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2 .\" and Copyright (c) 2006 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
3 .\"
4 .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM)
5 .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this
6 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
7 .\" preserved on all copies.
8 .\"
9 .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this
10 .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the
11 .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a
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13 .\"
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24 .\" %%%LICENSE_END
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26 .\" Modified by Michael Haardt <michael@moria.de>
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28 .\" Modified 1994-08-21 by Michael Chastain <mec@shell.portal.com>:
29 .\" Modified 1997-01-31 by Eric S. Raymond <esr@thyrsus.com>
30 .\" Modified 1999-11-12 by Urs Thuermann <urs@isnogud.escape.de>
31 .\" Modified 2004-06-23 by Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
32 .\" 2006-09-04 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
33 .\"     Added list of process attributes that are not preserved on exec().
34 .\" 2007-09-14 Ollie Wild <aaw@google.com>, mtk
35 .\"     Add text describing limits on command-line arguments + environment
36 .\"
37 .\"*******************************************************************
38 .\"
39 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
40 .\"
41 .\"*******************************************************************
42 .\"
43 .\" Japanese Version Copyright (c) 1996 TABATA Tomohira
44 .\"         all rights reserved.
45 .\" Translated 1996-07-04, TABATA Tomohira <loba@k2.t.u-tokyo.ac.jp>
46 .\" Updated 1997-12-14, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
47 .\" Updated 2001-08-17, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
48 .\" Updated 2005-02-05, Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>
49 .\" Updated 2005-09-06, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
50 .\" Updated 2005-11-19, Akihiro MOTOKI
51 .\" Updated 2006-08-13, Akihiro MOTOKI, LDP v2.39
52 .\" Updated 2007-01-09, Akihiro MOTOKI, LDP v2.43
53 .\" Updated 2007-06-03, Akihiro MOTOKI, LDP v2.51
54 .\" Updated 2007-10-12, Akihiro MOTOKI, LDP v2.66
55 .\" Updated 2008-04-04, Akihiro MOTOKI, LDP v2.79
56 .\" Updated 2008-11-05, Akihiro MOTOKI, LDP v3.12
57 .\" Updated 2012-05-29, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
58 .\" Updated 2013-03-22, Akihiro MOTOKI, LDP v3.50
59 .\" Updated 2013-07-22, Akihiro MOTOKI, LDP v3.52
60 .\"
61 .TH EXECVE 2 2013\-07\-04 Linux "Linux Programmer's Manual"
