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[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man2 / dup.2
index 5821b30..83d753d 100644 (file)
@@ -1,9 +1,9 @@
-.\" Hey Emacs! This file is -*- nroff -*- source.
-.\"
 .\" This manpage is Copyright (C) 1992 Drew Eckhardt;
 .\" and Copyright (C) 1993 Michael Haardt, Ian Jackson.
 .\" and Copyright (C) 2005, 2008 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
+.\" and Copyright (C) 2014 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
 .\"
+.\" %%%LICENSE_START(VERBATIM)
 .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this
 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
 .\" preserved on all copies.
@@ -23,6 +23,7 @@
 .\"
 .\" Formatted or processed versions of this manual, if unaccompanied by
 .\" the source, must acknowledge the copyright and authors of this work.
+.\" %%%LICENSE_END
 .\"
 .\" Modified 1993-07-21, Rik Faith <faith@cs.unc.edu>
 .\" Modified 1994-08-21, Michael Chastain <mec@shell.portal.com>:
 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
 .\"
 .\"*******************************************************************
-.TH DUP 2 2012\-02\-14 Linux "Linux Programmer's Manual"
+.\"
+.\" Japanese Version Copyright (c) 1996 Takeshi Ueno
+.\"         all rights reserved.
+.\" Translated 1996-07-03, Takeshi Ueno <tueno@vio.co.jp>
+.\" Modified 1997-12-14, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
+.\" Modified 2003-01-16, Akihiro Motoki <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
+.\" Updated & Modified 2004-05-19, Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>
+.\" Updated & Modified 2005-09-07, Akihiro MOTOKI
+.\" Updated 2008-02-10, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v2.77
+.\" Updated 2008-11-09, Akihiro MOTOKI, LDP v3.13
+.\"
+.TH DUP 2 2015\-01\-22 Linux "Linux Programmer's Manual"
 .SH 名前
-dup, dup2, dup3 \- ã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83»ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿を複製する
+dup, dup2, dup3 \- ã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼を複製する
 .SH 書式
 .nf
 \fB#include <unistd.h>\fP
@@ -55,40 +67,60 @@ dup, dup2, dup3 \- ファイル・ディスクリプタを複製する
 \fBint dup3(int \fP\fIoldfd\fP\fB, int \fP\fInewfd\fP\fB, int \fP\fIflags\fP\fB);\fP
 .fi
 .SH 説明
-これらのシステムコールは、ファイル・ディスクリプタ \fIoldfd\fP の複製を作る。
+\fBdup\fP() システムコールは、 ファイルディスクリプター \fIoldfd\fP のコピーを作成し、 最も小さい番号の未使用のディスクリプターを
+新しいディスクリプターとして使用する。
+
+成功が返された場合には、 古いファイルディスクリプターと新しいファイルディスクリプターは 互いに可換なものとして使うことができる。
+2つのファイルディスクリプターは同じファイル記述 (description)  (\fBopen\fP(2)  参照)
+を参照しており、したがってファイルオフセットやファイル状態フラグが 共有される。例えば、一方のディスクリプターに対して \fBlseek\fP(2)
+を使ってファイルオフセットを変更した場合、もう一方のディスクリプターの オフセットも変化する。
+
+.\"
