OSDN Git Service

(split) LDP: Complete the following pages in intro
[linuxjm/LDP_man-pages.git] / draft / man7 / man-pages.7
1 .\" (C) Copyright 1992-1999 Rickard E. Faith and David A. Wheeler
2 .\" (faith@cs.unc.edu and dwheeler@ida.org)
3 .\" and (C) Copyright 2007 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
4 .\"
5 .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM)
6 .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this
7 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
8 .\" preserved on all copies.
9 .\"
10 .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this
11 .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the
12 .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a
13 .\" permission notice identical to this one.
14 .\"
15 .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this
16 .\" manual page may be incorrect or out-of-date.  The author(s) assume no
17 .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from
18 .\" the use of the information contained herein.  The author(s) may not
19 .\" have taken the same level of care in the production of this manual,
20 .\" which is licensed free of charge, as they might when working
21 .\" professionally.
22 .\"
23 .\" Formatted or processed versions of this manual, if unaccompanied by
24 .\" the source, must acknowledge the copyright and authors of this work.
25 .\" %%%LICENSE_END
26 .\"
27 .\" 2007-05-30 created by mtk, using text from old man.7 plus
28 .\" rewrites and additional text.
29 .\"
30 .\"*******************************************************************
31 .\"
32 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
33 .\"
34 .\"*******************************************************************
35 .\"
36 .\" Japanese Version Copyright (c) 2007  Akihiro MOTOKI
37 .\"         all rights reserved.
38 .\" Translated 2007-06-13, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v2.54
39 .\" Updated 2007-07-04, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v2.59
40 .\" Updated 2007-09-03, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v2.64
41 .\" Updated 2008-08-09, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v3.05
42 .\" Updated 2013-05-04, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
43 .\" Updated 2013-07-24, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
44 .\" Updated 2013-08-21, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>, LDP v3.53
45 .\"
46 .TH MAN\-PAGES 7 2014\-03\-16 Linux "Linux Programmer's Manual"
47 .SH 名前
48 man\-pages \- Linux の man ページを書く際の決まり事
49 .SH 書式
50 \fBman\fP [\fIsection\fP] \fItitle\fP
51 .SH 説明
52 このページでは、 Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのマニュアルページを書く際に 従うべき決まり事について説明する。 Linux
53 \fIman\-pages\fP プロジェクトは Linux カーネルおよび GNU C ライブラリが提供するユーザ空間 API
54 のドキュメント作成を行っている。Linux システムのマニュアルページのセクション 2 のページのほとんどと、セクション 3, 4, 5, 7
55 の多くのページが、このプロジェクトにより提供されている。このページで説明されている決まり事は、他のプロジェクトの
56 マニュアルページを書く作者にも役立つことだろう。
57 .SS マニュアルページのセクション
58 .PP
59 マニュアルのセクションは、習慣的に以下のような定義が用いられている:
60 .TP  10
61 \fB1 コマンド (プログラム)\fP
62 シェルの中からユーザが実行できるコマンド。
63 .TP 
64 \fB2 システムコール\fP
65 カーネルが処理しなければならない関数。
66 .TP 
67 \fB3 ライブラリコール\fP
68 \fIlibc\fP の関数の大部分。
69 .TP 
70 \fB4 スペシャルファイル (デバイス)\fP
71 \fI/dev\fP 以下にあるファイル。
72 .TP 
73 \fB5 ファイルのフォーマットと規約\fP
74 \fI/etc/passwd\fP などの人が読めるファイルのフォーマット。
75 .TP 
76 \fB6 ゲーム\fP
77 .TP 
78 \fB7 概要、約束事、その他\fP
79 様々な事柄の概要、慣習、プロトコル、文字集合の規格、その他雑多なこと。
80 .TP 
81 \fB8 システム管理コマンド\fP
82 .\" .TP
83 .\" .B 9 Kernel routines
84 .\" This is an obsolete manual section.
85 .\" Once it was thought a good idea to document the Linux kernel here,
86 .\" but in fact very little has been documented, and the documentation
87 .\" that exists is outdated already.
88 .\" There are better sources of
89 .\" information for kernel developers.