62 .SH 名前
63 execve \- プログラムを実行する
64 .SH 書式
65 \fB#include <unistd.h>\fP
66 .sp
67 \fBint execve(const char *\fP\fIfilename\fP\fB, char *const \fP\fIargv\fP\fB[], \fP
68 .br
69 \fB char *const \fP\fIenvp\fP\fB[]);\fP
70 .SH 説明
71 \fBexecve\fP()  は、\fIfilename\fP によって指定されたプログラムを実行する。 \fIfilename\fP は、バイナリ実行形式か、
72 以下の形式の行で始まるスクリプトでなければならない。
73
74 .in +4n
75 .nf
76 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional\-arg]
77 .fi
78 .in
79
80 後者の詳細は、後ろの「インタプリタ・スクリプト」の節を参照のこと。
81
82 \fIargv\fP は新しいプログラムに渡される引き数文字列の配列である。
83 慣例では、引き数文字列の最初の要素には実行されたファイルに関連付けられた
84 ファイル名を含めることになっている。
85 \fIenvp\fP は文字列の配列であり、伝統的に \fBkey=value\fP の形式をしており、
86 新しいプログラムの環境変数として渡される。
87 \fIargv\fP と \fIenvp\fP はいずれもの NULL ポインタで終わっている必要がある。
88 引き数配列と環境変数は、呼び出されたプログラムの main 関数を
89 以下のように定義することによってアクセス可能になる。
90
91 .in +4n
92 .nf
93 int main(int argc, char *argv[], char *envp[])
94 .fi
95 .in
96
97 成功した場合、 \fBexecve\fP()  は返らない。 そして、呼び出し元のプロセスの text, data, bss, スタックは、
98 読み込まれたプログラムによって上書きされる。
99
100 元のプログラムが ptrace されている場合、 \fBexecve\fP()  が成功した後に そのプログラムに \fBSIGTRAP\fP が送られる。
101
102 \fIfilename\fP で指定されたプログラムファイルに set\-user\-ID ビットが設定されており、 ファイルが存在するファイルシステムが
103 \fInosuid\fP (\fBmount\fP(2)  の \fBMS_NOSUID\fP フラグ) でマウントされておらず、 呼び出したプロセスが ptrace
104 されていない場合、 呼び出したプロセスの実効 (effective) ユーザ ID は プログラムファイルの所有者 (owner) に変更される。
105 同様に、プログラムファイルに set\-group\-ID ビットが設定されていた場合、 呼び出したプロセスの有効グループ ID は
106 プログラムファイルのグループに変更される。
107
108 プロセスの実効ユーザ ID は保存 (saved) set\-user\-ID にコピーされる。 同様に、実効グループ ID は保存
109 set\-group\-ID にコピーされる。 このコピーは、set\-user\-ID / set\-group\-ID 許可ビットにより発生する 実効 ID
110 の変更後に行われる。
111
112 実行ファイルが動的リンクされた a.out 実行形式で、共有ライブラリの スタブを含むものだった場合、実行の開始時に Linux の ダイナミックリンカ
113 \fBld.so\fP(8)  が呼び出され、必要な共有ライブラリをメモリに読み込んでリンクを行う。
114
115 実行ファイルがダイナミックリンクされた ELF 実行形式だった場合、
116 PT_INTERP セグメントに指定されたインタプリタが必要な 共有ライブラリ
117 (shared library) を読み込むのに使用される。
118 通常、インタプリタは glibc 2 をリンクしたバイナリでは
119 \fI/lib/ld\-linux.so.2\fP である (古い Linux libc5 をリンクした
120 バイナリでは、通常のインタプリタは \fI/lib/ld\-linux.so.1\fP であった)。
121
122 以下に示す以外のすべてのプロセス属性は \fBexecve\fP()  の前後で保持される。
123 .IP * 3
124 捕捉されたシグナルの処理方法 (disposition) は デフォルト動作にリセットされる (\fBsignal\fP(7))。
125 .IP *
126 代替シグナルスタックはどれも保持されない (\fBsigaltstack\fP(2))。
127 .IP *
128 メモリマッピングは保持されない (\fBmmap\fP(2))。
129 .IP *
130 付加された (attached) System V 共有メモリセグメントは分離される (\fBshmat\fP(2))。
131 .IP *
132 POSIX 共有メモリ領域はマッピングを解除される (\fBshm_open\fP(3))。
133 .IP *
134 オープンされた POSIX メッセージキューディスクリプタはクローズされる (\fBmq_overview\fP(7))。
135 .IP *
136 オープンされた POSIX 名前付きセマフォはいずれもクローズされる (\fBsem_overview\fP(7))。
137 .IP *
138 POSIX タイマは保持されない (\fBtimer_create\fP(2))。
139 .IP *
140 オープンされたディレクトリストリームはいずれもクローズされる (\fBopendir\fP(3))。
141 .IP *
142 メモリロックは保持されない (\fBmlock\fP(2), \fBmlockall\fP(2))。
