doc/how2build_qt.ja.txt

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   3
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   6
   7 Common Source Code Project for Qt：ビルド方法
   8                                         Feb 25, 2016 K.Ohta
   9                            <whatisthis.sowhat_at_gmail.com>
  10
  11 1.はじめに
  12 　Common Source Code Project(CSP)をQtに移植する上で、ビルドを
  13 する方法・特にMinGWを使うときによくわからないという声がありま
  14 したので、少し書いていきます。
  15
  16 2.用意するもの
  17 ・Windowsの方は、MinGWが必要です…が、Qtのオープンソース版
  18 　インストーラ[1]にはMinGW(Qt5.5.1の場合にはGCC4.9.2）が
  19 　付いてきますが、しかし、中途半端。
  20 ・GCC (LLVM CLANGだとQtと相性が良くないかもしれない）
  21 ・Qt5.1以上、勿論ヘッダなどの開発ファイルも。
  22 ・OpenGL 2.1以上が動く環境。Windows用Qtにはソフトウェアレンダラが付
  23 　いてきます。
  24 ・CMake[2] 2.8以上
  25 ・libSDL2[3]
  26 ・もし可能ならば、CCACHEを使うと若干速くできます[4]
  27 ・git[5]があれば、ソースコードをリポジトリ[6]からダウンロードするこ
  28 　とが出来ます。
  29 ・emufm7の一部のコードはテキストファイルからgawkでソースコード
  30 　に落としてます。ただし、ソースツリーには生成後のファイルが
  31 　含まれています。
  32
  33 [1] http://www.qt.io/download-open-source/ でWindows用(32/64bit)の
  34 　　インストーラを使ってみてください
  35 [2] http://cmake.org/
  36 [3] http://libsdl.org/
  37 [4] https://ccache.samba.org/
  38 [5] https://git-scm.com/
  39 [6] https://github.com/Artanejp/common_source_project-fm7
  40     https://www.pikacode.com/Artanejp/common_source_project-fm7/
  41
  42 　これらのものは、GNU/LinuxなどやMinGWならば、パッケージ管理ソフト
  43 で大半を入れられるでしょう。
  44
  45 3.ビルド方法
  46   3-1.基本的な方法
  47 　　ソースツリーを${SRCDIR}に展開しておいて、
  48       $ cd ${SRCDIR}/source/build-cmake/{VM名}/
  49       $ mkdir -p build
  50       $ cd build
  51       $ cmake .. ※[7]
  52       $ make
  53   　うまく行ったら、
  54       $ sudo make install
  55
  56 [7] 実際には、CMakeのCursesGUI版のccmakeを使ったほうが設定が便利です。
  57
  58    3-2.MinGWの場合
  59      　基本的には同じですが、Qtのwindeployqt.exeを使うと、必要なQtラ
  60      イブラリをコピーしてくれます。
  61      　ただし、libstdc関連とlibSDL2とOpenGL関係のDLLは手動でコピーす
  62      る必要があります。
  63      　公式のMinGWにはCMakeはないので、[8]からダウンロードしてください。
  64
  65      a.MinGWをインストールします。
  66      　mingw32-gccとmingw32-g++とmingw32-binutils、
  67      　mingw-developer-toolkitとmingw32-pthreds-w32
  68      　を必ずインストールしてください。
  69
  70      b.MSYS Bashのショートカットをデスクトップやメニューなどに登録して
  71      　おきましょう。デフォルトのインストール先ならば、
  72      　C:\MinGW\msys\1.0\msys.bat です。
  73
  74      c.Qtをインストールします。
  75      　[1]からダウンロードしたインストーラを起動し、mingw toolchainを
  76      　含めた形でインストールします。
  77
  78      d.CMakeをインストールします。
  79      　パスにCMakeが含まれるようにするか？とインストーラが訊いてくる
  80      　ので、チェックしてください。
  81
  82      e.必要ならば、Gitをインストールします。
  83
  84      f.C:\MinGW\msys\1.0\home\{ユーザ名}\.profile　を編集します。