90 \fBmount\fP(8)  のような root のみが実行可能なコマンド。
91 .SS マクロパッケージ
92 新しいマニュアルページは \fBman\fP(7)  で説明されている \fBgroff an.tmac\fP パッケージを使って記述すべきである。
93 この方針は一貫性の確保が主な理由である。既存の Linux のマニュアルページ の圧倒的多数がこれらのマクロを使って記述されている。
94 .SS ソースファイルの配置に関する決まり事
95 マニュアルページのソースコードの 1行の長さは 可能な限り 75文字を越えないようにしてほしい。 こうすることで、パッチをメール本文に載せて送る場合に、
96 メールクライアントによる行折り返しを回避することができる。
97
98 新しい文は行頭から開始する。 これにより、パッチの内容を確認しやすくなる。 パッチは文単位であることが多いからである。
99 .SS タイトル行
100 man ページの最初の行は \fBTH\fP コマンドにすべきである。
101 .RS
102 .sp
103 \fB\&.TH\fP \fItitle section date source manual\fP
104 .sp
105 .RE
106 個々の説明:
107 .RS
108 .TP  10
109 \fItitle\fP
110 man ページのタイトル。全部大文字で記載する (例: \fIMAN\-PAGES\fP)。
111 .TP 
112 \fIsection\fP
113 man ページが属するセクション番号 (例: \fI7\fP)。
114 .TP 
115 \fIdate\fP
116 最新のリビジョンの日付\(emman ページに些細でない変更を加えたときには必ずこれを変更すること。 日付は YYYY\-MM\-DD
117 の形式で記載すべきである。
118 .TP 
119 \fIsource\fP
120 コマンド、関数、システムコールの出自。
121
122 数少ないセクション 1 と 8 のページの場合、おそらく単に \fIGNU\fP とだけ書くことが多いだろう。
123
124 システムコールの場合、単に \fILinux\fP とだけ書く。 (以前の慣習では、マニュアルページを記載した/内容を確認したカーネルの
125 バージョン番号を記載していた。しかし、バージョン番号が実際の内容と 一致していることはなく、そのためバージョン番号がないよりも
126 おそらく悪い形になっていた。 今後は、バージョン番号を含めるのは避けること。)
127
128 glibc のライブラリコールや その他の一般的な GNU ライブラリのライブラリコールの場合、 単に \fIGNU C Library\fP, \fIGNU\fP
129 と書くか、空の文字列を使う。
130
131 セクション 4 のページでは \fILinux\fP を使う。
132
133 よくわからない場合は、 \fILinux\fP とか \fIGNU\fP と書いておく。
134 .TP 
135 \fImanual\fP
136 マニュアルのタイトル (例: \fIman\-pages\fP パッケージのセクション 2 および 3 のページの場合には、 \fILinux
137 Programmer's Manual\fP を使うこと)。
138 .RE
139 .SS マニュアルページのセクション
140 昔から使われてきたセクション名を以下のリストに示す。 これらを使うと良いだろう。 一般的に、マニュアルページは、少なくとも \fB色つき\fP
141 のセクションを持つのが望ましい。 新しくマニュアルページを作成する際には、だいたい以下のリストに示した 順序でセクションを配置するようにしてもらいたい。
142 .in +0.5i
143 .nf
144
145 .\" May 07: Few current man pages have an ERROR HANDLING section,,,
146 .\" ERROR HANDLING,
147 .\" May 07: Almost no current man pages have a USAGE section,,,
148 .\" USAGE,
149 .\" DIAGNOSTICS,
150 .\" May 07: Almost no current man pages have a SECURITY section,,,
151 .\" SECURITY,
152 .\" AUTHORS sections are discouraged
153 .\" AUTHORS             [Discouraged]
154 \fB名前\fP
155 \fB書式\fP
156 設定               [通常はセクション 4 のみ]
157 \fB説明\fP
158 オプション         [通常はセクション 1, 8 のみ]
159 終了ステータス     [通常はセクション 1, 8 のみ]
160 返り値             [通常はセクション 2, 3 のみ]
161 エラー             [たいていはセクション 2, 3 のみ]
162 環境変数
163 ファイル
164 バージョン         [通常はセクション 2, 3 のみ]
165 属性               [通常はセクション 2, 3 のみ]
166 準拠
167 注意/備考
168 バグ
169
170 \fB関連項目\fP
171
172 .fi
173 .in
174 「伝統的に使われてきた見出しが使える場合には、それを使ってほしい。」 この種の一貫性を保つことで、情報を理解しやすくなるからである。
175 どうしても必要な場合には、理解しやすくなるように独自の見出しを 作ってもよい (特にセクション 4 や 5 のページではこうした方が
176 わかりやすくなる)。ただし、そうする前に、伝統的な見出しを使い、 そのセクション内にサブセクション (\fI.SS\fP) を設けることで
177 対応できないか考えてほしい。
178