143 .IP *
144 終了 (exit) ハンドラは保持されない (\fBatexit\fP(3), \fBon_exit\fP(3))。
145 .IP *
146 浮動小数点関連の環境はデフォルトにリセットされる (\fBfenv\fP(3)  参照)。
147 .PP
148 上記のリストのプロセス属性はいずれも POSIX.1\-2001 で規定されている。 以下に示す Linux 固有のプロセス属性も \fBexecve\fP()
149 の前後で保持されない。
150 .IP * 3
151 set\-user\-ID か set\-group\-ID されたプログラムが実行されている場合、 \fBprctl\fP(2)  の
152 \fBPR_SET_DUMPABLE\fP フラグはクリアされる。それ以外の場合、このフラグはセットされる。
153 .IP *
154 \fBprctl\fP(2)  の \fBPR_SET_KEEPCAPS\fP フラグはクリアされる。
155 .IP *
156 (Linux 2.4.36 以降 / 2.6.23 以降)  set\-user\-ID や set\-group\-ID されたプログラムが実行された場合、
157 \fBprctl\fP(2) の \fBPR_SET_PDEATHSIG\fP フラグで設定された parent death シグナルはクリアされる。
158 .IP *
159 プロセス名は新しい実行ファイルの名前にリセットされる。 プロセス名は \fBprctl\fP(2)  の \fBPR_SET_NAME\fP で設定でき、
160 \fIps\ \-o comm\fP で表示できる。
161 .IP *
162 \fBSECBIT_KEEP_CAPS\fP の \fIsecurebits\fP フラグはクリアされる。 \fBcapabilities\fP(7) 参照。
163 .IP *
164 終了シグナル (termination signal) は \fBSIGCHLD\fP にリセットされる (\fBclone\fP(2)  参照)。
165 .PP
166 以下の点についても注意すること:
167 .IP * 3
168 呼び出し元スレッド以外の全てのスレッドは \fBexecve\fP()  中に破棄される。 mutex、条件変数、その他の pthread
169 オブジェクトは保持されない。
170 .IP *
171 \fIsetlocale(LC_ALL, "C")\fP 相当の処理がプログラム開始時に実行される。
172 .IP *
173 POSIX.1\-2001 は、動作が無視かデフォルトに設定されている全てのシグナル の処理方法は変更せずそのままにする、と規定している。
174 但し、POSIX.1\-2001 には一つ例外があり、 \fBSIGCHLD\fP が無視になっている場合、
175 その処理方法を変更せずにそのままにするか、デフォルト動作にリセットするかは 実装依存となっている。 Linux では前者 (変更しない) となっている。
176 .IP *
177 完了していない非同期 I/O 操作はキャンセルされる (\fBaio_read\fP(3), \fBaio_write\fP(3))。
178 .IP *
179 \fBexecve\fP(2)  時のケーパビリティの扱いについては、 \fBcapabilities\fP(7)  を参照。
180 .IP *
181 .\" On Linux it appears that these file descriptors are
182 .\" always open after an execve(), and it looks like
183 .\" Solaris 8 and FreeBSD 6.1 are the same. -- mtk, 30 Apr 2007
184 デフォルトでは、ファイルディスクリプタは \fBexecve\fP()  を行った後でもオープンされたままである。 close\-on\-exec
185 の印が付いているファイルディスクリプタはクローズされる。 \fBfcntl\fP(2)  の \fBFD_CLOEXEC\fP の説明を参照。
186 (ファイルディスクリプタがクローズされると、このプロセスが ファイルディスクリプタに対応するファイルに対して獲得していた
187 レコードのロックが全て解放されることになる。)  POSIX.1\-2001 では、 ファイルディスクリプタ 0, 1, 2 が \fBexecve\fP()
188 成功後にどこかでクローズされ、かつ 実行されるファイルに set\-user_ID か set\-group_ID の許可ビットが
189 セットされていてプロセスが特権を獲得した場合、 システムは何らかのファイルをオープンする際に これらの番号のディスクリプタのどれかを使うことがある、
190 とされている。 原則として、移植性が必要なプログラムでは、 特権の有無に関わらず、 \fBexecve\fP()  の前後でこれら
191 3つのファイルディスクリプタがクローズされたままで あることを前提にすることはできない。
192 .SS インタプリタ・スクリプト
193 インタプリタ・スクリプトとは、実行許可が有効になっていて、 最初の行が以下の形になっているテキストファイルのことである。
194
195 .in +4n
196 .nf
197 \fB#!\fP \fIinterpreter \fP[optional\-arg]
198 .fi
199 .in
200
201 \fIinterpreter\fP は有効な実行ファイルのパス名でなければならず、 それ自身がスクリプトであってはならない。 \fBexecve\fP()  の
202 \fIfilename\fP 引き数がインタプリタスクリプトを指定している場合、 \fIinterpreter\fP は以下の引き数で起動される。
203
204 .in +4n
205 .nf
206 \fIinterpreter\fP [optional\-arg] \fIfilename\fP arg...
