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42 .TH CORE 5 2013\-06\-08 Linux "Linux Programmer's Manual"
46 ある種のシグナルを受けた場合のデフォルトのアクションは、 プロセスを終了し (terminate)、 \fIコアダンプファイル (core dump
47 file)\fP を生成することである。コアダンプファイルは、ディスク上に生成される 終了時のプロセスのメモリイメージを内容とするファイルである。
48 このイメージをデバッガ (例えば \fBgdb\fP(1)) に読み込んで、 プログラムが終了した時点のプログラムの状態を検査することができる。
49 どのシグナルを受けたときにプロセスがコアダンプを生成するかのリストは \fBsignal\fP(7) に書かれている。
51 プロセスはソフト・リソース制限 \fBRLIMIT_CORE\fP を設定することで、「コアダンプ」シグナルを受信した際に生成される
52 コアダンプファイルのサイズに上限を課すことができる。詳細は \fBgetrlimit\fP(2) を参照。
54 コアダンプファイルが生成されない状況がいくつかある:
56 プロセスがコアファイルを書き込む許可を持たない場合 (デフォルトでは、コアファイルは \fIcore\fP
57 という名前で、カレント・ワーキング・ディレクトリに生成される。 命名規則の詳細は下記を参照)。
58 コアファイルを生成しようとしたディレクトリが書き込み可能でない場合、 もしくは同じ名前のファイルが存在し、そのファイルが書き込み可能でも
59 通常のファイルでもない場合 (例えば、ディレクトリやシンボリックリンク)、 コアファイルの生成は失敗する。
61 コアダンプに使おうとしたのと同じ名前の (書き込み可能な、通常の) ファイルが すでに存在し、そのファイルに対するハードリンクが 2個以上ある場合。
63 The filesystem where the core dump file would be created is full; or has run
64 out of inodes; or is mounted read\-only; or the user has reached their quota
67 コアダンプファイルを生成しようとしたディレクトリが存在しない場合。
69 プロセス毎のリソース制限 \fBRLIMIT_CORE\fP (コアファイルのサイズ) か \fBRLIMIT_FSIZE\fP (ファイルサイズ) が 0
70 に設定されている場合。 \fBgetrlimit\fP(2) やシェルの \fIulimit\fP コマンドのドキュメント (\fBcsh\fP(1) の
73 プロセスが実行したバイナリファイルの読み出し許可が有効になっていない場合。
75 .\" FIXME . Perhaps relocate discussion of /proc/sys/fs/suid_dumpable
76 .\" and PR_SET_DUMPABLE to this page?
77 プロセスが実行している set\-user\-ID (set\-group\-ID) プログラムの所有者の ユーザ (グループ) が、プロセスの実 UID (実
78 GID) と異なる場合 (但し、 \fBprctl\fP(2) \fBPR_SET_DUMPABLE\fP 操作の説明と、 \fBproc\fP(5) の
79 \fI/proc/sys/fs/suid_dumpable\fP ファイルの説明も参照のこと)。
81 .\" commit 046d662f481830e652ac34cd112249adde16452a
82 (Linux 3.7 以降) カーネルの設定で \fBCONFIG_COREDUMP\fP オプションが有効になっていない。
84 上記に加えて、 \fBmadvise\fP(2) の \fBMADV_DONTDUMP\fP
85 フラグが使用されている場合、プロセスのアドレス空間の一部がコアダンプから除外される場合がある。
87 デフォルトでは、コアダンプファイルの名前は \fIcore\fP となるが、コアダンプファイルの名前を決めるのに使われるテンプレートを
88 \fI/proc/sys/kernel/core_pattern\fP ファイルに定義することで、ファイル名を変更することができる
89 (\fI/proc/sys/kernel/core_pattern\fP は Linux 2.6 および 2.4.21 以降で利用できる)。 テンプレートには
90 % 指示子 (specifier) を入れることができる。 これはコアファイルが生成される際に、以下の値に置き換えられる。
99 ダンプされたプロセスのプロセスID (PID)
102 ダンプされたプロセスの実ユーザ ID (real UID)
105 ダンプされたプロセスの実グループ ID (real GID)
111 ダンプ時刻、紀元 (Epoch; 1970\-01\-01 00:00:00 +0000 (UTC)) からの秒数。
114 ホスト名 (\fBuname\fP(2) で返される \fInodename\fP と同じ)
117 実行ファイル名 (パス名のプレフィックスは含まれない)
120 実行ファイルのパス名。スラッシュ (\(aq/\(aq) は感嘆符 (\(aq!\(aq) に置き換えられる。
123 クラッシュしたプロセスのコアファイルのサイズに関するソフトリソース上限 (Linux 2.6.24 以降)
127 テンプレートの末尾に 1 個だけ % がある場合、 その % はコアファイル名には含められない。また、上で列挙されて いない %
128 と文字の組み合わせがあった場合も同様である。 テンプレートにおける他の文字は、 コアファイル名としてそのまま使われる。 テンプレートには