179 以下のリストでは、上記のセクションのそれぞれの内容について 詳しく説明する。
180 .TP  14
181 \fB名前 (NAME)\fP
182 マニュアルページの名前。 \fB.SH NAME\fP コマンドの後に続ける行の重要な情報については \fBman\fP(7) を参照。この行のすべての単語は
183 ("\e\-" の直後の単語も含め) 小文字にすべきである。但し、英語や技術用語の慣例として別の記載をする場合はこの限りではない。
184 .TP 
185 \fB書式 (SYNOPSIS)\fP
186 コマンドや関数のインターフェースを簡潔に記述する。 コマンドに対しては、コマンドや引き数 (オプション) の文法を書く。
187 そのまま書くテキストにはボールド体を用い、置き換える引き数には イタリック体を用いる。省略可能なオプションはブラケット ([]) で囲い、 選択肢は縦棒
188 (|) で区切り、繰り返しには省略符号 (...) を書く。 関数に対しては、必要なデータ宣言や \fB#include\fP 指定を書き、関数宣言を続ける。
189
190 .\" FIXME . Say something here about compiler options
191 ヘッダファイルから関数 (や変数) の定義を得るために 機能検査マクロ (feature test macro) を定義しなければならない場合、 書式
192 (SYNOPSIS) に必要な機能検査マクロを記載すべきである。 機能検査マクロについては \fBfeature_test_macros\fP(7)
193 で説明されている。
194 .TP 
195 \fBCONFIGURATION\fP
196 デバイスの設定詳細。 通常、このセクションは 4 章のマニュアルページでのみ登場する。
197 .TP 
198 \fB説明 (DESCRIPTION)\fP
199 .\" If there is some kind of input grammar or complex set of subcommands,
200 .\" consider describing them in a separate
201 .\" .B USAGE
202 .\" section (and just place an overview in the
203 .\" .B DESCRIPTION
204 .\" section).
205 プログラム・関数・フォーマットの動作・目的を説明する。 ファイルや標準入力をどのように処理し、標準出力や標準エラー出力を
206 どのように生成するかといったことについて述べる。 内部動作や実装の詳細については省略する (ただしそれが動作の理解にどうしても必要なら別)。
207 通常の場合について記述する。 プログラムのコマンドライン・オプションの説明には、 \fBオプション\fP のセクションを用いる。
208
209 システムコールやライブラリ関数の新しい動作や新しいフラグについて説明する際は、 変更が取り込まれたカーネルや C
210 ライブラリのバージョンを注記に入れるように気を付けること。 フラグにこの情報の注記を入れる方法としては、推奨される方法は、 以下のように \fB.TP\fP
211 リストの一部にすることである (この例はシステムコールの新しいフラグの場合)。
212 .RS 22
213 .TP 
214  \fBXYZ_FLAG\fP (Linux 3.7 以降)
215 フラグの説明...
216 .RE
217 .IP
218 バージョン情報を入れておくのは、 古いバージョンのカーネルや C ライブラリを使わざるを得ないユーザにとって、 特に有用である
219 (例えば、組み込みシステムではよくあることである)。
220 .TP 
221 \fBオプション (OPTIONS)\fP
222 .\" .TP
223 .\" .B USAGE
224 .\" describes the grammar of any sublanguage this implements.
225 プログラムが受け付けるコマンドライン・オプションと、 その場合プログラムの振舞いがどう変わるかを説明する。 このセクションはセクション 1 と 8
226 のマニュアルページにだけ登場すべきである。
227 .TP 
228 \fB終了ステータス (EXIT STATUS)\fP
229 プログラムの終了ステータスの値と、それらの値に対応する状況を列挙する。 このセクションはセクション 1 と 8
230 のマニュアルページにだけ登場すべきである。
231 .TP 
232 \fB返り値 (RETURN VALUE)\fP
233 セクション 2 と 3 のページの場合、このセクションに ライブラリルーチンが呼び出し元に返す値のリストを記載する。
234 それらの値が返された場合の状態に対する説明も書く。
235 .TP 
236 \fBエラー (ERRORS)\fP
237 セクション 2 と 3 のマニュアルページでは、 エラーが発生した場合に \fIerrno\fP に設定される可能性がある値のリストを記載する。
238 リストには、エラーの値とエラーの原因についての情報を書く。 「エラーリストはアルファベット順にすべきである。」
239 .TP 
240 \fB環境変数 (ENVIRONMENT)\fP
241 プログラムや関数に影響する環境変数をリストし、それらの効果を書く。
242 .TP 
243 \fBファイル (FILES)\fP
244 .\" May 07: Almost no current man pages have a DIAGNOSTICS section;
245 .\"         "RETURN VALUE" or "EXIT STATUS" is preferred.
246 .\" .TP
247 .\" .B DIAGNOSTICS
248 .\" gives an overview of the most common error messages and how to
249 .\" cope with them.
