OSDN Git Service

info/GNU_which: Add some explanations.
[linuxjm/jm.git] / manual / sudo / release / man5 / sudoers.5
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22 .\" Materiel Command, USAF, under agreement number F39502-99-1-0512.
23 .\"
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31 .\"   and 2009 Yoichi Chonan
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33 .\" Translated Sat Oct  7 14:39:18 JST 2000
34 .\"         by Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>
35 .\" Updated & Modified Fri Dec  6 04:40:44 JST 2002
36 .\"         by Yuichi SATO
37 .\" New Translation (sudo-1.6.9p17) Fri Jan 23 10:31:17 JST 2009
38 .\"         by Yoichi Chonan <cyoichi@maple.ocn.ne.jp>
39 .\" Updated & Modified (sudo-1.7.2p1) Sat Nov 14 21:15:16 JST 2009
40 .\"         by Yoichi Chonan
41 .\" Modified Tue Nov 24 20:00:00 JST 2009 by Yoichi Chonan
42 .\" Updated & Modified (sudo-1.8.4p4) Wed May  9 12:26:33 JST 2012
43 .\"         by Yoichi Chonan
44 .\" Updated & Modified (sudo-1.8.17) Sat Sep 10 10:39:07 JST 2016
45 .\"         By Yoichi Chonan
46 .\"
47 .TH SUDOERS 5 "January 20, 2016" "Sudo 1.8.17" "File Formats Manual"
48 .nh
49 .if  n .ad l
50 .SH 名前
51 \fBsudoers\fP \- sudo のデフォルトのセキュリティポリシー・プラグイン
52 .SH 説明
53 \fBsudoers\fP ポリシー・プラグインは、ユーザにどんな \fBsudo\fP 権限があるかを決定する。
54 このプラグインが \fBsudo\fP のデフォルトのポリシー・プラグインである。
55 ポリシーの運用は \fI/etc/sudoers\fP ファイルによって行われるが、
56 LDAP を使用することも可能である。ポリシーを設定するときの書式は、
57 「SUDOERS ファイルの書式」セクションで詳しく説明している。
58 \fBsudoers\fP ポリシーの情報を LDAP に格納することについては、
59 sudoers.ldap(5) をご覧いただきたい。
60 .SS "sudoers ポリシー・プラグインを使うための sudo.conf の設定"
61 \fBsudo\fP は sudo.conf(5) ファイルを参照して、
62 どのポリシー・プラグインと入出力ロギング・プラグインをロードするかを決める。
63 sudo.conf(5) ファイルが存在しない場合や、存在しても Plugin 行を含まない場合は、
64 \fBsudoers\fP プラグインがポリシーの決定や 入出力ロギングに使用されることになる。
65 \fBsudoers\fP プラグインを使用するように明示的に設定するには、
66 sudo.conf(5) に次のよう書き込めばよい。
67 .nf
68 .sp
69 .RS 6n
70 Plugin sudoers_policy sudoers.so
71 Plugin sudoers_io sudoers.so
72 .RE
73 .fi
74 .PP
75 \fBsudo\fP 1.8.5 以来、\fBsudoers\fP プラグインに対する任意の引き数を
76 sudo.conf(5) で指定することが可能になっている。
77 そうした引き数が存在する場合は、プラグインのパスの後ろに続けることになる
78 (すなわち、\fIsudoers.so\fP の後ろだ)。
79 引き数がいくつもあるときは、ホワイトスペースで区切って指定すればよい。
80 一例を挙げる。
81 .nf
82 .sp
83 .RS 6n
84 Plugin sudoers_policy sudoers.so sudoers_mode=0400
85 .RE
86 .fi
87 .PP
88 以下のプラグインに対する引き数が使用できる。
89 .TP  10n
90 ldap_conf=pathname
91 \fIldap_conf\fP 引き数を使用すると、
92 \fIldap_conf\fP ファイルのパスをデフォルトのものから変更することができる。
93 .TP  10n
94 ldap_secret=pathname
95 \fIldap_secret\fP 引き数を使用すると、
96 \fIldap_secret\fP ファイルのパスをデフォルトのものから変更することができる。
97 .TP  10n
98 sudoers_file=pathname
99 \fIsudoers_file\fP 引き数を使用すると、
100 \fIsudoers\fP ファイルのパスをデフォルトのものから変更することができる。
101 .TP  10n
102 sudoers_uid=uid
103 \fIsudoers_uid\fP 引き数を使用すると、
104 sudoers ファイルの所有者をデフォルトのものから変更することができる。
105 指定には、ユーザ ID 番号を使うべきである。
106 .TP  10n
107 sudoers_gid=gid
108 \fIsudoers_gid\fP 引き数を使用すると、
109 sudoers ファイルのグループをデフォルトのものから変更することができる。
110 指定には、グループ ID 番号を使用しなければならない (グループ名ではない)。
111 .TP  10n
112 sudoers_mode=mode
113 \fIsudoers_mode\fP 引き数を使用すると、
114 sudoers ファイルのファイル・モードをデフォルトのものから変更することができる。
115 指定には、8 進数の値を使うべきである。
116 .PP
117 sudo.conf(5) の設定についてさらに詳しいことをお知りになりたかったら、
118 sudo.conf(5) のマニュアルをご覧になっていただきたい。
119 .SS ユーザの認証
120 \fBsudoers\fP セキュリティポリシーでは、ユーザはたいていの場合、
121 本人であることを証明してからでなければ。\fBsudo\fP を使用できない。ただし、
122 \fBsudo\fP の実行者が root だったり、変身対象ユーザが \fBsudo\fP の実行者と同一であったり、
123 ポリシーがその実行者やコマンドに対して認証を免除している場合は、パスワードが要求されることはない。
124 su(1) とは違って、\fBsudoers\fP ポリシーが認証に当たってチェックするのは、
125 \fBsudo\fP を実行するユーザの認証情報 (訳注: 通常はパスワード) であって、
126 変身対象ユーザの (あるいは、root の) 認証情報ではない。この動作は、後述する
127 \fIrootpw\fP, \fItargetpw\fP, \fIrunaspw\fP フラグによって変更することができる。
128 .PP
129 ポリシーに登録されていないユーザが \fBsudo\fP を使って、コマンドを実行しようとすると、
130 しかるべき権威者にメールが送付される。そうしたメールの宛先は、
131 後述する「デフォルト設定」の \fImailto\fP 行によって設定できるが、
132 デフォルトでは root になっている。
133 .PP
134 \fBsudo\fP を使用する権限のないユーザが、\fB\-l\fP や \fB\-v\fP オプションを付けて
135 \fBsudo\fP の実行を試みても、認証に失敗し、しかも \fImail_always\fP または
136 \fImail_badpass\fP フラグが有効になっている場合を除いて、
137 メールは送付されないことに注意していただきたい。そうした動作にすることで、自分に
138 \fBsudo\fP の使用が許可されているかどうか、ユーザが自分で判断できるようにしているのである。
139 \fBsudo\fP 実行の試みは (成功、失敗にかかわらず)、すべてログに記録される。
140 メールが送られるかどうかには関係がない。
141 .PP
142 \fBsudo\fP が root によって実行されたとき、環境変数 SUDO_USER が設定されていると、
143 \fBsudoers\fP ポリシーは、実際のユーザが誰かを判断するのに、その値を使用することになる。
144 ユーザとしては、この動作を利用することで、すでにルートシェルを起動している場合でも、
145 自分が \fBsudo\fP を介して実行したコマンドのログを取ることができる。
146 また、この動作のおかげで、\fBsudo\fP で実行するスクリプトやプログラムから呼び出される場合でさえ、
147 \fB\-e\fP オプションが役に立つものになっている。ただし、そうした場合でも、
148 \fIsudoers\fP ファイルの参照はやはり root に対してなされるのであって、
149 SUDO_USER が指定しているユーザに対してではないことに注意していただきたい。
150 .PP
151 \fBsudoers\fP は、認証情報の一時保存 (credential caching) にユーザごとのタイムスタンプ・ファイルを使用する。
152 ユーザの認証が済むと、記録が書き込まれるが、それには、認証に使用された uid、
153 端末セッション ID、タイムスタンプ (利用できるならば、単調増加時計 (monotonic clock)
154 を使用する) が含まれている。ユーザは、その後しばらくの間 (\fItimestamp_timeout\fP
155 オプションによって変更されていなければ、5 分間)、パスワードなしで \fBsudo\fP を使うことができる。
156 \fBsudoers\fP はデフォルトでは、各 tty ごとに別の記録を使用する。
157 そこで、認証は、ユーザのログイン・セッションごとに独立して行われることになる。
158 \fItty_tickets\fP オプションを無効にすれば、あるユーザのすべてのセッションに対して、
159 単一のタイムスタンプの使用を強制することができる。
160 .SS ロギング
161 \fBsudoers\fP は \fBsudo\fP の実行が成功したときも失敗したときも、
162 その旨を (エラーの内容とともに) syslog(3) や独自のファイル、
163 あるいはその両方に記録することができる。\fBsudoers\fP はデフォルトでは、
164 syslog(3) 経由でログを記録することになっているが、この動作はデフォルト設定の
165 \fIsyslog\fP と \fIlogfile\fP を使って変更することができる。
166 ログファイルの書式については、「ログの書式」セクションの説明をご覧いただきたい。
167 .PP
168 また \fBsudoers\fP は、擬似 tty でコマンドを実行して、
169 すべての入力や出力をログに記録することもできる。
170 標準入力、標準出力、標準エラーが端末と結びついていない場合でさえ、
171 それをログに記録することができるのだ。入出力ロギングは、デフォルトでは ON になっていないが、
172 \fIlog_input\fP や \fIlog_output\fP オプションを使って有効にすることができる。
173 コマンド・タグの LOG_INPUT や LOG_OUTPUT を使用して有効にすることも可能だ。
174 入出力ログファイルがどんなふうに格納されるかについては、
175 「入出力ログファイル」セクションに詳細な説明がある。
176 .SS コマンド環境
177 環境変数はプログラムの動作に影響を与えることがあるので、\fBsudoers\fP は、
178 実行されるコマンドがユーザの環境からどんな変数を引き継ぐかについて、
179 制御する手段を用意している。すなわち、\fBsudoers\fP は二つの異なった方法で、
180 環境変数を処理することができる。
181 .PP
182 デフォルトでは \fIenv_reset\fP オプションが有効になっている。
183 この場合、コマンドは新しい、最小の環境で実行されることになる。
184 AIX (及び PAM を使用していない Linux システム) では、\fI/etc/environment\fP
185 ファイルの内容で環境が初期化される。新しい環境には、TERM, PATH,
186 HOME, MAIL, SHELL, LOGNAME, USER, USERNAME, 及び SUDO_* という変数、
187 それに、呼び出し側のプロセスから来た変数で、\fIenv_check\fP や \fIenv_keep\fP
188 オプションによって許可されたものが含まれている。これは、言わば、
189 環境変数のホワイトリストである。値が () で始まる環境変数は、
190 変数名と値の両方が \fIenv_keep\fP や \fIenv_check\fP の指定にマッチしないかぎり、
191 除去されるが、それは、\fBbash\fP シェルの古いバージョンでは関数と解釈されることになるからである。
192 1.8.11 より前のバージョンでは、そうした変数は無条件で除去されていた。
193 .PP
194 これに対して、\fIenv_reset\fP オプションが無効になっている場合は、
195 \fIenv_check\fP や \fIenv_delete\fP オプションによって明示的に拒否されていないかぎり、
196 いかなる環境変数も呼び出し側のプロセスから継承される。
197 この場合、\fIenv_check\fP や \fIenv_delete\fP は、ブラックリストのように振る舞うわけだ。
198 値が () で始まる環境変数は、ブラックリストの一つにマッチしない場合でも、
199 必ず除去される。危険性のある環境変数のすべてをブラックリストに載せることは不可能なので、
200 \fIenv_reset\fP を有効にしておくデフォルトの動作を採用することをお勧めする。
201 .PP
202 デフォルトでは、環境変数のマッチは変数名によって行われる。
203 しかしながら、マッチに使われるパターンに等号 ('=') が含まれる場合は、
204 変数名と値の両方がマッチしなければならない。たとえば、旧式の
205 (shellshock 問題以前の export 方法による)
206 \fBbash\fP のシェル関数にマッチさせるならば、次のように指定すればよいだろう。
207 .nf
208 .sp
209 .RS 4n
210 env_keep += "my_func=()*"
211 .RE
212 .fi
213 .PP
214 旧式の \fBbash\fP のシェル関数は、デフォルトでは保存されないので、
215 "=()*" という後続部分がなかったら、こうした環境変数はマッチしないことになる。
216 .IP "[\fB訳注\fP]:" 8
217 shellshock 以前の bash では、たとえば "my_func='() { ls \-F; }'"
218 といったシェル変数を export することで、
219 my_func という関数をサブシェルに渡すことができた。
220 shellshock 以後の bash では、この方法による関数の継承はできなくなり、
221 値が "() { ls \-F; }" である my_func という変数が、
222 渡されるだけになっている。だから、
223 sudoers ファイルの Defaults 行に上のように書いても、
224 shellshock 以後の bash を使っているかぎり、
225 my_func という環境変数が保存されるだけで、関数が渡されるわけではない。
226 .PP
227 \fBsudo\fP が許可、または拒否する環境変数すべてのリストは、"sudo \-V" を
228 root の資格で実行したときの出力中に含まれている。このリストは、
229 \fBsudo\fP が実行されるオペレーティングシステムによって異なることに気をつけていただきたい。
230 .PP
231 PAM をサポートしているシステムで、\fBpam_env\fP モジュールが
232 \fBsudo\fP に対して有効になっていると、
233 PAM の管理する環境にある変数が、環境にマージされることになるだろう。
234 ただし、PAM 環境にある変数がユーザの環境にすでに存在している場合に、
235 その値が上書きされることになるのは、
236 その変数が \fBsudoers\fP によって保存されていないときだけである。
237 すなわち、\fIenv_reset\fP が有効になっているときは、
238 \fIenv_keep\fP のリストによって \fBsudo\fP を実行するユーザの環境から保存された変数が、
239 PAM 環境にある変数より優先される。また、
240 \fIenv_reset\fP が無効になっているときは、
241 \fBsudo\fP を実行するユーザの環境にある変数が、
242 \fIenv_delete\fP のリストのパターンにマッチしていないかぎり、
243 PAM 環境にある変数よりも優先されるのである。
244 .PP
245 たいていのオペレーティングシステムのダイナミック・リンカは、
246 ダイナミック・リンキングを制御する働きがある環境変数を、
247 \fBsudo\fP もその一つである setuid 実行ファイルの環境から除去するようになっていることに注意していただきたい。
248 オペレーティングシステムによって名前は様々だが、_RLD*, DYLD_*, LD_*,
249 LDR_*, LIBPATH, SHLIB_PATH などが、この範疇に含まれるだろう。
250 そうした変数は、\fBsudo\fP の実行が始まるよりも前に、環境から除去されるので、
251 \fBsudo\fP がそうした変数を保存することは不可能である。
252 .PP
253 特例として、\fBsudo\fP に \fB\-i\fP (initial login) オプションが指定されている場合は、
254 \fBsudoers\fP は \fIenv_reset\fP の有効・無効にかかわらず、環境を初期化する。
255 環境変数 DISPLAY, PATH, TERM は変更されないが、HOME, MAIL, SHELL, USER, LOGNAME
256 は、変身対象ユーザのそれにセットされる。ATX (及び PAM を使用していない
257 Linux システム) では、\fI/etc/environment\fP の内容も取り込まれる。
258 それ以外の環境変数はすべて捨てられる。
259 .PP
260 最後に、\fIenv_file\fP オプションが設定されている場合は、
261 そのファイルに記載されたいかなる変数も、
262 すでに存在している環境変数と衝突しないかぎり、
263 そこで指定されている値にセットされることになる。
264 .SH "SUDOERS ファイルの書式"
265 \fIsudoers\fP ファイルは二種類のエントリから構成されている。
266 (要するに変数である) エイリアスと (誰が何を実行できるかを指定している) ユーザ設定だ。
267 (訳注: 訳者としては、「エイリアス、デフォルト設定、ユーザ設定の三種類のエントリから構成されている」と言った方が、
268 現在の実態に合っているのではないかと思う。)
269 .PP
270 一人のユーザに複数のエントリがマッチするときは、順番に適用される。
271 複数の指定がマッチしている箇所については、最後にマッチしたものが使用される
272 (それが一番明示的なマッチだとはかぎらないが)。
273 .PP
274 以下では \fIsudoers\fP ファイルの文法を拡張 Backus\-Naur 記法 (EBNF) を用いて記述する。
275 EBNF を御存じないからといって、あきらめないでいただきたい。
276 わりと簡単なものだし、以下に出てくる定義には詳しい説明をつけておきますから。
277 .SS "EBNF の基礎の基礎"
278 EBNF は言語の文法を記述する簡潔で厳密な方法である。
279 EBNF の個々の定義は生成規則からできている。たとえば、
280 .PP
281 シンボル ::= 定義 | 別の定義 1 | 別の定義 2 ...
282 .PP
283 個々の生成規則は、ほかの生成規則を参照し、そのようにして言語の文法を作り上げている。
284 また EBNF には以下の演算子が含まれるが、正規表現で御存じの読者も多いだろう。
285 だが、いわゆる「ワイルドカード」文字と混同しないでいただきたい。
286 あれは別の意味を持っている。
287 .TP  6n
288 \&?
289 直前のシンボル (または、シンボルのグループ) が、あってもなくてもよいことを意味する。
290 すなわちそのシンボルは、1 回現れてもよいし、1 回も現れないでもよい。
291 .TP  6n
292 *
293 直前のシンボル (または、シンボルのグループ) が 0 回以上現れる。
294 .TP  6n
295 +
296 直前のシンボル (または、シンボルのグループ) が 1 回以上現れる。
297 .PP
298 丸カッコを使うと、複数のシンボルをグループにまとめることができる。
299 なお、混乱を避けるため、以下の定義では、それが (シンボル名ではなく)
