draft/man2/chown.2

   1 .\" Copyright (c) 1992 Drew Eckhardt (drew@cs.colorado.edu), March 28, 1992
   2 .\" and Copyright (c) 1998 Andries Brouwer (aeb@cwi.nl)
   3 .\" and Copyright (c) 2007, 2008 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
   4 .\"
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   7 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
   8 .\" preserved on all copies.
   9 .\"
  10 .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this
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  25 .\" %%%LICENSE_END
  26 .\"
  27 .\" Modified by Michael Haardt <michael@moria.de>
  28 .\" Modified 1993-07-21 by Rik Faith <faith@cs.unc.edu>
  29 .\" Modified 1996-07-09 by Andries Brouwer <aeb@cwi.nl>
  30 .\" Modified 1996-11-06 by Eric S. Raymond <esr@thyrsus.com>
  31 .\" Modified 1997-05-18 by Michael Haardt <michael@cantor.informatik.rwth-aachen.de>
  32 .\" Modified 2004-06-23 by Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
  33 .\" 2007-07-08, mtk, added an example program; updated SYNOPSIS
  34 .\" 2008-05-08, mtk, Describe rules governing ownership of new files
  35 .\"     (bsdgroups versus sysvgroups, and the effect of the parent
  36 .\"     directory's set-group-ID permission bit).
  37 .\"
  38 .\"*******************************************************************
  39 .\"
  40 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
  41 .\"
  42 .\"*******************************************************************
  43 .TH CHOWN 2 2010\-11\-22 Linux "Linux Programmer's Manual"
  44 .SH 名前
  45 chown, fchown, lchown \- ファイルの所有者を変更する
  46 .SH 書式
  47 \fB#include <unistd.h>\fP
  48 .sp
  49 \fBint chown(const char *\fP\fIpath\fP\fB, uid_t \fP\fIowner\fP\fB, gid_t \fP\fIgroup\fP\fB);\fP
  50 .br
  51 \fBint fchown(int \fP\fIfd\fP\fB, uid_t \fP\fIowner\fP\fB, gid_t \fP\fIgroup\fP\fB);\fP
  52 .br
  53 \fBint lchown(const char *\fP\fIpath\fP\fB, uid_t \fP\fIowner\fP\fB, gid_t \fP\fIgroup\fP\fB);\fP
  54 .sp
  55 .in -4n
  56 glibc 向けの機能検査マクロの要件 (\fBfeature_test_macros\fP(7)  参照):
  57 .in
  58 .sp
  59 \fBfchown\fP(), \fBlchown\fP():
  60 .PD 0
  61 .ad l
  62 .RS 4
  63 _BSD_SOURCE || _XOPEN_SOURCE\ >=\ 500 || _XOPEN_SOURCE\ &&\ _XOPEN_SOURCE_EXTENDED
  64 .br
  65 || /* glibc 2.12 以降: */ _POSIX_C_SOURCE\ >=\ 200809L
  66 .RE
  67 .ad
  68 .PD
  69 .SH 説明
  70 これらのシステムコールは、いずれもファイルの所有者 (owner) とグループを変更する。システムコール間の違いは、ファイルの指定の仕方だけである。
  71 .IP * 2
  72 \fBchown\fP()  は \fIpath\fP で指定されたファイルの所有権を変更する。 \fIpath\fP
  73 がシンボリック・リンクの場合は、リンクの展開が行われる。
  74 .IP *
  75 \fBfchown\fP()  はオープンされたファイルディスクリプタ \fIfd\fP により参照されるファイルの所有権を変更する。
  76 .IP *
  77 \fBlchown\fP()  は \fBchown\fP()  と同じだが、シンボリック・リンクを展開しない点が異なる。
  78 .PP
  79 特権を持つプロセス (Linux では \fBCAP_CHOWN\fP ケーパビリティ (capability) を持つプロセス) だけが
  80 ファイルの所有者を変更できる。 ファイルの所有者は、その所有者が属しているグループのいずれかに ファイルのグループを変更することができる。 特権
  81 (Linux では \fBCAP_CHOWN\fP)  を持つプロセスは、任意のグループに変更できる。
  82
  83 \fIowner\fP または \fIgroup\fP に \-1 が指定された場合、それらの ID は変更されない。
  84
  85 .\" In Linux 2.0 kernels, superuser was like everyone else
  86 .\" In 2.2, up to 2.2.12, these bits were not cleared for superuser.
  87 .\" Since 2.2.13, superuser is once more like everyone else.