250 .\" You don't need to explain system error messages
251 .\" or fatal signals that can appear during execution of any program
252 .\" unless they're special in some way to the program.
253 .\"
254 .\" May 07: Almost no current man pages have a SECURITY section.
255 .\".TP
256 .\".B SECURITY
257 .\"discusses security issues and implications.
258 .\"Warn about configurations or environments that should be avoided,
259 .\"commands that may have security implications, and so on, especially
260 .\"if they aren't obvious.
261 .\"Discussing security in a separate section isn't necessary;
262 .\"if it's easier to understand, place security information in the
263 .\"other sections (such as the
264 .\" .B DESCRIPTION
265 .\" or
266 .\" .B USAGE
267 .\" section).
268 .\" However, please include security information somewhere!
269 プログラムや関数が用いるファイルを列記する。 例えば、設定ファイル、起動ファイル、プログラムが直接操作するファイルなどである。
270 これらのファイルのファイル名はフルパスで記載し、 ディレクトリの部分はユーザーの好みに合わせて インストール処理で変更できるようにする。
271 多くのプログラムではデフォルトのインストール先は \fI/usr/local\fP である。したがってベースとなるマニュアルページでも
272 \fI/usr/local\fP が使われていることが多いだろう。
273 .TP 
274 \fB属性 (ATTRIBUTES)\fP
275 そのページで説明している関数の種々の属性の概要を、サブセクションに分けて説明する。以下のサブセクションが定義されている。
276 .sp
277 .RS
278 .TP 
279 \fBマルチスレッディング (pthreads(7) 参照)\fP
280 このサブセクションでは、マルチスレッドアプリケーションに関連する属性について説明する。
281 .RS
282 .IP * 3
283 その関数がスレッドセーフかどうか。
284 .IP *
285 その関数が取り消しポイント (cancellation point) かどうか。
286 .IP *
287 その関数が非同期で安全にキャンセルできるか (async\-cancel\-safe かどうか)。
288 .RE
289 .IP
290 これらの属性の詳細は \fBpthreads\fP(7) で説明されている。
291 .RE
292 .TP 
293 \fBバージョン (VERSIONS)\fP
294 システムコールやライブラリ関数が登場したり、動作の重要な変更が行われた、 Linux カーネルや glibc のバージョンについての簡潔な概要。
295 一般に、全ての新しいインターフェイスは、マニュアルページに 「バージョン」の節を設けるべきである。
296 残念なことに、多くの既存のマニュアルページにこの情報は含まれていない (これらのページが書かれた時点ではそのようなポリシーはなかったからである)。
297 これを改善するパッチは歓迎されるが、 新しいコードを書くプログラマの観点からすれば、 おそらくこの情報が重要になるのは、 Linux 2.4
298 以降で追加されたカーネルインターフェイス (カーネル 2.2 からの変更) と glibc バージョン 2.1 以降で追加されたライブラリ関数
299 (glibc 2.0 からの変更)  についてのみであろう。
300
301 \fBsyscalls\fP(2)  マニュアルページにも、いろいろなシステムコールが初めて登場した カーネルバージョンについての情報が書かれている。
302 .TP 
303 \fB準拠 (CONFORMING TO)\fP
304 そのマニュアルページで説明している関数やコマンドに関連する 標準規格や慣習について記載する。 様々な標準を示すのに適した用語は
305 \fBstandards\fP(7) に見出しでリストになっている。 セクション 2 や 3 のページでは、このセクションで システムコールや関数が準拠する
306 POSIX.1 のバージョンと、 C99 で規定されているかに触れるべきである。 (SUS, SUSv2, XPG などの他の標準規格や、SVr4 や
307 4.xBSD の実装標準に ついては、説明しているコールがこれらの規格で規定されており POSIX.1 の現行バージョンで規定されていない場合以外は、
308 あまり深く気にする必要はない。)  (\fBstandards\fP(7)  参照。)
309
310 そのコールがどの標準にも基づいていないが、 他のシステムで広く存在する場合は、その旨を記載すること。 そのコールが Linux
311 固有の場合は、その旨を記載すること。
312
313 (そうなっているページが多いが) このセクションの内容が標準のリスト だけの場合、リストの最後にピリオド (\(aq.\(aq) を置くこと。
314 .TP 
315 \fB注意 (NOTES)\fP
