリは 32 ページに制限されていた
321 (32 ページというのはカーネル定数
322 .B MAX_ARG_PAGES
323 で定義される)。したがって、
324 ページサイズが 4 kB のアーキテクチャでは、
325 最大サイズは 128 kB ということになる。
326
327 カーネル 2.6.23 以降では、ほとんどのアーキテクチャにおいて、
328 .BR execve ()
329 が呼び出された時点で適用されているリソースのソフト上限
330 .B RLIMIT_STACK
331 に基づいたサイズ上限が使われる
332 (メモリ管理ユニット (MMU) を持たないアーキテクチャは上記の変更の
333 例外であり、これらのアーキテクチャではカーネル 2.6.23 より前と
334 同じ上限がそのまま使用される)。
335 .\" For some background on the changes to ARG_MAX in kernels 2.6.23 and
336 .\" 2.6.25, see:
337 .\"     http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=5786
338 .\"     http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=10095
339 .\"     http://thread.gmane.org/gmane.linux.kernel/646709/focus=648101,
340 .\"     checked into 2.6.25 as commit a64e715fc74b1a7dcc5944f848acc38b2c4d4ee2.
341 これらのアーキテクチャでは、合計サイズは許可されたスタックサイズの
342 1/4 に制限されている
343 (1/4 の上限を設けているのは、新しいプログラムが必ずある程度の
344 スタック空間を持てることを保証するためである)。
345 .\" Ollie: That doesn't include the lists of pointers, though,
346 .\" so the actual usage is a bit higher (1 pointer per argument).
347 Linux 2.6.25 以降では、カーネルはこのサイズ上限に 32 ページの下限を
348 設けている。これにより、
349 .B RLIMIT_STACK
350 が非常に小さく設定された場合でも、アプリケーションが少なくとも
351 Linux 2.6.23 以前で提供されていたのと同じ大きさの引き数と環境変数の空間
352 と同じだけは確保できることが保証されている
353 (この最低限の保証は Linux 2.6.23 と 2.6.24 では提供されていない)。
354 また、各文字列の上限は 32 ページ (カーネル定数
355 .BR MAX_ARG_STRLEN )
356 で、文字列数の最大値は 0x7FFFFFFF である。
357 .SH 返り値
358 成功すると
359 .BR execve ()
360 は返らない。エラーの場合は \-1 を返し、
361 .I errno
362 を適切に設定する。
363 .SH エラー
364 .TP
365 .B E2BIG
366 環境変数
367 .RI ( envp )
368 と引き数リスト
369 .RI ( argv )
370 の合計バイト数が大き過ぎる。
371 .TP
372 .B EACCES
373 .I filename
374 やスクリプトインタプリタ名の構成要素に検索許可 (search permission)
375 が与えられていない
376 .RB ( path_resolution (7)
377 も参照すること)。
378 .TP
379 .B EACCES
380 ファイルもしくはスクリプトのインタプリタが通常ファイル (regular file)
381 でない。
382 .TP
383 .B EACCES
384 ファイルやスクリプトや ELF インタプリタに
385 実行許可 (execute permission) が与えられていない。
386 .TP
387 .B EACCES
388 ファイル・システムが
389 .I noexec
390 でマウントされている。
391 .TP
392 .B EFAULT
393 .I filename
394 がアクセス可能なアドレス空間の外を指している。
395 .TP
396 .B EINVAL
397 ELF 実行形式で複数の PT_INTERP セグメントが存在する。
398 (すなわち複数のインタプリタを指定した。)
