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[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man2 / fork.2
index d27fdba..9059f76 100644 (file)
@@ -1,9 +1,8 @@
-.\" Hey Emacs! This file is -*- nroff -*- source.
-.\"
 .\" Copyright (C) 2006 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
 .\" A few fragments remain from an earlier (1992) page by
 .\" Drew Eckhardt (drew@cs.colorado.edu),
 .\"
+.\" %%%LICENSE_START(VERBATIM)
 .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this
 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
 .\" preserved on all copies.
@@ -23,6 +22,7 @@
 .\"
 .\" Formatted or processed versions of this manual, if unaccompanied by
 .\" the source, must acknowledge the copyright and authors of this work.
+.\" %%%LICENSE_END
 .\"
 .\" Modified by Michael Haardt (michael@moria.de)
 .\" Modified Sat Jul 24 13:22:07 1993 by Rik Faith (faith@cs.unc.edu)
 .\"     Greatly expanded, to describe all attributes that differ
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 .\"
+.\"*******************************************************************
+.\"
+.\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
+.\"
+.\"*******************************************************************
+.\"
 .\" Japanese Version Copyright (c) 1996 TABATA Tomohira
 .\"         all rights reserved.
 .\" Translated Thu Jun 27 20:35:06 JST 1996
 .\"         by Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>, LDP v2.01
 .\" Updated & Modified Wed Jan  3 04:11:03 JST 2007 by Yuichi SATO, LDP v2.43
 .\" Updated 2008-08-04, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v3.05
+.\" Updated 2012-05-29, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
+.\" Updated 2013-05-01, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
 .\"
-.TH FORK 2 2009-04-27 "Linux" "Linux Programmer's Manual"
+.TH FORK 2 2014\-05\-28 Linux "Linux Programmer's Manual"
 .SH 名前
 fork \- 子プロセスを生成する
 .SH 書式
-.B #include <unistd.h>
+\fB#include <unistd.h>\fP
 .sp
-.B pid_t fork(void);
+\fBpid_t fork(void);\fP
 .SH 説明
-.BR fork ()
-は呼び出し元プロセスを複製して新しいプロセスを生成する。
-\fIchild\fP で参照される新しいプロセスは、以下の点を除き、
+\fBfork\fP()  は呼び出し元プロセスを複製して新しいプロセスを生成する。 \fIchild\fP で参照される新しいプロセスは、以下の点を除き、
 \fIparent\fP で参照される呼び出し元プロセスの完全な複製である:
 .IP * 3
-子プロセスは独自のプロセス ID を持ち、
-この PID は既存のどのプロセスグループ
-.RB ( setpgid (2))
-の ID とも一致しない。
+子プロセスは独自のプロセス ID を持ち、 この PID は既存のどのプロセスグループ (\fBsetpgid\fP(2))  の ID とも一致しない。
 .IP *
 子プロセスの親プロセス ID は、親プロセスのプロセス ID と同じである。
 .IP *