316 その他の注意点を書く。 セクション 2 と 3 のマニュアルページでは、 \fILinux での注意 (Linux Notes)\fP や \fIglibc
317 での注意 (Glibc Notes)\fP という名前のサブセクション (\fBSS\fP) を設けると便利なこともある。
318 .TP 
319 \fBバグ (BUGS)\fP
320 制限・知られている欠陥や不便な点、その他不思議な動作などを書く。
321 .TP 
322 \fB例 (EXAMPLE)\fP
323 この関数・ファイル・コマンドをどのように使うかを示した ひとつまたは複数の例を記述する。 サンプルプログラムを書く際の詳細は
324 以下の「サンプルプログラム」の節を参照のこと。
325 .TP 
326 \fB著者 (AUTHORS)\fP
327 文書またはプログラムの著者を列記する。 \fB著者セクションは極力使用しないこと。\fP 一般的には、著者のリストを各ページに撒き散らさない方がよい
328 (時間がたつと、作者のリストは膨大になる可能性がある)。 マニュアルページを新規に書いたり、大幅に修正を行った場合には、
329 ソースファイルにコメントとして著作権表示を追加すること。 あなたがデバイスドライバの作者で、バグを報告するためのアドレスを
330 載せたい場合は、「バグ」セクションの後ろにこのセクションを配置すること。
331 .TP 
332 \fB関連項目 (SEE ALSO)\fP
333 関連するマニュアルページを、コンマ区切りのリストで、 セクション番号順に、セクション内ではアルファベット順で記載する。 可能なら関連する他の文書も書く。
334 慣習では、このセクションは最後に置く。 リストの末尾にピリオドを置かないこと。
335 .IP
336 関連項目のリストに長いマニュアルページ名が多く含まれる場合には、出力を見やすくするために \fI.ad l\fP (右揃えをしない) や \fI.nh\fP
337 (ハイフンによる折り返しをしない) を活用するとよい。個々のページ名のハイフンによる折り返しは、単語の前に "\e%" を付けることで防ぐことができる。
338 .SH スタイルガイド
339 以下の節では\fIman\-pages\fPプロジェクトで推奨のスタイルについて説明している。 ここで触れられていない点については、"the Chicago
340 Manual of Style" がたいていはよい情報源になるだろう。
341 また、すでに使用されているスタイルについてはプロジェクトのソースツリーを検索してみてほしい。
342 (訳注:この章では英語の原文でのスタイルについて説明しており、日本語マニュアルにはあわない点もあるため、具体例などは英語のままとしている箇所もあります。)
343 .SS 性別の区別のない表現の使用
344 可能な限り、マニュアルページの文章では性別の区別のない表現を使用すること。 性別に区別のない単数形の代名詞として "they" ("them",
345 "themself", "their") を使用してもよい。
346 .SS フォントの慣習
347 .PP
348 関数に対しては、引き数には常にイタリック体を用いる。 「たとえ書式 (SYNOPSIS) セクションであっても、このルールに従う」
349 関数の他の部分はボールドを指定する:
350 .PP
351 \fB int myfunction(int \fP\fIargc\fP\fB, char **\fP\fIargv\fP\fB);\fP
352 .PP
353 引き数名といった変数名はイタリック体を指定すべきである。
354 .PP
355 ファイル名 (パス名、またはヘッダーファイルへの参照) は常にイタリック体にする (例: \fI<stdio.h>\fP)。 ただし、書式
356 (SYNOPSIS) セクションは例外で、 インクルードファイルはボールドにする (例: \fB#include <stdio.h>\fP)。
357 標準のインクルードヘッダファイルを参照する際は、 通常の C 言語と同様に山括弧でヘッダファイルを囲ぬで指定する (例:
358 \fI<stdio.h>\fP)。
359 .PP
360 通常、大文字で表現する特殊マクロはボールドで表す (例えば \fBMAXINT\fP)。 例外として NULL はボールドにしない。
361 .PP
362 エラーコードのリストを列挙する時には、コードはボールドで表す (このリストには通常 \fB\&.TP\fP マクロを用いる)。
363 .PP
364 完全なコマンドは、長い場合には、例に示すように 字下げした行にコマンドだけを記載し、コマンドの前後には空行を置くべきである。
365 .in +4n
366 .nf
367
368 man 7 man\-pages
369
370 .fi
371 .in
372 コマンドが短い場合は、 \fIman 7 man\-pages\fP のようにイタリック体で文中に埋め込んで記載してもよい。
373 この場合、コマンド内の適切な位置に、改行できないスペース ("\e\ ")  を使うとよいかもしれない。 コマンドオプションも (\fI\-l\fP のように)
374 イタリック体で記載すべきである。
375 .PP
376 式は、専用の字下げした行に記載しない場合、イタリック体を指定すること。 繰り返しになるが、式を通常の文中に埋め込む場合にも、
377 改行できないスペースを使うとよいだろう。
378 .PP
379 そのマニュアルページの説明対象への参照は、ボールドで名前を記載する。 対象が関数 (つまり、セクション 2 や 3 のページ) の場合、
380 名前の後ろにローマンフォント (通常のフォント) で丸括弧の対を続ける。 例えば、 \fBfcntl\fP(2)  のマニュアルページでは、説明対象への参照は
381 \fBfcntl\fP()  のように記載する。 マニュアルページのソースファイルには次のように記載するのが望ましい:
