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33 .\" Added list of process attributes that are not preserved on exec().
34 .\" 2007-09-14 Ollie Wild <aaw@google.com>, mtk
35 .\" Add text describing limits on command-line arguments + environment
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38 .\" all rights reserved.
39 .\" Translated 1996-07-04, TABATA Tomohira <loba@k2.t.u-tokyo.ac.jp>
40 .\" Updated 1997-12-14, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
41 .\" Updated 2001-08-17, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
42 .\" Updated 2005-02-05, Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>
43 .\" Updated 2005-09-06, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
44 .\" Updated 2005-11-19, Akihiro MOTOKI
45 .\" Updated 2006-08-13, Akihiro MOTOKI, LDP v2.39
46 .\" Updated 2007-01-09, Akihiro MOTOKI, LDP v2.43
47 .\" Updated 2007-06-03, Akihiro MOTOKI, LDP v2.51
48 .\" Updated 2007-10-12, Akihiro MOTOKI, LDP v2.66
49 .\" Updated 2008-04-04, Akihiro MOTOKI, LDP v2.79
50 .\" Updated 2008-11-05, Akihiro MOTOKI, LDP v3.12
52 .TH EXECVE 2 2010-01-06 "Linux" "Linux Programmer's Manual"
56 .B #include <unistd.h>
58 .BI "int execve(const char *" filename ", char *const " argv "[], "
60 .BI " char *const " envp []);
63 は、\fIfilename\fP によって指定されたプログラムを実行する。
64 \fIfilename\fP は、バイナリ実行形式か、
65 以下の形式の行で始まるスクリプトでなければならない。
69 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional-arg]
73 後者の詳細は、後ろの「インタプリタ・スクリプト」の節を参照のこと。
75 \fIargv\fP は新しいプログラムに渡される引き数文字列の配列である。
76 \fIenvp\fP は文字列の配列であり、伝統的に \fBkey=value\fP の形式を
77 しており、新しいプログラムの環境変数として渡される。
78 \fIargv\fP と \fIenvp\fP はいずれもの NULL ポインタで終わっている
79 必要がある。引き数配列と環境変数は、呼び出されたプログラムの main 関数を
80 以下のように定義することによってアクセス可能になる。
84 int main(int argc, char *argv[], char *envp[])
91 そして、呼び出し元のプロセスの text, data, bss, スタックは、
92 読み込まれたプログラムによって上書きされる。
94 元のプログラムが ptrace されている場合、
97 そのプログラムに \fBSIGTRAP\fP が送られる。
100 で指定されたプログラムファイルに set-user-ID ビットが設定されており、
107 呼び出したプロセスが ptrace されていない場合、
108 呼び出したプロセスの実効 (effective) ユーザ ID は
109 プログラムファイルの所有者 (owner) に変更される。
110 同様に、プログラムファイルに set-group-ID ビットが設定されていた場合、
111 呼び出したプロセスの有効グループ ID は
112 プログラムファイルのグループに変更される。
114 プロセスの実効ユーザ ID は保存 (saved) set-user-ID にコピーされる。
115 同様に、実効グループ ID は保存 set-group-ID にコピーされる。
116 このコピーは、set-user-ID / set-group-ID 許可ビットにより発生する
119 実行ファイルが動的リンクされた a.out 実行形式で、共有ライブラリの
120 スタブを含むものだった場合、実行の開始時に Linux の
123 が呼び出され、必要な共有ライブラリをメモリに読み込んでリンクを行う。
125 実行ファイルがダイナミック・リンクされた ELF 実行形式だった場合、
126 PT_INTERP セグメントに指定されたインタプリタが必要な
127 共有ライブラリ (shared library) を読み込むのに使用される。
129 Linux libc 5 をリンクしたバイナリの場合には
130 \fI/lib/ld-linux.so.1\fP が、
131 glibc 2 をリンクしたバイナリの場合には
132 \fI/lib/ld-linux.so.2\fP が使用される。
138 捕捉されたシグナルの処理方法 (disposition) は
143 .RB ( sigaltstack (2))。
148 付加された (attached) System V 共有メモリセグメントは分離される
151 POSIX 共有メモリ領域はマッピングを解除される
154 オープンされた POSIX メッセージキューディスクリプタはクローズされる
155 .RB ( mq_overview (7))。
157 オープンされた POSIX 名前付きセマフォはいずれもクローズされる
158 .RB ( sem_overview (7))。
161 .RB ( timer_create (2))。
163 オープンされたディレクトリストリームはいずれもクローズされる
170 終了 (exit) ハンドラは保持されない
174 浮動小数点関連の環境はデフォルトにリセットされる