207 .fi
208 .in
209
210 \fIarg...\fP は \fBexecve\fP()  の \fIargv\fP 引き数が指すワード列である。
211
212 移植性を持たすには、 \fIoptional\-arg\fP は空か 1ワードだけにすべきである (つまり、ホワイトスペースを含めるべきではない)。
213 下記の「注意」の節を参照。
214 .SS 引き数と環境変数の合計サイズの上限
215 ほとんどの UNIX の実装は、新しいプログラムに渡すことができる コマンドライン引き数 (\fIargv\fP)  と環境変数 (\fIenvp\fP)
216 の文字列群の合計サイズに何らかの上限を設けている。 POSIX.1 は、 \fBARG_MAX\fP 定数を使ってこの上限を決める実装を認めている
217 (\fBARG_MAX\fP は \fI<limits.h>\fP で定義されるか、実行時に \fIsysconf(_SC_ARG_MAX)\fP
218 の呼び出しで入手できるかのいずれかである)。
219
220 カーネル 2.6.23 より前の Linux では、環境変数と引き数の文字列群を 格納するのに使用されるメモリは 32 ページに制限されていた (32
221 ページというのはカーネル定数 \fBMAX_ARG_PAGES\fP で定義される)。したがって、 ページサイズが 4 kB のアーキテクチャでは、
222 最大サイズは 128 kB ということになる。
223
224 .\" For some background on the changes to ARG_MAX in kernels 2.6.23 and
225 .\" 2.6.25, see:
226 .\"     http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=5786
227 .\"     http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=10095
228 .\"     http://thread.gmane.org/gmane.linux.kernel/646709/focus=648101,
229 .\"     checked into 2.6.25 as commit a64e715fc74b1a7dcc5944f848acc38b2c4d4ee2.
230 .\" Ollie: That doesn't include the lists of pointers, though,
231 .\" so the actual usage is a bit higher (1 pointer per argument).
232 カーネル 2.6.23 以降では、ほとんどのアーキテクチャにおいて、 \fBexecve\fP()  が呼び出された時点で適用されているリソースのソフト上限
233 \fBRLIMIT_STACK\fP に基づいたサイズ上限が使われる (メモリ管理ユニット (MMU) を持たないアーキテクチャは上記の変更の
234 例外であり、これらのアーキテクチャではカーネル 2.6.23 より前と 同じ上限がそのまま使用される)。
235 これらのアーキテクチャでは、合計サイズは許可されたスタックサイズの 1/4 に制限されている (1/4
236 の上限を設けているのは、新しいプログラムが必ずある程度の スタック空間を持てることを保証するためである)。 Linux 2.6.25
237 以降では、カーネルはこのサイズ上限に 32 ページの下限を 設けている。これにより、 \fBRLIMIT_STACK\fP
238 が非常に小さく設定された場合でも、アプリケーションが少なくとも Linux 2.6.23 以前で提供されていたのと同じ大きさの引き数と環境変数の空間
239 と同じだけは確保できることが保証されている (この最低限の保証は Linux 2.6.23 と 2.6.24 では提供されていない)。
240 また、各文字列の上限は 32 ページ (カーネル定数 \fBMAX_ARG_STRLEN\fP)  で、文字列数の最大値は 0x7FFFFFFF である。
241 .SH 返り値
242 成功すると \fBexecve\fP()  は返らない。エラーの場合は \-1 を返し、 \fIerrno\fP を適切に設定する。
243 .SH エラー
244 .TP 
245 \fBE2BIG\fP
246 環境変数 (\fIenvp\fP)  と引き数リスト (\fIargv\fP)  の合計バイト数が大き過ぎる。
247 .TP 
248 \fBEACCES\fP
249 \fIfilename\fP やスクリプトインタプリタ名の構成要素に検索許可 (search permission)  が与えられていない
250 (\fBpath_resolution\fP(7)  も参照すること)。
251 .TP 
252 \fBEACCES\fP
253 ファイルもしくはスクリプトのインタプリタが通常ファイル (regular file)  でない。
254 .TP 
255 \fBEACCES\fP
256 ファイルやスクリプトや ELF インタプリタに 実行許可 (execute permission) が与えられていない。
257 .TP 
258 \fBEACCES\fP
259 ファイルシステムが \fInoexec\fP でマウントされている。
260 .TP 
261 \fBEFAULT\fP
262 \fIfilename\fP がアクセス可能なアドレス空間の外を指している。
263 .TP 
264 \fBEINVAL\fP