382 .nf
383
384     .BR fcntl ()
385
386 .fi
387 ("\efB...\efP()" よりも、この形式を使うこと。 これにより、マニュアルページのソースファイルを解釈するツールを 書くのが簡単になる。)
388 .PP
389 別のマニュアルページへの参照は、ボールドで名前を記載し、 それに続けてセクション番号を「必ず」書く。セクション番号は ローマンフォント
390 (通常のフォント) で書き、スペースは入れない (例: \fBintro\fP(2))。 マニュアルページのソースファイルには次のように記載するのが望ましい:
391 .nf
392
393     .BR intro (2)
394
395 .fi
396 (相互参照にセクション番号を含めておくと、 \fBman2html\fP といったツールがページ間のハイパーリンクを適切に生成できる。)
397
398 制御文字は太字で引用符なしで表記すること。 例えば \fB^X\fP。
399 .SS "綴り (spelling)"
400 リリース 2.59 からだが、 \fIman\-pages\fP はアメリカ英語の綴りの慣習に従っている
401 (以前はイギリス英語とアメリカ英語が基準もなく混在して使われていた)。 新しいページやパッチは全てこの慣習に従って下さい。
402
403 よく知られた綴りの違い以外に、微妙な違いもいくつか見られる。
404 .IP * 3
405 アメリカ英語では "backward", "upward", "toward" を使う傾向にあるが、イギリス英語では "backwards",
406 "upwards", "towards" などを使う方が多い。
407 .SS "BSD バージョン番号"
408 BSD バージョン番号の伝統的な表記方法は \fIx.yBSD\fP である (\fIx.y\fP はバージョン番号; 例: 4.2BSD)。 \fIBSD 4.3\fP
409 といった表記は避けること。
410 .SS 大文字表記
411 サブセクション ("SS") 見出しでは、最初の単語だけ先頭文字を大文字にし、残りの単語は小文字にすること。但し、英語の用法 (例えば、固有名詞)
412 やプログラミング言語の要件 (例えば、識別子の名前) などで別の表記をする場合はこの限りではない。
413
414 \&.SS Unicode under Linux
415
416 .SS 構造体の定義、シェルのセッションログなどの字下げ、など
417 構造体の定義やシェルのセッションログなどを本文中に記載する際は、 スペース 4個分の字下げを行う (つまり、ブロックを \fI.in\ +4n\fP と
418 \&\fI.in\fP で囲む)。
419 .SS 推奨用語
420 以下の表にマニュアルページでの使用が推奨される用語を示す。これらは主にマニュアルページ間での一貫性を保つためである。
421 .TS
422 l l l
423 ---
424 l l l.
425 用語  使用を避ける単語        備考
426
427 bit mask        bitmask
428 built\-in       builtin
429 Epoch   epoch   T{
430 For the UNIX Epoch (00:00:00, 1 Jan 1970 UTC)
431 T}
432 filename        file name
433 filesystem      file system
434 hostname        host name
435 inode   i\-node
436 lowercase       lower case, lower\-case
437 pathname        path name
438 pseudoterminal  pseudo\-terminal
439 privileged port T{
440 reserved port,
441 system port
442 T}
443 real\-time      T{
444 realtime,
445 real time
446 T}
447 run time        runtime
448 saved set\-group\-ID    T{
449 saved group ID,
450 saved set\-GID
451 T}
452 saved set\-user\-ID     T{
453 saved user ID,
454 saved set\-UID
455 T}
456 set\-group\-ID  set\-GID, setgid
457 set\-user\-ID   set\-UID, setuid
458 superuser       T{
459 super user,
460 super\-user
461 T}
462 superblock      T{
463 super block,
464 super\-block
465 T}
466 timestamp       time stamp
467 timezone        time zone
468 uppercase       upper case, upper\-case
469 usable  useable
470 user space      userspace
471 username        user name
472 zeros   zeroes
473 .TE
474 .PP
475 以下の\fI修飾子としての複合語におけるハイフン\fPの議論も参照。
476 .SS 使用を避ける用語
477 以下の表にマニュアルページでの使用を避けるべき用語を示す。 推奨される表現も合わせて記載している。
478 これらは主にマニュアルページ間での一貫性を保つためである。
479 .TS
480 l l l
481 ---
482 l l l.