178 上記のリストのプロセス属性はいずれも POSIX.1-2001 で規定されている。
179 以下に示す Linux 固有のプロセス属性も
183 set-user-ID か set-group-ID されたプログラムが実行されている場合、
187 フラグはクリアされる。それ以外の場合、このフラグはセットされる。
194 プロセス名は新しい実行ファイルの名前にリセットされる。
203 終了シグナル (termination signal) は
214 mutex、条件変数、その他の pthread オブジェクトは保持されない。
216 \fIsetlocale(LC_ALL, "C")\fP 相当の処理がプログラム開始時に実行される。
218 POSIX.1-2001 は、動作が無視かデフォルトに設定されている全てのシグナル
219 の処理方法は変更せずそのままにする、と規定している。
220 但し、POSIX.1-2001 には一つ例外があり、
223 その処理方法を変更せずにそのままにするか、デフォルト動作にリセットするかは
225 Linux では前者 (変更しない) となっている。
227 完了していない非同期 I/O 操作はキャンセルされる
239 close-on-exec の印が付いているファイルディスクリプタはクローズされる。
244 (ファイルディスクリプタがクローズされると、このプロセスが
245 ファイルディスクリプタに対応するファイルに対して獲得していた
246 レコードのロックが全て解放されることになる。)
248 ファイルディスクリプタ 0, 1, 2 が
251 実行されるファイルに set-user_ID か set-group_ID の許可ビットが
252 セットされていてプロセスが特権を獲得した場合、
253 システムは何らかのファイルをオープンする際に
254 これらの番号のディスクリプタのどれかを使うことがある、
256 原則として、移植性が必要なプログラムでは、
259 の前後でこれら 3つのファイルディスクリプタがクローズされたままで
261 .\" On Linux it appears that these file descriptors are
262 .\" always open after an execve(), and it looks like
263 .\" Solaris 8 and FreeBSD 6.1 are the same. -- mtk, 30 Apr 2007
265 インタプリタ・スクリプトとは、実行許可が有効になっていて、
266 最初の行が以下の形になっているテキストファイルのことである。
270 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional-arg]
275 は有効な実行ファイルのパス名でなければならず、
280 引き数がインタプリタスクリプトを指定している場合、
286 \fIinterpreter\fP [optional-arg] \fIfilename\fP arg...
300 (つまり、ホワイト・スペースを含めるべきではない)。
302 .SS "引き数と環境変数の合計サイズの上限"
303 ほとんどの UNIX の実装は、新しいプログラムに渡すことができる
308 の文字列群の合計サイズに何らかの上限を設けている。
311 定数を使ってこの上限を決める実装を認めている
316 .I "sysconf(_SC_ARG_MAX)"
317 の呼び出しで入手できるかのいずれかである)。
319 カーネル 2.6.23 より前の Linux では、環境変数と引き数の文字列群を
320 格納するのに使用されるメモリは 32 ページに制限されていた
324 ページサイズが 4 kB のアーキテクチャでは、
325 最大サイズは 128 kB ということになる。
327 カーネル 2.6.23 以降では、ほとんどのアーキテクチャにおいて、
329 が呼び出された時点で適用されているリソースのソフト上限
332 (メモリ管理ユニット (MMU) を持たないアーキテクチャは上記の変更の
333 例外であり、これらのアーキテクチャではカーネル 2.6.23 より前と
335 .\" For some background on the changes to ARG_MAX in kernels 2.6.23 and
337 .\" http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=5786
338 .\" http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=10095
339 .\" http://thread.gmane.org/gmane.linux.kernel/646709/focus=648101,
340 .\" checked into 2.6.25 as commit a64e715fc74b1a7dcc5944f848acc38b2c4d4ee2.
341 これらのアーキテクチャでは、合計サイズは許可されたスタックサイズの
343 (1/4 の上限を設けているのは、新しいプログラムが必ずある程度の
344 スタック空間を持てることを保証するためである)。
345 .\" Ollie: That doesn't include the lists of pointers, though,
346 .\" so the actual usage is a bit higher (1 pointer per argument).
347 Linux 2.6.25 以降では、カーネルはこのサイズ上限に 32 ページの下限を
350 が非常に小さく設定された場合でも、アプリケーションが少なくとも
351 Linux 2.6.23 以前で提供されていたのと同じ大きさの引き数と環境変数の空間
352 と同じだけは確保できることが保証されている
353 (この最低限の保証は Linux 2.6.23 と 2.6.24 では提供されていない)。
354 また、各文字列の上限は 32 ページ (カーネル定数
356 で、文字列数の最大値は 0x7FFFFFFF である。
360 は返らない。エラーの場合は \-1 を返し、
374 やスクリプトインタプリタ名の構成要素に検索許可 (search permission)
376 .RB ( path_resolution (7)
380 ファイルもしくはスクリプトのインタプリタが通常ファイル (regular file)
384 ファイルやスクリプトや ELF インタプリタに
385 実行許可 (execute permission) が与えられていない。
394 がアクセス可能なアドレス空間の外を指している。
397 ELF 実行形式で複数の PT_INTERP セグメントが存在する。
398 (すなわち複数のインタプリタを指定した。)