-子プロセスは親プロセスのメモリロック
-.RB ( mlock (2),
-.BR mlockall (2))
-を引き継がない。
+子プロセスは親プロセスのメモリーロック (\fBmlock\fP(2), \fBmlockall\fP(2))  を引き継がない。
 .IP *
-プロセスの資源利用量
-.RB ( getrusage (2))
-と CPU タイムカウンタ
-.RB ( times (2))
-が、子プロセスでは 0 にリセットされる。
+プロセスの資源利用量 (\fBgetrusage\fP(2))  と CPU タイムカウンター (\fBtimes\fP(2))  が、子プロセスでは 0
+にリセットされる。
 .IP *
-子プロセスの処理待ちのシグナルの集合
-.RB ( sigpending (2))
-は、初期状態では空になる。
+子プロセスの処理待ちのシグナルの集合 (\fBsigpending\fP(2))  は、初期状態では空になる。
 .IP *
-子プロセスは親プロセスからセマフォ調整
-.RB ( semop (2))
-を引き継がない。
+子プロセスは親プロセスからセマフォ調整 (\fBsemop\fP(2))  を引き継がない。
 .IP *
-子プロセスは親プロセスからレコードロック
-.RB ( fcntl (2))
-を引き継がない。
+子プロセスは親プロセスからプロセスに関連付けられたレコードロックを引き継がない (\fBfcntl\fP(2))。 (一方、子プロセスは親プロセスから
+\fBfcntl\fP(2) オープンファイル記述ロックと \fBflock\fP(2) ロックを引き継ぐ。)
 .IP *
-子プロセスは親プロセスからタイマー
-.RB ( setitimer (2),
-.BR alarm (2),
-.BR timer_create (2))
+子プロセスは親プロセスからタイマー (\fBsetitimer\fP(2), \fBalarm\fP(2), \fBtimer_create\fP(2))
 を引き継がない。
 .IP *
-子プロセスは親プロセスから主だった非同期 I/O 操作を引き継がない
-.RB ( aio_read (3),
-.BR aio_write (3)
-参照)。
-また、親プロセスから非同期 I/O コンテキストを引き継がない
-.RB ( io_setup (2)
-参照)。
+子プロセスは親プロセスから主だった非同期 I/O 操作を引き継がない (\fBaio_read\fP(3), \fBaio_write\fP(3)  参照)。
+また、親プロセスから非同期 I/O コンテキストを引き継がない (\fBio_setup\fP(2)  参照)。
 .PP
-上記のリストにあるプロセス属性は、POSIX.1-2001 で全て指定されている。
-親プロセスと子プロセスは、以下の Linux 固有のプロセス属性も異なる:
+上記のリストにあるプロセス属性は、POSIX.1\-2001 で全て指定されている。 親プロセスと子プロセスは、以下の Linux
+固有のプロセス属性も異なる:
 .IP * 3
-子プロセスは親プロセスからディレクトリ変更通知 (dnotify)
-.RB ( fcntl (2)
-における
-.B F_NOTIFY
-の説明を参照) を引き継がない。
-.IP *
-.BR prctl (2)
-の
-.B PR_SET_PDEATHSIG
-の設定がリセットされ、子プロセスは親プロセスが終了したときに
+子プロセスは親プロセスからディレクトリ変更通知 (dnotify)  (\fBfcntl\fP(2)  における \fBF_NOTIFY\fP の説明を参照)
+を引き継がない。
+.IP *
+\fBprctl\fP(2)  の \fBPR_SET_PDEATHSIG\fP の設定がリセットされ、子プロセスは親プロセスが終了したときに
 シグナルを受信しない。
 .IP *
-.BR madvise (2)
-の
-.B MADV_DONTFORK
-フラグでマークされたメモリマッピングは、
-.BR fork ()
+timer slack value のデフォルト値には、親プロセスの現在の timer slack value が設定される。 \fBprctl\fP(2)
+の \fBPR_SET_TIMERSLACK\fP の説明を参照。
+.IP *
+\fBmadvise\fP(2)  の \fBMADV_DONTFORK\fP フラグでマークされたメモリーマッピングは、 \fBfork\fP()
 によって引き継がれない。
 .IP *
-子プロセスの終了シグナルは常に
-.B SIGCHLD
-である
-.RB ( clone (2)
-を参照)。
+子プロセスの終了シグナルは常に \fBSIGCHLD\fP である (\fBclone\fP(2)  を参照)。
+.IP *
+\fBioperm\fP(2) で設定されるポートアクセス許可ビットは、子プロセスには継承されない。子プロセスでは、 \fBioperm\fP(2)
+を使って必要なビットをセットしなければならない。
 .PP
-さらに以下の点について注意すること:
+以下の点についても注意すること:
 .IP * 3
-子プロセスはシングルスレッドで生成される。つまり、
-.BR fork ()
-を呼び出したスレッドとなる。
-親プロセスの仮想アドレス空間全体が子プロセスに複製される。
-これにはミューテックス (mutex) の状態・条件変数・
-pthread オブジェクトが含まれる。
-これが引き起こす問題を扱うには、
-.BR pthread_atfork (3)
