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.\" Updated 2008-02-10, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v2.77
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.\"
-.TH DUP 2 2012\-02\-14 Linux "Linux Programmer's Manual"
+.TH DUP 2 2015\-01\-22 Linux "Linux Programmer's Manual"
.SH 名前
-dup, dup2, dup3 \- ファイルディスクリプタを複製する
+dup, dup2, dup3 \- ã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼ã\82\92è¤\87製ã\81\99ã\82\8b
.SH 書式
.nf
\fB#include <unistd.h>\fP
\fBint dup3(int \fP\fIoldfd\fP\fB, int \fP\fInewfd\fP\fB, int \fP\fIflags\fP\fB);\fP
.fi
.SH 説明
-これらのシステムコールは、ファイルディスクリプタ \fIoldfd\fP の複製を作る。
+\fBdup\fP() システムコールは、 ファイルディスクリプター \fIoldfd\fP のコピーを作成し、 最も小さい番号の未使用のディスクリプターを
+新しいディスクリプターとして使用する。
-\fBdup\fP() は最も小さい番号の未使用のディスクリプタを 新しいディスクリプタとして使用する。
+成功が返された場合には、 古いファイルディスクリプターと新しいファイルディスクリプターは 互いに可換なものとして使うことができる。
+2つのファイルディスクリプターは同じファイル記述 (description) (\fBopen\fP(2) 参照)
+を参照しており、したがってファイルオフセットやファイル状態フラグが 共有される。例えば、一方のディスクリプターに対して \fBlseek\fP(2)
+を使ってファイルオフセットを変更した場合、もう一方のディスクリプターの オフセットも変化する。
-\fBdup2\fP() は \fInewfd\fP を \fIoldfd\fP の複製として作成する。 必要であれば最初に \fInewfd\fP をクローズする。
-以下の点に注意すること。
+.\"
+2つのディスクリプターはファイルディスクリプターフラグ (close\-on\-exec flag) を共有しない。複製されたディスクリプターの
+close\-on\-exec flag (\fBfcntl\fP(2) 参照) は off となる。
+.SS dup2()
+\fBdup2\fP() システムコールは \fBdup\fP() と同じ処理を実行するが、
+番号が最も小さい未使用のファイルディスクリプターを使用する代わりに、
+\fInewfd\fP で指定されたディスクリプター番号を使用する。
+ディスクリプター \fInewfd\fP が以前にオープンされていた場合には、
+黙ってそのディスクリプターをクローズしてから再利用する。
+
+ファイルディスクリプター \fInewfd\fP をクローズして再利用する処理は
+\fIアトミック(不可分)に\fP実行される。これは重要な点である。 なぜなら、
+等価な機能を \fBclose\fP(2) と \fBdup\fP() を使って実装しようとすると、
+2 つの処理の間に \fInewfd\fP が再利用されてしまうという、
+競合状態にさらされることになるからだ。
+このような再利用が起こるのは、
+メインプログラムがファイルディスクリプターを割り当てる
+シグナルハンドラーにより割り込まれたり、並行動作するスレッドが
+ファイルディスクリプターを割り当てたりすることがあるからだ。
+
+以下の点について注意すること:
.IP * 3
-\fIoldfd\fP が有効なファイルディスクリプタでない場合、その呼び出しは失敗し、 \fInewfd\fP はクローズされない。
+\fIoldfd\fP ã\81\8cæ\9c\89å\8a¹ã\81ªã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼ã\81§ã\81ªã\81\84å ´å\90\88ã\80\81ã\81\9dã\81®å\91¼ã\81³å\87ºã\81\97ã\81¯å¤±æ\95\97ã\81\97ã\80\81 \fInewfd\fP ã\81¯ã\82¯ã\83ã\83¼ã\82ºã\81\95ã\82\8cã\81ªã\81\84ã\80\82
.IP *
-\fIoldfd\fP が有効なファイルディスクリプタで、 \fInewfd\fP が \fIoldfd\fP と同じ値の場合、 \fBdup2\fP() は何もせず、
+.\"
+\fIoldfd\fP が有効なファイルディスクリプターで、 \fInewfd\fP が \fIoldfd\fP と同じ値の場合、 \fBdup2\fP() は何もせず、
\fInewfd\fP を返す。
-.PP
-これらのシステムコールのいずれかが成功を返した場合には、 古いファイルディスクリプタと新しいファイルディスクリプタは
-互いに可換なものとして使うことができる。 2つのファイルディスクリプタは同じファイル記述 (description) (\fBopen\fP(2) 参照)
-を参照しており、したがってファイルオフセットやファイル状態フラグが 共有される。例えば、一方のディスクリプタに対して \fBlseek\fP(2)
-を使ってファイルオフセットを変更した場合、もう一方のディスクリプタの オフセットも変化する。
-
-2つのディスクリプタはファイルディスクリプタフラグ (close\-on\-exec flag) を共有しない。複製されたディスクリプタの
-close\-on\-exec flag (\fBfcntl\fP(2) 参照) は off となる。
-
+.SS dup3()
\fBdup3\fP() は \fBdup2\fP() と同じだが、以下の点が異なる。
.IP * 3
-呼び出し元が、新しいファイルディスクリプタに対して close\-on\-exec フラグを強制的に設定することができる。 これを行うには、
+å\91¼ã\81³å\87ºã\81\97å\85\83ã\81\8cã\80\81æ\96°ã\81\97ã\81\84ã\83\95ã\82¡ã\82¤ã\83«ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼ã\81«å¯¾ã\81\97ã\81¦ close\-on\-exec ã\83\95ã\83©ã\82°ã\82\92å¼·å\88¶ç\9a\84ã\81«è¨å®\9aã\81\99ã\82\8bã\81\93ã\81¨ã\81\8cã\81§ã\81\8dã\82\8bã\80\82 ã\81\93ã\82\8cã\82\92è¡\8cã\81\86ã\81«ã\81¯ã\80\81