+2つのディスクリプターはファイルディスクリプターフラグ (close\-on\-exec flag)  を共有しない。複製されたディスクリプターの
+close\-on\-exec flag (\fBfcntl\fP(2)  参照) は off となる。
+.SS dup2()
+\fBdup2\fP() システムコールは \fBdup\fP() と同じ処理を実行するが、
+番号が最も小さい未使用のファイルディスクリプターを使用する代わりに、
+\fInewfd\fP で指定されたディスクリプター番号を使用する。
+ディスクリプター \fInewfd\fP が以前にオープンされていた場合には、
+黙ってそのディスクリプターをクローズしてから再利用する。
 
-\fBdup\fP()  は最も小さい番号の未使用のディスクリプタを 新しいディスクリプタとして使用する。
+ファイルディスクリプター \fInewfd\fP をクローズして再利用する処理は
+\fIアトミック(不可分)に\fP実行される。これは重要な点である。 なぜなら、
+等価な機能を \fBclose\fP(2) と \fBdup\fP() を使って実装しようとすると、
+2 つの処理の間に \fInewfd\fP が再利用されてしまうという、
+競合状態にさらされることになるからだ。
+このような再利用が起こるのは、
+メインプログラムがファイルディスクリプターを割り当てる
+シグナルハンドラーにより割り込まれたり、並行動作するスレッドが
+ファイルディスクリプターを割り当てたりすることがあるからだ。
 
-\fBdup2\fP()  は \fInewfd\fP を \fIoldfd\fP の複製として作成する。 必要であれば最初に \fInewfd\fP をクローズする。
-以下の点に注意すること。
+以下の点について注意すること:
 .IP * 3
-\fIoldfd\fP が有効なファイルディスクリプタでない場合、その呼び出しは失敗し、 \fInewfd\fP はクローズされない。
+\fIoldfd\fP ã\81\8cæ\9c\89å\8a¹ã\81ªã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼ã\81§ã\81ªã\81\84å ´å\90\88ã\80\81ã\81\9dã\81®å\91¼ã\81³å\87ºã\81\97ã\81¯å¤±æ\95\97ã\81\97ã\80\81 \fInewfd\fP ã\81¯ã\82¯ã\83­ã\83¼ã\82ºã\81\95ã\82\8cã\81ªã\81\84ã\80\82
 .IP *
-\fIoldfd\fP が有効なファイルディスクリプタで、 \fInewfd\fP が \fIoldfd\fP と同じ値の場合、 \fBdup2\fP()  は何もせず、
+.\"
+\fIoldfd\fP が有効なファイルディスクリプターで、 \fInewfd\fP が \fIoldfd\fP と同じ値の場合、 \fBdup2\fP()  は何もせず、
 \fInewfd\fP を返す。
-.PP
-これらのシステムコールのいずれかが成功を返した場合には、 古いファイル・ディスクリプタと新しいファイル・ディスクリプタは
-互いに可換なものとして使うことができる。 2つのファイル・ディスクリプタは同じファイル記述 (description)  (\fBopen\fP(2)
-参照) を参照しており、したがってファイルオフセットやファイル状態フラグが 共有される。例えば、一方のディスクリプタに対して \fBlseek\fP(2)
-を使ってファイルオフセットを変更した場合、もう一方のディスクリプタの オフセットも変化する。
-
-2つのディスクリプタはファイル・ディスクリプタ・フラグ (close\-on\-exec flag)  を共有しない。複製されたディスクリプタの
-close\-on\-exec flag (\fBfcntl\fP(2)  参照) は off となる。
-
+.SS dup3()
 \fBdup3\fP()  は \fBdup2\fP()  と同じだが、以下の点が異なる。
 .IP * 3
\91¼ã\81³å\87ºã\81\97å\85\83ã\81\8cã\80\81æ\96°ã\81\97ã\81\84ã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83»ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿に対して close\-on\-exec フラグを強制的に設定することができる。 これを行うには、
\91¼ã\81³å\87ºã\81\97å\85\83ã\81\8cã\80\81æ\96°ã\81\97ã\81\84ã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼に対して close\-on\-exec フラグを強制的に設定することができる。 これを行うには、
 \fIflags\fP に \fBO_CLOEXEC\fP を指定する。 このフラグが役に立つ理由については、 \fBopen\fP(2)  の \fBO_CLOEXEC\fP
 フラグの説明を参照のこと。
 .IP *
 .\" FIXME . To confirm with Al Viro that this was intended, and its rationale
 \fIoldfd\fP が \fInewfd\fP と同じ場合、 \fBdup3\fP()  は \fBEINVAL\fP エラーで失敗する。
 .SH 返り値
-成功すると、これらのシステムコールは新しいディスクリプタを返す。 エラーの場合、\-1 を返し、 \fIerrno\fP を適切に設定する。
