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[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man2 / poll.2
1 .\" Copyright (C) 1997 Andries Brouwer (aeb@cwi.nl)
2 .\" and Copyright (C) 2006, Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
3 .\"
4 .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM)
5 .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this
6 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
7 .\" preserved on all copies.
8 .\"
9 .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this
10 .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the
11 .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a
12 .\" permission notice identical to this one.
13 .\"
14 .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this
15 .\" manual page may be incorrect or out-of-date.  The author(s) assume no
16 .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from
17 .\" the use of the information contained herein.  The author(s) may not
18 .\" have taken the same level of care in the production of this manual,
19 .\" which is licensed free of charge, as they might when working
20 .\" professionally.
21 .\"
22 .\" Formatted or processed versions of this manual, if unaccompanied by
23 .\" the source, must acknowledge the copyright and authors of this work.
24 .\" %%%LICENSE_END
25 .\"
26 .\" Additions from Richard Gooch <rgooch@atnf.CSIRO.AU> and aeb, 971207
27 .\" 2006-03-13, mtk, Added ppoll() + various other rewordings
28 .\" 2006-07-01, mtk, Added POLLRDHUP + various other wording and
29 .\"     formatting changes.
30 .\"
31 .\"*******************************************************************
32 .\"
33 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
34 .\"
35 .\"*******************************************************************
36 .\"
37 .\" Japanese Version Copyright (c) 1997 HANATAKA Shinya
38 .\"         all rights reserved.
39 .\" Translated 1997-12-11, HANATAKA Shinya <hanataka@abyss.rim.or.jp>
40 .\" Updated & Modified 2004-05-22, Yuichi SATO <ysato444@yahoo.co.jp>
41 .\" Updated & Modified 2005-01-03, Yuichi SATO
42 .\" Updated & Modified 2005-10-10, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
43 .\" Updated 2005-12-05, Akihiro MOTOKI, Catch up to LDP man-pages 2.16
44 .\" Updated 2006-04-16, Akihiro MOTOKI, Catch up to LDP man-pages 2.28
45 .\" Updated 2006-07-23, Akihiro MOTOKI, Catch up to LDP man-pages 2.36
46 .\" Updated 2012-04-30, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
47 .\" Updated 2012-05-29, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
48 .\" Updated 2013-03-26, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
49 .\"
50 .TH POLL 2 2013\-07\-30 Linux "Linux Programmer's Manual"
51 .SH 名前
52 poll, ppoll \- ファイルディスクリプタにおけるイベントを待つ
53 .SH 書式
54 .nf
55 \fB#include <poll.h>\fP
56 .sp