  85      　この時、メモ帳で行うと問題が出るので、vimを使います。
  86      　MSYS BASH上から
  87        $ vim ~/.profile
  88        以下の行を付け加えてください。
  89            export PATH=/c/MinGw/bin:$PATH:/c/Qt/Qt5.5.1/5.5/mingw492_32/bin
  90        終わったら、[ESC]→ZZ コマンドで、書き込みます。
  91
  92      g.SDL2をインストールします。(参考：[9]）
  93      　ダウンロードしてきたSDL2の"Windows Development MinGW"のtarball
  94        を展開して、インストールします。
  95        $ tar xf SDL2-devel-2.0.4-mingw.tar.gz
  96        $ cd SDL2-2.0.4
  97        $ mingw32-make install-package arch=i686-w64-mingw32 prefix=/c/mingw
  98
  99      h.ここまで来れたら、MSYS BASHを再度起動します。
 100      　そして、git cloneで取ってきたソースやgithubにあるリリースページの
 101        ソースコードを展開します。ここでは、フルパスを${SRCDIR}と記述
 102        します。
 103
 104      i.ビルドします。
 105        $ cd ${SRCDIR}
 106        $ cd source/build-cmake/${VM名}
 107        $ mkdir build-win32
 108        $ cd build-win32
 109        $ cmake .. -G "MinGW Makefiles"
 110         ※[10]
 111        $ mingw32-make
 112
 113      　※注意点：Windwos上の(ネィティブの)MinGWでは、makeではなく、mingw32-make
 114      　　　　　　等を使います。Windows側がmakeを持ってて、しかもこれがunix形式の
 115      　　　　　　Makefileを真面目に解釈してくれないという極悪仕様ですので…
 116
 117      j.う　ま　く　ビ　ル　ド　で　き　る　こ　と　を　祈　り　ま　す
 118
 119      k.ビルドできたら、動かすためのディレクトリーにemu${VM名}.exeを
 120      　コピーします。
 121
 122      l.コピーした先のディレクトリィに移動した上で、
 123        $ windeployqt.exe --release emu${VM名}.exe
 124        とすると、リリースモードで必要なQtのライブラリをコピーしてく
 125        れますが、libSDL2とlibpthreadとlibgcc_sなどを手動でコピー
 126        しないと、Windowsのエクスプローラからは起動できません(；´Д｀)
 127        なお、CMakeのビルドタイプにDebugやRelwithdebinfoを指定した
 128        時は、
 129        $ windeployqt.exe --debug emu${VM名}.exe
 130        としましょう。
 131        その後、以下のファイルをC:\Qt\Qt5.5.1\mingw492_32\bin (など）
 132        か、もしくはC:\MinGW\bin から、exeを置いたディレクトリにコピーします。
 133        　icudt54.dll
 134        　icuin54.dll
 135        　icuuc54.dll
 136        　libgcc_s_dw2-1.dll
 137        　libstdc++-6.dll
 138        　libwinpthread-1.dll
 139        その上で、 SDL2.dll (C:\MinGW\bin にあるはず)も、このディレクトリに
 140        コピーします。
 141
 142 [8] http://cmake.org/download/
 143 [9] https://gist.github.com/Hamayama/155b5557db31334ce492
 144 [10] 実際には、一旦CMakeを動かした後で、cmake-guiを起動して細かい設定を
 145 　　 するほうがベターです。
 146
 147    3-3.クロスビルド (GNU/LinuxなどでWindows用のビルドを行う）
 148    　ここでは、GNU/Linuxホストで、Windows向けのCSPをクロスビルドする方法を
 149    簡単に記述しておきます。
 150    　Android等向けのARMビルドやその他のOS向けビルドについての参考にもなるで
 151    しょう。
 152
 153 　　　a.クロスコンパイラのインストール
 154 　　　　大抵の場合、MinGW向けのクロスGCC Toolchainがあるので、それを
 155 　　　インストールします。
 156
 157 　　　b.Wineのインストール
 158 　　　　mocなどはWindows用を使う必要があるので、Wineをインストールしま