300 文字どおりの文字列や記号であることを示す場合には、シングルクォート
301 (' ') で囲むことにする。
302 .SS エイリアス
303 エイリアスには四種類ある。User_Alias, Runas_Alias, Host_Alias,
304 Cmnd_Alias である。
305 .nf
306 .sp
307 .RS 0n
308 Alias ::= 'User_Alias'  User_Alias (':' User_Alias)* |
309           'Runas_Alias' Runas_Alias (':' Runas_Alias)* |
310           'Host_Alias'  Host_Alias (':' Host_Alias)* |
311           'Cmnd_Alias'  Cmnd_Alias (':' Cmnd_Alias)*
312
313 User_Alias ::= NAME '=' User_List
314
315 Runas_Alias ::= NAME '=' Runas_List
316
317 Host_Alias ::= NAME '=' Host_List
318
319 Cmnd_Alias ::= NAME '=' Cmnd_List
320
321 NAME ::= [A\-Z]([A\-Z][0\-9]_)*
322 .RE
323 .fi
324 .PP
325 個々のエイリアスの定義は、次の形をとる。
326 .nf
327 .sp
328 .RS 0n
329 Alias_Type NAME = item1, item2, ...
330 .RE
331 .fi
332 .PP
333 上記において \fIAlias_Type\fP は、User_Alias, Runas_Alias, Host_Alias,
334 Cmnd_Alias のうちの一つである。NAME は、アルファベットの大文字、数字、
335 アンダースコア ('_') からなる文字列であるが、
336 先頭の文字はアルファベットの大文字でなければならない。
337 同じタイプのエイリアス定義を、コロンで (':') つないで、一行に複数書くこともできる。
338 たとえば、
339 .nf
340 .sp
341 .RS 0n
342 Alias_Type NAME = item1, item2, item3 : NAME = item4, item5
343 .RE
344 .fi
345 .PP
346 既存のエイリアスを再定義するのは、文法エラーである。
347 異なるタイプのエイリアスに対して同じ名前を使用することはできるが、
348 お薦めできることではない。
349 .PP
350 エイリアスの有効な要素となるものの定義は、以下のようになる。
351 .nf
352 .sp
353 .RS 0n
354 User_List ::= User |
355               User ',' User_List
356
357 User ::= '!'* user name |
358          '!'* #uid |
359          '!'* %group |
360          '!'* %#gid |
361          '!'* +netgroup |
362          '!'* %:nonunix_group |
363          '!'* %:#nonunix_gid |
364          '!'* User_Alias
365 .RE
366 .fi
367 .PP
368 User_List を構成するのは、一個以上の次のものである。
369 ユーザ名、ユーザID (接頭辞 '#' が付く)、
370 システムグループ名やその ID (それぞれ、接頭辞 '%' と '%#' が付く)、
371 ネットグループ名 (接頭辞 '+' が付く)、
372 non\-Unix グループ名やその ID (それぞれ、接頭辞 '%:' と '%:#' が付く)、
373 それに User_Alias。
374 リストの各項目の前には一個以上の '!' 演算子を付けてもよい。
375 奇数個の '!' はその項目の値を否定する。偶数個の場合は互い相殺されるだけだ。
376 なお、ユーザのネットグループについては、
377 ネットグループの成員中のユーザとドメインの要素のみを使って、マッチングが行われる。
378 ホストの要素はマッチングに使用されない。
379 .PP
380 ユーザ名、uid、グループ名、gid、ネットグループ名、non\-Unix グループ名、
381 non\-Unix グループ の gid は、ダブルクォートで囲めば、特殊文字をエスープしないですむ。
382 ダブルクォートで囲まずに特殊文字を使いたいなら、エスケープした 16 進数を指定してやればよい。
383 たとえば、スペースなら \ex20 という具合だ。
384 ダブルクォートを使用する場合は、接頭辞があれば、それをダブルクォートの内側に入れなければならない。
385 .PP
386 non\-Unix グループやその gid を指定するときのの書式が、
387 実際にどんなものになるかは、
388 利用するグループ・プロバイダー・プラグイン (group provider plugin) 次第である。
389 たとえば、QAS (Quest Authentication Services) の AD プラグインは、
390 以下の書式をサポートしている。
391 .TP  6n
392 \fB\(bu\fP
393 同じドメインのグループ: "%:Group Name"
394 .TP  6n
395 \fB\(bu\fP
396 任意のドメインのグループ: "%:Group Name@FULLY.QUALIFIED.DOMAIN"
397 .TP  6n
398 \fB\(bu\fP
399 グループ SID: "%:S\-1\-2\-34\-5678901234\-5678901234\-5678901234\-567"
400 .PP
401 詳細については、
402 「グループ・プロバイダー・プラグイン」セクションをご覧いただきたい。
403 .PP
404 グループ名を囲む引用符は任意であることに注意していただきたい。
405 文字列を引用符で囲まない場合は、バックスラッシュ ('\e') を使って、
406 スペースや特殊文字をエスケープしなければならない。
407 エスケープする必要がある文字のリストについては、
408 「ほかの特殊文字と予約語」のセクションを参照していただきたい。
409 .nf
410 .sp
411 .RS 0n
412 Runas_List ::= Runas_Member |
413                Runas_Member ',' Runas_List
414
415 Runas_Member ::= '!'* user name |
416                  '!'* #uid |
417                  '!'* %group |
418                  '!'* %#gid |
419                  '!'* %:nonunix_group |
420                  '!'* %:#nonunix_gid |
421                  '!'* +netgroup |
422                  '!'* Runas_Alias
423 .RE
424 .fi
425 .PP
426 Runas_List は User_List に似ている。違うのは、User_Alias ではなく、
427 Runas_Alias が使えることだ。ユーザ名やグループ名のマッチは、
428 文字列として行われることに気を付けていただきたい。
429 言い換えると、二つのユーザ名 (あるいは、グループ名) は、
430 仮に同じ uid (gid) を持っていても、別個のものと見なされるのである。
431 だから、もし同じ uid を持ったすべてのユーザ名にマッチさせたかったら
432 (たとえば、root と toor がそうだとしよう)、ユーザ名の代わりに uid を使えばよい
433 (この例なら、#0 である)。
434 .nf
435 .sp
436 .RS 0n
437 Host_List ::= Host |
438               Host ',' Host_List
439
440 Host ::= '!'* host name |
441          '!'* ip_addr |
442          '!'* network(/netmask)? |
443          '!'* +netgroup |
444          '!'* Host_Alias
445 .RE
446 .fi
447 .PP
448 Host_List を構成するのは、一個以上の次のものである。
449 ホスト名、IP アドレス、ネットワークアドレス、
450 ネットグループ名 (接頭辞 '+' が付く)、および他のエイリアス。
451 ここでもまた、項目の値は、'!' 演算子によって否定することができる。なお、
452 ホストのネットグループについては、ネットグループの成員中のホスト
453 (完全修飾名とそうでないもののどちらでも) とドメインの要素のみを使って、
454 マッチングが行われる。ユーザの要素はマッチングに使用されない。
455 ネットワークアドレスをネットマスクなしで指定した場合は、
456 \fBsudo\fP はローカルホストのネットワークインターフェースを一つ一つ参照し、
457 指定されたネットワークアドレスと同じアドレスを持つインターフェースがあれば、
458 そのネットマスクを使用することになる。ネットマスクの指定は、
459 標準の IP アドレス表記 (たとえば 255.255.255.0 や ffff:ffff:ffff:ffff::) でもよく、
460 CIDR 表記 (ビット数、たとえば 24 や 64) でもよい。
461 ホスト名の一部にシェル風のワイルドカードを使用することができるが
462 (下記の「ワイルドカード」セクションを参照)、
463 ご使用のマシンの hostname コマンドが完全修飾ドメイン名 (FQDN) を返さない場合、
464 ワイルドカードを利用するには \fIfqdn\fP オプションを使う必要がある。
465 なお、\fBsudo\fP がチェックするのは、
466 実在のネットワークインターフェースだけだということに留意してほしい。
467 すなわち、IP アドレス 127.0.0.1 (localhost) がマッチすることは、絶対にないのである。
468 また、"localhost" というホスト名がマッチするのは、
469 それが実際のホスト名であるときだけであり、
470 それは通常、ネットワークにつながっていないシステムの場合にしか当てはまらない。
471 .nf
472 .sp
473 .RS 0n
474 digest ::= [A\-Fa\-f0\-9]+ |
475            [[A\-Za\-z0\-9\+/=]+
476
477 Digest_Spec ::= "sha224" ':' digest |
478                 "sha256" ':' digest |
479                 "sha384" ':' digest |
480                 "sha512" ':' digest
481
482 Cmnd_List ::= Cmnd |
483               Cmnd ',' Cmnd_List
484
485 command name ::= file name |
486                  file name args |
487                  file name '""'
488
489 Cmnd ::= Digest_Spec? '!'* command name |
490          '!'* directory |
491          '!'* "sudoedit" |
492          '!'* Cmnd_Alias
493 .RE
494 .fi
495 .PP
496 Cmnd_List は一個以上の、コマンド名、ディレクトリ、
497 他のエイリアスからなるリストである。コマンド名は絶対パスのファイル名であり、
498 シェル風のワイルドカードを含んでいても構わない(下記の「ワイルドカード」セクションを参照)。
499 単にファイル名だけ指定した場合、
500 ユーザはお望みのどんな引き数でも付けてそのコマンドを実行することができる。
501 とは言え、コマンドライン引き数を (ワイルドカードを含めて)
502 指定しても構わないし、また、引き数に "\&" を指定して、そのコマンドは、
503 コマンドライン引き数を付けずに実行することしかできないと指示することもできる。
504 ディレクトリは '/' で終わる絶対パス名である。
505 Cmnd_List にディレクトリを指定すると、
506 ユーザーはそのディレクトリ内の任意のファイルを実行できるようになる
507 (だが、そのサブディレクトリにあるファイルは実行できない)。
508 .PP
509 Cmnd がコマンドライン引き数を伴っている場合は、 Cmnd 中の引き数は、
510 ユーザがコマンドラインで打ち込む引き数と正確に一致しなければならない
511 (Cmnd 中の引き数にワイルドカードがあるならば、
512 それがコマンドラインの引き数とマッチしなければならない)。
513 以下に挙げる文字をコマンド引き数の中で用いるときは、
514 \&'\e' によってエスケープしなければならないことに注意していただきたい。
515 \&',\&', ':\&', '=\&', '\e' がそれである。
516 Cmnd に "sudoedit" という \fBsudo\fP の組み込みコマンドを指定すると、
517 ユーザに \fBsudo\fP を \fB\-e\fP オプション付きで
518 (あるいは、\fBsudoedit\fP というコマンド名で) 実行することを許可することになる。
519 この場合、コマンドライン引き数も指定することができるのは、
520 普通のコマンドとまったく同様だ。
521 "sudoedit" は、\fBsudo\fP そのものに組み込まれたコマンドなので、\fIsudoers\fP
522 ファイルではパスを前に付けずに指定しなければならないことに注意していただきたい。
523 .PP
524 コマンド名の前に Digest_Spec が付いている場合、コマンドのマッチに成功するのは、
525 指定された SHA\-2 ダイジェストを使って照合できたときだけである。
526 ダイジェストのフォーマットとしては、
527 sha224, sha256, sha384, sha512 をサポートしている。
528 文字列は、16 進数形式でも base64 形式でも指定できる (base64 の方が短くて済む)。
529 SHA\-2 ダイジェストを 16 進数形式で生成できるユーティリティはいくつかある。
530 openssl, shasum, sha224sum, sha256sum, sha384sum, sha512sum
531 といったものがそうだ。
532 .PP
533 たとえば、openssl を使うなら、
534 .nf
535 .sp
536 .RS 0n
537 $ openssl dgst \-sha224 /bin/ls
538 SHA224(/bin/ls)= 118187da8364d490b4a7debbf483004e8f3e053ec954309de2c41a25
539 .RE
540 .fi
541 .PP
542 openssl を使って、base64 の出力を生成することもできる。
543 .nf
544 .sp
545 .RS 0n
546 $ openssl dgst \-binary \-sha224 /bin/ls | openssl base64
547 EYGH2oNk1JC0p9679IMATo8+BT7JVDCd4sQaJQ==
548 .RE
549 .fi
550 .PP
551 注意: もしユーザがコマンドそのものに対して (直接であれ、\fBsudo\fP コマンドを通してであれ)
552 書き込み権限を持っているならば、そのユーザは、ダイジェストチェックが済み、
553 コマンドが実行されるまでの間に、コマンドを別のものに置き換えることができるかもしれない。
554 同様の競合状態が、fexecve(2) システムコールを持っていないシステムでは、
555 コマンドが存在するディレクトリがユーザによって書き込み可能であるときに起こりえる。
556 .PP
557 コマンド・ダイジェストをサポートしているのは、バージョン 1.8.7 以上だけである。
558 .SS "デフォルト設定 (Defaults)"
559 かなりの設定オプションが、
560 一行以上の Default_Entry 行を指定することで実行時にデフォルトの値から変更可能だ。
561 その効果の及ぶ範囲は、あらゆるホストのすべてのユーザにすることもできるし、
562 ある特定のホストのすべてのユーザ、ある特定のユーザ、ある特定のコマンド、
563 ある特定のユーザとして実行するコマンドなどに限定することもできる。
564 気を付けてほしいのは、コマンドに限定した Defaults 行にコマンドライン引き数まで書くことができないことだ。
565 引き数を指定する必要がある場合は、Cmnd_Alias を定義して、代わりにそれを参照すればよい。
566 .nf
567 .sp
568 .RS 0n
569 Default_Type ::= 'Defaults' |
570                  'Defaults' '@' Host_List |
571                  'Defaults' ':' User_List |
572                  'Defaults' '!' Cmnd_List |
573                  'Defaults' '>' Runas_List
574
575 Default_Entry ::= Default_Type Parameter_List
576
577 Parameter_List ::= Parameter |
578                    Parameter ',' Parameter_List
579
580 Parameter ::= Parameter '=' Value |
581               Parameter '+=' Value |
582               Parameter '\-=' Value |
583               '!'* Parameter
584 .RE
585 .fi
586 .PP
587 パラメータは\fBフラグ\fP、\fB整数値\fP、\fB文字列\fP、\fBリスト\fPのどれであってもよい。
588 フラグは要するにブーリアン (真偽値) であり、'\&!' 演算子で off にできる。
589 整数値、文字列、リストのパラメータにも、真偽値として使用して、
590 それを無効にできるものがいくつか存在する。
591 パラメータの値が複数の単語を含むときは、
592 値をダブルクオート (\&"") で囲むとよい。
593 特殊文字はバックスラッシュ ('\e') でエスケープすることができる。
594 .PP
595 リストには代入演算子が = のほかにもう二つある。+= と \-= である。
596 こうした演算子は、それぞれ、リストに付け加えたり、リストから削除したりするのに使用する。
597 \-= 演算子を使って、リストに存在しない要素を消去しようとしても、エラーにはならない。
598 .PP
599 Defaults 行の解析は、次の順序で行われる。まず、汎用、Host、User の Defaults
600 が解析され、それから Runas の Defaults、最後にコマンドの Defaults の順番になる。
601 .PP
602 Defaults 行で使用できるパラメータのリストについては、
603 「SUDOERS のオプション」を御覧いただきたい。
604 .SS "ユーザ設定 (User Specification)"
605 .nf
606 .RS 0n
607 User_Spec ::= User_List Host_List '=' Cmnd_Spec_List \e
608               (':' Host_List '=' Cmnd_Spec_List)*
609
610 Cmnd_Spec_List ::= Cmnd_Spec |
611                    Cmnd_Spec ',' Cmnd_Spec_List
612
613 Cmnd_Spec ::= Runas_Spec? SELinux_Spec? Tag_Spec* Cmnd
614
615 Runas_Spec ::= '(' Runas_List? (':' Runas_List)? ')'
616
617 SELinux_Spec ::= ('ROLE=role' | 'TYPE=type')
618
619 Tag_Spec ::= ('EXEC:' | 'NOEXEC:' | 'FOLLOW:' | 'NOFOLLOW' |
620               'LOG_INPUT:' | 'NOLOG_INPUT:' | 'LOG_OUTPUT:' |
621               'NOLOG_OUTPUT:' | 'MAIL:' | 'NOMAIL:' | 'PASSWD:' |
622               'NOPASSWD:' | 'SETENV:' | 'NOSETENV:')
623 .RE
624 .fi
625 .PP
626 \fBユーザ設定\fPは、あるユーザが、指定されたホストで (どのユーザに変身して)
627 どのコマンドを実行できるかを決定する。デフォルトでは、コマンドは \fBroot\fP
628 に変身して実行されるが、これはコマンドごとに変更することができる。
629 .PP
630 ユーザ設定の基本構造は、"who where = (as_whom) what" である
631 ("誰が どのホストで = (誰に変身して) 何を")。構成部分に分けて説明しよう。
632 .SS Runas_Spec
633 Runas_Spec は変身の対象となるユーザやグループを規定している。
634 完全な形の Runas_Spec は、(上で定義しているように) コロン (':\&') で区切られ、
635 カッコで囲まれた、二つの Runas_List からなっている。一つ目の Runas_List は、
636 \fBsudo\fP で \fB\-u\fP オプションを使ったときに変身できるユーザを指している。
637 二番目の方が規定しているのは、\fBsudo\fP の \fB\-g\fP オプションによって指定できるグループのリストだ。
638 両方の Runas_List が指定されている場合は、それぞれの Runas_List
639 にリストされているユーザとグループの任意の組み合わせで、
640 コマンドを実行することができる。一つ目の Runas_List だけが指定されている場合は、
641 リスト中のいかなるユーザにでも変身してコマンドを実行できるが、
642 \fB\-g\fP オプションを指定することはできない。一つ目の Runas_List が空で、
643 二番目だけ指定されている場合は、\fBsudo\fP を実行するユーザの資格で、
644 グループを Runas_List にリストされている任意のグループに設定して、
645 コマンドを実行することができる。Runas_Lists が両方とも空の場合は、
646 \fBsudo\fP を実行するユーザの資格でしかコマンドを実行できない。
647 Runas_Spec がまったく指定されていない場合は、\fBroot\fP としてコマンドを実行できるが、
648 グループを指定することはできない。
649 .PP
650 Runas_Spec は、それに続くコマンドに対してデフォルトを定める。
651 それはどういうことかと言うと、次のようなエントリがあったとしよう。
652 .nf
653 .sp
654 .RS 0n
655 dgb     boulder = (operator) /bin/ls, /bin/kill, /usr/bin/lprm
656 .RE
657 .fi
658 .PP
659 ユーザ \fBdgb\fP は \fI/bin/ls\fP, \fI/bin/kill\fP, \fI/usr/bin/lprm\fP を実行することができる。
660 ただし、\fBoperator\fP として実行できるだけだ。たとえば、次のようにである。
661 .nf
662 .sp
663 .RS 0n
664 $ sudo \-u operator /bin/ls
665 .RE
666 .fi
667 .PP
668 エントリの後ろの方の Runas_Spec を変更することも可能だ。
669 上のエントリをこんなふうに書き変えたとしよう。
670 .nf
671 .sp
672 .RS 0n
673 dgb     boulder = (operator) /bin/ls, (root) /bin/kill, /usr/bin/lprm
674 .RE
675 .fi
676 .PP
677 すると、ユーザ \fBdgb\fP は、\fI/bin/ls\fP こそ \fBoperator\fP としてだが、
678 \fI/bin/kill\fP や \fI/usr/bin/lprm\fP は \fBroot\fP の資格で実行できるようになる。
679 .PP
680 \fBdgb\fP が /bin/ls を実行するとき、変身対象ユーザとグループのどちらでも
681 \fBoperator\fP になれるように、この記述を拡張することもできる。
682 .nf
683 .sp
684 .RS 0n
685 dgb     boulder = (operator : operator) /bin/ls, (root) /bin/kill,\e
686         /usr/bin/lprm
687 .RE
688 .fi
689 .PP
690 注意してほしいが、Runas_Spec のグループの部分は、
691 コマンドをそのグループとして実行することをユーザに許可しているのであって、
692 そうすることをユーザに強制しているのではない。
693 コマンドラインでグループを指定しない場合は、コマンドは、
694 パスワード・データベースにある変身対象ユーザのエントリに登録されているグループとして実行されることになるのだ。
695 以下のコマンドはすべて、上記の sudoers エントリによって許可されることになるだろう。
696 .nf
697 .sp
698 .RS 0n
699 $ sudo \-u operator /bin/ls
700 $ sudo \-u operator \-g operator /bin/ls
701 $ sudo \-g operator /bin/ls
702 .RE
703 .fi
704 .PP
705 次の例では、ユーザ \fBtcm\fP がモデムのデバイスファイルにアクセスするコマンドを
706 dialer グループとして実行できるようにしている。
707 .nf
708 .sp
709 .RS 0n
710 tcm     boulder = (:dialer) /usr/bin/tip, /usr/bin/cu,\e
711         /usr/local/bin/minicom
712 .RE
713 .fi
714 .PP
715 この例では、グループしか指定できないことに注意してほしい。コマンドは、
716 ユーザ \fBtcm\fP の資格のまま実行されるのである。たとえば、次のように。
717 .nf
718 .sp
719 .RS 0n
720 $ sudo \-g dialer /usr/bin/cu
721 .RE
722 .fi
723 .PP
724 Runas_Spec には複数のユーザやグループが存在してもよい。
725 その場合、ユーザは \fB\-u\fP や \fB\-g\fP オプションを使って、
726 ユーザとグループのどんな組み合わせでも選択することができる。
727 .nf
728 .sp
729 .RS 0n
730 alan    ALL = (root, bin : operator, system) ALL
731 .RE
732 .fi
733 .PP
734 この例では、ユーザ \fBalan\fP は root と bin のどちらのユーザにでも変身して、
735 任意のコマンドを実行することができる。また、グループを
736 operator や system に設定することも自由である。
737 .SS SELinux_Spec
738 SELinux をサポートするシステムでは、\fIsudoers\fP ファイルのエントリで
739 SELinux の role や type をコマンドに関連付けることも可能である。
740 role や type を特定のコマンドについて指定すると、
741 \fIsudoers\fP 中でデフォルトとして設定されている role や type があっても、
742 それよりも優先される。もっとも、role や type をコマンドラインで指定すれば、
743 そちらが \fIsudoers\fP 中の値よりさらに優先されることになる。
744 .SS Tag_Spec
745 コマンドは 0 個以上のタグを伴うことができる。使用できるタグの値は 14 個あり、
746 EXEC, NOEXEC, FOLLOW, NOFOLLOW, LOG_INPUT, NOLOG_INPUT, LOG_OUTPUT,
747 NOLOG_OUTPUT, MAIL, NOMAIL, PASSWD, NOPASSWD, SETENV, NOSETENV が、それである。
748 ある Cmnd にタグをセットすると、
749 Cmnd_Spec_List 中のそれ以後の Cmnd は、
750 反対の意味を持つタグによって変更されないかぎり、そのタグを継承することになる
751 (すなわち、PASSWD は NOPASSWD を無効にし、NOEXEC は EXEC を無効にする)。
752 .TP  2n
753 \fIEXEC\fP と \fINOEXEC\fP
754 .sp
755 \fBsudo\fP が \fInoexec\fP サポートつきでコンパイルされ、
756 使用しているオペレーティングシステムがそれに対応している場合、NOEXEC タグを利用すれば、
757 動的にリンクされた実行ファイルが、そこからさらにコマンドを実行するのを防ぐことができる。
758 .sp
759 次の例では、ユーザ \fBaaron\fP は \fI/usr/bin/more\fP と
760 \fI/usr/bin/vi\fP を実行できるが、シェル・エスケープは利用できない。
761 .nf
762 .sp
763 .RS 2n
764 aaron   shanty = NOEXEC: /usr/bin/more, /usr/bin/vi
765 .RE
766 .fi
767 .RS 2n
768 .sp
769 NOEXEC がどんなふうに働くのか、お使いのシステムで利用できるかどうか、
770 などについてさらに詳しく知りたかったら、
771 後述の「シェル・エスケープの防止」セクションを御覧になるとよい。
772 .RE
773 .TP  2n
774 \fIFOLLOW\fP と \fINOFOLLOW\fP
775 バージョン 1.8.15 以来、\fBsudoedit\fP は、
776 \fIsudoedit_follow\fP オプションが有効になっていないかぎり、
777 ファイルがシンボリックリンクならば、それを開かないようになっている。
778 \fIFOLLOW\fP と \fINOFOLLOW\fP タグは、\fIsudoedit_follow\fP の値を上書きするので、
779 これを使用すれば、シンボリックリンクの編集をコマンドごとに許可したり、
780 禁止したりすることができる。
781 この二つのタグが効果があるのは、\fIsudoedit\fP コマンドに対してのみであり、
782 他のどんなコマンドに対しても無視される。
783 .TP  2n
784 \fILOG_INPUT\fP と \fINOLOG_INPUT\fP
785 .sp
786 この二つのタグは \fIlog_input\fP オプションの値をコマンドごとに変更する。
787 詳しい情報については、後述する「SUDOERS のオプション」セクションの
788 \fIlog_input\fP の説明をご覧になっていただきたい。
789 .TP  2n
790 \fILOG_OUTPUT\fP と \fINOLOG_OUTPUT\fP
791 .sp
792 この二つのタグは \fIlog_output\fP オプションの値をコマンドごとに変更する。
793 詳しい情報については、後述する「SUDOERS のオプション」セクションの
794 \fIlog_output\fP の説明をご覧になっていただきたい。
795 .TP  2n
796 \fIMAIL\fP と \fINOMAIL\fP
797 .sp
798 この二つのタグを使えば、
799 \fImail_all_cmnds\fP オプションの値をコマンドごとに上書きすることによって、
800 ユーザがコマンドを実行したときにメールを送付するかどうかについて、
801 きめ細かな制御を行うことができる。
802 \fBsudo\fP が \fB\-l\fP や \fB\-v\fP オプションを付けて実行されたときには、効果がない。
803 \fINOMAIL\fP は、\fImail_always\fP や \fImail_no_perms\fP オプションも上書きする。
804 詳細については、後述の「SUDOERS のオプション」セクションにある
805 \fImail_all_cmnds\fP, \fImail_always\fP, \fImail_no_perms\fP の説明をご覧いただきたい。
806 .TP  2n
807 \fIPASSWD\fP と \fINOPASSWD\fP
808 .sp
809 デフォルトでは、\fBsudo\fP はコマンドを実行する前に、ユーザが本人であることを証明するように求める。
810 この振舞いは NOPASSWD タグによって変更することができる。Runas_Spec と同様、
811 NOPASSWD タグも Cmnd_Spec_List 中のそれに続くコマンドに対してデフォルトを定める。
812 PASSWD の働きは反対であり、振舞いを元に戻したいときに使える。たとえば、
813 .nf
814 .sp
815 .RS 2n
816 ray     rushmore = NOPASSWD: /bin/kill, /bin/ls, /usr/bin/lprm
817 .RE
818 .fi
819 .RS 2n
820 .sp
821 とすれば、ユーザ \fBray\fP はマシン rushmore 上で認証をしないでも
822 \fBroot\fP として \fI/bin/kill\fP, \fI/bin/ls\fP, \fI/usr/bin/lprm\fP
823 を実行できるようになる。もし \fBray\fP がパスワードなしで実行できるコマンドを
824 \fI/bin/kill\fP だけに絞りたいのなら、エントリはこうなるだろう。
825 .nf
826 .sp
827 .RS 2n
828 ray     rushmore = NOPASSWD: /bin/kill, PASSWD: /bin/ls, /usr/bin/lprm
829 .RE
830 .fi
831 .sp
832 ただし、ユーザが \fIexempt_group\fP オプションで指定されているグループに属する場合は、
833 PASSWD タグが効果を持たないことに注意してほしい。
834 .sp
835 デフォルトでは、現在使用中のホストに関するユーザのエントリのうちに
836 NOPASSWD タグが指定されているものが一つでもあれば、
837 そのユーザはパスワードなしで "sudo \-l" を実行できる。
838 なお、ユーザがパスワードなしで "sudo \-v" を実行できるのは、
839 現在使用中のホストに関するそのユーザのエントリのすべてで
840 NOPASSWD タグが生きているときのみである。この動作は、\fIverifypw\fP や \fIlistpw\fP
841 オプションによって変更できる。
842 .RE
843 .TP  2n
844 \fISETENV\fP と \fINOSETENV\fP
845 .sp
846 上記のタグは \fIsetenv\fP オプションの値をコマンドごとに変更する。
847 あるコマンドに対して SETENV を設定すると、
848 ユーザがコマンドラインから \fB\-E\fP オプションを使用して、
849 \fIenv_reset\fP オプションを無効にできるようになることに注意してほしい。
850 それだけではない。コマンドラインから設定する環境変数が \fIenv_check\fP,
851 \fIenv_delete\fP, \fIenv_keep\fP による規制を受けないようにもなる。
852 それ故、こうした形で環境変数を設定することを許可するのは、
853 信用できるユーザだけに限るべきである。なお、マッチするコマンドが
854 \fBALL\fP だった場合は、暗黙のうちに SETENVタグがそのコマンドに付けられるが、
855 このデフォルトの動作は UNSETENV タグを使えば打ち消すことができる。
856 .SS ワイルドカード
857 \fIsudoers\fP ファイルでは、ホスト名、コマンドのパス名、
858 コマンドライン引き数にシェル形式のワイルドカード (メタ文字とか
859 glob キャラクタとも言う) が使用できる。ワイルドカードのマッチングは、
860 IEEE Std 1003.1 ("POSIX.1") で規定されている glob(3) や fnmatch(3)
861 関数を用いて行われる。
862 .TP  10n
863 *
864 0 個以上の任意の文字 (ホワイトスペースも含む) にマッチする。
865 .TP  10n
866 \&?