57 \fBint poll(struct pollfd *\fP\fIfds\fP\fB, nfds_t \fP\fInfds\fP\fB, int \fP\fItimeout\fP\fB);\fP
58 .sp
59 \fB#define _GNU_SOURCE\fP         /* feature_test_macros(7) 参照 */
60 \fB#include <poll.h>\fP
61 .sp
62 \fBint ppoll(struct pollfd *\fP\fIfds\fP\fB, nfds_t \fP\fInfds\fP\fB, \fP
63 \fB        const struct timespec *\fP\fItimeout_ts\fP\fB, const sigset_t *\fP\fIsigmask\fP\fB);\fP
64 .fi
65 .SH 説明
66 \fBpoll\fP()  は \fBselect\fP(2)  と同様の仕事を行う、つまり、ファイルディスクリプタ集合のいずれか一つが I/O
67 を実行可能な状態になるのを待つ。
68
69 監視するファイルディスクリプタ集合は、 \fIfds\fP 引き数で指定する。 \fIfds\fP は、以下の型の構造体の配列である。
70 .in +4n
71 .nf
72
73 struct pollfd {
74     int   fd;         /* file descriptor */
75     short events;     /* requested events */
76     short revents;    /* returned events */
77 };
78 .in
79 .fi
80 .PP
81 \fInfds\fP には、 \fIfds\fP 配列の要素数を指定する。
82
83 \fIfd\fP フィールドには、オープンされたファイルのファイルディスクリプタが入る。
84 このフィールドが負の場合、対応する \fIevents\fP フィールドは無視され、
85 \fIrevents\fP には 0 が返される。(この機能により、一つの \fBpoll\fP() の呼び出しで
86 簡単にあるファイルディスクリプタを無視することができる。
87 単に \fIfd\fP フィールドの符号を反転するだけでよい。)
88
89 構造体の \fIevents\fP 要素は入力パラメータで、
90 ファイルディスクリプタ \fIfd\fP に関して、
91 アプリケーションが興味を持っているイベントのビットマスクを指定する。
92 このフィールドに 0 が指定された場合は、\fIfd\fP の全てのイベントが無視され、
93 \fIrevents\fP には 0 が返される。
94
95 \fIrevents\fP 要素は出力パラメータで、実際に起こったイベントがカーネルにより設定される。 \fIrevents\fP で返されるビット列には、
96 \fIevents\fP で指定したもののどれか、もしくは \fBPOLLERR\fP, \fBPOLLHUP\fP, \fBPOLLNVAL\fP のうちの一つが含まれる
97 (\fBPOLLERR\fP, \fBPOLLHUP\fP, \fBPOLLNVAL\fP の 3つのビットは \fIevents\fP
98 に指定しても意味がなく、対応した状態が真の場合に \fIrevents\fP に設定される)。
99
100 どのファイルディスクリプタにも要求したイベントが発生しておらず、 エラーも起こらない場合、 \fBpoll\fP()
101 はイベントのうちいずれか一つが発生するまで停止 (block) する。
102
103 \fItimeout\fP 引き数は、 \fBpoll\fP() が停止する最小時間をミリ秒で指定する
104 (この停止時間はシステムクロックの粒度に切り上げられ、カーネルの
105 スケジューリング遅延により少しだけ長くなる可能性がある)。
106 \fItimeout\fP に負の値を指定した場合、タイムアウト時間が無限大を意味する。
107 \fItimeout\fP を 0 に指定した場合、I/O 可能なファイルディスクリプタが
108 ない場合であっても、 \fBpoll\fP() はすぐに返る。
109
110 \fIevents\fP に指定したり、 \fIrevents\fP で返されるビットは \fI<poll.h>\fP で定義されている:
111 .RS
112 .TP 
113 \fBPOLLIN\fP
114 読み出し可能なデータがある。
115 .TP 
116 \fBPOLLPRI\fP
117 読み出し可能な緊急データ (urgent data) がある (例えば、TCP ソケットの帯域外 (out\-of\-band data)
118 データを受信した場合や、 パケットモードの擬似端末のマスタがスレーブ側の変化を見つけたとき)。
119 .TP 
120 \fBPOLLOUT\fP
121 書き込みが停止 (block) しない状態である。
122 .TP 
123 \fBPOLLRDHUP\fP (Linux 2.6.17 以降)
124 ストリームソケットの他端が、コネクションを close したか、 コネクションの書き込み側を shutdown した。 この定義を有効にするには、
125 (「どの」ヘッダファイルをインクルードするよりも前に)  \fB_GNU_SOURCE\fP 機能検査マクロを定義しなければならない。
126 .TP 
127 \fBPOLLERR\fP
128 エラー状態 (出力の場合のみ)。
129 .TP 
130 \fBPOLLHUP\fP
131 ハングアップした (出力の場合のみ)。
132 .TP 
133 \fBPOLLNVAL\fP
134 不正な要求: \fIfd\fP がオープンされていない (出力の場合のみ)。
135 .RE
136 .PP
137 \fB_XOPEN_SOURCE\fP を定義してコンパイルした場合には、以下の定義も行われる。
138 ただし、上記のリストにあるビット以上の情報が得られる訳ではない。
139 .RS
140 .TP 
141 \fBPOLLRDNORM\fP
142 \fBPOLLIN\fP と同じ。
143 .TP 
144 \fBPOLLRDBAND\fP
145 .\" POLLRDBAND is used in the DECnet protocol.