399 .TP
400 .B EIO
401 I/O エラーが発生した。
402 .TP
403 .B EISDIR
404 ELF インタプリタがディレクトリだった。
405 .TP
406 .B ELIBBAD
407 ELF インタプリタが理解できるフォーマットでなかった。
408 .TP
409 .B ELOOP
410 .I filename
411 やスクリプトや ELF のインタプリタを解決する際に遭遇した
412 シンボリック・リンクが多過ぎる。
413 .TP
414 .B EMFILE
415 そのプロセスがオープンできるファイル数の上限まで既にオープンしている。
416 .TP
417 .B ENAMETOOLONG
418 .I filename
419 が長過ぎる。
420 .TP
421 .B ENFILE
422 そのシステムでオープンできるファイル数の制限に達した。
423 .TP
424 .B ENOENT
425 ファイル
426 .I filename
427 かスクリプトや ELF のインタプリタが存在しない。
428 .TP
429 .B ENOEXEC
430 実行ファイルが理解できない形式であるか、違うアーキテクチャのものか、
431 その他のフォーマット・エラーにより実行ができなかった。
432 .TP
433 .B ENOMEM
434 カーネルに十分なメモリがない。
435 .TP
436 .B ENOTDIR
437 .I filename
438 やスクリプトや ELF のインタプリタの構成要素がディレクトリでない。
439 .TP
440 .B EPERM
441 ファイル・システムが
442 .I nosuid
443 でマウントされ、ユーザがスーパーユーザでなく、
444 ファイルに set-user-ID あるいは set-group-ID ビットが設定されている。
445 .TP
446 .B EPERM
447 プロセスがトレースされ、ユーザがスーパーユーザでなく、
448 ファイルに set-user-ID あるいは set-group-ID ビットが設定されている。
449 .TP
450 .B ETXTBSY
451 実行ファイルを書き込み用にオープンしているプロセスがある。
452 .SH 準拠
453 SVr4, 4.3BSD, POSIX.1-2001.
454 POSIX.1-2001 には #! 動作についての記述はないが、
455 他は互換性がある。
456 .\" SVr4 には他に EAGAIN, EINTR, ELIBACC, ENOLINK, EMULTIHOP
457 .\" についての記述がある。
458 .\" POSIX には ETXTBSY, EPERM, EFAULT, ELOOP, EIO, ENFILE, EMFILE,
459 .\" EINVAL, EISDIR, ELIBBAD エラー状態についての記述はない。
460 .SH 注意
461 set-user-id プロセスと set-group-ID プロセスは
462 .BR ptrace (2)
463 できない。
464
465 Linux はスクリプトの set-user-ID と set-group-ID ビットを無視する。
466
467 ファイルシステムを
468 .I nosuid
469 でマウントした場合に set-user-ID/set-group-ID の実行ファイルを
470 どの様に扱うかは、Linux カーネルのバージョンによって異なる:
471 あるバージョンでは、すでに必要な権限を持っている場合を除いて、
472 その実行を拒否する (そして
473 .B EPERM
474 を返す)。別のあるバージョンでは
475 set-user-ID/set-group-ID ビットのみを無視し
476 .BR exec ()
477 は成功する。
478
479 #! 実行形式のシェル・スクリプトの 1行目に許されている文字数は、
480 最大 127 文字である。
481
482 インタプリタ・スクリプトの
483 .I optional-arg
484 引き数の解釈方法は実装により異なる。
485 Linux では、インタプリタ名
486 .I interpreter
487 に続く文字列全体がインタプリタに 1個の引き数として渡される。
488 しかし、動作が異なるシステムもある。
489 あるシステムでは、
490 .\" 例えば、Solaris 8
491 .I optional-arg
492 のうち最初のホワイト・スペースまでが
493 引き数として渡される。
494 また、別のシステムでは
495 .\" 例えば、6.0 より前の FreeBSD (FreeBSD 6.0 以降は違う)
496 インタプリタ・スクリプトは複数の引き数を持つことができ、
497 .I optional-arg
498 内のホワイト・スペースが引き数の区切りとなる。
499
500 Linux では、
501 .I argv
502 に NULL を指定することができる。これは、この引き数に NULL ポインタ
503 1個だけを含むリストへのポインタを指定したのと同じ効果を持つ。
504 .BR 「この間違った機能を利用しないこと」 。
505 これは非標準で、移植性もない。
506 他のほとんどの UNIX システムでは、これを行うとエラー
507 .RB ( EFAULT )
508 になる。
509 .\" e.g., EFAULT on Solaris 8 and FreeBSD 6.1; but
510 .\" HP-UX 11 is like Linux -- mtk, Apr 2007
511 .\" Bug filed 30 Apr 2007: http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=8408
512 .\" Bug rejected (because fix would constitute an ABI change).