867 任意の 1 文字 (ホワイトスペースも含む) にマッチする。
868 .TP  10n
869 [...]
870 指定された範囲の任意の 1 文字にマッチする。
871 .TP  10n
872 [!...]
873 指定された範囲\fI以外\fPの任意の 1 文字にマッチする。
874 .TP  10n
875 \ex
876 \&'x' がどんな文字であっても、'x' そのものとして評価する。
877 この表記法は '*', '\&?', '[\&', ']\&'
878 といった特殊文字をエスケープするために使用される。
879 .PP
880 \fB上記のものは正規表現ではないことに注意していただきたい。\fP
881 正規表現とは違って、範囲内の文字一つ以上にマッチさせる方法は存在しない。
882 .PP
883 使用しているシステムの glob(3) や fnmatch(3) 関数が文字クラスに対応しているなら、
884 文字クラスが使用できる。ただし、':\&' 文字は、
885 \fIsudoers\fP で特別な意味を持っているので、エスケープしなければならない。
886 一例を上げる。
887 .nf
888 .sp
889 .RS 4n
890 /bin/ls [[\e:\&alpha\e:\&]]*
891 .RE
892 .fi
893 .PP
894 \fIsudoers\fP 中で上のように書けば、アルファベットの文字で始まるどんなファイル名にもマッチするだろう。
895 .PP
896 コマンドのファイル名の部分で使われたワイルドカードはフォワードスラッシュ
897 ('/') に\fIマッチしない\fPことに注意していただきたい。そこで、次のようなパスは、
898 .nf
899 .sp
900 .RS 4n
901 /usr/bin/*
902 .RE
903 .fi
904 .PP
905 \fI/usr/bin/who\fP にマッチするが、\fI/usr/bin/X11/xterm\fP にはマッチしない。
906 .PP
907 だが、コマンドライン引き数の部分のマッチングでは、
908 ワイルドカードはスラッシュに\fIしっかりマッチする\fP。
909 コマンドライン引き数には、任意の文字列を含むことが認められており、
910 パス名しか許されていないわけではないからだ。
911 .PP
912 \fIsudoers\fP \fB中でコマンドライン引き数にワイルドカードを使用するときは、\fP
913 \fB注意しなければならない。\fP
914 .br
915 コマンドライン引き数は、結合して一つの文字列にした上で、マッチングを行う。
916 そのため、'\&?' や '*' といったワイルドカード文字が、
917 ユーザが指定したコマンドライン引き数と、
918 単語の境界をまたいでマッチしてしまうことになるのだ。
919 これは想定外のことかもしれない。たとえば、\fIsudoers\fP に次のような行があると、
920 .nf
921 .sp
922 .RS 4n
923 %operator ALL = /bin/cat /var/log/messages*
924 .RE
925 .fi
926 .PP
927 以下のコマンドが実行できることになるが、
928 .nf
929 .sp
930 .RS 4n
931 $ sudo cat /var/log/messages.1
932 .RE
933 .fi
934 .PP
935 また、以下のコマンドの実行も可能になってしまう。
936 .nf
937 .sp
938 .RS 4n
939 $ sudo cat /var/log/messages /etc/shadow
940 .RE
941 .fi
942 .PP
943 後者は、おそらく意図に反しているだろう。たいていの場合、
944 コマンドラインの処理は、\fIsudoers\fP ファイルの中ではなく、
945 スクリプト言語中で行った方が間違いがない。
946 .SS ワイルドカード・ルールの例外
947 上記ルールには以下の例外がある。
948 .TP  10n
949 \&""
950 \fIsudoers\fP ファイルのエントリにおいて、空文字列 \&""
951 が唯一のコマンドライン引き数だった場合は、
952 そのコマンドは引き数を\fI付けずに\fP実行しなければならないことを意味している。
953 .TP  10n
954 sudoedit
955 組み込みコマンド \fIsudoedit\fP にコマンドラインで渡す引き数は、
956 常にパス名であるはずだ。そこで、ワイルドカードはフォワードスラッシュ
957 ('/') にマッチしないようになっている
958 (訳注: \fIsudoers\fP 中で \fIsudoedit\fP に対して引き数を指定する場合、
959 それは一般のコマンドライン引き数と同じ扱いではなく、パス名扱いになるということ)。
960 .SS "sudoers に他のファイルをインクルードする"
961 #include 命令や #includedir 命令を使えば、現在解析中の \fIsudoers\fP ファイルに、
962 外部にあるほかの \fIsudoers\fP ファイルをインクルードすることができる。
963 .PP
964 この方法を使えば、たとえば、サイト全体で使用する \fIsudoers\fP ファイルのほかに、
965 マシンごとのローカルな \fIsudoers\fP ファイルを持つことができる。
966 ここでは、サイト全体の \fIsudoers\fP ファイルを \fI/etc/sudoers\fP とし、
967 マシンごとの方は \fI/etc/sudoers.local\fP とすることにしよう。
968 \fI/etc/sudoers\fP に \fI/etc/sudoers.local\fP をインクルードするには、
969 \fI/etc/sudoers\fP 中に次の行を書き込めばよい。
970 .nf
971 .sp
972 .RS 4n
973 #include /etc/sudoers.local
974 .RE
975 .fi
976 .PP
977 \fBsudo\fP は解析中この行に出会うと、カレントファイル (\fI/etc/sudoers\fP だ)
978 の処理を一時中止して、処理の対象を \fI/etc/sudoers.local\fP に切り替える。
979 そして、\fI/etc/sudoers.local\fP の末尾まで達したら、\fI/etc/sudoers\fP の残りを処理するのである。
980 インクルードされるファイルが、さらに他のファイルをインクルードしていてもよい。
981 インクルートのネストには、128 ファイルまでというハード・リミットがあって、
982 インクルードファイルのループが起きないようになっている。
983 .PP
984 インクルードファイルのパスが絶対パスでない場合は (すなわち、パスが
985 \&'/' で始まっていない場合は)、インクルードする側の sudoers
986 ファイルと同じディレクトリに、インクルードされるファイルも存在しなければならない。
987 たとえば、\fI/etc/sudoers\fP に次のような行があったら、
988 .nf
989 .sp
990 .RS 4n
991 #include sudoers.local
992 .RE
993 .fi
994 .PP
995 インクルードされるファイルは、\fI/etc/sudoers.local\fP である。
996 .PP
997 なお、ファイル名には %h エスケープが使える。これはホスト名の短縮形を示している。
998 たとえば、マシンのホスト名が "xerxes" のとき、
999 .nf
1000 .sp
1001 .RS 4n
1002 #include /etc/sudoers.%h
1003 .RE
1004 .fi
1005 .PP
1006 と書けば、\fBsudo\fP はファイル \fI/etc/sudoers.xerxes\fP
1007 をインクルードすることになる。
1008 .PP
1009 #includedir 命令を使えば、\fIsudoers.d\fP ディレクトリを作っておいて、
1010 システムのパッケージ管理者がパッケージをインストールする際に \fIsudoers\fP
1011 のルールを記したファイルをそこに入れてやる、といったことが可能になる。
1012 たとえば、次のように書くと、
1013 .nf
1014 .sp
1015 .RS 4n
1016 #includedir /etc/sudoers.d
1017 .RE
1018 .fi
1019 .PP
1020 \fBsudo\fP は \fI/etc/sudoers.d\fP にあるファイルを一つづつ読み込む。
1021 ただし、末尾が '~' だったり、'.\&' 文字を含んでいたりするファイル名はスキップするが、
1022 これは、パッケージマネージャやエディタが作った、
1023 テンポラリファイルやバックアップファイルを読み込むような問題を起こさないためである。
1024 ファイルは辞書順にソートされて、解析される。すなわち、\fI/etc/sudoers.d/01_first\fP は
1025 \fI/etc/sudoers.d/10_second\fP より前に解析されるということだ。
1026 ソートは辞書順であって、数値の順ではないので、
1027 \fI/etc/sudoers.d/1_whoops\fP というファイルがあっても、
1028 \fI/etc/sudoers.d/10_second\fP \fIより後で\fPロードされることに注意していただきたい。
1029 ファイル名の先頭を 0 で埋めて数字の桁を揃えれば、
1030 こうした問題を回避することができる。
1031 .PP
1032 気をつけていただきたいが、#include でインクルードされたファイルとは違って
1033 (訳注: \fBvisudo\fP は \fI/etc/sudoers\fP を編集するとき、#include
1034 で指定したファイルがあれば、続けてそれも編集する)、
1035 \fBvisudo\fP が #includedir で指定したディレクトリのファイルまで編集するのは、
1036 シンタクスエラーを含むものがあるときだけである。
1037 とは言え、\fBvisudo\fP を \fB\-f\fP オプション付きで実行して、
1038 ディレクトリ中のファイルを直接編集することは可能だが、その場合は、
1039 他のファイルで定義されているエイリアスが再定義されていても、
1040 それを見つけて指摘してくれることはない。
1041 .SS ほかの特殊文字と予約語
1042 パウンド記号 ('#') はコメントを示すのに使用される
1043 (例外は、#include 命令の一部であるときや、ユーザ名に関連して現れ、
1044 その後に一個以上の数字が続くときであり、後者の場合は uid と見なされる)。
1045 コメント記号とそれに続くテキストは、行末にいたるまで無視される。
1046 .PP
1047 予約語 \fBALL\fP は組込みのエイリアスであり、何に対してでもマッチする。
1048 \fBALL\fP は、Cmnd_Alias, User_Alias, Runas_Alias, Host_Alias
1049 を代わりに使えるところなら、どこでも使用できる。
1050 \fBALL\fP という名前のエイリアスを自分で定義しようとしてはいけない。
1051 組込みのエイリアスの方が、自分で作ったエイリアスより優先して使われるからだ。
1052 \fBALL\fP の使用には危険が伴うことがあるのを忘れないでいただきたい。
1053 なぜなら、\fBALL\fP をコマンドに関して使うと、
1054 ユーザにシステム上の\fIどんな\fPコマンドでも実行することを許してしまうからである。
1055 .PP
1056 エクスクラメーションマーク ('\&!') は、リストやエイリアス中はもちろん、
1057 Cmnd の前でも論理 \fInot\fP 演算子として使用することができる。
1058 これによってある値を除外することが可能になるわけだ。
1059 ただし、'\&!' 演算子が効果を持つためには、
1060 そこから除外する対象が存在しなければならない。
1061 たとえば、root 以外のすべてのユーザにマッチさせたい場合は、
1062 次の表現を使用する。
1063 .nf
1064 .sp
1065 .RS 4n
1066 ALL,!root
1067 .RE
1068 .fi
1069 .PP
1070 次のように \fBALL\fP の記述を省くと、
1071 .nf
1072 .sp
1073 .RS 4n
1074 !root
1075 .RE
1076 .fi
1077 .PP
1078 確かに root を明示的に否定することにはなるが、
1079 他のどんなユーザともマッチすることがない。
1080 この点が、正真の「否定」演算子とは違っている。
1081 .PP
1082 とは言え、組込みエイリアス \fBALL\fP と '\&!' を組み合わせて、
1083 「二三のコマンド以外のすべての」コマンドの実行をあるユーザに許可しようとしても、
1084 意図どおりの動きになることはめったにないことに気をつけていただきたい
1085 (下記の「セキュリティに関する注意点」を参照)。
1086 .PP
1087 長い行は、行末にバックスラッシュ '\e' を置けば、継続することができる。
1088 .PP
1089 リストにおける要素間やユーザ設定における構文用特殊文字 ('=\&', ':\&',
1090 \&'(\&', ')\&') の前後に空白 (white space) を入れることは、任意である。
1091 .PP
1092 次の文字を単語 (ユーザ名とかホスト名とか) の一部として使うときは、
1093 バックスラッシュ ('\e') でエスケープしなければならない。
1094 \&'\&!', '=\&', ':\&', ',\&', '(\&', ')\&', '\e' がそれである。
1095 .SH "SUDOERS のオプション"
1096 すでに説明したように、\fBsudo\fP の動作は Default_Entry 行によって変更することができる。
1097 Defaults に与えることのできるパラメータについて、
1098 サポートされているもののすべてを、タイプ別にまとめて以下に列挙する。
1099 .PP
1100 \fBブーリアン・フラグ\fP (真偽値)
1101 .TP  18n
1102 always_query_group_plugin
1103 \fIgroup_plugin\fP の設定がなされている場合に、
1104 %group の形式のグループを解決するのに、
1105 同名のシステム・グループが同時に存在しないかぎり、
1106 指定された \fIgroup_plugin\fP を使用する。
1107 \fIalways_query_group_plugin\fP が設定されていない通常の状態では、
1108 %:group の形式のグループのみが \fIgroup_plugin\fP に渡されるのである。
1109 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1110 .TP  18n
1111 always_set_home
1112 これを有効にすると、\fBsudo\fP は環境変数 HOME を変身対象ユーザの
1113 (\fB\-u\fP オプションが使用されていないかぎり、root の)
1114 ホームディレクトリに設定することになる。事実上、
1115 暗黙のうちに \fBsudo\fP に \fB\-H\fP オプションが常に指定されることになるわけだ。
1116 気をつけていただきたいが、デフォルトでは、
1117 \fIenv_reset\fP オプションが有効になっている場合は、
1118 HOME の値は、変身対象ユーザのホームディレクトリに設定されることになる。
1119 だから、\fIalways_set_home\fP
1120 の指定に効果があるのは、\fIenv_reset\fP を無効に設定している場合か、
1121 \fIenv_keep\fP のリストに HOME が存在する場合だけである。
1122 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1123 .TP  18n
1124 authenticate
1125 これをセットすると、ユーザはコマンドの実行を許可される前に、パスワードで
1126 (あるいは、ほかの認証方法で) 自分が本人であることを証明しなければならなくなる。
1127 このデフォルト値は PASSWD や NOPASSWD タグで変更できる。
1128 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1129 .TP  18n
1130 closefrom_override
1131 これをセットすると、ユーザが \fBsudo\fP の \fB\-C\fP
1132 オプションを使用できるようになる。\fB\-C\fP オプションというのは、
1133 \fBsudo\fP が開いているファイル・ディスクリプタを閉じていくとき、
1134 どのディスクリプタから閉じていくかという、デフォルトの始点を変更するものだ。
1135 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1136 .TP  18n
1137 compress_io
1138 これをセットすると、
1139 \fBsudo\fP がコマンドの入出力のログを取るように設定されている場合に、
1140 入出力のログを \fBzlib\fP を使って、圧縮することになる。
1141 \fBsudo\fP が \fBzlib\fP をサポートするようにコンパイルされている場合、
1142 このフラグのデフォルトは \fIon\fP である。
1143 .TP  18n
1144 exec_background
1145 デフォルトでは、\fBsudo\fP 自体がフォアグラウンドで実行されているかぎり、
1146 コマンドは \fBsudo\fP によってフォアグラウンド・プロセスとして実行される。それに対して、
1147 \fIexec_background\fP フラグが有効になっている場合は、
1148 コマンドが (入出力ロギングや \fIuse_pty\fP フラグのために) pty で実行されていると、
1149 そのコマンドはバックグラウンド・プロセスとして実行されることになる。
1150 このとき、そのコマンドが制御ターミナルから読み込みを行おうとすると
1151 (あるいは、ターミナルの設定を変更しようとすると)、
1152 コマンドは SIGTTIN シグナル (ターミナル設定の場合は SIGTTOU シグナル)
1153 によってサスペンドされる。そうしたことが起きても、
1154 \fBsudo\fP がフォアグラウンド・プロセスならば、
1155 そのコマンドは制御ターミナルの使用を許可され、
1156 ユーザが何の操作をしないでも、フォアグラウンドで実行が再開される。
1157 コマンドの実行をバックグラウンドで始めることの利点は、
1158 そうすれば、コマンドが明示的に要求しないかぎり、
1159 \fBsudo\fP はターミナルから読み込みを行う必要がないということである。
1160 そうしない場合は、コマンドが入力を要求しているか否かに関わりなく、
1161 いかなる入力もコマンドに渡さなければならないのだ
1162 (カーネルがターミナルのバッファリングをしているので、
1163 コマンドが本当にその入力を必要としているかどうかを、
1164 判断することはできないのである)。
1165 この動作は、従来の \fIsudo\fP の動作とは異なっている。
1166 また、コマンドが pty で実行されていないときの動作とも異なっている。
1167 .sp
1168 この動作がシームレスに行われるためには、オペレーティングシステムが、
1169 システムコールの自動的な再スタートをサポートしていなければならない。
1170 残念なことに、すべてのオペレーティングシステムが、
1171 デフォルトでそれを行ってくれるわけではなく、
1172 それを行ってくれるオペレーティングシステムにも、バグがあることがある。たとえば、
1173 Mac OS X は、\fBtcgetattr\fP() や \fBtcsetattr\fP() システムコールの再スタートに失敗する
1174 (これは Mac OS X のバグである)。それだけではなく、この動作は、
1175 コマンドが SIGTTIN や SIGTTOU シグナルで停止することを当てにしているので、
1176 そうしたシグナルは捕獲し、別のシグナル (たいていは SIGSTOP)
1177 で自分を停止させるプログラムは、自動的にフォアグラウンド化できない。
1178 linux の su(1) コマンドの動作が、系統によっては、そんなふうになっている。
1179 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1180 .sp
1181 この設定は、バージョン 1.8.7 以上でのみサポートされている。
1182 また、入出力ロギングが有効になっている場合や、
1183 \fIuse_pty\fP フラグが有効になっている場合以外、この設定には効果がない。
1184 .TP  18n
1185 env_editor
1186 これをセットすると、\fBvisudo\fP はデフォルトのエディタ・リストを利用する前に、
1187 環境変数 EDITOR や VISUAL の値を使用するようになる。
1188 それがセキュリティホールになりかねないことに注意していただきたい。
1189 ユーザが root として任意のコマンドを、
1190 ログに記録されることなく実行できるようになるからだ。
1191 こうした環境変数を利用するときの、\fIenv_editor\fP を有効にするよりも安全な方法は、
1192 \fIsudoers\fP ファイルの \fIeditor\fP オプションにコロンで区切ったエディタのリストを書いておくことだ。そうすれば、
1193 \fBvisudo\fP が EDITOR や VISUAL を使うのは、それが \fIeditor\fP
1194 オプションに指定した値とマッチしたときだけになる。
1195 \fIenv_reset\fP フラグが有効な場合に、\fBsudo\fP 経由で \fBvisudo\fP を起動したとき
1196 \fIenv_editor\fP フラグが効果を持つためには、
1197 環境変数 EDITOR や VISUAL が \fIenv_keep\fP のリストに存在していなければならない。
1198 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1199 .TP  18n
1200 env_reset
1201 これをセットすると、\fBsudo\fP は最小限の環境でコマンドを実行することになる。
1202 その環境には、以下の変数が含まれている。TERM, PATH, HOME,
1203 MAIL, SHELL, LOGNAME, USER, USERNAME、及び SUDO_* という変数。
1204 それに、\fBsudo\fP を起動するユーザの環境にある変数のうち、
1205 \fIenv_keep\fP や \fIenv_check\fP のリストにマッチするものが加わり、
1206 さらに、\fIenv_file\fP オプションによって指定されたファイルがあれば、
1207 そのファイルに記載されたすべての変数が追加される。
1208 \fIenv_keep\fP や \fIenv_check\fP のリストにどんな変数が存在するかについては、
1209 root ユーザとして \fBsudo\fP に \fB\-V\fP オプションを付けて実行すれば、
1210 \fIsudoers\fP 中でグローバルな Defaults パラメータによって変更された結果を、
1211 見ることができる。
1212 なお、\fIsecure_path\fP オプションが設定されているときは、
1213 その値が環境変数 PATH の値として使用される。
1214 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1215 .TP  18n
1216 fast_glob
1217 通常 \fBsudo\fP はパス名のマッチングをするとき、glob(3)関数を使用して、
1218 シェル・スタイルのワイルドカード展開 (glob) を行う。
1219 しかし、glob(3) はファイルシステムにアクセスするので、
1220 指定パターンによっては、作業を完了するまでに時間がかかることがある。
1221 必要に応じてマウントするようになっている (つまりオートマウントの)
1222 ネットワーク・ファイル・システムを参照するときは、とりわけ時間がかかる。
1223 \fIfast_glob\fP オプションを指定すると、\fBsudo\fP が fnmatch(3) 関数を使うようになるが、
1224 こちらの関数はマッチングを行う際にファイルシステムにアクセスしない。
1225 \fIfast_glob\fP の欠点は、\fI./ls\fP や \fI../bin/ls\fP
1226 のような相対パスに対するマッチができないことである。そのため、
1227 ワイルドカードを含むパス名が、否定演算子 '!\&'
1228 と一緒に使われている場合に、セキュリティ上の問題が生じるおそれがある。
1229 そうしたルールは簡単に迂回できるからだ。
1230 従って、\fIsudoers\fP ファイルに、ワイルドカードを含むパス名を否定するルールが存在する場合は、
1231 このオプションを使ってはいけない。このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1232 .TP  18n
1233 fqdn
1234 ローカル・ホスト名 (hostname コマンドが返すもの) がドメイン名を含まないとき、
1235 \fIsudoers\fP ファイルで完全修飾ホスト名を使用したかったら、
1236 このフラッグをセットするとよい。すなわち、myhost ではなく、
1237 myhost.mydomain.edu を使いたい場合だ。そのときでも、
1238 そうしたければ、短縮形も使用できる (両方を混ぜて使うこともできる)。
1239 このオプションに効果があるのは、\fBgetaddrinfo\fP() や \fBgethostbyname\fP()
1240 関数が返すホストの「正規名 (canonical name)」が、
1241 完全修飾ドメイン名であるときだけである。
1242 システムがホスト名の解決に DNS を使用するように設定されているときは、普通そうなる。
1243 .sp
1244 システムが DNS よりも優先して \fI/etc/hosts\fP を使用するように設定されている場合、
1245 ホストの正規名は完全修飾名ではないかもしれない。