-を使うと良いだろう。
-.IP *
-子プロセスは親プロセスが持つ
-オープンファイルディスクリプタの集合のコピーを引き継ぐ。
-子プロセスの各ファイルディスクリプタは、
-親プロセスのファイルディスクリプタに対応する
-同じオープンファイル記述 (file description) を参照する
-.RB ( open (2)
-を参照)。
-これは 2 つのディスクリプタが、ファイル状態フラグ・
-現在のファイルオフセット、シグナル駆動 (signal-driven) I/O 属性
-.RB ( fcntl (2)
-における
-.BR F_SETOWN ,
-.B F_SETSIG
-の説明を参照) を共有することを意味する。
-.IP *
-子プロセスは親プロセスが持つオープンメッセージキューディスクリプタ
-.RB ( mq_overview (7)
-を参照) の集合のコピーを引き継ぐ。
-子プロセスの各ディスクリプタは、
-親プロセスのディスクリプタに対応する
-同じオープンメッセージキューディスクリプタを参照する。
-これは 2 つのディスクリプタが同じフラグ
-.RI ( mq_flags )
-を共有することを意味する。
-.IP *
-子プロセスは、親プロセスのオープン済みのディレクトリストリームの集合
-.RB ( opendir (3)
-参照) のコピーを継承する。
-POSIX.1-2001 では、親プロセスと子プロセス間の対応するディレクトリストリーム
-はディレクトリストリームの位置 (positioning) を共有してもよいとされている。
-Linux/glibc ではディレクトリストリームの位置の共有は行われていない。
+子プロセスはシングルスレッドで生成される。つまり、 \fBfork\fP()  を呼び出したスレッドとなる。
+親プロセスの仮想アドレス空間全体が子プロセスに複製される。 これにはミューテックス (mutex) の状態・条件変数・ pthread
+オブジェクトが含まれる。 これが引き起こす問題を扱うには、 \fBpthread_atfork\fP(3)  を使うと良いだろう。
+.IP *
+子プロセスは親プロセスが持つ オープンファイルディスクリプターの集合のコピーを引き継ぐ。 子プロセスの各ファイルディスクリプターは、
+親プロセスのファイルディスクリプターに対応する 同じオープンファイル記述 (file description) を参照する (\fBopen\fP(2)
+を参照)。 これは 2 つのディスクリプターが、ファイル状態フラグ・ 現在のファイルオフセット、シグナル駆動 (signal\-driven) I/O
+属性 (\fBfcntl\fP(2)  における \fBF_SETOWN\fP, \fBF_SETSIG\fP の説明を参照) を共有することを意味する。
+.IP *
+子プロセスは親プロセスが持つオープンメッセージキューディスクリプター (\fBmq_overview\fP(7)  を参照) の集合のコピーを引き継ぐ。
+子プロセスの各ディスクリプターは、 親プロセスのディスクリプターに対応する 同じオープンメッセージキューディスクリプターを参照する。 これは 2
+つのディスクリプターが同じフラグ (\fImq_flags\fP)  を共有することを意味する。
+.IP *
+子プロセスは、親プロセスのオープン済みのディレクトリストリームの集合 (\fBopendir\fP(3)  参照) のコピーを継承する。
+POSIX.1\-2001 では、親プロセスと子プロセス間の対応するディレクトリストリーム はディレクトリストリームの位置 (positioning)
+を共有してもよいとされている。 Linux/glibc ではディレクトリストリームの位置の共有は行われていない。
 .SH 返り値
-成功した場合、親プロセスには子プロセスの PID が返され、
-子プロセスには 0 が返される。
-失敗した場合、親プロセスに \-1 が返され、子プロセスは生成されず、
-.I errno
-が適切に設定される。
+成功した場合、親プロセスには子プロセスの PID が返され、 子プロセスには 0 が返される。 失敗した場合、親プロセスに \-1
+が返され、子プロセスは生成されず、 \fIerrno\fP が適切に設定される。
 .SH エラー
-.TP
-.B EAGAIN
-親プロセスのページ・テーブルのコピーと
-子プロセスのタスク構造に生成に必要なメモリを
-.BR fork ()
-が割り当てることができなかった。
-.TP
-.B EAGAIN
-呼び出し元の
-.B RLIMIT_NPROC
-資源の制限 (resource limit) に達したために、新しいプロセスを生成できなかった。
-この制限を超えるには、プロセスは
-.B CAP_SYS_ADMIN
-または
-.B CAP_SYS_RESOURCE
-ケーパビリティ (capability) を持っていなくてはならない。
-.TP
-.B ENOMEM
-メモリが足りないために、
-.BR fork ()
-は必要なカーネル構造体を割り当てることができなかった。
+.TP 
+\fBEAGAIN\fP
+親プロセスのページテーブルのコピーと 子プロセスのタスク構造に生成に必要なメモリーを \fBfork\fP()  が割り当てることができなかった。
+.TP 
+\fBEAGAIN\fP
+
+.\" NOTE! The following should match the description in pthread_create(3)
+システムで設定されたスレッド数の上限に達していた。 このエラーの原因となる上限値はいくつかある。 実ユーザー ID