  88 非特権ユーザーにより実行ファイルの所有者またはグループが 変更された場合は \fBS_ISUID\fP と \fBISGID\fP モードビットはクリアされる。
  89 POSIX はこの動作やルートが \fBchown\fP()  を行なった場合については特に指定されていない。 Linux
  90 における動作はカーネルのバージョンに依存する。 非グループ実行ファイル (\fBS_IXGRP\fP ビットが設定されていないファイル) の場合には
  91 \fBS_ISGID\fP ビットは強制ロック (mandatory locking) を意味している。 そしてそれは \fBchown\fP()
  92 ではクリアできない。
  93 .SH 返り値
  94 成功した場合は 0 が返される。エラーの場合は \-1 が返され、 \fIerrno\fP が適切に設定される。
  95 .SH エラー
  96 ファイルシステムによっては他のエラーが返される事がある。 \fBchmod\fP で一般的なエラーを以下に挙げる。
  97 .TP
  98 \fBEACCES\fP
  99 パス名の構成要素に検索許可がない (\fBpath_resolution\fP(7)  も見よ)。
 100 .TP
 101 \fBEFAULT\fP
 102 \fIpath\fP がアクセスできるアドレス空間外を指している。
 103 .TP
 104 \fBELOOP\fP
 105 \fIpath\fP を解決する際に遭遇したシンボリック・リンクが多過ぎる。
 106 .TP
 107 \fBENAMETOOLONG\fP
 108 \fIpath\fP が長過ぎる。
 109 .TP
 110 \fBENOENT\fP
 111 ファイルが存在しない。
 112 .TP
 113 \fBENOMEM\fP
 114 カーネルに十分なメモリがない。
 115 .TP
 116 \fBENOTDIR\fP
 117 パス名の構成要素がディレクトリではない。
 118 .TP
 119 \fBEPERM\fP
 120 呼び出したプロセスに所有者またはグループ (もしくはその両方) を変更するために 要求される許可 (上記を参照) がない。
 121 .TP
 122 \fBEROFS\fP
 123 ファイルが読み込み専用 (read only) のファイル・システム上にある。
 124 .PP
 125 \fBfchown\fP()  で一般的なエラーを以下に挙げる:
 126 .TP
 127 \fBEBADF\fP
 128 ディスクリプターが有効でない。
 129 .TP
 130 \fBEIO\fP
 131 i ノード (inode) を変更する際に低レベル I/O エラーが発生した。
 132 .TP
 133 \fBENOENT\fP
 134 上記を参照。
 135 .TP
 136 \fBEPERM\fP
 137 上記を参照。
 138 .TP
 139 \fBEROFS\fP
 140 上記を参照。
 141 .SH 準拠
 142 4.4BSD, SVr4, POSIX.1\-2001.
 143
 144 .\" chown():
 145 .\" SVr4 documents EINVAL, EINTR, ENOLINK and EMULTIHOP returns, but no
 146 .\" ENOMEM.  POSIX.1 does not document ENOMEM or ELOOP error conditions.
 147 .\" fchown():
 148 .\" SVr4 documents additional EINVAL, EIO, EINTR, and ENOLINK
 149 .\" error conditions.
 150 4.4BSD 版ではスーパー・ユーザーのみが使用できる (つまり、普通のユーザーはファイルを手放すことはできない)。
 151 .SH 注意
 152 元々の Linux の \fBchown\fP(), \fBfchown\fP(), \fBlchown\fP() システムコールは、
 153 16 ビットのユーザ ID とグループ ID だけに対応していた。
 154 その後、 32 ビットの ID に対応した \fBchown32\fP(), \fBfchown32\fP(), \fBlchown32\fP()
 155 が Linux 2.4 で追加された。
 156 \fBchown\fP(), \fBfchown\fP(), and \fBlchown\fP() の glibc のラッパー関数は、
 157 カーネルのバージョンによる違いを吸収している。
 158
 159 (\fBopen\fP(2)  や \fBmkdir\fP(2)  などにより) 新しいファイルが作成されるとき、
 160 その所有者は呼び出したプロセスのファイルシステム・ユーザ ID と 同じに設定される。 そのファイルのグループはいくつかの要因により決定される。
 161 その要因としては、 ファイルシステムの種類、そのファイルシステムのマウント時に 使用されたオプション、親ディレクトリで set\-group\-ID
 162 許可ビットが 有効になっているどうか、がある。 ファイルシステムが \fBmount\fP(8)  オプションの \fI\-o\ grpid\fP (\fI\-o\ bsdgroups\fP も同義語) と \fI\-o\ nogrpid\fP (\fI\-o sysvgroups\fP も同義語)
 163 に対応している場合、ルールは以下の通りとなる。
 164 .IP * 2
 165 ファイルシステムが \fI\-o\ grpid\fP 付きでマウントされている場合、新しいファイルのグループは 親ディレクトリのグループと同じになる。
 166 .IP *