1246 ホスト名解決のために問い合わせる情報源の順番は、普通 \fI/etc/nsswitch.conf\fP,
1247 \fI/etc/netsvc.conf\fP, \fI/etc/host.conf\fP ファイルで指定されている。
1248 \fI/etc/resolv.conf\fP のこともある。\fI/etc/hosts\fP ファイルでは、
1249 エントリの最初のホスト名が正規名と見なされる。後に続く名前はエイリアスであり、
1250 \fBsudoers\fP によって使用されることはない。たとえば、hosts ファイルに
1251 "xyzzy" というマシンについて下記の行があるとき、
1252 完全修飾ドメイン名がホストの正規名であり、短い方の名前はエイリアスである。
1253 .sp
1254 .RS 24n
1255 192.168.1.1     xyzzy.sudo.ws xyzzy
1256 .RE
1257 .RS 18n
1258 .sp
1259 hosts ファイルにおけるマシンのエントリの書式が不適切だと、
1260 hosts ファイルへの問い合わせが DNS より前に行われる場合、\fIfqdn\fP
1261 オプションを指定しても、効果がない。
1262 .sp
1263 気を付けてほしいのは、ホスト名の解決に DNS を使用する場合、
1264 \fIfqdn\fP 有効にすると、\fBsudoers\fP は DNS に問い合わせをしなければならないので、
1265 DNS が稼働していないと (たとえば、マシンがネットワークから切り離されていると)、
1266 \fBsudo\fP が使えなくなるということである。
1267 もう一つ気を付けるべきことがある。hosts ファイルを使用する場合と同じことだが、
1268 DNS が知っているホストの正規名を使わなければならない。
1269 言い換えれば、ホストのエイリアス (CNAME のエントリ) を使ってはいけない。
1270 パフォーマンスの問題もあるし、DNS からエイリアスをすべて取得する方法はないからでもある。
1271 .sp
1272 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1273 .RE
1274 .TP  18n
1275 ignore_dot
1276 これをセットすると、環境変数 PATH 中に "." や ""
1277 (どちらもカレントディレクトリを意味する) があっても、
1278 \fBsudo\fP はそれを無視する。PATH そのものは変更されない。
1279 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1280 .TP  18n
1281 ignore_local_sudoers
1282 LDAP の方でこのフラグをセットすると、\fI/etc/sudoers\fP の解析がスキップされることになる。
1283 このフラグは、ローカルにある sudoers ファイルの使用を禁じて、
1284 LDAP のみを使うようにしたい諸企業のためにある。
1285 たちの悪いオペレータが \fI/etc/sudoers\fP に手を加えて、
1286 自分の権限を増やそうとしても、そうした悪だくみは阻止されるわけだ。
1287 このオプションが設定されているときは、
1288 \fI/etc/sudoers\fP ファイルは存在する必要すらない。このオプションは、
1289 LDAP 中に、マッチする特定のエントリが存在しなかったときに、
1290 いかに振舞うべきかを \fBsudo\fP に指示するものだから、
1291 これを指定する sudoOption は、cn=defaults のセクションになければ意味がない。
1292 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1293 .TP  18n
1294 insults
1295 これをセットすると、不正なパスワードが入力されたとき、
1296 \fBsudo\fP がユーザに悪態をつく。このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1297 .TP  18n
1298 log_host
1299 これをセットすると、ホスト名が (syslog 経由ではない) \fBsudo\fP のログファイルに記録されることになる。
1300 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1301 .TP  18n
1302 log_input
1303 これをセットすると、\fBsudo\fP は、擬似 tty でコマンドを実行し、
1304 ユーザの入力をすべてログに取ることになる。入出力がリダイレクトされているとか、
1305 コマンドがパイプラインの一部だとかいう理由で、標準入力がユーザの tty
1306 に結びつけられていない場合でも、その入力はやはりキャプチャーされ、
1307 独立したログファイルに書き込まれる。
1308 より詳しい情報については、「入出力ログファイル」セクションをご覧になるとよい。
1309 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1310 .TP  18n
1311 log_output
1312 これをセットすると、\fBsudo\fP は、\fI擬似 tty\fP でコマンドを実行し、
1313 スクリーンに送られたすべての出力をログに取ることになる。
1314 script(1) コマンドと似たことをやるわけだ。
1315 より詳しい情報については、「入出力ログファイル」セクションをご覧になるとよい。
1316 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1317 .TP  18n
1318 log_year
1319 これをセットすると、四桁の年が (syslog 経由ではない) \fBsudo\fP のログファイルに記入されることになる。
1320 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1321 .TP  18n
1322 long_otp_prompt
1323 \fBS/Key\fP や \fBOPIE\fP のような One Time Password (OTP) スキームを採用しているときにこれを有効にすると、
1324 チャレンジをローカルウィンドウにカット・アンド・ペーストしやすいように、
1325 二行のプロンプトが使用される。デフォルトのプロンプトほど見栄えはよくないが、
1326 こちらの方が便利だと思う人もいる。このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1327 .TP  18n
1328 mail_all_cmnds
1329 ユーザが \fBsudo\fP 経由でコマンドの実行を試みるたびに
1330 (\fBsudoedit\fP の実行も含む)、\fImailto\fP ユーザにメールを送付する。
1331 ただし、ユーザが \fBsudo\fP に \fB\-l\fP や \fB\-v\fP オプションを付けて実行したときは、
1332 認証エラーがあり、しかも \fImail_badpass\fP フラグがセットされていないかぎり、
1333 メールを送付することはない。このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1334 .TP  18n
1335 mail_always
1336 ユーザが \fBsudo\fP を実行するたびに、\fImailto\fP ユーザにメールを送る。
1337 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1338 .TP  18n
1339 mail_badpass
1340 \fBsudo\fP を実行するユーザが正しいパスワードを入力しなかったら、
1341 \fImailto\fP ユーザにメールを送付する。ユーザが実行しようとしているコマンドが
1342 \fBsudoers\fP によって許可されていない場合に、\fImail_all_cmnds\fP,
1343 \fImail_always\fP, \fImail_no_host\fP, \fImail_no_perms\fP, \fImail_no_user\fP
1344 フラグのどれかがセットされていると、このフラグは効果を持たないことになる。
1345 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1346 .TP  18n
1347 mail_no_host
1348 これをセットすると、\fBsudo\fP を起動したユーザが \fIsudoers\fP
1349 ファイルに記載されてはいるものの、
1350 使用中のホストでコマンドの実行を許可されていない場合に、
1351 \fImailto\fP ユーザにメールを送付する。このフラグはデフォルトでは
1352 \fIoff\fP である。
1353 .TP  18n
1354 mail_no_perms
1355 これをセットすると、\fBsudo\fP を起動したユーザが
1356 \fBsudo\fP の使用を許可されているが、
1357 実行しようとしているコマンドが \fIsudoers\fP ファイルの
1358 そのユーザのエントリに登録されていないか、明示的に禁止されている場合に、
1359 \fImailto\fP ユーザにメールを送付する。このフラグはデフォルトでは
1360 \fIoff\fP である。
1361 .TP  18n
1362 mail_no_user
1363 これをセットすると、\fBsudo\fP を起動したユーザが \fIsudoers\fP
1364 ファイルに記載されていない場合に、\fImailto\fP ユーザにメールを送付する。
1365 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1366 .TP  18n
1367 netgroup_tuple
1368 これをセットすると、
1369 ネットグループの検索がネットグループのタプル全部を使って行われることになる
1370 (すなわち、ホスト名、ユーザ名、ドメインの三つが、それぞれ設定されているならば、
1371 使用される)。従来の \fBsudo\fP では、
1372 User_List で使用されるネットグループについては、
1373 ユーザ名とドメインだけを照合し、Host_List で使用されるネットグループについては、
1374 ホスト名とドメインだけを照合していた。このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1375 .TP  18n
1376 noexec
1377 これをセットすると、\fBsudo\fP を通して実行されるすべてのコマンドが、
1378 EXEC タグで無効にされないかぎり、
1379 あたかも NOEXEC タグが設定されているかのごとく振舞うようになる。
1380 前述の「\fIEXEC\fP と \fINOEXEC\fP」の説明、および、
1381 このマニュアルの終わりの方にある「シェル・エスケープの防止」というセクションを参照していただきたい。
1382 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1383 .TP  18n
1384 pam_session
1385 認証に PAM を使用するシステムでは、\fBsudo\fP は新しい PAM セッションを作成し、
1386 その中でコマンドを実行する。PAM の実装が古い場合や、
1387 PAM セッションの開始が utmp や wtmp ファイルを変更するオペレーティングシステムでは、
1388 \fIpam_session\fP を無効にする必要があるかもしれない。
1389 ただし、PAM セッションのサポートを無効にすると、
1390 実行されるコマンドに対するリソースの上限が更新されないかもしれない。
1391 なお、\fIpam_session\fP, \fIpam_setcred\fP, \fIuse_pty\fP が無効になっていて、
1392 しかも 入出力ロギングが設定されていない場合は、
1393 \fBsudo\fP はコマンドを子プロセスとしてではなく、
1394 直接実行する。このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1395 .sp
1396 この設定は、バージョン 1.8.7 以上でのみサポートされている。
1397 .TP  18n
1398 pam_setcred
1399 認証に PAM を使用するシステムでは、\fBsudo\fP はデフォルトでは、
1400 使用している認証システムがサポートしているなら、変身対象ユーザの認証情報
1401 (credential) が有効であることを確認しようとする。認証情報の例を一つ挙げれば、
1402 Kerberos のチケットがそれである。\fIpam_session\fP, \fIpam_setcred\fP,
1403 \fIuse_pty\fP が無効になっていて、しかも 入出力ロギングが設定されていない場合は、
1404 \fBsudo\fP はコマンドを子プロセスとしてではなく、直接実行する。
1405 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1406 .sp
1407 この設定は、バージョン 1.8.8 以上でのみサポートされている。
1408 .TP  18n
1409 passprompt_override
1410 通常、\fIpassprompt\fP オプションによって指定されたパスワードプロンプトが使用されるのは、
1411 PAM のようなシステムが用意しているパスワードプロンプトが、
1412 "Password:" という文字列にマッチしているときだけである。
1413 \fIpassprompt_override\fP をセットすると、\fIpassprompt\fP が無条件で使われることになる。
1414 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1415 .TP  18n
1416 path_info
1417 通常 \fBsudo\fP は、環境変数 PATH 中にコマンドが見付からないと、
1418 ユーザにその旨を知らせる。これを利用すれば、
1419 一般ユーザにアクセス権のない実行ファイルのありかについて情報を収集できるという理由から、
1420 この動作を無効にしたいサイトもあるかもしれない。
1421 その場合の欠点は、実行ファイルが単にユーザの PATH 中になかっただけの場合でも、
1422 実行の許可がないと \fBsudo\fP がユーザに告げることになって、
1423 実情がわかりにくいかもしれないことである。
1424 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1425 .TP  18n
1426 preserve_groups
1427 デフォルトでは、\fBsudo\fP は所属グループの初期値として、
1428 変身対象ユーザが所属しているグループのリストを設定する。
1429 \fIpreserve_groups\fP をセットすると、
1430 \fBsudo\fP を実行するユーザの所属グループのリストが、
1431 変更されずにそのまま維持される。とは言え、実グループ ID や実効グループ ID が、
1432 変身対象ユーザのそれに設定されることに変わりはない。
1433 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1434 .TP  18n
1435 pwfeedback
1436 ほかのたいていの Unix のプログラムと同様、
1437 \fBsudo\fP はパスワードを読み込むとき、デフォルトでは、ユーザが Return
1438 (または Enter) キーを押すまで、エコーを off にする。
1439 この動作にとまどうユーザが存在する。
1440 彼らには \fBsudo\fP が急に反応しなくなったように見えるのだ。
1441 \fIpwfeedback\fP をセットすると、ユーザがキーを押すたびに、
1442 \fBsudo\fP が目に見える反応を返すようになる。
1443 これには、セキュリティ上の問題があることに注意していただきたい。
1444 側で見ている人が、打ち込まれたパスワードの文字数を特定できてしまうかもしれないのだ。
1445 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1446 .TP  18n
1447 requiretty
1448 これをセットすると、\fBsudo\fP が実行されるのは、ユーザが実際の tty
1449 にログインしたときだけになる。すなわち、\fBsudo\fP を実行できるのは、
1450 ログイン・セッションからだけであって、cron(8) や cgi\-bin スクリプトといった、
1451 ほかの方法を介して実行することはできないということだ。
1452 このフラグは、デフォルトでは \fIoff\fP である。
1453 .TP  18n
1454 root_sudo
1455 これをセットすると、root も \fBsudo\fP を実行できるようになる。
1456 このフラグを無効にすると、ユーザがたとえば "sudo sudo /bin/sh"
1457 といったように \fBsudo\fP コマンドを「連鎖的に」使って、
1458 ルートシェルを獲得することができなくなる。
1459 ところで、\fIroot_sudo\fP が off だと、
1460 root が \fBsudoedit\fP まで実行できなくなることに注意していただきたい。
1461 \fIroot_sudo\fP を無効にしても、セキュリティが実際に向上するわけではない。
1462 このフラグが存在しているのは、
1463 もっぱら歴史的な理由からなのだ。このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1464 .TP  18n
1465 rootpw
1466 これをセットすると、\fBsudo\fP は、コマンドを実行したり、
1467 ファイルを編集したりするとき、起動したユーザのパスワードではなく、
1468 root のパスワードを要求するようになる。
1469 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1470 .TP  18n
1471 runaspw
1472 これをセットすると、\fBsudo\fP は、コマンドを実行したり、
1473 ファイルを編集したりするとき、起動したユーザのパスワードではなく、
1474 \fIsudoers\fP ファイルの \fIrunas_default\fP オプションで指定しているユーザーの
1475 (デフォルトでは root である) パスワードを要求するようになる。
1476 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1477 .TP  18n
1478 set_home
1479 これが有効なときに \fBsudo\fP を \fB\-s\fP オプション付きで起動すると、
1480 環境変数 HOME が変身対象ユーザの (\fB\-u\fP オプションが使用されないかぎり、
1481 それは root である) ホームディレクトリに設定される。すなわち、
1482 \fB\-s\fP オプションが \fB\-H\fP オプションを事実上兼ねることになるわけだ。
1483 気をつけてほしいのは、\fIenv_reset\fP が有効な場合、HOME はすでに
1484 (訳注: 変身対象ユーザのホームディレクトリに) 設定済みだということだ。
1485 だから、\fIset_home\fP の効果があるのは、\fIenv_reset\fP が無効に設定されているか、
1486 \fIenv_keep\fP のリストに HOME が存在する場合だけである。
1487 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1488 .TP  18n
1489 set_logname
1490 通常 \fBsudo\fP は環境変数 LOGNAME, USER, USERNAME を変身対象ユーザの名前
1491 (\fB\-u\fP オプションが指定されていない場合、普通は root) にセットする。
1492 しかし、プログラムによっては
1493 (たとえば、RCS リビジョンコントロールシステムがその一つだが)
1494 ユーザが実際には誰であるかを判定するのに LOGNAME を使用していることがあり、
1495 そのため、この振舞いを変更したい場合もある。
1496 set_logname オプションに '!\&' を付けて否定することで、それができる。
1497 なお \fIenv_reset\fP オプションを無効にしていない場合に、
1498 \fIenv_keep\fP のリストに LOGNAME, USER, USERNAME などが入っていると、
1499 \fIset_logname\fP は効果を持たないので、注意していただきたい。
1500 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1501 .TP  18n
1502 set_utmp
1503 これが有効になっていると、\fBsudo\fP は擬似 tty を割り当てるときに、
1504 utmp (または utmpx) ファイルにエントリを作成する。
1505 \fBsudo\fP によって擬似 tty の割り当てが行われるのは、\fIlog_input\fP,
1506 \fIlog_output\fP, \fIuse_pty\fP といったフラグが有効になっているときである。
1507 デフォルトでは、新しいエントリは、そのユーザの utmp エントリが存在すれば、
1508 そのコピーであり、tty, time, type, pid フィールドが更新される。
1509 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1510 .TP  18n
1511 setenv
1512 これをセットすると、ユーザがコマンドラインで \fB\-E\fP オプションを指定して、
1513 \fIenv_reset\fP オプションを無効にできるようになる。
1514 さらに、コマンドラインから設定する環境変数が
1515 \fIenv_check\fP, \fIenv_delete\fP, \fIenv_keep\fP による制限を受けなくなる。
1516 それ故、そのようなやり方で変数を設定することを許可するのは、
1517 信用できるユーザのみに限るべきだ。
1518 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1519 .TP  18n
1520 shell_noargs
1521 これがセットされているとき、\fBsudo\fP を引き数なしで起動すると、
1522 \fBsudo\fP は \fB\-s\fP オプションが指定されたかのように振舞う。
1523 すなわち、root ユーザとしてシェルを実行するわけだ (シェルは、環境変数
1524 SHELL がセットされていれば、それによって決まり、
1525 セットされていなければ、\fBsudo\fP を起動したユーザの
1526 /etc/passwd エントリに登録されたものになる)。このフラグはデフォルトでは
1527 \fIoff\fP である。
1528 .TP  18n
1529 stay_setuid
1530 通常 \fBsudo\fP は、コマンドを実行するとき、実 UID と実効 UID
1531 を変身対象ユーザ (デフォルトでは root) のものにセットする。
1532 このオプションは、その振舞いを変更して、\fBsudo\fP を起動したユーザの
1533 UID が、そのまま実 UID として残るようにするのだ。言い換えると、
1534 このオプションは \fBsudo\fP を setuid ラッパーとして動作するようにするわけである。
1535 プログラムを setuid で動かすと、危険をもたらしかねないという理由から、
1536 ある種の機能を使えないようにしているシステムでは、
1537 このオプションが役に立つかもしれない。このオプションは、システムコールの
1538 setreuid() や setresuid() をサポートしているシステムでのみ有効である。
1539 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1540 .TP  18n
1541 sudoedit_checkdir
1542 .br
1543 これをセットすると、
1544 \fBsudoedit\fP は、編集対象ファイルのパス中にあるディレクトリ部分のすべてについて、
1545 \fBsudoedit\fP を実行するユーザとって書き込み可能かどうかを、チェックすることになる。
1546 ユーザに書き込み可能なディレクトリに存在するいかなるシンボリックリンクも、
1547 たどられることがなく、また、ユーザに書き込み可能なディレクトリにあるファイルの編集は、
1548 拒否されることになる。
1549 ただし、こうした制限は、\fBsudoedit\fP を実行するユーザが root の場合には、行われない。
1550 システムによっては、編集対象ファイルのパス中にあるディレクトリ部分のすべてが、
1551 変身対象ユーザにとって読み込み可能でないかぎり、
1552 \fBsudoedit\fP でファイルを編集できないものもある。
1553 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1554 .sp
1555 この設定が最初に導入されたのは、バージョン 1.8.15 だったが、
1556 当初のものには競合状態を引き起こす欠陥があった。
1557 編集対象ファイルのパスの途中に書き込み可能なディレクトリがあり、
1558 そこにシンボリックリンクが存在する場合のチェックは、バージョン 1.8.16 で追加された。
1559 .TP  18n
1560 sudoedit_follow
1561 \fBsudoedit\fP はデフォルトでは、ファイルをオープンするときにシンボリックリンクをたどらない。
1562 \fIsudoedit_follow\fP オプションを有効にすると、
1563 \fBsudoedit\fP がシンボリックリンクをオープンできるようになる。
1564 そうした動作は \fIFOLLOW\fP や \fINOFOLLOW\fP タグを使えば、