513 .\"
514
515 POSIX.1-2001 は、
516 .BR sysconf (3)
517 が返す値はプロセスの生存中は変化しないべきだとしている。
518 しかしながら、Linux 2.6.23 以降では、リソース上限
519 .B RLIMIT_STACK
520 が変化した場合、
521 コマンドライン引き数と環境変数を保持するための空間に対する上限が
522 変化したことを反映して、
523 .B _SC_ARG_MAX
524 が返す値も変化する。
525 .\"
526 .\" .SH バグ
527 .\" Linux 版の中には、ELF インタプリタにおける
528 .\" 権限のチェックに失敗するものがある。
529 .\" これはセキュリティホールである。
530 .\" なぜなら、ユーザに任意のファイルをオープンを許可したり、
531 .\" 読み込みのためにテープデバイスを巻き戻しを許可したりする。
532 .\" Linux 版の中には
533 .\" .BR execve ()
534 .\" に他のセキュリティホールが
535 .\" 存在するものもあり、巧妙に細工された ELF バイナリによって
536 .\" サービス拒否 (denial of service) に利用されてしまう。
537 .\" 2.0.34 また 2.2.15 には、知られている問題はない。
538 .SS 歴史
539 UNIX V6 では
540 .BR exec ()
541 コールの引き数リストは 0 で終端され、
542 .I main
543 の引き数リストは \-1 で終端されていた。
544 そのため、
545 .I main
546 の引き数リストは、その後の
547 .BR exec ()
548 コールには直接使用できなかった。
549 UNIX V7 以降では、ともに NULL で終端される。
550 .SH 例
551 このプログラムは、以下の二つ目のプログラムから実行するためのものである。
552 コマンドラインを 1行に 1個ずつ表示するだけのプログラムである。
553
554 .in +4n
555 .nf
556 /* myecho.c */
557
558 #include <stdio.h>
559 #include <stdlib.h>
560
561 int
562 main(int argc, char *argv[])
563 {
564     int j;
565
566     for (j = 0; j < argc; j++)
567         printf("argv[%d]: %s\\n", j, argv[j]);
568
569     exit(EXIT_SUCCESS);
570 }
571 .fi
572 .in
573
574 以下のプログラムは、コマンドライン引き数で指定した名前のプログラムを
575 実行するのに使う。
576 .in +4n
577 .nf
578
579 /* execve.c */
580
581 #include <stdio.h>
582 #include <stdlib.h>
583 #include <unistd.h>
584
585 int
586 main(int argc, char *argv[])
587 {
588     char *newargv[] = { NULL, "hello", "world", NULL };
589     char *newenviron[] = { NULL };
590
591     if (argc != 2) {
592         fprintf(stderr, "Usage: %s <file-to-exec>\\n", argv[0]);
593         exit(EXIT_FAILURE);
594     }
595
596     newargv[0] = argv[1];
597
598     execve(argv[1], newargv, newenviron);
599     perror("execve");   /* execve() only returns on error */
600     exit(EXIT_FAILURE);
601 }
602 .fi
603 .in
604
605 二つ目のプログラムを使って一つ目のプログラムを実行するには
606 以下のようにする。
607
608 .in +4n
609 .nf
610 .RB "$" " cc myecho.c \-o myecho"
611 .RB "$" " cc execve.c \-o execve"
612 .RB "$" " ./execve ./myecho"
613 argv[0]: ./myecho
614 argv[1]: hello
615 argv[2]: world
616 .fi
617 .in
618
619 さらに、これらのプログラムを使って、スクリプト・インタプリタの例を示す。
620 このために、「インタプリタ」として先ほど作成したプログラム
621 .I myecho
622 を使うスクリプトを作成する。
623
624 .in +4n
625 .nf
626 .RB "$" " cat > script.sh"
627 .B #! ./myecho script-arg
628 .B ^D
629 .RB "$" " chmod +x script.sh"
630 .fi
631 .in
632
633 作成しておいたプログラムを使ってスクリプトを実行する。
634
635 .in +4n
636 .nf
637 .RB "$" " ./execve ./script.sh"
638 argv[0]: ./myecho
639 argv[1]: script-arg
640 argv[2]: ./script.sh
641 argv[3]: hello
642 argv[4]: world
643 .fi
644 .in
645 .SH 関連項目
646 .BR chmod (2),
647 .BR fork (2),
648 .BR ptrace (2),
649 .BR execl (3),
650 .BR fexecve (3),
651 .BR getopt (3),
652 .BR credentials (7),
653 .BR environ (7),
654 .BR path_resolution (7),
655 .BR ld.so (8)