manual/e2fsprogs/release/man1/chattr.1

   1 .\" -*- nroff -*-
   2 .\"
   3 .\" This page is a part of e2fsprogs.
   4 .\"
   5 .\" Japanese Version Copyright 1998 by MATSUMOTO Shoji. All Rights Reserved.
   6 .\" Translated Wed Mar 13 1998 by MATSUMOTO Shoji.
   7 .\" Updated Sat 23 Oct 1999 by NAKANO Takeo <nakano@apm.seikei.ac.jp>
   8 .\" Updated Tue 16 Nov 1999 by NAKANO Takeo
   9 .\" Updated & Modified Tue Jul 31 06:01:10 JST 2001
  10 .\"         by Yuichi SATO <ysato@h4.dion.ne.jp>
  11 .\" Updated Thu 3 Oct 2002 by NAKANO Takeo
  12 .\" Updated & Modified Sat Apr 17 10:22:11 JST 2004
  13 .\"         by Yuichi SATO <ysato4444@yahoo.co.jp>
  14 .\" Updated & Modified Sat Oct 28 02:26:53 JST 2006 by Yuichi SATO
  15 .\"
  16 .\"WORD:        attribute       属性
  17 .\"WORD:        symbolic mode   モードの記法
  18 .\"WORD:        format          フォーマット
  19 .\"
  20 .TH CHATTR 1 "May 2006" "E2fsprogs version 1.39"
  21 .SH 名前
  22 chattr \- Linux  第 2 拡張ファイルシステム (ext2fs) 上にある
  23 ファイルの属性 (attribute) を変更する
  24 .SH 書式
  25 .B chattr
  26 [
  27 .B \-RV
  28 ]
  29 [
  30 .B \-v
  31 .I version
  32 ]
  33 [
  34 .I mode
  35 ]
  36 .I files...
  37 .SH 説明
  38 .B chattr
  39 は Linux 第 2 拡張ファイルシステム (ext2fs) 上にある
  40 ファイルの属性 (attribute) を変更する。
  41 .PP
  42 mode の記法フォーマットは +-=[ASacDdIijsTtu] である。
  43 .PP
  44 + オペレータを使用すると、選択した属性がファイルに付加される。
  45 - オペレータを使用すると解除される。
  46 = オペレータを使用すると、ファイルは指定した属性だけを持つことになる。
  47 .PP
  48 「acdijsuADST」は指定できる属性である。
  49 (a) 追加のみ許可 (append only)、(c) 圧縮 (compressed)、
  50 (d) ダンプしない (no dump)、(i) 変更不可 (immutable)、
  51 (j) データのジャーナリング (data journalling)、
  52 (s) 安全な削除 (secure deletion)、(t) 末尾マージをしない (no tail-merging)、
  53 (u) 復活可能 (undeletable)、
  54 (A) atime を更新しない、
  55 (D) ディレクトリの同期更新 (synchronous directory updates)、
  56 (S) 同期更新 (synchronous updates)、
  57 (T) ディレクトリ階層のトップ。
  58 .SH オプション
  59 .TP
  60 .B \-R
  61 再帰的にディレクトリやその中身の属性を変更する。
  62 ディレクトリを順番に訪れている途中でシンボリックリンクに出会った場合は、
  63 これを無視する。
  64 .TP
  65 .B \-V
  66 属性の変更を詳細に表示する。
  67 .TP
  68 .BI -v " version"
  69 ファイルシステムのバージョン/世代を設定する。
  70 .SH 属性
  71 `A' 属性が設定されているファイルは、
  72 アクセスされても atime レコードが変更されない。
  73 これはラップトップシステムのディスク I/O をある程度軽減する。
  74 .PP
  75 `a' 属性が設定されているファイルは、
  76 書き込みの際に追加モードでしかオープンできない。
  77 スーパーユーザーまたは
  78 CAP_LINUX_IMMUTABLE ケーパビリティ (capability) を持つプロセスだけが、
  79 この属性を設定・解除できる。
  80 .PP
  81 `c' 属性が設定されているファイルは、
  82 ディスク上に置かれるときカーネルによって自動的に圧縮される。
  83 このファイルを読み出すと、伸長されたデータが返ってくる。
  84 このファイルに書き込むと、ディスク上に保存する前にデータが圧縮される。
  85 注意: このドキュメントの最後にある
  86 「バグと制限」のセクションを読んで確かめてほしい。
  87 .PP
  88 `D' 属性が設定されているディレクトリは、
  89 変更されると同時にディスクにもその内容が書き込まれる。
  90 これは `dirsync' マウントオプションを、
  91 それらのファイルだけに適用するのと同じことである。
  92 .PP
  93 `d'  属性が設定されているファイルは、
  94 .BR dump (8)