1565 コマンドごとに変更することができる。このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1566 .sp
1567 この設定は、バージョン 1.8.15 以上でのみサポートされている。
1568 .TP  18n
1569 targetpw
1570 これをセットすると、\fBsudo\fP は、コマンドを実行したり、
1571 ファイルを編集したりするとき、起動したユーザのパスワードではなく、
1572 \fB\-u\fP オプションで指定されたユーザ (デフォルトでは root)
1573 のパスワードを要求するようになる。
1574 このフラグを設定をすると、\fB\-u\fP オプションの引き数として、
1575 passwd データベースに登録されていない uid が使えなくなることに注意してほしい。
1576 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1577 .TP  18n
1578 tty_tickets
1579 これをセットすると、ユーザは tty ごとに認証をしなければならなくなる。
1580 このフラグが有効な場合、\fBsudo\fP は、各 tty に対して、
1581 タイムスタンプ・ファイル中の、それぞれ別個に記録される情報を使用することになる。
1582 それに対して、このフラグが無効な場合は、すべてのログイン・セッションに対して、
1583 単一の記録が使用されるのである。このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1584 .TP  18n
1585 umask_override
1586 これをセットすると、\fBsudo\fP は umask を \fIsudoers\fP の
1587 umask オプションで指定されたとおりの値に、変更を加えることなく設定する。
1588 このことによって、ユーザ自身の umask 値よりもっと緩やかな umask 値を
1589 \fIsudoers\fP ファイルで指定することが可能になる。\fBsudo\fP の昔の動作と同じになるわけだ。
1590 \fIumask_override\fP をセットしない場合、
1591 現在の \fBsudo\fP は umask を、ユーザの umask 値と \fIsudoers\fP で指定した
1592 umask 値とのビット和に設定することになっている。
1593 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1594 .TP  18n
1595 use_netgroups
1596 これをセットすると、ユーザやホストを指定する場所でネットグループ
1597 (接頭辞 '+' が付く) が使えるようになる。LDAP を使用する sudoers では、
1598 ネットグループをサポートすると、\fI/etc/ldap.conf\fP ファイルで
1599 \fBNETGROUP_BASE\fP 設定オプションを指定していない場合に、
1600 サーバ側で負荷の高い部分文字列 (substring) のマッチングを行う必要が生じる。
1601 そこで、ネットグループを使用する必要がない場合は、
1602 このオプションを \fIoff\fP にすれば、LDAP サーバの負荷を減らすことができる。
1603 このフラグはデフォルトでは \fIon\fP である。
1604 .TP  18n
1605 use_pty
1606 これをセットすると、\fBsudo\fP は入出力のロギングが行われていないときでも、
1607 擬似 tty でコマンドを実行することになる。
1608 \fBsudo\fP によって実行された悪意のあるプログラムが、
1609 バックグラウンド・プロセスをフォークし、
1610 そのプロセスが、メインプログラムの実行が終了した後でも、
1611 ユーザのターミナルデバイスを握って離さないといったことが考えられる。
1612 このオプションを使えば、そういったことが不可能になる。
1613 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1614 .TP  18n
1615 utmp_runas
1616 これをセットすると、\fBsudo\fP は utmp (または utmpx) ファイルを更新するとき、
1617 変身対象ユーザの名前を記録するようになる。\fBsudo\fP はデフォルトでは、
1618 \fBsudo\fP を実行したユーザの名前を記録するのだ。
1619 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1620 .TP  18n
1621 visiblepw
1622 デフォルトでは、ユーザがパスワードを入力しなければならないときに、
1623 使用しているターミナルでエコーの抑制ができなかったら、
1624 \fBsudo\fP は実行を拒否するようになっている。
1625 それに対し、\fIvisiblepw\fP フラグが設定されていると、
1626 パスワードがスクリーンに表示されてしまう場合でも、
1627 \fBsudo\fP はプロンプトを出して、パスワードを求めるようになる。
1628 ssh(1) はデフォルトでは、コマンドを実行する際に tty を割り当てないので、
1629 \fBsudo\fP はエコーの抑制ができないが、その場合でも、この設定によって、
1630 "ssh somehost sudo ls" といった操作の実行が可能になるわけだ。
1631 このフラグはデフォルトでは \fIoff\fP である。
1632 .PP
1633 \fB整数\fP:
1634 .TP  18n
1635 closefrom
1636 \fBsudo\fP はコマンドを実行する前に、標準入力、標準出力、標準エラー
1637 (すなわち、ファイルディスクリプタ 0\-2 ) を除いて、
1638 開いているすべてのファイル・ディスクリプタをクローズする。
1639 \fIclosefrom\fP オプションを使用すると、
1640 0\-2 以外のどのファイル・ディスクリプタから閉じて行くかを指定することができる。
1641 デフォルトは 3 である。
1642 .TP  18n
1643 maxseq
1644 入出力ログファイルで
1645 "%{seq}" エスケープシーケンスに置き換えられる連続番号の最大値
1646 (詳細については、後述の \fIiolog_dir\fP オプションの説明を参照すること)。
1647 "%{seq}" に置き換えられる値は 36 進数だが、\fImaxseq\fP そのものは
1648 10 進数で指定するべきである。2176782336 (38 進数の連続番号では、
1649 "ZZZZZZ" に相当する) より大きい値は 、暗黙のうちに
1650 2176782336 に縮小される。デフォルトの値は 2176782336 である。
1651 .sp
1652 使用している連続番号が \fImaxseq\fP の値に達したら、最初の値の 0 に戻る。
1653 それ以後は、\fBsudoers\fP は存在している入出力ログファイルをサイズ 0 に短縮して、
1654 そのパス名を再利用することになる。
1655 .sp
1656 この設定は、バージョン 1.8.7 以上でのみサポートされている。
1657 .TP  18n
1658 passwd_tries
1659 \fBsudo\fP が「失敗」をログに記録して終了する前に、
1660 ユーザがパスワードを入力できる回数。デフォルトは 3 回。
1661 .PP
1662 \fB真偽値としても使用できる整数\fP:
1663 .TP  18n
1664 loglinelen
1665 \fBsudo\fP 独自のログファイルの一行あたりの文字数。この値は、
1666 ログファイルを見やすくするために改行する位置を決めるのに使用される。
1667 この値は、syslog 経由のログファイルには影響せず、
1668 独自のファイルにログを記録するときのみ効果がある。デフォルトは 80 である
1669 (改行をしないようにするには、値を 0 にするか、頭に '!\&' を付けて、
1670 このオプションを否定する)。
1671 .TP  18n
1672 passwd_timeout
1673 \fBsudo\fP のパスワードプロンプトが時間切れになるまでの分単位の時間。
1674 0 を指定すると、時間切れなしになる。
1675 分よりももっと細かい時間を指定したかったら、2.5 のように、
1676 小数点以下を付けることもできる。デフォルトは 5 分。
1677 .TP  18n
1678 timestamp_timeout
1679 .br
1680 \fBsudo\fP がパスワードを再び要求するようになるまでの時間を分単位で指定する。
1681 分よりももっと細かい時間を指定したかったら、2.5 のように、
1682 小数点以下を付けることもできる。デフォルトは 5 分である。
1683 これを 0 にセットすると、毎回パスワードを要求するようになる。
1684 0 よりも小さい値にセットすると、ユーザのタイムスタンプは、
1685 システムがリブートされるまで期限切れにならない。
1686 ユーザが "sudo \-v" と "sudo \-k" を実行することによって、
1687 タイムスタンプを自分で作ったり、消したりできるようにしたかったら、
1688 この手を使えばよい。
1689 .TP  18n
1690 umask
1691 コマンドを実行するときに使用する umask 値。
1692 ユーザの umask 値をそのまま使いたかったら、'!\&' を頭に付けて、
1693 このオプションを否定するか、0777 にセットすればよい。
1694 このオプションの値が 0777 以外の場合、実際に使用される umask 値は、
1695 ユーザの umask 値と \fIumask\fP オプションの値とのビット和であり、
1696 後者のデフォルトは 0022 である。
1697 このことによって、\fBsudo\fP がコマンドを実行するときの umask 値が、
1698 ユーザの umask 値より低くならないようになっているわけだ。
1699 PAM を使用しているシステムでは、
1700 PAM のデフォルト設定で umask 値を指定することができるが、
1701 その場合は、それが \fIsudoers\fP で指定する値に優先することに注意していただきたい。
1702 .PP
1703 \fB文字列\fP:
1704 .TP  18n
1705 badpass_message
1706 ユーザが不正なパスワードを入力したときに表示するメッセージ。
1707 \fIinsults\fP フラグが有効になっていないかぎり、
1708 デフォルトは「Sorry, try again.」である。
1709 .TP  18n
1710 editor
1711 \fBvisudo\fP で使用できるエディタをコロン (':\&') で区切ったリスト。\fBvisudo\fP は、
1712 可能ならば、ユーザの EDITOR 環境変数や
1713 VISUAL 環境変数とマッチしたリスト中のエディタを選択する。
1714 それができないときは、このリストにあるエディタで、実際に存在し、
1715 かつ実行可能な最初のエディタを使用する。
1716 環境変数 EDITOR や VISUAL は、\fIenv_reset\fP オプションが有効な場合、
1717 デフォルトでは保存されないことに注意していただきたい。
1718 デフォルトは \fIvi\fP である。
1719 .TP  18n
1720 iolog_dir
1721 このオプションの値をトップレベル・ディレクトリにして、
1722 入出力ログを置くディレクトリのパス名が構成される。この値が使用されるのは、
1723 \fIlog_input\fP や \fIlog_output\fP オプションが有効になっているときや、
1724 LOG_INPUT や LOG_OUTPUT タグがコマンドに付いているときだけである。
1725 このディレクトリ以下に、セッション ID が連番ならば、
1726 セッションの連番が (訳注: 以下の "%{seq}" の説明にあるような形で) 
1727 格納されることになるわけだ。デフォルトは \fI/var/log/sudo\-io\fP である。
1728 .sp
1729 以下のパーセント ('%') エスケープシーケンスが使用できる。
1730 .PP
1731 .RS 18n
1732 .PD 0
1733 .TP  6n
1734 %{seq}
1735 単調に増加する 36 進数の連続番号に展開される。たとえば、0100A5
1736 といった番号であり、二桁づつ使って新しいディレクトリを作っていく。
1737 この場合なら、\fI01/00/A5\fP といった具合だ。
1738 .PD
1739 .TP  6n
1740 %{user}
1741 \fBsudo\fP を実行するユーザーのログイン名に展開される。
1742 .TP  6n
1743 %{group}
1744 \fBsudo\fP を実行するユーザーの実グループ ID の名前に展開される。
1745 .TP  6n
1746 %{runas_user}
1747 変身対象ユーザのログイン名に展開される (たとえば root)。
1748 .TP  6n
1749 %{runas_group}
1750 変身対象ユーザのグループ名に展開される (たとえば wheel)。
1751 .TP  6n
1752 %{hostname}
1753 ドメイン名なしのローカル・ホスト名に展開される。
1754 .TP  6n
1755 %{command}
1756 実行されるコマンドのベースネームに展開される。
1757 .PP
1758 このほか、システムの strftime(3) 関数がサポートしているエスケープシーケンスは、
1759 いかなるものでも展開の対象になる。
1760 .sp
1761 \&'%' 文字そのものを使いたかったら、文字列 '%%' を使用すればよい。
1762 .RE
1763 .TP  18n
1764 iolog_file
1765 \fIiolog_dir\fP を基点とする相対パス名であり、\fIlog_input\fP や
1766 \fIlog_output\fP オプションが有効になっていたり、LOG_INPUT や LOG_OUTPUT
1767 タグがコマンドに付いている場合に、入出力ログがこの中に格納される。
1768 \fIiolog_file\fP の値が複数のディレクトリ構成要素を含んでいることがあるのに注意していただきたい。
1769 デフォルトは "%{seq}" である。
1770 .sp
1771 使用できるパーセント ('%') エスケープシーケンスのリストについては、
1772 上記の \fIiolog_dir\fP オプションを参照。
1773 .sp
1774 エスケープシーケンスの展開とは別に、パス名が六個以上の X で終わっている場合は、
1775 X の部分が、他と重複しない英数字の組み合わせに置き換えられる。
1776 mktemp(3) 関数の場合と同様である。
1777 .sp
1778 \fIiolog_dir\fP と \fIiolog_file\fP を結合して作られるパスがすでに存在している場合は、
1779 \fIiolog_file\fP が 6 個以上の X で終わっていないかぎり、
1780 既存の入出力ログファイルは、サイズ 0 に短縮された上で、上書きされることになる。
1781 .TP  18n
1782 lecture_status_dir
1783 \fBsudo\fP はこのディレクトリに、
1784 ユーザが訓戒を受けたかどうかを示すファイルを、ユーザごとに入れておく。
1785 ユーザが訓戒を受けると、サイズ 0 のファイルがこのディレクトリに作成され、
1786 \fBsudo\fP はそのユーザに再び訓戒を行わなくなる。このディレクトリは、
1787 システムのブート時に\fI消去すべきではない\fP。
1788 デフォルトは \fI/var/lib/sudo/lectured\fP である。
1789 .TP  18n
1790 mailsub
1791 \fImailto\fP ユーザに送付するメールの件名。
1792 エスケープ文字 %h はマシンのホスト名に展開される。
1793 デフォルトは「*** SECURITY information for %h ***」である。
1794 .TP  18n
1795 noexec_file
1796 \fBsudo\fP バージョン 1.8.1 以来、このオプションはサポートされていない。
1797 現在では、noexec ファイルのパスは sudo.conf(5) ファイルで設定するべきである。
1798 .TP  18n
1799 pam_login_service
1800 .br
1801 PAM を認証に使用しているシステムでは、このオプションの値が、
1802 \fBsudo\fP コマンドに \fB\-i\fP オプションが指定されたとき使用されるサービス名になる。
1803 デフォルトの値は、
1804 "sudo" である。\fIpam_service\fP の説明もご覧いただきたい。
1805 .sp
1806 この設定は、バージョン 1.8.8 以上でのみサポートされている。
1807 .TP  18n
1808 pam_service
1809 PAM を使用しているシステムでは、このオプションで指定するサービス名が、
1810 適用される PAM ポリシーを指定することになる。サービス名は \fIpam.conf\fP
1811 ファイル中のエントリ名や、\fI/etc/pam.d\fP にあるファイル名に対応している。
1812 デフォルトの値は "sudo" である。
1813 .sp
1814 この設定は、バージョン 1.8.8 以上でのみサポートされている。
1815 .TP  18n
1816 passprompt
1817 パスワードを要求するときに使用するデフォルトのプロンプト。
1818 \fB\-p\fP オプションや環境変数 SUDO_PROMPT によって変更することができる。
1819 以下のパーセント ('%') エスケープシーケンスが使用できる。
1820 .PP
1821 .RS 18n
1822 .PD 0
1823 .TP  6n
1824 %H
1825 ドメイン名付きのローカルホスト名に展開される (マシンのホスト名が完全修飾名か、
1826 \fIfqdn\fP オプションがセットされている場合のみ)。
1827 .PD
1828 .TP  6n
1829 %h
1830 ドメイン名なしのローカル・ホスト名に展開される。
1831 .TP  6n
1832 %p
1833 パスワードを要求されているユーザ名に展開 (\fIsudoers\fP ファイルの
1834 \fIrootpw\fP, \fItargetpw\fP, \fIrunaspw\fP フラグを尊重する)。
1835 .TP  6n
1836 \&%U
1837 変身対象ユーザの (デフォルトでは root) ログイン名に展開。
1838 .TP  6n
1839 %u
1840 \fBsudo\fP を実行するユーザーのログイン名に展開される。
1841 .TP  6n
1842 %%
1843 連続した二個の % は、一個の % 文字そのものを意味する。
1844 .PP
1845 デフォルトの値は「Password:」である。
1846 .RE
1847 .TP  18n
1848 role
1849 コマンドの実行に当たって
1850 SELinux の新しいセキュリティ・コンテキストを構成するときに使用する、
1851 デフォルトのロール。デフォルトのロールは、
1852 \fIsudoers\fP ファイルや、コマンドラインオプションを使って、
1853 コマンドごとに変更することができる。このオプションが利用できるのは、
1854 \fBsudo\fP が SELinux サポートつきでビルドされたときだけである。
1855 .TP  18n
1856 runas_default
1857 コマンドラインで \fB\-u\fP オプションが指定されていないときの、
1858 デフォルトの変身対象ユーザ。デフォルトでは root になっている。
1859 .TP  18n
1860 syslog_badpri
1861 ユーザが認証に失敗したときに使用する syslog の重大度 (priority)。
1862 デフォルトでは alert になっている。
1863 .sp
1864 syslog の重大度には、次のものが指定できる。\fBemerg\fP, \fBalert\fP,
1865 \fBcrit\fP, \fBerr\fP, \fBwarning\fP, \fBnotice\fP, \fBinfo\fP, \fBdebug\fP。
1866 .TP  18n
1867 syslog_goodpri
1868 ユーザが認証に成功したときに使用する syslog の重大度 (priority)。
1869 デフォルトでは notice になっている。
1870 .sp
1871 どんな syslog の重大度が指定できるかについては、
1872 \fIsyslog_badpri\fP を参照。
1873 .TP  18n
1874 sudoers_locale
1875 sudoers ファイルを解析したり、コマンドのログを記録したり、
1876 email を送付したりするときに使用するロケール。
1877 ロケールの変更は、sudoers の解釈に影響があるかもしれないので、
1878 気をつけていただきたい。デフォルトでは "C" になっている。
1879 .TP  18n
1880 timestampdir
1881 \fBsudo\fP がタイムスタンプ・ファイルを置くディレクトリ。
1882 このディレクトリは、システムがリブートするとき、クリアされるべきである。
1883 デフォルトは \fI/var/run/sudo/ts\fP になっている。
1884 .TP  18n
1885 timestampowner
1886 ユーザが訓戒を受けたかどうかを示すファイルを入れておくディレクトリや、
1887 タイムスタンプ・ディレクトリ、
1888 及びそうしたディレクトリに置かれるすべてのファイルの所有者。
1889 デフォルトは root である。
1890 .TP  18n
1891 type
1892 コマンドの実行に当たって
1893 SELinux の新しいセキュリティ・コンテキストを構成するときに使用する、
1894 デフォルトのタイプ。デフォルトのタイプは、
1895 \fIsudoers\fP ファイルや、コマンドラインオプションを使って、
1896 コマンドごとに変更することができる。このオプションが利用できるのは、
1897 \fBsudo\fP が SELinux サポートつきでビルドされたときだけである。
1898 .PP
1899 \fB真偽値としても使用できる文字列\fP:
1900 .TP  14n
1901 env_file
1902 \fIenv_file\fP オプションでは、
1903 実行するプログラムの環境に設定する変数を記載したファイルの絶対パスを指定する。
1904 このファイルに記載する項目は、"VARIABLE=value" か "export VARIABLE=value"
1905 の形でなければならない。変数の値をシングルクォートやダブルクォートで囲んでもよい。
1906 このファイルに含まれる変数は、\fIenv_keep\fP や \fIenv_check\fP のような
1907 \fBsudo\fP のほかの環境設定の影響を受ける。
1908 .TP  14n
1909 exempt_group
1910 このグループのユーザはパスワードの入力や \fIsecure_path\fP などによる
1911 PATH の限定を免除される。指定するグループ名に接頭辞の % を付けてはいけない。
1912 このオプションはデフォルトではセットされていない。
1913 .TP  14n
1914 group_plugin
1915 このオプションの値となる文字列には、
1916 \fBsudoers\fP が使用するグループ・プラグインと、必要ならその引き数を指定する。
1917 値となる文字列は、プラグインのパスに続けて、その設定に必要な引き数があれば、
1918 それを付け加えたものだが、パスは絶対パスか、
1919 \fI/usr/local/libexec/sudo\fP を基点とする相対パスにするべきである。
1920 引き数が存在するなら、それはプラグインの初期化関数に渡される。
1921 引き数が存在する場合は、文字列全体をダブルクォート (\&"") で囲まなければならない。
1922 .sp
1923 詳細については、
1924 「グループ・プロバイダー・プラグイン」セクションををご覧いただきたい。
1925 .TP  14n
1926 lecture
1927 \fBsudo\fP はパスワードプロンプトに添えて簡単な訓戒を表示することができる。
1928 このオプションはその訓戒をいつ表示するかを決定する。以下の値が可能である。
1929 .PP
1930 .RS 14n
1931 .PD 0
1932 .TP  8n
1933 always
1934 いつでも必ず訓戒を表示する。
1935 .PD
1936 .TP  8n
1937 never
1938 訓戒をまったく表示しない。
1939 .TP  8n
1940 once
1941 ユーザがはじめて \fBsudo\fP を実行したときだけ表示する。
1942 .PP
1943 値を指定しないと、\fIonce\fP を指定したことになる。頭に '!' を付けて、
1944 このオプションを否定すると、値に \fInever\fP が使用される。
1945 デフォルトの値は \fIonce\fP である。
1946 .RE
1947 .TP  14n
1948 lecture_file
1949 標準の訓戒とは別の \fBsudo\fP の訓戒を書き込んだファイルのパス。
1950 指名したファイルが存在すれば、\fBsudo\fP は標準の訓戒の代わりに、それを使用する。
1951 デフォルトでは、プログラムに埋め込まれた訓戒が使用される。
1952 .TP  14n
1953 listpw
1954 このオプションは、\fBsudo\fP を \fB\-l\fP オプション付きで実行したとき、
1955 ユーザがパスワードを要求されるのは、どんな場合かを決定する。
1956 以下の値が可能である。
1957 .PP
1958 .RS 14n
1959 .PD 0
1960 .TP  10n
1961 all
1962 パスワードを入力しないですむためには、
1963 \fIsudoers\fP ファイルの使用中のホストに対する当該ユーザのエントリのすべてに
1964 NOPASSWD タグが設定されていなければならない。
1965 .PD
1966 .TP  10n
1967 always
1968 ユーザは \fB\-l\fP オプションを使用する際に、必ずパスワードを入力しなければならない。
1969 .TP  10n