404 ELF インタプリタがディレクトリだった。
407 ELF インタプリタが理解できるフォーマットでなかった。
411 やスクリプトや ELF のインタプリタを解決する際に遭遇した
415 そのプロセスがオープンできるファイル数の上限まで既にオープンしている。
422 そのシステムでオープンできるファイル数の制限に達した。
427 かスクリプトや ELF のインタプリタが存在しない。
430 実行ファイルが理解できない形式であるか、違うアーキテクチャのものか、
431 その他のフォーマット・エラーにより実行ができなかった。
438 やスクリプトや ELF のインタプリタの構成要素がディレクトリでない。
443 でマウントされ、ユーザがスーパーユーザでなく、
444 ファイルに set-user-ID あるいは set-group-ID ビットが設定されている。
447 プロセスがトレースされ、ユーザがスーパーユーザでなく、
448 ファイルに set-user-ID あるいは set-group-ID ビットが設定されている。
451 実行ファイルを書き込み用にオープンしているプロセスがある。
453 SVr4, 4.3BSD, POSIX.1-2001.
454 POSIX.1-2001 には #! 動作についての記述はないが、
456 .\" SVr4 には他に EAGAIN, EINTR, ELIBACC, ENOLINK, EMULTIHOP
458 .\" POSIX には ETXTBSY, EPERM, EFAULT, ELOOP, EIO, ENFILE, EMFILE,
459 .\" EINVAL, EISDIR, ELIBBAD エラー状態についての記述はない。
461 set-user-id プロセスと set-group-ID プロセスは
465 Linux はスクリプトの set-user-ID と set-group-ID ビットを無視する。
469 でマウントした場合に set-user-ID/set-group-ID の実行ファイルを
470 どの様に扱うかは、Linux カーネルのバージョンによって異なる:
471 あるバージョンでは、すでに必要な権限を持っている場合を除いて、
475 set-user-ID/set-group-ID ビットのみを無視し
479 #! 実行形式のシェル・スクリプトの 1行目に許されている文字数は、
487 に続く文字列全体がインタプリタに 1個の引き数として渡される。
495 .\" 例えば、6.0 より前の FreeBSD (FreeBSD 6.0 以降は違う)
496 インタプリタ・スクリプトは複数の引き数を持つことができ、
498 内のホワイト・スペースが引き数の区切りとなる。
502 に NULL を指定することができる。これは、この引き数に NULL ポインタ
503 1個だけを含むリストへのポインタを指定したのと同じ効果を持つ。
504 .BR 「この間違った機能を利用しないこと」 。
506 他のほとんどの UNIX システムでは、これを行うとエラー
509 .\" e.g., EFAULT on Solaris 8 and FreeBSD 6.1; but
510 .\" HP-UX 11 is like Linux -- mtk, Apr 2007
511 .\" Bug filed 30 Apr 2007: http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=8408
512 .\" Bug rejected (because fix would constitute an ABI change).
517 が返す値はプロセスの生存中は変化しないべきだとしている。
518 しかしながら、Linux 2.6.23 以降では、リソース上限
521 コマンドライン引き数と環境変数を保持するための空間に対する上限が
527 .\" Linux 版の中には、ELF インタプリタにおける
528 .\" 権限のチェックに失敗するものがある。
530 .\" なぜなら、ユーザに任意のファイルをオープンを許可したり、
531 .\" 読み込みのためにテープデバイスを巻き戻しを許可したりする。
535 .\" 存在するものもあり、巧妙に細工された ELF バイナリによって
536 .\" サービス拒否 (denial of service) に利用されてしまう。
537 .\" 2.0.34 また 2.2.15 には、知られている問題はない。
543 の引き数リストは \-1 で終端されていた。
549 UNIX V7 以降では、ともに NULL で終端される。
551 このプログラムは、以下の二つ目のプログラムから実行するためのものである。
552 コマンドラインを 1行に 1個ずつ表示するだけのプログラムである。
562 main(int argc, char *argv[])
566 for (j = 0; j < argc; j++)
567 printf("argv[%d]: %s\\n", j, argv[j]);
574 以下のプログラムは、コマンドライン引き数で指定した名前のプログラムを
586 main(int argc, char *argv[])
588 char *newargv[] = { NULL, "hello", "world", NULL };
589 char *newenviron[] = { NULL };
592 fprintf(stderr, "Usage: %s <file-to-exec>\\n", argv[0]);
596 newargv[0] = argv[1];
598 execve(argv[1], newargv, newenviron);
599 perror("execve"); /* execve() only returns on error */
605 二つ目のプログラムを使って一つ目のプログラムを実行するには
610 .RB "$" " cc myecho.c \-o myecho"
611 .RB "$" " cc execve.c \-o execve"
612 .RB "$" " ./execve ./myecho"
619 さらに、これらのプログラムを使って、スクリプト・インタプリタの例を示す。
620 このために、「インタプリタ」として先ほど作成したプログラム
626 .RB "$" " cat > script.sh"
627 .B #! ./myecho script-arg
629 .RB "$" " chmod +x script.sh"
633 作成しておいたプログラムを使ってスクリプトを実行する。
637 .RB "$" " ./execve ./script.sh"
654 .BR path_resolution (7),