  95 プログラムを起動した際にバックアップされない。
  96 .PP
  97 `E' 属性は実験的な圧縮パッチが用いるもので、
  98 圧縮ファイルに圧縮エラーがあることを示す。
  99 この属性は
 100 .BR chattr (1)
 101 によって設定したり解除したりすることはできないが、
 102 .BR lsattr (1)
 103 を用いて表示させることはできる。
 104 .PP
 105 `I' 属性は htree コードによって用いられ、
 106 ディレクトリがハッシュツリーを使って索引を付けられることを示す。
 107 この属性は
 108 .BR chattr (1)
 109 によって設定したり解除したりすることはできないが、
 110 .BR lsattr (1)
 111 を用いて表示させることはできる。
 112 .PP
 113 `i' 属性が設定されているファイルは、変更することができない。
 114 すなわち、削除、名前の変更、このファイルを指すリンクの作成、
 115 このファイルに対するデータの書き込みが禁止される。
 116 スーパーユーザーまたは
 117 CAP_LINUX_IMMUTABLE ケーパビリティを持つプロセスだけが、
 118 この属性を設定・解除できる。
 119 .PP
 120 `j' 属性が設定されているファイルは、
 121 ファイルシステムが "data=ordered"  または "data=writeback" オプションで
 122 マウントされている場合、
 123 ファイルそのものに書き出される前に、
 124 ext3 のジャーナルにデータが書き出される。
 125 ファイルシステムが "data=journal" オプションでマウントされている場合、
 126 全てのファイルデータは既にジャーナルに記録されているので、
 127 この属性は何も影響しない。
 128 スーパーユーザーまたは
 129 CAP_SYS_RESOURCE ケーパビリティを持つプロセスだけが、
 130 この属性を設定・解除できる。
 131 .PP
 132 `s' 属性が設定されているファイルが削除されると、
 133 割り当てられていたブロックの中身が 0 にされ、ディスクに書き戻される。
 134 注意: このドキュメントの最後にある
 135 「バグと制限」のセクションを読んで確かめてほしい。
 136 .PP
 137 `S' 属性が設定されているファイルが変更されると、
 138 変更は同期的にディスクに書き込まれる
 139 (すなわち変更が直ちにディスク上に反映される)。
 140 これは mount オプションの `sync' を
 141 それらのファイルだけに適用するのと同じことである。
 142 .PP
 143 `T' 属性が設定されているディレクトリは、
 144 (Linux 2.5.46 以降のシステムで使われる)
 145 Orlov ブロックアロケータのための
 146 ディレクトリ階層のトップとして扱われる。
 147 .PP
 148 `t' 属性が設定されているファイルは、
 149 そのファイルが他のファイルとマージされたときに
 150 部分的ブロックのフラグメントを末尾に作らない
 151 (末尾マージ (tail-merging) をサポートしているファイルシステムの場合)。
 152 これは LILO のような、ファイルシステムを直接読みにいき、
 153 かつ末尾マージされたファイルのことを理解しないような
 154 アプリケーションに対して必要となる。
 155 注: この man ページを書いている時点で、ext2 と ext3 ファイルシステムは
 156 (まだ非常に実験的なパッチ以外では)
 157 末尾マージをサポートしていない。
 158 .PP
 159 `u' 属性が設定されているファイルを削除すると、
 160 その内容は保護される。
 161 これにより、ユーザがファイルを復活させることが可能になる。
 162 注意: このドキュメントの最後にある
 163 「バグと制限」のセクションを読んで確かめてほしい。
 164 .PP
 165 `X' 属性は実験的な圧縮パッチによって用いられ、
 166 圧縮ファイルの内容が圧縮状態のまま直接アクセス可能であることを示す。
 167 この属性は現在のところ
 168 .BR chattr (1)
 169 によって設定したり解除したりすることはできないが、
 170 .BR lsattr (1)
 171 を用いて表示させることはできる。
 172 .PP
 173 `Z' 属性は実験的な圧縮パッチによって用いられ、
 174 圧縮ファイルが汚染されている (dirty) ことを示す。
 175 この属性は
 176 .BR chattr (1)
 177 によって設定したり解除したりすることはできないが、
 178 .BR lsattr (1)
 179 を用いて表示させることはできる。
 180 .PP
 181 .SH 著者
 182 .B chattr
 183 は、Remy Card <Remy.Card@linux.org> によって作成された。
 184 現在は Theodore Ts'o <tytso@alum.mit.edu> によってメンテナンスされている。
 185 .SH バグと制限
 186 `c', 's', `u' 属性への対応は、現在主流になっている Linux カーネルで
 187 実装されている ext2 と ext3 ファイルシステムに含まれていない。
 188 これらの属性は将来の ext2 と ext3 に実装されるかもしれない。
 189 .PP
 190 `j' オプションは、ext3 でマウントされた
 191 ファイルシステムについてのみ有効である。
 192 .PP
 193 `D' オプションは Linux カーネル 2.5.19 以降でのみ利用できる。
 194 .SH 入手方法
 195 .B chattr
 196 は e2fsprogs パッケージの一部であり、
 197 http://e2fsprogs.sourceforge.net から入手できる。
 198 .SH 関連項目
 199 .BR lsattr (1)