 159 　　　す。
 160 　　　　その上で、exe拡張子のファイルをWine経由で起動できるように
 161 　　　binfmt-supportなどのサポートスクリプトにある、upda-ebinfmtsで設定
 162 　　　します。[11]
 163 　　　$ sudo update-binfmts --install Win32Exec /usr/bin/wine --magic "MZ"
 164 　　　で良かったと思います（うろおぼえでごめんなさい）
 165
 166 [11] http://d.hatena.ne.jp/kakurasan/20110909/p1 など参考に。
 167
 168 　　　c.Qt for Windowsのインストール
 169 　　　　[1]のURLから、Windows用インストーラを落とします。
 170 　　　　そして、
 171 　　　　$ sudo wine ./qt-opensource-foo.exe
 172 　　　　とします。
 173 　　　　そうするとQtのインストーラ画面が出てくるので、
 174 　　　　Z:\usr\local\i586-mingw-msvc
 175 　　　　をインストール先に指定してください。
 176         この時に、
 177         $ sudo chmod ugo+x /usr/local/i586-mingw-msvc/5.5/mingw492_32/bin/*.exe
 178         などとして、Windows用Qt添付のツールを直接起動できるようにしましょう。
 179
 180 　　　d.libSDL2のインストール
 181 　　　　libSDL2も、Windows用のものをインストールせねばなりません。
 182 　　　　[3]から、SDL2のWindows用(Development用)をダウンロードして、
 183 　　　　/usr/local/i586-mingw-msvc/ 辺りに展開しましょう。
 184
 185 　　　e.クロスビルド
 186 　　　　CMakeのToolChain機能を使いますが、色々と設定がややこしいので、
 187 　　　既に記述したものが用意してあります。
 188 　　　　${SRCDIR}/source/build-cmake/cmake/toolchain_mingw_cross_linux.cmake
 189 　　　　このファイルの記述をいじって、
 190 　      $ cd ${SRCDIR}/source/build-cmake/{VM名}/
 191  　     $ mkdir -p build
 192   　    $ cd build
 193    　   $ cmake .. -DCMAKE_TOOLCHAIN_FILE=../../cmake/toolchain_mingw_cross_linux.cmake
 194     　  $ make
 195     　　で大丈夫なはずです。
 196
 197 　　3-3.楽をしよう
 198 　　　ここまでの記述では、仮想マシン単位で手作業のビルドをしてきました。
 199 　　　しかし、一度下準備ができたのに、毎回毎回では厄介です。
 200 　　　故に、バッチファイル(Bashスクリプト)が用意されています。
 201 　　　　・${SRCDIR}/source/build-cmake/config_build.sh : 通常のビルド
 202 　　　　・${SRCDIR}/source/build-cmake/config_build_cross_win32.sh
 203 　　　　　: GNU/Linux上でMinGW32(Windows)用のファイルをビルドする
 204 　　　　　スクリプト
 205         ・${SRCDIR}/source/build-cmake/config_build_mingw.sh
 206         　: Windows上のMinGWでMinGW用のファイルをビルドするスクリプト
 207
 208 　　　config_build.sh は、buildvars.dat と言うファイルに設定を書いていきます。
 209 　　　config_build_mingw.sh は、buildvars_mingw.dat と言うファイルに設定を
 210 　　　書いていきます。
 211
 212 　　　使い方は、
 213 　　　$ ./${スクリプト名} ${VM名1} ${VM名2} ... ${VM名n}
 214 　　　です。
 215 　　　CMakeからMakefilesを生成→make→インストール→make clean
 216 　　　を全自動で行います。
 217
 218 　　　make結果については、 ${VM名}/build/make.log (MinGW向けクロスビルドでは
 219 　　　${VM名}/build-win32/build.log ）に記録されています。
 220
 221 　　　Windows向けビルドについては、 ${SRCDIR}/source/build-cmake/bin-win32/
 222 　　　に出来上がったバイナリをコピーして、ビルド作業ディレクトリをcleanします。
 223
 224 　　　バッチビルドについては、Midnight Commander (mc)を使うと、非常に楽です。
 225 　　　詳しくは、 https://www.midnight-commander.org/ を。
 226 　　　Windowsの非公式ビルドが、https://sourceforge.net/projects/mcwin32/ に
 227 　　　ありますので、インストーラを使ってインストールしましょう。