129 \(aq/\(aq 文字を入れることができ、 ディレクトリ名の区切り文字と解釈される。 結果として生成されるコアファイル名の最大サイズは 128
130 バイトである (2.6.19 より前のカーネルでは 64 バイト)。 このファイルのデフォルト値は "core" である。 以前のものとの互換性のため、
131 \fI/proc/sys/kernel/core_pattern\fP に "%p" が含まれず、 かつ
132 \fI/proc/sys/kernel/core_uses_pid\fP (下記参照) が 0 でない場合は、.PID がコアファイル名に追加される。
134 バージョン 2.4 以降の Linux では コアダンプファイルの名前を制御する原始的な方法も提供されている。
135 \fI/proc/sys/kernel/core_uses_pid\fP ファイルに値 0 が書かれている場合、コアダンプファイルは単純に \fIcore\fP
136 という名前になる。このファイルに 0 以外の値が書かれている場合、 コアダンプファイルは \fIcore.PID\fP
137 という形式の名前になり、ファイル名にプロセス ID が含まれる。
139 .\" 9520628e8ceb69fa9a4aee6b57f22675d9e1b709
140 Linux 3.6 以降では、\fI/proc/sys/fs/suid_dumpable\fP が 2 ("suidsafe")
141 に設定されている場合、テンプレートは、絶対パス名 (先頭に \(aq/\(aq 文字があるパス名) かパイプ (以下で説明)
144 カーネル 2.6.19 以降では、Linux は \fI/proc/sys/kernel/core_pattern\fP
145 ファイルの別の構文をサポートしている。 このファイルの最初の文字がパイプ記号 (\fB|\fP) であれば、
146 その行の残りの部分は実行するプログラムとして解釈される。 コアダンプは、ディスク上のファイルに書き込まれるのではなく、
147 プログラムの標準入力として渡される。 以下の点に注意すること。
149 プログラムは絶対パス名 (もしくはルートディレクトリ \fI/\fP からの 相対パス名) で指定されなければならない。 また、'|'
152 プログラムを実行するために生成されるプロセスは、 ユーザ、グループとも \fIroot\fP として実行される。
154 コマンドライン引き数をプログラムに与えることができ (Linux 2.6.24 以降)、 引き数はホワイトスペースで区切る (1行の最大長は 128
157 コマンドライン引き数には、上記のリストにある % 指示子を含めることができる。 例えば、ダンプされるプロセスの PID を渡すには、 引き数に
159 .SS どのマッピングをコアダンプに書き込むかを制御する
160 カーネル 2.6.23 以降では、Linux 固有のファイル \fI/proc/PID/coredump_filter\fP を使って、対応するプロセス ID
161 を持つプロセスに対してコアダンプが行われる 際に、どのメモリセグメントをコアダンプファイルに書き込むかを制御できる。
163 このファイルの値はメモリマッピング種別 (\fBmmap\fP(2) 参照) のビットマスクである。
164 マスク内のあるビットがセットされると、そのビットに対応する種別の メモリマッピングがダンプされる。セットされていないものはダンプされない。
165 このファイルの各ビットは以下の意味を持つ。
171 無名のプライベートマッピング (anonymous private mappings) をダンプする。
174 無名の共有マッピング (anonymous shared mappings) をダンプする。
177 ファイルと関連付けられたプライベートマッピング (file\-backed private mappings) をダンプする。
180 .\" file-backed shared mappings of course also update the underlying
182 ファイルと関連付けられた共有マッピング (file\-backed shared mappings) をダンプする。
184 bit 4 (Linux 2.6.24 以降)
187 bit 5 (Linux 2.6.28 以降)
188 プライベートなヒュージページ (private huge page) をダンプする。
190 bit 6 (Linux 2.6.28 以降)
191 共有されたヒュージページ (shared huge page) をダンプする。
195 デフォルトでは、ビット 0, 1, 4, 5 がセットされる。 (ビット 4 がセットされるのは、カーネルが設定オプション
196 \fBCONFIG_CORE_DUMP_DEFAULT_ELF_HEADERS\fP を有効にして作成された場合である)。 このファイルの値は 16
197 進形式で表示される (したがって、デフォルト値は 33 と表示される)。
199 \fIcoredump_filter\fP の値に関わらず、フレームバッファなどの memory\-mapped I/O に関する
200 ページは決してダンプされず、仮想 DSO ページは常にダンプされる。
202 \fBfork\fP(2) で作成される子プロセスは親プロセスの \fIcoredump_filter\fP の値を継承する。 \fBexecve\fP(2)
203 の前後で \fIcoredump_filter\fP の値は保持される。
205 例のように、プログラムを実行する前に親シェルの \fIcoredump_filter\fP を設定しておくと役立つことがある。
209 $\fB echo 0x7 > /proc/self/coredump_filter\fP
210 $\fB ./some_program\fP