1970 any
1971 パスワードを入力しないですむためには、
1972 \fIsudoers\fP ファイルの使用中のホストに対する当該ユーザのエントリの少なくとも一つに
1973 NOPASSWD タグが設定されていなければならない。
1974 .TP  10n
1975 never
1976 ユーザは \fB\-l\fP オプションを使用する際に、パスワードを入力する必要がまったくない。
1977 .PP
1978 値を指定しないと、値は \fIany\fP だと見なされる。'!' を頭に付けて、
1979 このオプションを否定すると、値に \fInever\fP が使われることになる。
1980 デフォルトは \fIany\fP である。
1981 .RE
1982 .TP  14n
1983 logfile
1984 \fBsudo\fP 独自のログファイルのパス (syslog 経由のログファイルではない)。
1985 パスを指定すると、独自ファイルへのロギングが on になり、
1986 \&'!' を頭に付けて、このオプションを否定すると、off になる。
1987 デフォルトでは、\fBsudo\fP は syslog 経由でログを取る。
1988 .TP  14n
1989 mailerflags
1990 メーラを起動するときに使用するフラグ。デフォルトは \fB\-t\fP になっている。
1991 .TP  14n
1992 mailerpath
1993 警告メールの送信に使用するメール・プログラムのパス。
1994 デフォルトは configure したときに見つかった sendmail のパス。
1995 .TP  14n
1996 mailfrom
1997 警告メールやエラー・メールを送るとき、差出人として使用するアドレス。
1998 \fBsudo\fP が @ 記号を解釈しないように、
1999 アドレスはダブルクォート (\&"") で囲むべきである。
2000 デフォルトは、\fBsudo\fP を実行しているユーザの名前。
2001 .TP  14n
2002 mailto
2003 警告メールやエラー・メールを送付する宛先のアドレス。
2004 \fBsudo\fP が @ 記号を解釈しないように、
2005 アドレスはダブルクォート (\&"") で囲むべきである。
2006 デフォルトは root になっている。
2007 .TP  14n
2008 secure_path
2009 \fBsudo\fP から実行されるあらゆるコマンドが使用するパス。
2010 \fBsudo\fP を実行するユーザが、無難な PATH 環境変数 を使っているかどうか確信が持てないなら、
2011 このオプションを使用するとよいだろう。もう一つの使用法は、
2012 「root のパス」と「一般ユーザのパス」を別のものにしておきたい場合だ。
2013 ユーザが \fIexempt_group\fP オプションで指定したグループに属していると、
2014 そのユーザは \fIsecure_path\fP の影響を受けない。
2015 このオプションは、デフォルトではセットされていない。
2016 .TP  14n
2017 syslog
2018 syslog を使ってログを取っている場合の syslog のファシリティ
2019 (syslog 経由でログを取らないなら、'!' を頭に付けて、
2020 このオプションを否定する)。デフォルトでは authpriv になっている。
2021 .sp
2022 syslog のファシリティには、次のものが指定できる。
2023 \fBauthpriv\fP (使用 OS が対応している場合), \fBauth\fP, \fBdaemon\fP, \fBuser\fP,
2024 \fBlocal0\fP, \fBlocal1\fP, \fBlocal2\fP, \fBlocal3\fP, \fBlocal4\fP, \fBlocal5\fP,
2025 \fBlocal6\fP, \fBlocal7\fP。
2026 .TP  14n
2027 verifypw
2028 このオプションは、\fBsudo\fP を \fB\-v\fP オプション付きで実行したとき、
2029 ユーザがパスワードを要求されるのは、どんな場合かを決定する。
2030 以下の値が可能である。
2031 .PP
2032 .RS 14n
2033 .PD 0
2034 .TP  8n
2035 all
2036 パスワードを入力しないですむためには、
2037 \fIsudoers\fP ファイルの使用中のホストに対する当該ユーザのエントリのすべてに
2038 NOPASSWD タグが設定されていなければならない。
2039 .PD
2040 .TP  8n
2041 always
2042 ユーザは \fB\-v\fP オプションを使用する際に、必ずパスワードを入力しなければならない。
2043 .TP  8n
2044 any
2045 パスワードを入力しないですむためには、
2046 \fIsudoers\fP ファイルの使用中のホストに対する当該ユーザのエントリの少なくとも一つに
2047 NOPASSWD タグが設定されていなければならない。
2048 .TP  8n
2049 never
2050 ユーザは \fB\-v\fP オプションを使用する際に、パスワードを入力する必要がまったくない。
2051 .PP
2052 値を指定しないと、値は \fIall\fP だと見なされる。'!' を頭に付けて、
2053 このオプションを否定すると、値に \fInever\fP が使われることになる。
2054 デフォルトは \fIall\fP である。
2055 .RE
2056 .PP
2057 \fB真偽値としても使用できるリスト\fP:
2058 .TP  18n
2059 env_check
2060 「安全」だと見なされない場合に、ユーザの環境から取り除かれる環境変数。
2061 TZ 以外のすべての環境変数について、「安全」というのは、変数の値に
2062 \&'%' や '/' という文字を一つも含まないことである。この動作を利用すれば、
2063 出来のよくないプログラムに見られる
2064 printf 形式のフォーマットの脆弱性に対処することが可能になる。
2065 TZ 変数については、以下のどれかが真ならば、安全ではないと見なされる。
2066 .PP
2067 .RS 18n
2068 .PD 0
2069 .TP  4n
2070 \fB\(bu\fP
2071 変数の値が絶対パス名であり (コロン (':\&') が先頭に付いていることもある)、
2072 それが \fIzoneinfo\fP ディレクトリの位置にマッチしない。
2073 .PD
2074 .TP  4n
2075 \fB\(bu\fP
2076 変数の値に \fI..\fP というパスの要素が存在する。
2077 .TP  4n
2078 \fB\(bu\fP
2079 変数の値にホワイトスペースや表示不能文字が存在する。
2080 .TP  4n
2081 \fB\(bu\fP
2082 変数の値が PATH_MAX の値より長い。
2083 .PP
2084 このオプションの引き数は、ダブルクォートで囲まれ、
2085 スペースで区切られたリストでもよく、
2086 ダブルクォートなしの単一の値でもよい。リストは、=, +=, \-=, \&!
2087 演算子を使って、それぞれ置き換えたり、追加したり、削除したり、
2088 無効にしたりすることができる。\fIenv_check\fP で指定された変数は、
2089 \fIenv_reset\fP オプショの有効・無効にかかわらず、上記のチェックにパスすれば、
2090 環境に保存されることになる。チェックされる環境変数のグローバルなリストは、
2091 root ユーザが \fBsudo\fP に \fB\-V\fP オプションを付けて実行したときに表示される。
2092 .RE
2093 .TP  18n
2094 env_delete
2095 \fIenv_reset\fP オプションが無効になっているときに、
2096 ユーザの環境から取り除かれる環境変数。このオプションの引き数は、
2097 ダブルクォートで囲まれ、スペースで区切られたリストでもよく、
2098 ダブルクォートなしの単一の値でもよい。
2099 リストは、=, +=, \-=, \&! 演算子を使って、それぞれ置き換えたり、追加したり、
2100 削除したり、無効にしたりすることができる。
2101 取り除かれる環境変数のグローバルなリストは、root ユーザが \fBsudo\fP に
2102 \fB\-V\fP オプションを付けて実行したときに表示される。
2103 なお、オペレーティングシステムには、危険をもたらしかねない変数を、
2104 いかなる setuid プロセス (\fBsudo\fP もその一つ)
2105 の環境からも取り除くことにしているものが多いことに留意してほしい。
2106 .TP  18n
2107 env_keep
2108 \fIenv_reset\fP オプションが有効になっているときでも、
2109 ユーザの環境にそのまま保存される環境変数。このオプションによって、
2110 \fBsudo\fP から生み出されるプロセスが受け取る環境を、
2111 きめ細かく制御することが可能になる。このオプションの引き数は、
2112 ダブルクォートで囲まれ、スペースで区切られたリストでもよく、
2113 ダブルクォートなしの単一の値でもよい。
2114 リストは、=, +=, \-=, \&! 演算子を使って、
2115 それぞれ置き換えたり、追加したり、削除したり、無効にしたりすることができる。
2116 保存される変数のグローバルなリストは、root ユーザが \fBsudo\fP に
2117 \fB\-V\fP オプションを付けて実行したときに表示される。
2118 .SH グループ・プロバイダー・プラグイン
2119 \fBsudoers\fP プラグインは、non\-Unix グループの検索を可能にするために、
2120 補助的なプラグインに対するインターフェースを備えており、それによって、
2121 標準的な Unix グループ・データベース以外のグループ情報源に対する問い合わせができるようになっている。
2122 先に述べたような、non\-Unix グループを指定する書式の使用を可能にしたかったら、
2123 この仕組みが使用できる。
2124 .PP
2125 グループ・プロバイダー・プラグインは、デフォルト設定の \fIgroup_plugin\fP
2126 によって指定する。\fIgroup_plugin\fP に対する引き数は、プラグインのパスに続けて、
2127 その設定に必要なオプションがあれば、それを付け加えたものだが、
2128 パスは絶対パスか、\fI/usr/local/libexec/sudo\fP
2129 を基点とする相対パスにするべきである。そうしたオプションは (指定されていれば)
2130 プラグインの初期化関数に渡されることになる。オプションがある場合は、
2131 文字列全体をダブルクォート (\&"") で囲まなければならない。
2132 .PP
2133 以下のグループ・プロバイダー・プラグインがデフォルトでインストールされている。
2134 .TP  10n
2135 group_file
2136 \fIgroup_file\fP プラグインは、\fI/etc/group\fP の代わりに、
2137 \fI/etc/group\fP と同じ書式を使用する別のグループファイルを使えるようにする。
2138 プラグインに対するオプションとして、グループファイルのパスを指定するべきである。
2139 たとえば、使用するグループファイルが \fI/etc/sudo\-group\fP ならば、
2140 次のように書くことになる。
2141 .nf
2142 .sp
2143 .RS 10n
2144 Defaults group_plugin="group_file.so /etc/sudo\-group"
2145 .RE
2146 .fi
2147 .TP  10n
2148 system_group
2149 \fIsystem_group\fP プラグインは、標準 C ライブラリの関数 \fBgetgrnam\fP() と
2150 \fBgetgrid\fP() によるグループ検索をサポートしている。このプラグインは、
2151 ユーザがそのユーザの補助グループのリストに存在しないグループに所属しているといった場合にも使用できる。
2152 このプラグインはオプションを取らないので、書式は次のようになる。
2153 .nf
2154 .sp
2155 .RS 10n
2156 Defaults group_plugin=system_group.so
2157 .RE
2158 .fi
2159 .PP
2160 グループ・プロバイダー・プラグインの API については、sudo_plugin(5)
2161 に詳細な説明がある。
2162 .SH ログの書式
2163 \fBsudoers\fP は、何が起きたかを記録するのに、syslog(3) を使用することもできるし、
2164 単独のログ・ファイルを使用することもできる。
2165 どちらの場合も、ログの書式はほとんど同じである。
2166 .SS 実行を許可されたコマンドに関するログ記載事項
2167 sudo が実行したコマンドは、次の書式を使って記録される
2168 (読みやすいように、ここでは複数行に分けている)。
2169 .nf
2170 .sp
2171 .RS 4n
2172 date hostname progname: username : TTY=ttyname ; PWD=cwd ; \e
2173     USER=runasuser ; GROUP=runasgroup ; TSID=logid ; \e
2174     ENV=env_vars COMMAND=command
2175 .RE
2176 .fi
2177 .PP
2178 各フィールドは以下のようになっている。
2179 .TP  14n
2180 date
2181 コマンドが実行された日時。たいていは、"MMM, DD, HH:MM:SS" の形式である。
2182 syslog(3) 経由でロギングしている場合に、
2183 日時が実際にどんな形式になるかを決めるのは、syslog デーモンである。
2184 \fBsudo\fP 独自のファイルにロギングしているとき、
2185 \fIlog_year\fP オプションが有効だと、日時に年度も含まれることになる。
2186 .TP  14n
2187 hostname
2188 \fBsudo\fP が実行されたホストの名前。このフィールドは、
2189 syslog(3) 経由でロギングしているときにのみ存在する。
2190 .TP  14n
2191 progname
2192 プログラム名。普通は、\fIsudo\fP か \fIsudoedit\fP。このフィールドは、
2193 syslog(3) 経由でロギングしているときのみ存在する。
2194 .TP  14n
2195 username
2196 \fBsudo\fP を実行したユーザのログイン名。
2197 .TP  14n
2198 ttyname
2199 \fBsudo\fP が実行された端末の短縮名
2200 (たとえば、"console", "tty01", "pts/0" など)。端末が存在しなかった場合は、
2201 "unknown" になる。
2202 .TP  14n
2203 cwd
2204 \fBsudo\fP が実行されたカレント・ワーキング・ディレクトリ。
2205 .TP  14n
2206 runasuser
2207 変身対象ユーザ。
2208 .TP  14n
2209 runasgroup
2210 変身対象グループがコマンドラインで指定されていれば、そのグループ。
2211 .TP  14n
2212 logid
2213 入出力ログの識別名。コマンドの出力を再生するときに使用できる。
2214 このフィールドは、\fIlog_input\fP や \fIlog_output\fP
2215 オプションが有効なときにのみ存在する。
2216 .TP  14n
2217 env_vars
2218 環境変数がコマンドラインで指定された場合、そのリスト。
2219 .TP  14n
2220 command
2221 実行された実際のコマンド。
2222 .PP
2223 メッセージは \fIsudoers_locale\fP で指定されたロケールを使って記録される。
2224 デフォルトは "C" である。
2225 .SS 実行を拒否されたコマンドに関するログ記載事項
2226 ユーザがコマンドの実行を認められなかった場合、
2227 拒否された理由が、ユーザ名の後に記録されることになる。
2228 理由として挙げられるものには、次のようなものがある。
2229 .TP  3n
2230 user NOT in sudoers
2231 そのユーザに関する記載が \fIsudoers\fP ファイルに存在しない。
2232 .TP  3n
2233 user NOT authorized on host
2234 そのユーザに関する記載が \fIsudoers\fP ファイルに存在するが、
2235 このホストではコマンドの実行を許可されていない。
2236 .TP  3n
2237 command not allowed
2238 このホストに対するそのユーザの記載が \fIsudoers\fP ファイルに存在するが、
2239 指定されたコマンドの実行を許可されていない。
2240 .TP  3n
2241 3 incorrect password attempts
2242 ユーザがパスワードの入力に 3 回失敗した。実際に書き込まれる試行回数は、
2243 失敗した回数と \fIpasswd_tries\fP オプションの値によって様々である。
2244 .TP  3n
2245 a password is required
2246 \fBsudo\fP に \fB\-n\fP オプションを指定したが、パスワードが必要だった。
2247 .TP  3n
2248 sorry, you are not allowed to set the following environment variables
2249 ユーザがコマンドラインで環境変数を指定したが、
2250 それは \fIsudoers\fP によって許可されていない。
2251 .SS エラーに関するログ記載事項
2252 エラーが起きると、\fBsudoers\fP はメッセージをログに記録し、たいていの場合は、
2253 管理者に email で報告する。起きるかもしれないエラーには次のものがある。
2254 .TP  3n
2255 parse error in /etc/sudoers near line N
2256 \fBsudoers\fP が上記ファイルの解析中にエラーに出会った。
2257 エラーのタイプによっては、実際のエラーは、記載された行番号より 1 行上、
2258 あるいは、1 行下にあることもある。
2259 .TP  3n
2260 problem with defaults entries
2261 \fIsudoers\fP ファイル中に意味不明なデフォルト設定 (Defaults setting) が、
2262 一つ以上ある。このエラーがあっても、\fBsudo\fP が実行できなくなることはないが、
2263 \fBvisudo\fP を使って \fIsudoers\fP ファイルをチェックするべきである。
2264 .TP  3n
2265 timestamp owner (username): \&No such user
2266 \fItimestampowner\fP オプションで指定されたタイムスタンプ・ディレクトリの所有者が、
2267 パスワード・データベースに存在しなかった。
2268 .TP  3n
2269 unable to open/read /etc/sudoers
2270 \fIsudoers\fP ファイルを読み込もうとしたが、オープンできなかった。
2271 そうしたことは、\fIsudoers\fP ファイルがリモート・ファイルシステムに存在して、
2272 そこではユーザ ID 0 を別の値にマップしている場合に起きることがある
2273 (訳注: たとえば、NFS で root_squash が有効な場合)。
2274 通常 \fBsudoers\fP は、この問題を回避するために、グループのパーミッションを使って
2275 \fIsudoers\fP ファイルをオープンしようとする。
2276 \fI/etc/sudoers\fP の所有権を変更するなり、
2277 sudo.conf(5) ファイルの \fBsudoers\fP Plugin 行の末尾に "sudoers_uid=N"
2278 ('N' は、\fIsudoers\fP ファイルの所有者のユーザ ID)
2279 といった引き数を追加するなりを、考慮すべきである。
2280 .TP  3n
2281 unable to stat /etc/sudoers
2282 \fI/etc/sudoers\fP ファイルが見つからない。
2283 .TP  3n
2284 /etc/sudoers is not a regular file
2285 \fI/etc/sudoers\fP は存在するが、通常ファイルでもシンボリック・リンクでもない。
2286 .TP  3n
2287 /etc/sudoers is owned by uid N, should be 0
2288 \fIsudoers\fP ファイルの所有者が適切ではない。
2289 \fIsudoers\fP ファイルの所有者を変更したい場合には、sudo.conf(5) ファイルの
2290 \fBsudoers\fP Plugin 行に "sudoers_uid=N" ('N' は、
2291 \fIsudoers\fP ファイルの所有者のユーザ ID) を付け加えていただきたい。
2292 .TP  3n
2293 /etc/sudoers is world writable
2294 \fIsudoers\fP ファイルのパーミッションがすべてのユーザに書き込みを許している。
2295 \fIsudoers\fP ファイルは、誰にでも書き込み可であってはならず、
2296 デフォルトのファイルモードは 0440 である (所有者とグループのみ読むことができ、
2297 書き込み権限は誰にもない)。デフォルトのモードは、sudo.conf(5) ファイルの
2298 \fBsudoers\fP Plugin 行に "sudoers_mode"
2299 オプションを指定することで変更することができる。
2300 .TP  3n
2301 /etc/sudoers is owned by gid N, should be 1
2302 \fIsudoers\fP ファイルの所有グループが適切ではない。
2303 \fIsudoers\fP ファイルの所有グループを変更したい場合には、
2304 sudo.conf(5) ファイルの \fBsudoers\fP Plugin 行に "sudoers_gid=N"
2305 ('N' は、\fIsudoers\fP ファイルの所有グループ ID) を付け加えていただきたい。
2306 .TP  3n
2307 unable to open /var/run/sudo/ts/username
2308 \fBsudoers\fP がユーザのタイムスタンプ・ファイルを読み込んだり、
2309 作成したりすることができなかった。そうしたことは、
2310 \fItimestampowner\fP が root 以外のユーザに設定されていて、
2311 しかも \fI/var/run/sudo\fP のモードが、
2312 グループやその他のユーザに対して検索不可になっている場合に起きることがある。
2313 \fI/var/run/sudo\fP のデフォルトのモードは、0711 である。
2314 .TP  3n
2315 unable to write to /var/run/sudo/ts/username
2316 \fBsudoers\fP がユーザのタイムスタンプ・ファイルに書き込むことができなかった。
2317 .TP  3n
2318 /var/run/sudo/ts is owned by uid X, should be Y
2319 タイムスタンプ・ディレクトリの所有者が \fItimestampowner\fP 以外のユーザである。
2320 そうしたことは、\fItimestampowner\fP の値を変更した時に起きることがある。
2321 \fBsudoers\fP は、ディレクトリの所有者が訂正されるまで、
2322 タイムスタンプ・ディレクトリを無視することになる。
2323 .TP  3n
2324 /var/run/sudo/ts is group writable
2325 タイムスタンプ・ディレクトリがグループによって書き込み可能になっている。
2326 書き込みが可能なのは、\fItimestampowner\fP のみにするべきだ。
2327 タイムスタンプ・ディレクトリのデフォルトのモードは、700 である。
2328 \fBsudoers\fP は、ディレクトリのモードが訂正されるまで、
2329 タイムスタンプ・ディレクトリを無視することになる。
2330 .SS "syslog 経由でロギングするときの注意点"
2331 デフォルトでは、\fBsudoers\fP は syslog(3) 経由でメッセージをログに記録する。
2332 その場合、\fIdate\fP, \fIhostname\fP, \fIprogname\fP フィールドをログに付加するのは、
2333 syslog デーモンであって、\fBsudoers\fP ではない。
2334 従って、そうしたフィールドは、システムが違えば書式も違うかもしれない。
2335 .PP
2336 ほとんどのシステムで、syslog(3) は、かなり小さなログ・バッファしか持っていない。
2337 そこで、コマンドライン引き数の後ろの方が切り捨てられたりしないように、
2338 \fBsudoers\fP は、(date, hostname, 及び "sudo" という文字列を別にして)
2339 ログ・メッセージが 960 字以上になると、それを分割するようになっている。
2340 メッセージが分割される場合、後続部分では、
2341 ユーザ名の後ろに "(command continued)" という文字列が続き、
2342 その後にコマンドライン引き数の残りが続くことになる。
2343 .SS ファイルにロギングするときの注意点
2344 \fIlogfile\fP オプションを設定すると、\fBsudoers\fP は \fI/var/log/sudo\fP
2345 といったローカルなファイルにログを記録するようになる。ファイルにロギングする場合も、
2346 \fBsudoers\fP は syslog(3) とほとんど同じ書式を使用するが、
2347 いつくかの重要な違いがある。
2348 .TP  5n
2349 1.\&
2350 \fIprogname\fP と \fIhostname\fP フィールドは存在しない。