 167 ファイルシステムが \fI\-o\ nogrpid\fP 付きでマウントされており、親ディレクトリでは set\-group\-ID ビットが
 168 無効になっている場合、新しいファイルのグループは プロセスのファイルシステム GID と同じになる。
 169 .IP *
 170 ファイルシステムが \fI\-o\ nogrpid\fP 付きでマウントされており、親ディレクトリでは set\-group\-ID ビットが
 171 有効になっている場合、新しいファイルのグループは 親ディレクトリのグループと同じになる。
 172 .PP
 173 Linux 2.6.25 では、マウントオプション \fI\-o\ grpid\fP と \fI\-o\ nogrpid\fP に対応しているファイルシステムは
 174 ext2, ext3, ext4, XFS である。 これらのマウントオプションに対応していないファイルシステムでは、 \fI\-o\ nogrpid\fP
 175 に関するルールが適用される。
 176 .PP
 177 \fBchown\fP()  方式は UID マッピングを使用した NFS ファイル・システムを侵害する。
 178 さらにファイルの内容にアクセスする全てのシステム・コールを侵害する。 これは \fBchown\fP()  が既にオープンされたファイルに対する
 179 アクセスをただちに取り消すことによる。 クライアント側のキャッシュにより所有権が変更されて
 180 ユーザーのアクセスが許した時点と、実際に他のクライアントでユーザーによって ファイルにアクセスできる時点との間に時間差があるかもしれない。
 181
 182 Linux の 2.1.81 より前のバージョン (特に 2.1.46 以前) では、 \fBchown\fP()  はシンボリック・リンクを追跡しない。
 183 Linux 2.1.81 以降では \fBchown\fP()  はシンボリック・リンクを追跡し、新たなシステム・コール \fBlchown\fP()
 184 はシンボリック・リンクを追跡しない。 Linux 2.1.86 以降ではこの新しいコール (古い \fBchown\fP()  と全く同じ動作を行なう)
 185 は同じシステムコール番号を持ち \fBchown\fP()  は新しく導入された番号を持つ。
 186 .SH 例
 187 .PP
 188 以下のプログラムは、 二つ目のコマンドライン引き数で指定された名前のファイルの所有者を、 一つ目のコマンドライン引き数で指定された値に変更する。
 189 新しい所有者は、数字のユーザ ID かユーザ名のいずれかで指定できる (ユーザ名で指定した場合には、 \fBgetpwnam\fP(3)
 190 を使ってシステムのパスワードファイルの検索が行われ、 ユーザ ID への変換が行われる)。
 191 .nf
 192
 193 #include <pwd.h>
 194 #include <stdio.h>
 195 #include <stdlib.h>
 196 #include <unistd.h>
 197
 198 int
 199 main(int argc, char *argv[])
 200 {
 201     uid_t uid;
 202     struct passwd *pwd;
 203     char *endptr;
 204
 205     if (argc != 3 || argv[1][0] == \(aq\e0\(aq) {
 206         fprintf(stderr, "%s <owner> <file>\en", argv[0]);
 207         exit(EXIT_FAILURE);
 208     }
 209
 210     uid = strtol(argv[1], &endptr, 10);  /* Allow a numeric string */
 211
 212     if (*endptr != \(aq\e0\(aq) {         /* Was not pure numeric string */
 213         pwd = getpwnam(argv[1]);   /* Try getting UID for username */
 214         if (pwd == NULL) {
 215             perror("getpwnam");
 216             exit(EXIT_FAILURE);
 217         }
 218
 219         uid = pwd\->pw_uid;
 220     }
 221
 222     if (chown(argv[2], uid, \-1) == \-1) {
 223         perror("chown");
 224         exit(EXIT_FAILURE);
 225     }
 226
 227     exit(EXIT_SUCCESS);
 228 }
 229 .fi
 230 .SH 関連項目
 231 \fBchmod\fP(2), \fBfchownat\fP(2), \fBflock\fP(2), \fBpath_resolution\fP(7),
 232 \fBsymlink\fP(7)
 233 .SH この文書について
 234 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.53 の一部
 235 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
 236 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。