+当たりのプロセス数とスレッド数の上限である、ソフトリソース上限 \fBRLIMIT_NPROC\fP に達していた (\fBsetrlimit\fP(2)
+で設定できる)。 カーネルのシステム全体のプロセスとスレッドの上限数である \fI/proc/sys/kernel/threads\-max\fP が達していた
+(\fBproc\fP(5) 参照)。 PID の最大値 \fI/proc/sys/kernel/pid_max\fP に達していた (\fBproc\fP(5)
+参照)。
+.TP 
+\fBEAGAIN\fP
+呼び出し元は、スケジューリングポリシー \fBSCHED_DEADLINE\fP で動作しており、かつ reset\-on\-fork
+フラグがセットされていない。 \fBsched\fP(7) 参照。
+.TP 
+\fBENOMEM\fP
+メモリーが足りないために、 \fBfork\fP()  は必要なカーネル構造体を割り当てることができなかった。
+.TP 
+\fBENOSYS\fP
+.\" e.g., arm (optionally), blackfin, c6x, frv, h8300, microblaze, xtensa
+\fBfork\fP() はこのプラットフォームではサポートされていない
+(例えば、メモリー管理ユニット (MMU) がないハードウェア)。
 .SH 準拠
-SVr4, 4.3BSD, POSIX.1-2001.
+SVr4, 4.3BSD, POSIX.1\-2001.
 .SH 注意
-Linux では、
-.BR fork ()
-を 書き込み時コピー (copy-on-write)・ページを用いて実装している。
-したがって、fork を行うことの唯一のデメリットは、
-親プロセスのページ・テーブルを複製と
-子プロセス自身のタスク構造の作成のための時間とメモリが必要なことである。
-
-glibc 2.3.3 以降では、
-NPTL スレッド実装の一部として提供されている glibc の
-.BR fork ()
-ラッパー関数は、
-カーネルの
-.BR fork ()
-システムコールを起動するのではなく、
-.BR clone (2)
-を起動する。
-.BR clone (2)
-に渡すフラグとして、伝統的な
-.BR fork ()
-システムコールと同じ効果が得られるようなフラグが指定される。
-glibc のラッパー関数は
-.BR pthread_atfork (3)
-を使って設定されている任意の fork ハンドラを起動する。
-.\" getpid(2) が正しい値を返すことができるように何らかの処理を行う。
+.PP
+Linux では、 \fBfork\fP()  を 書き込み時コピー (copy\-on\-write) ページを用いて実装している。 したがって、fork
+を行うことの唯一のデメリットは、 親プロセスのページテーブルを複製と 子プロセス自身のタスク構造の作成のための時間とメモリーが必要なことである。
 
+.\" nptl/sysdeps/unix/sysv/linux/fork.c
+.\" and does some magic to ensure that getpid(2) returns the right value.
+glibc 2.3.3 以降では、 NPTL スレッド実装の一部として提供されている
+glibc の\fBfork\fP() ラッパー関数は、 カーネルの \fBfork\fP() システムコール
+を起動するのではなく、\fBclone\fP(2) を起動する。
+\fBclone\fP(2) に渡すフラグとして、伝統的な \fBfork\fP() システムコールと
+同じ効果が得られるようなフラグが指定される (\fBfork\fP() の呼び出しは、
+\fIflags\fP に \fBSIGCHLD\fP だけを指定して \fBclone\fP(2) を呼び出すのと等価である)。
+glibc のラッパー関数は \fBpthread_atfork\fP(3) を使って設定されている
+任意の fork ハンドラーを起動する。
 .SH 例
-.BR pipe (2)
-および
-.BR wait (2)
-を参照。
+\fBpipe\fP(2)  および \fBwait\fP(2)  を参照。
 .SH 関連項目
-.BR clone (2),
-.BR execve (2),
-.BR setrlimit (2),
-.BR unshare (2),
-.BR vfork (2),
-.BR wait (2),
-.BR daemon (3),
-.BR capabilities (7),
-.BR credentials (7)
+\fBclone\fP(2), \fBexecve\fP(2), \fBexit\fP(2), \fBsetrlimit\fP(2), \fBunshare\fP(2),
+\fBvfork\fP(2), \fBwait\fP(2), \fBdaemon\fP(3), \fBcapabilities\fP(7), \fBcredentials\fP(7)
+.SH この文書について
+この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.78 の一部
+である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
+http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。