2351 .TP  5n
2352 2.\&
2353 \fIlog_year\fP オプションが有効な場合、日付には年度も含まれることになる。
2354 .TP  5n
2355 3.\&
2356 \fIloglinelen\fP (デフォルトでは 80) 文字よりも長い行は改行され、
2357 4 文字分のインデントを付けて次の行に続くことになる。
2358 そうすることで、記述情報が人間に読みやすくなるが、
2359 ログファイルに対して grep(1) を使用することは難しくなる。
2360 \fIloglinelen\fP オプションに 0 を指定すると
2361 (あるいは、頭に '\&!' をつけて、否定すると)、改行は行われなくなる。
2362 .SH 入出力ログファイル
2363 入出力ロギングを有効にすると、\fBsudo\fP は擬似 tty でコマンドを実行して、
2364 ユーザのすべての入力や出力のログを取ることになる。
2365 入出力は、\fIiolog_dir\fP オプションで指定したディレクトリに
2366 (デフォルトでは \fI/var/log/sudo\-io\fP)、
2367 一意なセッション ID を使って記録される。
2368 このセッション ID は、(訳注: syslog 経由であれ、独自ファイルであれ)
2369 \fBsudo\fP に関するログの行に、"TSID=" に続く値として書き込まれているものだ。
2370 \fIiolog_file\fP オプションを使えば、
2371 セッション ID の形式を変更することができる。
2372 .PP
2373 各入出力ログは、独立したディレクトリに収納される。
2374 そうしたディレクトリには、次のようなファイルが入っている。
2375 .TP  10n
2376 \fIlog\fP
2377 次のような情報を含むテキストファイル。コマンドが実行された日時、
2378 \fBsudo\fP を実行したユーザの名前、変身対象ユーザ名、変身対象グループ名 (ないこともある)、
2379 \fBsudo\fP が実行された端末、その端末の縦横のサイズ (何行何桁か)、
2380 コマンドがそこから実行されたカレントディレクトリ、
2381 それに、コマンドそのもののパス名 (引き数があれば、それも)
2382 .TP  10n
2383 \fItiming\fP
2384 入出力ログに記録される各事項間の時間間隔と各事項の入出力バイト数のログ
2385 (セッションの再生で使用される)
2386 .TP  10n
2387 \fIttyin\fP
2388 ユーザが使用している端末からの入力 (ユーザがタイプしたこと)。
2389 .TP  10n
2390 \fIstdin\fP
2391 パイプやファイルからの入力
2392 .TP  10n
2393 \fIttyout\fP
2394 擬似 tty の出力 (コマンドがスクリーンに書き出したこと)
2395 .TP  10n
2396 \fIstdout\fP
2397 パイプへ出力されたり、ファイルにリダイレクトされた標準出力
2398 .TP  10n
2399 \fIstderr\fP
2400 パイプへ出力されたり、ファイルへリダイレクトされた標準エラー
2401 .PP
2402 \fIlog\fP 以外のすべてのファイルは、\fIcompress_io\fP オプションが無効になっていないかぎり、
2403 gzip 形式で圧縮される。バッファリングを行うので、入出力のデータは、
2404 \fBsudo\fP コマンドが完了するまで、完全なものにはならない。
2405 入出力ログファイルの出力の部分は、sudoreplay(8) を使って再生することができる。
2406 また、sudoreplay(8) ユーティリティは、利用できるログをリスト表示したり、
2407 検索したりするのに使うこともできる。
2408 .PP
2409 ユーザの入力には、パスワードのような (たとえ、
2410 画面にエコーされることはないにしても) 秘密情報が含まれていることがある。
2411 そういった情報も、暗号化されずに、ログファイルに記録されることに注意していただきたい。
2412 たいていの場合、\fIlog_output\fP や LOG_OUTPUT を使って、
2413 コマンドの出力をログに記録するだけで十分用が足りる。
2414 .PP
2415 入出力ログは、セッションごとに独立したディレクトリに収納される。
2416 そのため、従来からあるログローテーション・ユーティリティを使用して、
2417 保存しておく入出力ログ数を制限することはできない。
2418 保存する入出力ログ数を制限する最も簡単な方法は、
2419 \fImaxseq\fP オプションで保存したいログの最大数を指定することである。
2420 入出力ログの連番が \fImaxseq\fP に達すると、連番は 0 にリセットされ、
2421 \fBsudoers\fP は既存の入出力ログファイルをサイズ 0 に短縮して、再利用することになる。
2422 .SH ファイル
2423 .TP  26n
2424 \fI/etc/sudo.conf\fP
2425 sudo フロントエンドの設定
2426 .TP  26n
2427 \fI/etc/sudoers\fP
2428 誰が何を実行できるかのリスト
2429 .TP  26n
2430 \fI/etc/group\fP
2431 ローカルのグループファイル
2432 .TP  26n
2433 \fI/etc/netgroup\fP
2434 ネットワークグループのリスト
2435 .TP  26n
2436 \fI/var/log/sudo\-io\fP
2437 入出力のログファイル (訳注: 厳密には、
2438 入出力のログを記録するファイル群をその下に格納するトップディレクトリ)
2439 .TP  26n
2440 \fI/var/run/sudo/ts\fP
2441 \fBsudoers\fP セキュリティポリシーが使用するタイムスタンプを格納するディレクトリ
2442 .TP  26n
2443 \fI/var/lib/sudo/lectured\fP
2444 \fBsudoers\fP セキュリティポリシーが使用する訓戒状態ファイルを格納するディレクトリ
2445 .TP  26n
2446 \fI/etc/environment\fP
2447 Linux や AIX で \fB\-i\fP モードを使用するときの初期環境
2448 .SH 用例
2449 以下は \fIsudoers\fP ファイルの記載例である。
2450 正直なところ、いささか凝りすぎの部分もある。
2451 まず最初に継承を許可する環境変数をいくつか指定し、
2452 続いて \fIaliases\fP の定義をする。
2453 .nf
2454 .sp
2455 .RS 0n
2456 # sudo 経由で X アプリケーションを実行するとき、HOME は
2457 # .Xauthority ファイルを探すために使用される。ほかのプログラムも
2458 # 設定ファイルを探すのに HOME を使用するので、この指定が
2459 # 権限の昇格を引き起こしかねないことに注意してほしい。
2460 Defaults env_keep += "DISPLAY HOME"
2461
2462 # User alias の指定
2463 User_Alias      FULLTIMERS = millert, mikef, dowdy
2464 User_Alias      PARTTIMERS = bostley, jwfox, crawl
2465 User_Alias      WEBMASTERS = will, wendy, wim
2466
2467 # Runas alias の指定
2468 Runas_Alias     OP = root, operator
2469 Runas_Alias     DB = oracle, sybase
2470 Runas_Alias     ADMINGRP = adm, oper
2471
2472 # Host alias の指定
2473 Host_Alias      SPARC = bigtime, eclipse, moet, anchor :\e
2474                 SGI = grolsch, dandelion, black :\e
2475                 ALPHA = widget, thalamus, foobar :\e
2476                 HPPA = boa, nag, python
2477 Host_Alias      CUNETS = 128.138.0.0/255.255.0.0
2478 Host_Alias      CSNETS = 128.138.243.0, 128.138.204.0/24, 128.138.242.0
2479 Host_Alias      SERVERS = master, mail, www, ns
2480 Host_Alias      CDROM = orion, perseus, hercules
2481
2482 # Cmnd alias の指定
2483 Cmnd_Alias      DUMPS = /usr/bin/mt, /usr/sbin/dump, /usr/sbin/rdump,\e
2484                         /usr/sbin/restore, /usr/sbin/rrestore,\e
2485                         sha224:0GomF8mNN3wlDt1HD9XldjJ3SNgpFdbjO1+NsQ== \e
2486                         /home/operator/bin/start_backups
2487 Cmnd_Alias      KILL = /usr/bin/kill
2488 Cmnd_Alias      PRINTING = /usr/sbin/lpc, /usr/bin/lprm
2489 Cmnd_Alias      SHUTDOWN = /usr/sbin/shutdown
2490 Cmnd_Alias      HALT = /usr/sbin/halt
2491 Cmnd_Alias      REBOOT = /usr/sbin/reboot
2492 Cmnd_Alias      SHELLS = /usr/bin/sh, /usr/bin/csh, /usr/bin/ksh,\e
2493                          /usr/local/bin/tcsh, /usr/bin/rsh,\e
2494                          /usr/local/bin/zsh
2495 Cmnd_Alias      SU = /usr/bin/su
2496 Cmnd_Alias      PAGERS = /usr/bin/more, /usr/bin/pg, /usr/bin/less
2497 .RE
2498 .fi
2499 .PP
2500 以下では、コンパイル時に埋め込まれたデフォルト値のいくつかを変更している。
2501 \fBsudo\fP には syslog(3) 経由でログを記録し、
2502 ファシリティにはすべての場合に \fIauth\fP を使用させたい。
2503 フルタイムのスタッフには \fBsudo\fP の訓戒を出さないようにしたい。
2504 ユーザ \fBmillert\fP はパスワードを入力しないでよい。
2505 コマンドを root として実行するときは、
2506 環境変数 LOGNAME, USER, USERNAME を変更したくない。
2507 さらに、\fISERVERS\fP という Host_Alias に属するマシンでは、
2508 ローカルなログファイルを副本として作り、
2509 ログの記入事項は数年に渡って保存されるので、
2510 ログの各行に間違いなく年度が入るようにする。
2511 最後に \fIPAGERS\fP という Cmnd_Alias に属するコマンド
2512 (\fI/usr/bin/more\fP, \fI/usr/bin/pg\fP, \fI/usr/bin/less\fP) については、
2513 シェル・エスケープを無効にする。なお、最後の設定は、
2514 許可するコマンドが ALL になっているユーザに対しては、
2515 効果的な抑制にはならないことに注意していただきたい。
2516 .nf
2517 .sp
2518 .RS 0n
2519 # built\-in defaults の変更
2520 Defaults                syslog=auth
2521 Defaults>root           !set_logname
2522 Defaults:FULLTIMERS     !lecture
2523 Defaults:millert        !authenticate
2524 Defaults@SERVERS        log_year, logfile=/var/log/sudo.log
2525 Defaults!PAGERS         noexec
2526 .RE
2527 .fi
2528 .PP
2529 ユーザ設定が、誰が何を実行できるかを実際に決めている部分だ。
2530 .nf
2531 .sp
2532 .RS 0n
2533 root            ALL = (ALL) ALL
2534 %wheel          ALL = (ALL) ALL
2535 .RE
2536 .fi
2537 .PP
2538 \fBroot\fP と \fBwheel\fP グループに属するすべてのユーザには、
2539 どのホストでも任意のユーザとしていかなるコマンドでも実行することを認める。
2540 .nf
2541 .sp
2542 .RS 0n
2543 FULLTIMERS      ALL = NOPASSWD: ALL
2544 .RE
2545 .fi
2546 .PP
2547 フルタイムのシステム管理者 (\fBmillert\fP, \fBmikef\fP, \fBdowdy\fP) は、
2548 どのホストでも任意のコマンドを認証なしで実行できる。
2549 .nf
2550 .sp
2551 .RS 0n
2552 PARTTIMERS      ALL = ALL
2553 .RE
2554 .fi
2555 .PP
2556 パートタイムのシステム管理者 (\fBbostley\fP, \fBjwfox\fP, \fBcrawl\fP) は、
2557 どのホストでも任意のコマンドを実行できるが、その際に認証をしなければならない
2558 (このエントリには NOPASSWD タグが指定されていないので)。
2559 .nf
2560 .sp
2561 .RS 0n
2562 jack            CSNETS = ALL
2563 .RE
2564 .fi
2565 .PP
2566 ユーザ \fBjack\fP は、\fICSNETS\fP というエイリアスに属するマシンで、
2567 任意のコマンドを実行できる (すなわち、ネットワークが 128.138.243.0,
2568 128.138.204.0, 128.138.242.0 のマシンだ)。この内、128.138.204.0 にのみ
2569 class C のネットワークであることを示す明示的な (CIDR 表記の)
2570 netmask がある。\fICSNETS\fP のほかのネットワークについては、
2571 ローカルマシンの netmask がマッチングの際に使われることになる。
2572 .nf
2573 .sp
2574 .RS 0n
2575 lisa            CUNETS = ALL
2576 .RE
2577 .fi
2578 .PP
2579 ユーザ \fBlisa\fP は、エイリアスが \fICUNETS\fP のいかなるホストでも、
2580 任意のコマンドを実行することができる
2581 (すなわち、128.138.0.0 という class B ネットワークのマシンだ)。
2582 .nf
2583 .sp
2584 .RS 0n
2585 operator        ALL = DUMPS, KILL, SHUTDOWN, HALT, REBOOT, PRINTING,\e
2586                 sudoedit /etc/printcap, /usr/oper/bin/
2587 .RE
2588 .fi
2589 .PP
2590 ユーザ \fBoperator\fP は、
2591 簡単な保守管理に用途が限定されたコマンドを実行できる。この場合それは、
2592 バックアップしたり、プロセスを kill したり、印刷システムを操作したり、
2593 システムをシャットダウンしたりするのに関係するコマンドと、
2594 \fI/usr/oper/bin/\fP ディレクトリにある任意のコマンドである。
2595 注意: \fIDUMPS\fP という Cmnd_Alias に属するコマンドのひとつ、すなわち
2596 \fI/home/operator/bin/start_backups\fP は、sha224 ダイジェスト付きである。
2597 そうしているのは、そのスクリプトが置かれているディレクトリが
2598 operator ユーザによって書き込み可能だからだ。スクリプトが変更された場合
2599 (その結果、ダイジェストが一致しないことになる)、
2600 \fBsudo\fP 経由でそのスクリプトを実行することはもはや不可能になる。
2601 .nf
2602 .sp
2603 .RS 0n
2604 joe             ALL = /usr/bin/su operator
2605 .RE
2606 .fi
2607 .PP
2608 ユーザ \fBjoe\fP は、su(1) を使って operator になることしかできない。
2609 .nf
2610 .sp
2611 .RS 0n
2612 pete            HPPA = /usr/bin/passwd [A\-Za\-z]*, !/usr/bin/passwd root
2613
2614 %opers          ALL = (: ADMINGRP) /usr/sbin/
2615 .RE
2616 .fi
2617 .PP
2618 \fBopers\fP グループのユーザは、\fI/usr/sbin/\fP にあるコマンドを、
2619 自分自身の資格で、Runas_Alias \fIADMINGRP\fP に属する任意のグループ
2620 (すなわち、\fBadm\fP か \fBoper\fP グループ) として実行できる。
2621 .PP
2622 ユーザ \fBpete\fP は、\fIHPPA\fP に属するマシンで
2623 root 以外なら誰のパスワードでも変更することを許されている。
2624 コマンドライン引き数は、結合して一つの文字列にした上で、マッチングを行うので、
2625 ワイルドカード '*' は、\fI複数の\fP単語とマッチすることになる。だから、
2626 この例は、passwd(1) がコマンドラインで複数のユーザ名を受け付けないことを前提としているのである。
2627 GNU のシステムでは、
2628 passwd(1) に対するオプションをユーザ引き数の後ろに置くことができるのに注意していただきたい。
2629 そのため、このルールは次のようなコマンドも許可してしまうことになる。
2630 .nf
2631 .sp
2632 .RS 4n
2633 passwd username \-\-expire
2634 .RE
2635 .fi
2636 .PP
2637 これは、望ましくないことかもしれない。
2638 .nf
2639 .sp
2640 .RS 0n
2641 bob             SPARC = (OP) ALL : SGI = (OP) ALL
2642 .RE
2643 .fi
2644 .PP
2645 ユーザ \fBbob\fP は、\fISPARC\fP や \fISGI\fP に属するマシンで
2646 Runas_Alias \fIOP\fPに登録されている任意のユーザとして
2647 (\fBroot\fP と \fBoperator\fP である) どんなコマンドでも実行できる。
2648 .nf
2649 .sp
2650 .RS 0n
2651 jim             +biglab = ALL
2652 .RE
2653 .fi
2654 .PP
2655 ユーザ \fBjim\fP は、\fIbiglab\fP ネットグループに属するマシンで、
2656 どんなコマンドでも実行できる。
2657 \fBsudo\fP は、"biglab" に '+' の接頭辞が付いているので、
2658 それをネットグループだと認識する。
2659 .nf
2660 .sp
2661 .RS 0n
2662 +secretaries    ALL = PRINTING, /usr/bin/adduser, /usr/bin/rmuser
2663 .RE
2664 .fi
2665 .PP
2666 \fBsecretaries\fP ネットグループのユーザは、ユーザの追加や削除はもちろん、
2667 プリンタの管理にも協力する必要がある。
2668 そこで、すべてのマシンでその種のコマンドの実行を認められている。
2669 .nf
2670 .sp
2671 .RS 0n
2672 fred            ALL = (DB) NOPASSWD: ALL
2673 .RE
2674 .fi
2675 .PP
2676 ユーザ \fBfred\fP は、Runas_Alias \fIDB\fP の任意のユーザとして
2677 (\fBoracle\fP か \fBsybase\fP だ)
2678 パスワードを入力しないでもコマンドを実行することができる。
2679 .nf
2680 .sp
2681 .RS 0n
2682 john            ALPHA = /usr/bin/su [!\-]*, !/usr/bin/su *root*
2683 .RE
2684 .fi
2685 .PP
2686 ユーザ \fBjohn\fP は、\fIALPHA\fP に属するマシンで su(1) を使って
2687 root 以外の誰にでもなることができるが、
2688 su にオプションを指定することは許されていない。
2689 .nf
2690 .sp
2691 .RS 0n
2692 jen             ALL, !SERVERS = ALL
2693 .RE
2694 .fi
2695 .PP
2696 ユーザ \fBjen\fP は、Host_Alias \fISERVERS\fP に属するマシン
2697 (master, mail, www, ns) を除くいかなるマシンでも、任意のコマンドを実行できる。
2698 .nf
2699 .sp
2700 .RS 0n
2701 jill            SERVERS = /usr/bin/, !SU, !SHELLS
2702 .RE
2703 .fi
2704 .PP
2705 \fBjill\fP は、Host_Alias \fISERVERS\fP のいかなるマシンでも
2706 \fI/usr/bin/\fP ディレクトリにある任意のコマンドを実行できるが、
2707 \fISU\fP や \fISHELLS\fP という Cmnd_Alias に属するコマンドは実行できない。
2708 ルールのこのくだりでは特に言っていないが、
2709 Cmnd_Alias \fIPAGER\fP のコマンドはすべて \fI/usr/bin\fP にあり、
2710 \fInoexec\fP オプションが設定されている。
2711 .nf
2712 .sp
2713 .RS 0n
2714 steve           CSNETS = (operator) /usr/local/op_commands/
2715 .RE
2716 .fi
2717 .PP
2718 ユーザ \fBsteve\fP は、ディレクトリ \fI/usr/local/op_commands/\fP
2719 にある任意のコマンドを実行できるが、
2720 operator というユーザとして実行できるだけだ。
2721 .nf
2722 .sp
2723 .RS 0n
2724 matt            valkyrie = KILL
2725 .RE
2726 .fi
2727 .PP
2728 \fBmatt\fP も、自分用のワークステーション valkyrie で、
2729 ハングしたプロセスの kill ぐらいはできる必要がある。
2730 .nf
2731 .sp
2732 .RS 0n
2733 WEBMASTERS      www = (www) ALL, (root) /usr/bin/su www
2734 .RE
2735 .fi
2736 .PP
2737 ホスト www で User_Alias \fIWEBMASTERS\fP に属するいかなるユーザも
2738 (will, wendy, wim だ)、ユーザ www (web ページの所有者)
2739 として任意のコマンドを実行することができる。
2740 単に su(1) でユーザ www になってもよい。
2741 .nf
2742 .sp
2743 .RS 0n
2744 ALL             CDROM = NOPASSWD: /sbin/umount /CDROM,\e
2745                 /sbin/mount \-o nosuid\e,nodev /dev/cd0a /CDROM
2746 .RE
2747 .fi
2748 .PP
2749 いかなるユーザも、Host_Alias が \fICDROM\fP のマシンで
2750 (orion, perseus, hercules)、パスワードを入力することなく
2751 CD\-ROM をマウント、アンマウントできる。
2752 上記のコマンドを打ち込むのはユーザにとっていささか面倒なので、
2753 シェルスクリプトとしてカプセル化してしまうのがよいだろう。
2754 .IP "[\fB訳注\fP]:" 8
2755 注意していただきたいが、
2756 \fI/etc/sudoers\fP ファイルに「user1 ALL = (ALL) ALL」といった設定を書いても、
2757 user1 が \fBsudo\fP 経由であらゆるコマンドを実行できるようになるのは、
2758 自ホスト、すなわち、その \fI/etc/sudoers\fP が存在するホストだけであって、
2759 telnet や ssh で接続したホストで 
2760 \fBsudo\fP 経由でコマンドを実行できるとはかぎらない。
2761 他ホストの \fBsudo\fP は、自分のところにある \fI/etc/sudoers\fP 
2762 ファイルしか参照しないからである。
2763 .sp
2764 それでは、何故、上記の「用例」で自ホスト以外の設定が行われているのだろうか? 