146 優先帯域データ (priority band data) が読み出し可能である (普通は Linux では使用されない)。
147 .TP 
148 \fBPOLLWRNORM\fP
149 \fBPOLLOUT\fP と同じ。
150 .TP 
151 \fBPOLLWRBAND\fP
152 優先帯域データ (priority data) が書き込み可能である。
153 .RE
154 .PP
155 Linux では \fBPOLLMSG\fP も定義されているが、使用されていない。
156 .SS ppoll()
157 \fBpoll\fP()  と \fBppoll\fP()  の関係は \fBselect\fP(2)  と \fBpselect\fP(2)  の関係と同じようなものである:
158 \fBpselect\fP(2)  と同様に、 \fBppoll\fP()  を使うと、アプリケーションはファイルディスクリプタの状態変化
159 もしくはシグナルの捕捉を安全に待つことができる。
160 .PP
161 \fItimeout\fP 引き数の精度の違いを除くと、以下の \fBppoll\fP()  の呼び出しは、
162 .nf
163
164     ready = ppoll(&fds, nfds, timeout_ts, &sigmask);
165
166 .fi
167 次の呼び出しを \fIatomic\fP に実行するのと等価である。
168 .nf
169
170     sigset_t origmask;
171     int timeout;
172
173     timeout = (timeout_ts == NULL) ? \-1 :
174               (timeout_ts.tv_sec * 1000 + timeout_ts.tv_nsec / 1000000);
175     sigprocmask(SIG_SETMASK, &sigmask, &origmask);
176     ready = poll(&fds, nfds, timeout);
177     sigprocmask(SIG_SETMASK, &origmask, NULL);
178 .fi
179 .PP
180 なぜ \fBppoll\fP()  が必要なのかについての説明は \fBpselect\fP(2)  の説明を参照のこと。
181
182 \fIsigmask\fP 引き数に NULL が指定された場合、シグナルマスクの操作は行われない (したがって、 \fBppoll\fP()  の
183 \fBpoll\fP()  との違いは \fItimeout\fP 引き数の精度だけとなる)。
184
185 \fItimeout\fP 引き数は \fBppoll\fP()  が停止する時間の上限を指定するものである。
186 この引き数には以下の型の構造体へのポインタを指定する。
187 .in +4n
188 .nf
189
190 struct timespec {
191     long    tv_sec;         /* seconds */
192     long    tv_nsec;        /* nanoseconds */
193 };
194 .fi
195 .in
196
197 \fItimeout_ts\fP に NULL が指定された場合、 \fBppoll\fP は無限に停止することがあり得る。
198 .SH 返り値
199 成功した場合は正の数を返す。この数は 0 以外の \fIrevents\fP 要素を持つ構造体の数である (別の言い方をすると、これらのディスクリプタ
200 にはイベントかエラー報告がある)。 値 0 は、タイムアウトとなり、どのファイルディスクリプタでもイベントが 発生しなかったことを示す。エラーの場合は
201 \-1 が返され、 \fIerrno\fP が適切に設定される。
202 .SH エラー
203 .TP 
204 \fBEFAULT\fP
205 引き数として指定した配列が、呼び出したプロセスのアドレス空間に 含まれていない。
206 .TP 
207 \fBEINTR\fP
208 要求されたイベントのどれかが起こる前にシグナルが発生した。 \fBsignal\fP(7)  参照。
209 .TP 
210 \fBEINVAL\fP
211 \fInfds\fP の値が \fBRLIMIT_NOFILE\fP を超えた。
212 .TP 
213 \fBENOMEM\fP
214 ファイルディスクリプタ・テーブルを確保するためのメモリがない。
215 .SH バージョン
216 .\" library call was introduced in libc 5.4.28
217 \fBpoll\fP() システムコールは Linux 2.1.23 で導入された。
218 このシステムコールが存在しない古いカーネルでは、
219 glibc (や古い Linux libc) は \fBselect\fP(2) を使用して \fBpoll\fP()
220 ラッパー関数のエミュレーションを行う。
221
222 \fBppoll\fP()  システムコールは カーネル 2.6.16 で Linux に追加された。 \fBppoll\fP()  ライブラリコールは glibc
223 2.4 に追加された。
224 .SH 準拠
225 .\" NetBSD 3.0 has a pollts() which is like Linux ppoll().
226 \fBpoll\fP()  は POSIX.1\-2001 に準拠している。 \fBppoll\fP()  は Linux 固有である。
227 .SH 注意
228 いくつかの実装では、値 \-1 を持った非標準の定数 \fBINFTIM\fP が定義されており、 \fBpoll\fP()  の \fItimeout\fP
229 の指定に使用できる。 この定数は glibc では定義されていない。
230
231 \fBpoll\fP() で監視中のファイルディスクリプタが別のスレッドによってクローズされた場合に何が起こるかの議論については、 \fBselect\fP(2)
232 を参照してほしい。
233 .SS "Linux での注意"
234 Linux の \fBppoll\fP()  システムコールは \fItimeout_ts\fP 引き数を変更する。 しかし、glibc
235 のラッパー関数は、システムコールに渡す timeout 引き数 としてローカル変数を使うことでこの動作を隠蔽している。 このため、glibc の
236 \fBppoll\fP()  関数では \fItimeout_ts\fP 引き数は変更されない。
237 .SH バグ
238 \fBselect\fP(2)  の「バグ」の節に書かれている、誤った準備完了通知 (spurious readiness notifications)
239 についての議論を参照のこと。
240 .SH 関連項目
241 \fBrestart_syscall\fP(2), \fBselect\fP(2), \fBselect_tut\fP(2), \fBtime\fP(7)
242 .SH この文書について
243 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.53 の一部
244 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
245 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。