\fIflags\fP に \fBO_CLOEXEC\fP を指定する。 このフラグが役に立つ理由については、 \fBopen\fP(2) の \fBO_CLOEXEC\fP
フラグの説明を参照のこと。
.IP *
.\" FIXME . To confirm with Al Viro that this was intended, and its rationale
\fIoldfd\fP が \fInewfd\fP と同じ場合、 \fBdup3\fP() は \fBEINVAL\fP エラーで失敗する。
.SH 返り値
-成功すると、これらのシステムコールは新しいディスクリプタを返す。 エラーの場合、\-1 を返し、 \fIerrno\fP を適切に設定する。
+æ\88\90å\8a\9fã\81\99ã\82\8bã\81¨ã\80\81ã\81\93ã\82\8cã\82\89ã\81®ã\82·ã\82¹ã\83\86ã\83 ã\82³ã\83¼ã\83«ã\81¯æ\96°ã\81\97ã\81\84ã\83\87ã\82£ã\82¹ã\82¯ã\83ªã\83\97ã\82¿ã\83¼ã\82\92è¿\94ã\81\99ã\80\82 ã\82¨ã\83©ã\83¼ã\81®å ´å\90\88ã\80\81\-1 ã\82\92è¿\94ã\81\97ã\80\81 \fIerrno\fP ã\82\92é\81©å\88\87ã\81«è¨å®\9aã\81\99ã\82\8bã\80\82
.SH エラー
.TP
\fBEBADF\fP
-\fIoldfd\fP がオープンされたファイルディスクリプタでないか、 \fInewfd\fP がファイルディスクリプタとして許される範囲から外れている。
+\fIoldfd\fP がオープンされたファイルディスクリプターではない。
+.TP
+\fBEBADF\fP
+\fInewfd\fP がファイルディスクリプターとして許可されている範囲ではない (\fBgetrlimit\fP(2) の \fBRLIMIT_NOFILE\fP
+の議論を参照)。
.TP
\fBEBUSY\fP
(Linux のみ) \fBopen\fP(2) や \fBdup\fP() との競合状態の場合に、 \fBdup2\fP() や \fBdup3\fP()
\fBdup2\fP() や \fBdup3\fP() の呼び出しがシグナルにより割り込まれた。 \fBsignal\fP(7) 参照。
.TP
\fBEINVAL\fP
+(\fBdup3\fP()) \fIflags\fP に無効な値が入っている。
+.TP
+\fBEINVAL\fP
.\" FIXME . To confirm with Al Viro that this was intended, and its rationale
-(\fBdup3\fP()) \fIflags\fP に無効な値が入っている。 もしくは、 \fIoldfd\fP が \fInewfd\fP と同じであった。
+(\fBdup3\fP()) \fIoldfd\fP が \fInewfd\fP と同じであった。
.TP
\fBEMFILE\fP
-プロセスがすでにオープンできる最大数までファイルディスクリプタ を開いていて、さらに新しいものを開こうとした。
+プロセスがすでにオープンできる最大数までファイルディスクリプター を開いていて、さらに新しいものを開こうとした (\fBgetrlimit\fP(2)
+のリソース上限 \fBRLIMIT_NOFILE\fP を参照)。
.SH バージョン
\fBdup3\fP() はバージョン 2.6.27 で Linux に追加された。 glibc によるサポートはバージョン 2.9 以降で利用できる。
.SH 準拠
\fInewfd\fP が範囲を超えた時に返されるエラーは、 \fBdup2\fP() と \fBfcntl(\fP..., \fBF_DUPFD\fP, ...\fB)\fP
では異っている。 \fBdup2\fP() が \fBF_DUPFD\fP と同じように \fBEINVAL\fP を返すシステムもある。
-\fInewfd\fP がオープンされていると、 \fBclose\fP(2) した時に報告されるはずのエラーが失われてしまう。 \fBdup2\fP() や
-\fBdup3\fP() を使う前に先ず \fInewfd\fP をクローズするようにした方がいいだろう。
+\fInewfd\fP がオープンされていた場合、
+\fBclose\fP(2) 時に報告されることになるエラーはすべて失われる。
+これが心配で、シングルスレッドかつシグナルハンドラーで
+ファイルディスクリプターを割り当てるようなプログラムでない場合には、
+正しい方法は \fBdup2\fP() を呼び出す前に
+\fInewfd\fP をクローズ「しない」ことである。
+なぜなら、上で説明した競合状況があるからである。
+代わりに、以下のようなコードが使用できることだろう。
+
+.nf
+ /* あとで close() エラーをチェックするのに使用できる
+ ように 'newfd' の複製を取得する。 EBADF エラーは
+ 'newfd' がオープンされていないことを意味する。 */
+
+ tmpfd = dup(newfd);
+ if (tmpfd == \-1 && errno != EBADF) {
+ /* 予期しない dup() のエラーを処理する */
+ }
+
+ /* アトミックに 'oldfd' を 'newfd' に複製する */
+
+ if (dup2(oldfd, newfd) == \-1) {
+ /* dup2() のエラーを処理する */
+ }
+
+ /* ここでもともと 'newfd' で参照されていたファイルの
+ close() エラーをチェックする */
+
+ if (tmpfd != \-1) {
+ if (close(tmpfd) == \-1) {
+ /* close からのエラーを処理する */
+ }
+ }
+.fi
.SH 関連項目
\fBclose\fP(2), \fBfcntl\fP(2), \fBopen\fP(2)
.SH この文書について
-この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.68 の一部
+この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部
である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。