265 ELF 実行形式で複数の PT_INTERP セグメントが存在する。 (すなわち複数のインタプリタを指定した。)
266 .TP 
267 \fBEIO\fP
268 I/O エラーが発生した。
269 .TP 
270 \fBEISDIR\fP
271 ELF インタプリタがディレクトリだった。
272 .TP 
273 \fBELIBBAD\fP
274 ELF インタプリタが理解できるフォーマットでなかった。
275 .TP 
276 \fBELOOP\fP
277 \fIfilename\fP やスクリプトや ELF のインタプリタを解決する際に遭遇した シンボリックリンクが多過ぎる。
278 .TP 
279 \fBEMFILE\fP
280 そのプロセスがオープンできるファイル数の上限まで既にオープンしている。
281 .TP 
282 \fBENAMETOOLONG\fP
283 \fIfilename\fP が長過ぎる。
284 .TP 
285 \fBENFILE\fP
286 オープンされたファイルの総数がシステム全体の上限に達していた。
287 .TP 
288 \fBENOENT\fP
289 ファイル \fIfilename\fP かスクリプトや ELF のインタプリタが存在しない。
290 .TP 
291 \fBENOEXEC\fP
292 実行ファイルが理解できない形式であるか、違うアーキテクチャのものか、 その他のフォーマットエラーにより実行ができなかった。
293 .TP 
294 \fBENOMEM\fP
295 カーネルに十分なメモリがない。
296 .TP 
297 \fBENOTDIR\fP
298 \fIfilename\fP やスクリプトや ELF のインタプリタの構成要素がディレクトリでない。
299 .TP 
300 \fBEPERM\fP
301 ファイルシステムが \fInosuid\fP でマウントされ、ユーザがスーパーユーザでなく、 ファイルに set\-user\-ID あるいは
302 set\-group\-ID ビットが設定されている。
303 .TP 
304 \fBEPERM\fP
305 プロセスがトレースされ、ユーザがスーパーユーザでなく、 ファイルに set\-user\-ID あるいは set\-group\-ID ビットが設定されている。
306 .TP 
307 \fBETXTBSY\fP
308 実行ファイルを書き込み用にオープンしているプロセスがある。
309 .SH 準拠
310 .\" SVr4 documents additional error
311 .\" conditions EAGAIN, EINTR, ELIBACC, ENOLINK, EMULTIHOP; POSIX does not
312 .\" document ETXTBSY, EPERM, EFAULT, ELOOP, EIO, ENFILE, EMFILE, EINVAL,
313 .\" EISDIR or ELIBBAD error conditions.
314 SVr4, 4.3BSD, POSIX.1\-2001.  POSIX.1\-2001 には #! 動作についての記述はないが、 他は互換性がある。
315 .SH 注意
316 set\-user\-id プロセスと set\-group\-ID プロセスは \fBptrace\fP(2)  できない。
317
318 Linux はスクリプトの set\-user\-ID と set\-group\-ID ビットを無視する。
319
320 ファイルシステムを \fInosuid\fP でマウントした場合に set\-user\-ID/set\-group\-ID の実行ファイルを
321 どの様に扱うかは、Linux カーネルのバージョンによって異なる: あるバージョンでは、すでに必要な権限を持っている場合を除いて、 その実行を拒否する
322 (そして \fBEPERM\fP を返す)。別のあるバージョンでは set\-user\-ID/set\-group\-ID ビットのみを無視し \fBexec\fP()
323 は成功する。
324
325 #! 実行形式のシェルスクリプトの 1行目に許されている文字数は、 最大 127 文字である。
326
327 .\" e.g., Solaris 8
328 .\" e.g., FreeBSD before 6.0, but not FreeBSD 6.0 onward
329 インタプリタ・スクリプトの \fIoptional\-arg\fP 引き数の解釈方法は実装により異なる。 Linux では、インタプリタ名
330 \fIinterpreter\fP に続く文字列全体がインタプリタに 1個の引き数として渡される。 しかし、動作が異なるシステムもある。 あるシステムでは、
331 \fIoptional\-arg\fP のうち最初のホワイトスペースまでが 引き数として渡される。 また、別のシステムでは
332 インタプリタ・スクリプトは複数の引き数を持つことができ、 \fIoptional\-arg\fP 内のホワイトスペースが引き数の区切りとなる。
333
334 .\" e.g., EFAULT on Solaris 8 and FreeBSD 6.1; but
335 .\" HP-UX 11 is like Linux -- mtk, Apr 2007
336 .\" Bug filed 30 Apr 2007: http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=8408
337 .\" Bug rejected (because fix would constitute an ABI change).