483 使用を避ける      使用を推奨 備考
484
485 32bit   32\-bit T{
486 8\-bit, 16\-bit なども同様
487 T}
488 current process calling process T{
489 カーネルプログラマーがマニュアルページを書く際によくする間違い
490 T}
491 manpage T{
492 man page, manual page
493 T}
494 minus infinity  negative infinity
495 non\-root       unprivileged user
496 non\-superuser  unprivileged user
497 nonprivileged   unprivileged
498 OS      operating system
499 plus infinity   positive infinity
500 pty     pseudoterminal
501 tty     terminal
502 Unices  UNIX systems
503 Unixes  UNIX systems
504 .TE
505 .SS 商標
506 商標については正しい綴りと大文字小文字を使うこと。以下は時々綴りの間違いがある商標の正しい綴りのリストである。
507
508      DG/UX
509      HP\-UX
510      UNIX
511      UnixWare
512 .SS "NULL, NUL, ヌルポインター、ヌル文字"
513 \fInull pointer\fP (\fIヌルポインター\fP) は何もないものを指すポインターで、通常は定数 \fINULL\fP で示される。 一方、
514 \fINUL\fP は \fInull byte\fP (\fIヌルバイト\fP、値 0 のバイト) で、 C では文字定数 \fI\(aq\e0\(aq\fP と表現される。
515
516 ポインターとして推奨される用語は "null pointer" (ヌルポインター) もしくは単に "NULL" である。 "NULL pointer"
517 と記載するのは避けること。
518
519 バイトとして推奨される用語は "null byte" (ヌルバイト) である。 "NUL" と記載するのは避けること。 "NUL" は "NULL"
520 と間違われることが非常に多いからである。 また、 "zero byte" (ゼロバイト) と "null character" (ヌル文字)
521 も避けること。 C の文字列を終端するバイトは "the terminating null byte" (終端ヌルバイト)、
522 文字列の説明として使う場合には "null\-terminated" (ヌル終端された) と記載すべきである。 "NUL\-terminated"
523 の使用は避けること。
524 .SS ハイパーリンク
525 ハイパーリンクについては、 \fI.UR\fP/\fI.UE\fP マクロの組を使うこと (\fBgroff_man\fP(7)
526 参照)。ページを以下のようにレンダリングする場合に、このマクロはウェブブラウザーで使用できる正しいハイパーリンクを生成してくれる。
527
528      BROWSER=firefox man \-H pagename
529 .SS "e.g., i.e., etc., a.k.a. などの使用"
530 一般的には、 "e.g.", "i.e.", "etc.", "a.k.a." などの省略形の使用は避けるべきである。 代わりに完全な形の単語を使うこと
531 ("for example" (例えば), "that is" (つまり), "and so on" (〜など), "also known as"
532 (別名))。
533
534 これらの省略形の使用が認められる唯一の場所は、 \fI短い\fP括弧で囲まれた余談 ("(e.g., like this one)") の場合である。
535
536 ここで記載しているように、これらの省略形では必ずピリオドを入れること。 また、"e.g." と "i.e." では常に後にカンマも付けること。
537 .SS "em によるダッシュ"
538 *roff で em によるダッシュ\(emこの部分の両端にある記号\(emを書くには "\e(em" を使う。 (ASCII 端末では em
539 によるダッシュは通常ハイフン 2 つとして表示されるが、別の活版印刷の場合などでは長いダッシュとして表示されることもある。) em
540 によるダッシュの両側にはスペースを\fI置かないこと\fP。
541 .SS 修飾子としての複合語におけるハイフン
542 何かを修飾する際 (すなわち後続の名詞を限定する場合) 複合語にはハイフンを入れること。いくつか例を挙げる。
543
544     32\-bit value (32 ビット値)
545     command\-line argument (コマンドライン引き数)
546     floating\-point number (浮動小数点数)
547     run\-time check (実行時チェック)
548     user\-space function (ユーザー空間関数)
549     wide\-character string (ワイド文字の文字列)
550 .SS "multi, non, pre, re, sub などとの組み合わせでのハイフン"
551 一般的に最近の英語の傾向では、"multi", "non", "pre", "re", "sub" などの接尾辞の後ろにはハイフンを付けない。
552 これらの接尾辞が単純な接尾語との普通の英語の組み合わせの場合には、 マニュアルページでは基本的にこのルールに従う。
553 以下のリストに推奨される形式での例をいくつか挙げる。
554
555     interprocess
556     multithreaded
557     multiprocess