\88\90å\8a\9fã\81\99ã\82\8bã\81¨ã\80\81ã\81\93ã\82\8cã\82\89ã\81®ã\82·ã\82¹ã\83\86ã\83 ã\82³ã\83¼ã\83«ã\81¯æ\96°ã\81\97ã\81\84ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼ã\82\92è¿\94ã\81\99ã\80\82 ã\82¨ã\83©ã\83¼ã\81®å ´å\90\88ã\80\81\-1 ã\82\92è¿\94ã\81\97ã\80\81 \fIerrno\fP ã\82\92é\81©å\88\87ã\81«è¨­å®\9aã\81\99ã\82\8bã\80\82
 .SH エラー
 .TP 
 \fBEBADF\fP
-\fIoldfd\fP がオープンされたファイル・ディスクリプタでないか、 \fInewfd\fP がファイル・ディスクリプタとして許される範囲から外れている。
+\fIoldfd\fP がオープンされたファイルディスクリプターではない。
+.TP 
+\fBEBADF\fP
+\fInewfd\fP がファイルディスクリプターとして許可されている範囲ではない (\fBgetrlimit\fP(2) の \fBRLIMIT_NOFILE\fP
+の議論を参照)。
 .TP 
 \fBEBUSY\fP
 (Linux のみ)  \fBopen\fP(2)  や \fBdup\fP()  との競合状態の場合に、 \fBdup2\fP()  や \fBdup3\fP()
@@ -98,11 +130,15 @@ close\-on\-exec flag (\fBfcntl\fP(2)  参照) は off となる。
 \fBdup2\fP()  や \fBdup3\fP()  の呼び出しがシグナルにより割り込まれた。 \fBsignal\fP(7)  参照。
 .TP 
 \fBEINVAL\fP
+(\fBdup3\fP())  \fIflags\fP に無効な値が入っている。
+.TP 
+\fBEINVAL\fP
 .\" FIXME . To confirm with Al Viro that this was intended, and its rationale
-(\fBdup3\fP())  \fIflags\fP に無効な値が入っている。 もしくは、 \fIoldfd\fP が \fInewfd\fP と同じであった。
+(\fBdup3\fP()) \fIoldfd\fP が \fInewfd\fP と同じであった。
 .TP 
 \fBEMFILE\fP
-プロセスがすでにオープンできる最大数までファイル・ディスクリプタ を開いていて、さらに新しいものを開こうとした。
+プロセスがすでにオープンできる最大数までファイルディスクリプター を開いていて、さらに新しいものを開こうとした (\fBgetrlimit\fP(2)
+のリソース上限 \fBRLIMIT_NOFILE\fP を参照)。
 .SH バージョン
 \fBdup3\fP()  はバージョン 2.6.27 で Linux に追加された。 glibc によるサポートはバージョン 2.9 以降で利用できる。
 .SH 準拠
@@ -116,7 +152,43 @@ close\-on\-exec flag (\fBfcntl\fP(2)  参照) は off となる。
 \fInewfd\fP が範囲を超えた時に返されるエラーは、 \fBdup2\fP()  と \fBfcntl(\fP..., \fBF_DUPFD\fP, ...\fB)\fP
 では異っている。 \fBdup2\fP()  が \fBF_DUPFD\fP と同じように \fBEINVAL\fP を返すシステムもある。
 
-\fInewfd\fP がオープンされていると、 \fBclose\fP(2)  した時に報告されるはずのエラーが失われてしまう。 \fBdup2\fP()  や
-\fBdup3\fP()  を使う前に先ず \fInewfd\fP をクローズするようにした方がいいだろう。
+\fInewfd\fP がオープンされていた場合、
+\fBclose\fP(2) 時に報告されることになるエラーはすべて失われる。
+これが心配で、シングルスレッドかつシグナルハンドラーで
+ファイルディスクリプターを割り当てるようなプログラムでない場合には、
+正しい方法は \fBdup2\fP() を呼び出す前に
+\fInewfd\fP をクローズ「しない」ことである。
+なぜなら、上で説明した競合状況があるからである。
+代わりに、以下のようなコードが使用できることだろう。
+
+.nf
+    /* あとで close() エラーをチェックするのに使用できる
+       ように 'newfd' の複製を取得する。 EBADF エラーは
+       'newfd' がオープンされていないことを意味する。 */
+
+    tmpfd = dup(newfd);
+    if (tmpfd == \-1 && errno != EBADF) {
+        /* 予期しない dup() のエラーを処理する */
+    }
+
+    /* アトミックに 'oldfd' を 'newfd' に複製する */
+
+    if (dup2(oldfd, newfd) == \-1) {
+        /* dup2() のエラーを処理する */
+    }
+
+    /* ここでもともと 'newfd' で参照されていたファイルの
+       close() エラーをチェックする */
+
+    if (tmpfd != \-1) {
+        if (close(tmpfd) == \-1) {
+            /* close からのエラーを処理する */
+        }
+    }
+.fi
 .SH 関連項目
 \fBclose\fP(2), \fBfcntl\fP(2), \fBopen\fP(2)
+.SH この文書について
+この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部
+である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
+http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。