338 .\"
339 Linux では、 \fIargv\fP と \fIenvp\fP のいずれかには NULL を指定することができる。これは、これらの引き数に NULL ポインタ
340 1個だけを含むリストへのポインタを指定したのと同じ効果を持つ。 \fB「この間違った機能を利用しないこと」\fP。 これは非標準で、移植性もない。
341 他のほとんどの UNIX システムでは、これを行うとエラー (\fBEFAULT\fP)  になる。
342
343 .\"
344 .\" .SH BUGS
345 .\" Some Linux versions have failed to check permissions on ELF
346 .\" interpreters.  This is a security hole, because it allows users to
347 .\" open any file, such as a rewinding tape device, for reading.  Some
348 .\" Linux versions have also had other security holes in
349 .\" .BR execve ()
350 .\" that could be exploited for denial of service by a suitably crafted
351 .\" ELF binary. There are no known problems with 2.0.34 or 2.2.15.
352 POSIX.1\-2001 は、 \fBsysconf\fP(3)  が返す値はプロセスの生存中は変化しないべきだとしている。 しかしながら、Linux
353 2.6.23 以降では、リソース上限 \fBRLIMIT_STACK\fP が変化した場合、 コマンドライン引き数と環境変数を保持するための空間に対する上限が
354 変化したことを反映して、 \fB_SC_ARG_MAX\fP が返す値も変化する。
355 .SS 歴史
356 UNIX V6 では \fBexec\fP()  コールの引き数リストは 0 で終端され、 \fImain\fP の引き数リストは \-1 で終端されていた。
357 そのため、 \fImain\fP の引き数リストは、その後の \fBexec\fP()  コールには直接使用できなかった。 UNIX V7 以降では、ともに
358 NULL で終端される。
359 .SH 例
360 このプログラムは、以下の二つ目のプログラムから実行するためのものである。 コマンドラインを 1行に 1個ずつ表示するだけのプログラムである。
361
362 .in +4n
363 .nf
364 /* myecho.c */
365
366 #include <stdio.h>
367 #include <stdlib.h>
368
369 int
370 main(int argc, char *argv[])
371 {
372     int j;
373
374     for (j = 0; j < argc; j++)
375         printf("argv[%d]: %s\en", j, argv[j]);
376
377     exit(EXIT_SUCCESS);
378 }
379 .fi
380 .in
381
382 以下のプログラムは、コマンドライン引き数で指定した名前のプログラムを 実行するのに使う。
383 .in +4n
384 .nf
385
386 /* execve.c */
387
388 #include <stdio.h>
389 #include <stdlib.h>
390 #include <unistd.h>
391
392 int
393 main(int argc, char *argv[])
394 {
395     char *newargv[] = { NULL, "hello", "world", NULL };
396     char *newenviron[] = { NULL };
397
398     if (argc != 2) {
399         fprintf(stderr, "Usage: %s <file\-to\-exec>\en", argv[0]);
400         exit(EXIT_FAILURE);
401     }
402
403     newargv[0] = argv[1];
404
405     execve(argv[1], newargv, newenviron);
406     perror("execve");   /* execve() only returns on error */
407     exit(EXIT_FAILURE);
408 }
409 .fi
410 .in
411
412 二つ目のプログラムを使って一つ目のプログラムを実行するには 以下のようにする。
413
414 .in +4n
415 .nf
416 $\fB cc myecho.c \-o myecho\fP
417 $\fB cc execve.c \-o execve\fP
418 $\fB ./execve ./myecho\fP
419 argv[0]: ./myecho
420 argv[1]: hello
421 argv[2]: world
422 .fi
423 .in
424
425 さらに、これらのプログラムを使って、スクリプト・インタプリタの例を示す。 このために、「インタプリタ」として先ほど作成したプログラム \fImyecho\fP
426 を使うスクリプトを作成する。
427
428 .in +4n
429 .nf
430 $\fB cat > script.sh\fP
431 \fB#! ./myecho script\-arg\fP
432 \fB^D\fP
433 $\fB chmod +x script.sh\fP
434 .fi
435 .in
436
437 作成しておいたプログラムを使ってスクリプトを実行する。
438
439 .in +4n
440 .nf
441 $\fB ./execve ./script.sh\fP
442 argv[0]: ./myecho
443 argv[1]: script\-arg
444 argv[2]: ./script.sh
445 argv[3]: hello
446 argv[4]: world
447 .fi
448 .in
449 .SH 関連項目
450 \fBchmod\fP(2), \fBfork\fP(2), \fBptrace\fP(2), \fBexecl\fP(3), \fBfexecve\fP(3),
451 \fBgetopt\fP(3), \fBcredentials\fP(7), \fBenviron\fP(7), \fBpath_resolution\fP(7),
452 \fBld.so\fP(8)
453 .SH この文書について
454 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.54 の一部
455 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
456 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。