558     nonblocking
559     nondefault
560     nonempty
561     noninteractive
562     nonnegative
563     nonportable
564     nonzero
565     preallocated
566     precreate
567     prerecorded
568     reestablished
569     reinitialize
570     rearm
571     reread
572     subcomponent
573     subdirectory
574     subsystem
575
576 接尾語が通常の英単語以外 (商標、固有名詞、頭字語、複合語) と組み合わされる場合は、ハイフンを使うこと。以下に例を挙げる。
577
578     non\-ASCII
579     non\-English
580     non\-NULL
581     non\-real\-time
582
583 最後に、"re\-create" と "recreate" は異なる別の動詞である点に注意すること。たいていの場合、使おうと思っているのは前者であろう。
584 .SS 本当のマイナス文字
585 本当の意味でのマイナス文字が必要な場合は (\-1 といった数字や \fIls\ \-l\fP
586 といった先頭にダッシュのオプションを記載する場合など)、マニュアルページの原文では以下の表記を使うこと。
587
588     \e\-
589
590 このガイドラインはサンプルコードの場合にも適用される。
591 .SS 文字定数
592 ASCII と UTF\-8 の両方で正しくレンダリングされるシングルクォート (一重引用符)
593 を生成するには、マニュアルページの原文では以下の表記を使うこと。
594
595     \e(aqC\e(aq
596
597 ここで \fIC\fP が括弧で囲まれる文字である。このガイドラインはサンプルコードの場合にも適用される。
598 .SS サンプルプログラムとシェルのセッション
599 マニュアルページには、システムコールやライブラリ関数の使い方を示す サンプルプログラムを含めることができる。 その際には、以下の点に留意すべきである。
600 .IP * 3
601 サンプルプログラムは C で記載すること。
602 .IP *
603 サンプルプログラムは、 インタフェースについて文章で簡単に説明できる以上のことを示す場合にだけ
604 必要かつ有用である。インタフェースを呼び出す以外に何もしないサンプル プログラムは普通はほとんど役に立たない。
605 .IP *
606 サンプルプログラムはかなり短めにすること (100行未満が望ましく、50行未満が理想的である)。
607 .IP *
608 サンプルプログラムでは、システムコールやライブラリ関数を呼び出した後で エラーチェックを行うこと。
609 .IP *
610 サンプルプログラムは完結していて、 \fIcc\ \-Wall\fP でコンパイルした際に警告なしでコンパイルできること。
611 .IP *
612 可能かつ適切な場合には、サンプルプログラムで 入力により動作を変化させるなどの実験を行うとよい
613 (理想的には、コマンドライン引き数や、プログラムが読み込む入力データ 経由で、動作を変化させるのがよい)。
614 .IP *
615 サンプルプログラムは、K&R (Kernighan and Ritchie) スタイルで書き、 字下げはスペース 4文字で行う。 (ソースコードで
616 TAB 文字を使うのは避けること。)
617 .IP *
618 一貫性を保つため、すべてのサンプルプログラムは以下のいずれかで終了すること。
619
620      exit(EXIT_SUCCESS);
621      exit(EXIT_FAILURE);
622
623 プログラムを終了するのに以下を使うのは避けること。
624
625     exit(0);
626     exit(1);
627     return n;
628 .IP *
629 プログラムソースの前に説明文がある場合は、\fIプログラムソース\fPの見出しをソースコードの前に付けること。
630
631 \&.SS プログラムのソース
632
633 説明文がシェルセッションのログを含む場合は必ずこのようにすること。
634 .PP
635 プログラムの使い方や他のシステムの特徴を示すためにシェルのセッションログを含める場合、
636 .IP * 3
637 セッションログをソースコードの前に置くこと
638 .IP *
639 セッションログをスペース 4 つで字下げすること
640 .IP *
641 ユーザの入力文をボールドにして、システムが生成する出力と区別できるようにすること
642 .PP
643 サンプルプログラムがどんな風になっていればよいかの例については、 \fBwait\fP(2)  と \fBpipe\fP(2)  を参照すること。
644 .SH 例
645 \fIman\-pages\fP パッケージに含まれるマニュアルページの体裁の標準的な例については、 \fBpipe\fP(2)  と \fBfcntl\fP(2)
646 を参照すること。
647 .SH 関連項目
648 \fBman\fP(1), \fBman2html\fP(1), \fBgroff\fP(7), \fBgroff_man\fP(7), \fBman\fP(7),
649 \fBmdoc\fP(7)
650 .SH この文書について
651 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.65 の一部
652 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
653 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。