214 このファイルが提供されるのは、カーネルが設定オプション \fBCONFIG_ELF_CORE\fP を有効にして作成された場合だけである。
216 \fBgdb\fP(1) の \fIgcore\fP コマンドを使用すると、実行中のプロセスのコアダンプを取得できる。
218 .\" Changed with commit 6409324b385f3f63a03645b4422e3be67348d922
219 .\" Always including the PID in the name of the core file made
220 .\" sense for LinuxThreads, where each thread had a unique PID,
221 .\" but doesn't seem to serve any purpose with NPTL, where all the
222 .\" threads in a process share the same PID (as POSIX.1 requires).
223 .\" Probably the behavior is maintained so that applications using
224 .\" LinuxThreads continue appending the PID (the kernel has no easy
225 .\" way of telling which threading implementation the user-space
226 .\" application is using). -- mtk, April 2006
227 バージョン 2.6.27 以前の Linux では、 マルチスレッドプロセス (より正確には、 \fBclone\fP(2) の \fBCLONE_VM\fP
228 で生成された別プロセスとメモリを共有しているプロセス) がコアダンプを生成する場合、 コアファイル名にプロセス ID が必ず付加される。 ただし、
229 \fI/proc/sys/kernel/core_pattern\fP の %p 指定によりコアファイル名のどこか他の場所にプロセス ID が
230 すでに含まれている場合は、プロセス ID が末尾に付加されない。 (この機能が主に役に立つのはすでに使われなくなった LinuxThreads
231 実装を利用している場合である。 LinuxThreads 実装では、プロセス内の個々のスレッドは異なるプロセス ID を持つ。)
233 以下のプログラムは \fI/proc/sys/kernel/core_pattern\fP ファイルのパイプ構文の使用例を示している。
234 以下のシェルのセッションはこのプログラムの使用例を示すものである (コンパイルして \fIcore_pattern_pipe_test\fP
235 という名前の実行ファイルを作成している)。
239 $\fB cc \-o core_pattern_pipe_test core_pattern_pipe_test.c\fP
242 #\fB echo "|$PWD/core_pattern_pipe_test %p UID=%u GID=%g sig=%s" > \e\fP
243 \fB/proc/sys/kernel/core_pattern\fP
246 \fB^\e\fP # type control\-backslash
248 $\fB cat core.info\fP
250 argc[0]=</home/mtk/core_pattern_pipe_test>
255 Total bytes in core dump: 282624
261 /* core_pattern_pipe_test.c */
264 #include <sys/stat.h>
271 #define BUF_SIZE 1024
274 main(int argc, char *argv[])
282 /* Change our current working directory to that of the
285 snprintf(cwd, PATH_MAX, "/proc/%s/cwd", argv[1]);
288 /* Write output to file "core.info" in that directory */
290 fp = fopen("core.info", "w+");
294 /* Display command\-line arguments given to core_pattern
297 fprintf(fp, "argc=%d\en", argc);
298 for (j = 0; j < argc; j++)
299 fprintf(fp, "argc[%d]=<%s>\en", j, argv[j]);
301 /* Count bytes in standard input (the core dump) */
304 while ((nread = read(STDIN_FILENO, buf, BUF_SIZE)) > 0)
306 fprintf(fp, "Total bytes in core dump: %d\en", tot);
312 \fBbash\fP(1), \fBgdb\fP(1), \fBgetrlimit\fP(2), \fBmmap\fP(2), \fBprctl\fP(2),
313 \fBsigaction\fP(2), \fBelf\fP(5), \fBproc\fP(5), \fBpthreads\fP(7), \fBsignal\fP(7)
315 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.54 の一部
316 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
317 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。