2765 そもそも、\fIsudoers\fP の書式で自ホスト以外のホストを指定できるのは、
2766 何故なのか? ホストに \fBALL\fP を指定できるのは、何故なのか? 
2767 それは、管理しているサイトのすべてのホストの設定を記した 
2768 \fIsudoers\fP ファイルを一つ作って、それをすべてのホストにコピーして使う、
2769 そういった使い方を想定しているからだろう。昔の習慣の名残りかもしれない。
2770 もし、サイト中のすべてのホストの設定を一ヶ所にまとめて置き、
2771 それをすべてのホストに共有させたいのなら 
2772 (すなわち、\fIsudoers\fP セキュリティポリシー設定の集中管理がしたいのなら)、
2773 \fBLDAP\fP の採用を考えるべきである。
2774 .SH セキュリティに関する注意点
2775 .SS "'!\&' 演算子の限界"
2776 一般的に言って、演算子 '!\&' を使用して \fBALL\fP
2777 からコマンドの「引き算」をするのは、あまり効果的な方法ではない。
2778 ユーザは実行したいコマンドを名前を変えてコピーし、
2779 それからそれを実行するといった簡単な方法で、裏をかくことができるからだ。
2780 たとえば、
2781 .nf
2782 .sp
2783 .RS 0n
2784 bill    ALL = ALL, !SU, !SHELLS
2785 .RE
2786 .fi
2787 .PP
2788 という行は、\fISU\fP や \fISHELLS\fP に列記されているコマンドの \fBbill\fP による実行を、
2789 本当に阻止することにはならない。なぜなら、\fBbill\fP としては、
2790 そうしたコマンドを単に名前を変えてコピーすればよいし、
2791 エディタなどのプログラムからシェル・エスケープを利用することもできるからだ。
2792 だから、この種の制限はやった方がまし程度に考えておくべきである
2793 (そして、しっかりした運用方針によって制限の実効力を上げるべきだ)。
2794 .PP
2795 一般に、もし ユーザに許可するコマンドに \fBALL\fP が入っているならば、
2796 ユーザが自分でプログラムを作って
2797 (あるいは、シェルを自分専用に別の名前でコピーして)、
2798 ルート・シェルを獲得するのを防ぐことはできない。
2799 ユーザ設定でどんな項目に '!\&'  を付けようとも防止不可能である。
2800 .SS "\fIfast_glob\fP の持つセキュリティ上の問題"
2801 \fIfast_glob\fP オプションが使われている場合、
2802 パス名に glob 文字 (ワイルドカードとも言う)
2803 が含まれるコマンドを確実に無効にすることは不可能である。その理由は、
2804 C ライブラリの fnmatch(3) 関数は、相対パスのパス名展開ができないからだ。
2805 このことは、権限を許可するルールにとっては、
2806 たいていの場合不便なだけにすぎないが、権限を減らしたり、
2807 取り消したりするルールにとっては、セキュリティ上の問題をもたらしかねない。
2808 .PP
2809 たとえば、\fIsudoers\fP ファイルに次のエントリがあったとしよう。
2810 .nf
2811 .sp
2812 .RS 0n
2813 john    ALL = /usr/bin/passwd [a\-zA\-Z0\-9]*, /usr/bin/chsh [a\-zA\-Z0\-9]*,\e
2814               /usr/bin/chfn [a\-zA\-Z0\-9]*, !/usr/bin/* root
2815 .RE
2816 .fi
2817 .PP
2818 それでも、\fIfast_glob\fP が有効になっていれば、\fBjohn\fP は
2819 "/usr/bin/passwd root" を実行できてしまう。
2820 \fI/usr/bin\fP に移動して、"./passwd root" を実行すればよいのだ。
2821 .SS シェル・エスケープの防止
2822 \fBsudo\fP があるプログラムを実行した場合、そのプログラムは、
2823 ほかのプログラムの実行も含めて、何でも自由に好きなことができる。
2824 このことがセキュリティ上の問題になりかねないのは、
2825 プログラムがシェル・エスケープを許しているのは珍しいことではなく、
2826 そのために、ユーザが \fBsudo\fP
2827 のアクセス制御やロギングをすり抜けることが可能になるからだ。
2828 よく使うプログラムでシェル・エスケープを許しているものには、
2829 (当然ながら) シェル、エディタ、
2830 ページャ、メーラ、ターミナルなどがある。
2831 .PP
2832 この問題に対処するには、基本的に二つの方法がある。
2833 .TP  10n
2834 制限
2835 ユーザに任意のコマンドの実行を許すようなコマンドに対して、
2836 ユーザがアクセスできないようにする。
2837 エディタの場合は、制限モード (restricted mode) と称して、
2838 シェル・エスケープが使えないモードを持っているものも多い。
2839 とは言え、\fBsudo\fP 経由でエディタを使うのなら、
2840 \fBsudoedit\fP を使用する方がより優れた対策である。
2841 シェル・エスケープを提供するプログラムはたくさんあるので、
2842 それを提供しないプログラムのみを使用するようにユーザを制限するのは、
2843 たいてい実現不可能である。
2844 .TP  10n
2845 noexec
2846 共有ライブラリをサポートしているシステムには、
2847 環境変数 (たいていは LD_PRELOAD) で別の共有ライブラリを指定することによって、
2848 デフォルトのライブラリ関数を置き換えることができるものが多い。
2849 そういったシステムでは、\fBsudo\fP の \fInoexec\fP 機能を使えば、
2850 \fBsudo\fP から実行されるプログラムが、
2851 何かほかのプログラムを実行するのを防ぐことができる。
2852 とは言え、これが当てはまるのは、
2853 動的にリンクされたネイティブなプログラムだけだということに留意してほしい。
2854 静的にリンクされたプログラムや、
2855 バイナリ・エミュレーションのもとで動くほかの OS のプログラムには効果がない。
2856 .sp
2857 \fInoexec\fP 機能は SunOS, Solaris, *BSD, Linux, IRIX, Tru64 UNIX,
2858 MacOS X, HP\-UX 11.x、それに 5.3 以上の AIX で使えることがわかっている。
2859 環境変数 LD_PRELOAD をサポートしているたいていのオペレーティングシステムが、
2860 この機能に対応しているはずだ。
2861 使用しているオペレーティングシステムのマニュアルページを調べて、
2862 ダイナミック・リンカについて (通例 ld.so, ld.so.1, dyld, dld.sl, rld,
2863 loader といった名前になっている) LD_PRELOAD
2864 がサポートされているかどうか確認していただきたい。
2865 .sp
2866 あるコマンドに対して \fInoexec\fP を有効にするには、
2867 上述の「ユーザ設定」セクションで解説したように、NOEXEC タグを使用する。
2868 そのときの例を再掲しよう。
2869 .nf
2870 .sp
2871 .RS 10n
2872 aaron   shanty = NOEXEC: /usr/bin/more, /usr/bin/vi
2873 .RE
2874 .fi
2875 .RS 10n
2876 .sp
2877 この例では、ユーザ \fBaaron\fP 対して、\fInoexec\fP を有効にした上で、
2878 \fI/usr/bin/more\fP と \fI/usr/bin/vi\fP の実行を許可している。
2879 このようにすれば、この二つのコマンドから (シェルのような)
2880 ほかのコマンドを実行することができなくなるわけだ。使用しているシステムが
2881 \fInoexec\fP に対応する能力があるかどうかよくわからない場合でも、
2882 取りあえず試してみることなら、いつだってできる。\fInoexec\fP を有効にして、
2883 シェル・エスケープが可能かどうか確かめてみればよいのだ。
2884 .RE
2885 .PP
2886 注意してほしいが、シェル・エスケープの禁止は万能薬ではない。
2887 root の権限で動いているプログラムには、ほかにも、危険性のあるさまざまな作業
2888 (ファイルの属性を変更するとか、上書きしてしまうとか) が可能であり、
2889 思いがけずに権限を拡大してしまうこともありえるのだ。特にエディタについて言うと、
2890 ユーザには \fBsudoedit\fP を実行する許可を与えるのが、より安全な方法である
2891 (下記参照)。
2892 .SS 安全な編集作業
2893 \fBsudoers\fP プラグインでは \fBsudoedit\fP が使用できるようになっており、
2894 ユーザは好みのエディタを使って、安全にファイルを編集することができる。
2895 \fBsudoedit\fP は \fBsudo\fP の組み込みコマンドなので、
2896 \fIsudoers\fP ファイル中で指定するときは、
2897 頭にパスを付けてはいけない。ただし、コマンドライン引き数については、
2898 通常のコマンドと全く同じように指定することができる。
2899 \fBsudoedit\fP のコマンドライン引き数にワイルドカードを使用した場合は、
2900 \fBsudoedit\fP の引き数にはパス名が来るはずなので、
2901 ワイルドカードはフォワードスラッシュ ('/') にマッチしないようになっている。
2902 .PP
2903 \fBsudo\fP 経由で実行される他のコマンドとは違って、エディターは
2904 \fBsudo\fP を起動するユーザの資格で、環境を変更せずに実行される。
2905 詳しくは、sudo(8) のマニュアルの \fB\-e\fP オプションの説明をご覧になるとよい。
2906 .PP
2907 たとえば、ユーザ operator が "message of the day" ファイルを編集できるようにするには、\fIsudoers\fP
2908 で次のように指定する。
2909 .nf
2910 .sp
2911 .RS 6n
2912 operator        ALL = sudoedit /etc/motd
2913 .RE
2914 .fi
2915 .PP
2916 そして、ユーザ operator は、\fBsudoedit\fP を次のように実行する。
2917 .nf
2918 .sp
2919 .RS 6n
2920 $ sudoedit /etc/motd
2921 .RE
2922 .fi
2923 .PP
2924 エディタは、root ではなく、ユーザ operator の資格で、\fI/etc/motd\fP
2925 の作業用コピーに対して実行される。ファイルの編集が済むと、
2926 \fI/etc/motd\fP は作業用コピーの内容で更新されることになる。
2927 .PP
2928 ユーザが書き込み権限を持っているディレクトリに存在するファイルに対して、
2929 ファイル名を直接指定してであれ、ワイルドカードによって指定してであれ、
2930 \fBsudoedit\fP を使って編集する許可をそのユーザに与えてはいけない。
2931 もし、ユーザがディレクトリに対して書き込み権限を持っているならば、編集を許可されたファイルを、
2932 別のファイルに対するリンクで置き換えることができるわけで、そうすることによって、
2933 任意のどんなファイルでも編集できるようになってしまうからだ。
2934 そうした事態を防ぐために、バージョン 1.8.16 以降の \fBsudoedit\fP では、
2935 \fIsudoedit_checkdir\fP オプションが無効になっている場合や、
2936 \fBsudoedit\fP を実行するユーザが root である場合を除いて、
2937 ユーザが書き込み権限を持っているディレクトリに存在するいかなるシンボリックリンクも、
2938 たどらないようになっている。
2939 また、書き込み権限があるディレクトリに存在するファイルの編集を行うことも拒否する。
2940 さらに、バージョン 1.8.15 以降の \fBsudoedit\fP では、
2941 \fIsudoers\fP ファイルで \fIsudoedit_follow\fP オプションが有効になっているか、
2942 \fIsudoedit\fP コマンドの前に FOLLOW タグが指定してあるかのどちらかでないかぎり、
2943 シンボリックリンクをオープンしないようになっている。
2944 .SS タイムスタンプ・ファイルのチェック
2945 \fBsudoers\fP は、タイムスタンプ・ディレクトリ (デフォルトでは
2946 \fI/var/run/sudo/ts\fP) の所有者を調べて、所有者が root でなかったり、
2947 root 以外のユーザにも書き込み可能であったりすると、
2948 そのディレクトリの中身を無視する。古いバージョンの \fBsudo\fP は、
2949 タイムスタンプ・ファイルを \fI/tmp\fP に置いていたが、
2950 そうしたことは今では推奨できない。
2951 特権を持たないユーザが自分の作ったファイルの所有者を変更できるシステムでは、
2952 ユーザがタイムスタンプを自分で作成することが可能になるかもしれないからだ。
2953 .PP
2954 タイムスタンプ・ディレクトリは、
2955 リブートしたときにその中身を\fI消去されるべき\fPだが、
2956 すべてのシステムに \fI/var/run\fP ディレクトリが存在するとはかぎらない。
2957 問題が起きるのを避けるために、\fBsudoers\fP は、
2958 ブートタイムを参照できるシステムでは、
2959 マシンがブートした時刻よりも古い日時を持つタイムスタンプ・ファイルを無視する。
2960 .PP
2961 グラフィカルなデスクトップ環境を持っているシステムの中には、
2962 特権を持たないユーザにシステム・クロックの変更を許しているものがある。
2963 \fBsudoers\fP は、タイムスタンプが有効か否を確認するのに、
2964 システム・クロックを拠り所にしている。そこで、そうしたシステムでは、
2965 ユーザがクロックを後戻りさせることで、\fItimestamp_timeout\fP よりも長い時間
2966 \fBsudo\fP を実行することが可能になるかもしれない。そうした事態に対抗するため、
2967 \fBsudoers\fP は、システムがサポートしているならば、
2968 タイムスタンプに単調増加時計 (monotonic clock) を使用する
2969 (単調増加時計は後戻りすることがないからだ)。
2970 .PP
2971 \fBsudoers\fP はあまりにも未来に設定されたタイムスタンプを認めない。
2972 タイムスタンプが「現在時 + 2 * TIMEOUT」より新しい日時だった場合、
2973 そのタイムスタンプは無視され、\fBsudoers\fP はログに記録して、警告を発する。
2974 .PP
2975 タイムスタンプ・ファイルはファイルシステム中に作られるものだから、
2976 ユーザのログイン・セッションが終わっても残っている。
2977 そのため、ユーザがログインし、認証を行ってから
2978 \fBsudo\fP を使ってコマンドを実行し、一旦ログアウトして、再度ログインしたとき、
2979 認証なしで \fBsudo\fP を実行することが可能になってしまうかもしれない。
2980 タイムスタンプ・ファイルに記録されているタイムスタンプが 5 分以内のものであれば
2981 (あるいは、\fIsudoers\fP ファイルで設定されているタイムアウト時間以内のものであれば)、
2982 そういうことが可能かもしれないのだ。
2983 \fItty_tickets\fP オプションが有効な場合は、タイムスタンプの記録に、
2984 ユーザが認証するときに使った端末のデバイス番号が含まれる。それよって、
2985 tty ごとのきめ細かな管理が可能になるが、それでもタイムスタンプの記録が、
2986 ユーザのセッションが終わった後まで有効である可能性もある。また、
2987 タイムスタンプの記録には、最後に認証を行ったプロセスのセッション ID も含まれている。
2988 別の端末セッションのプロセスが、同じタイムスタンプの記録を使えないようにしているのだ。
2989 それはまた、ユーザがログアウトし、再度同じ端末にログインしたときに、
2990 パスワードを入力することなしに \fBsudo\fP を実行できる可能性を減少させる役にも立っている。
2991 .SH デバッギング
2992 バージョン 1.8.4 以上の \fBsudoers\fP プラグインは、
2993 デバッグのための柔軟な枠組みをサポートしており、問題が発生したときに、
2994 プラグインの内部で何が起きているかを突き止めるために、
2995 それを利用することができる。設定は sudo.conf(5) ファイルで行うことが可能だ。
2996 .PP
2997 \fBsudoers\fP プラグインは、
2998 フロントエンドである \fBsudo\fP と同じデバッグ・フラグの書式を使用する。
2999 すなわち、\fIsubsystem\fP@\fIpriority\fP である。
3000 .PP
3001 \fBsudoers\fP が使用する priority (重大度) を深刻なものから挙げると、
3002 \fIcrit\fP, \fIerr\fP, \fIwarn\fP, \fInotice\fP, \fIdiag\fP, \fIinfo\fP, \fItrace\fP,
3003 \fIdebug\fP である。ある priority を指定すると、
3004 それより深刻なすべての priority も併せて指定したことになる。
3005 たとえば、\fInotice\fP という priority を指定すれば、
3006 \fInotice\fP レベル以上のデバッグメッセージがログに記録される。
3007 .PP
3008 \fBsudoers\fP では以下のサブシステムが使用できる。
3009 .TP  10n
3010 \fIalias\fP
3011 User_Alias, Runas_Alias, Host_Alias and Cmnd_Alias の処理
3012 .TP  10n
3013 \fIall\fP
3014 すべてのサブシステムにマッチする
3015 .TP  10n
3016 \fIaudit\fP
3017 Solaris BSM (Basic Security Module) と Linux の監査コード
3018 .TP  10n
3019 \fIauth\fP
3020 ユーザの認証
3021 .TP  10n
3022 \fIdefaults\fP
3023 \fIsudoers\fP ファイルの \fIDefaults\fP 設定
3024 .TP  10n
3025 \fIenv\fP
3026 環境の取扱い
3027 .TP  10n
3028 \fIldap\fP
3029 LDAP を使用する sudoers
3030 .TP  10n
3031 \fIlogging\fP
3032 ロギングのサポート
3033 .TP  10n
3034 \fImatch\fP
3035 \fIsudoers\fP ファイルにおけるユーザ、グループ、ホスト、ネットグループのマッチング
3036 .TP  10n
3037 \fInetif\fP
3038 ネットワークインターフェースの取扱い
3039 .TP  10n
3040 \fInss\fP
3041 \fBsudoers\fP におけるネームサービス・スイッチの取扱い
3042 .TP  10n
3043 \fIparser\fP
3044 \fIsudoers\fP ファイルの解析
3045 .TP  10n
3046 \fIperms\fP
3047 パーミッションの設定
3048 .TP  10n
3049 \fIplugin\fP
3050 プラグインにとって \fImain\fP に相当する
3051 .TP  10n
3052 \fIpty\fP
3053 擬似 tty 関連コード
3054 .TP  10n
3055 \fIrbtree\fP
3056 赤黒木 (redblack tree) の内部情報
3057 .TP  10n
3058 \fIsssd\fP
3059 SSSD を使用する sudoers
3060 .TP  10n
3061 \fIutil\fP
3062 ユーティリティ関数群
3063 .PD 0
3064 .PP
3065 一例を挙げておく。
3066 .nf
3067 .sp
3068 .RS 0n
3069 Debug sudoers.so /var/log/sudo_debug match@info,nss@info
3070 .RE
3071 .fi
3072 .PD
3073 .PP
3074 より詳しい情報については、sudo.conf(5) マニュアルをご覧いただきたい。
3075 .SH 関連項目
3076 ssh(1), su(1), fnmatch(3), glob(3), mktemp(3), strftime(3), sudo.conf(5),
3077 sudoers.ldap(5), sudo(8), sudo_plugin(5), visudo(8)
3078 .SH 作者
3079 多数の人々が長年に渡って \fBsudo\fP の開発に携わってきた。
3080 当バージョンは主として次の者が書いたコードからできている。
3081 .sp
3082 .RS 6n
3083 Todd C. Miller
3084 .RE
3085 .PP
3086 \fBsudo\fP の開発に貢献してくださった方々の詳細なリストについては、
3087 配布物中の CONTRIBUTORS ファイルをご覧になっていただきたい。
3088 (https://www.sudo.ws/contributors.html)
3089 .SH 警告
3090 \fIsudoers\fP ファイルの編集には、\fB必ず\fP \fBvisudo\fP コマンドを使うべきである。
3091 そうすれば、\fBvisudo\fP がファイルをロックし、文法のチェックをやってくれる。
3092 \fIsudoers\fP ファイルに文法的な間違いがあると、\fBsudo\fP が動かなくなるので、
3093 \fIsudoers\fP ファイルには文法エラーが絶対にあってはならないのだ。
3094 .PP
3095 ネットグループを (ユーザについてではなく) マシンについて使用し、
3096 \fInetgroup\fP ファイルに完全修飾ホスト名を記載する場合は
3097 (たいていそうするものだが)、hostname コマンドの返すそのマシンのホスト名が、
3098 完全修飾ホスト名になっていなければならない。そうでないときは、\fIsudoers\fP
3099 ファイルで \fIfqdn\fP オプションを使う必要がある。
3100 .SH バグ
3101 \fBsudo\fP にバグを発見したと思ったら、https://bugzilla.sudo.ws/
3102 にアクセスして、バグレポートを提出していただきたい。
3103 .SH サポート
3104 ある程度の無料サポートが sudo\-users メーリングリストを通して利用できる。
3105 購読やアーカイブの検索には、次の URL をご覧になるとよい。
3106 https://www.sudo.ws/mailman/listinfo/sudo\-users
3107 .SH 免責
3108 \fBsudo\fP は「現状のまま」提供される。 明示的な、あるいは黙示的ないかなる保証も、
3109 商品性や特定目的への適合性についての黙示的な保証を含め、
3110 またそれのみに止まらず、これを否認する。詳細な全文については、
3111 \fBsudo\fP と一緒に配布されている LICENSE ファイルや、
3112 次の Web ページをご覧いただきたい。
3113 https://www.sudo.ws/license.html