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[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man2 / sched_setscheduler.2
1 .\" Copyright (C) Tom Bjorkholm, Markus Kuhn & David A. Wheeler 1996-1999
2 .\" and Copyright (C) 2007 Carsten Emde <Carsten.Emde@osadl.org>
3 .\" and Copyright (C) 2008 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
4 .\"
5 .\" %%%LICENSE_START(GPLv2+_DOC_FULL)
6 .\" This is free documentation; you can redistribute it and/or
7 .\" modify it under the terms of the GNU General Public License as
8 .\" published by the Free Software Foundation; either version 2 of
9 .\" the License, or (at your option) any later version.
10 .\"
11 .\" The GNU General Public License's references to "object code"
12 .\" and "executables" are to be interpreted as the output of any
13 .\" document formatting or typesetting system, including
14 .\" intermediate and printed output.
15 .\"
16 .\" This manual is distributed in the hope that it will be useful,
17 .\" but WITHOUT ANY WARRANTY; without even the implied warranty of
18 .\" MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.  See the
19 .\" GNU General Public License for more details.
20 .\"
21 .\" You should have received a copy of the GNU General Public
22 .\" License along with this manual; if not, see
23 .\" <http://www.gnu.org/licenses/>.
24 .\" %%%LICENSE_END
25 .\"
26 .\" 1996-04-01 Tom Bjorkholm <tomb@mydata.se>
27 .\"            First version written
28 .\" 1996-04-10 Markus Kuhn <mskuhn@cip.informatik.uni-erlangen.de>
29 .\"            revision
30 .\" 1999-08-18 David A. Wheeler <dwheeler@ida.org> added Note.
31 .\" Modified, 25 Jun 2002, Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
32 .\"     Corrected description of queue placement by sched_setparam() and
33 .\"             sched_setscheduler()
34 .\"     A couple of grammar clean-ups
35 .\" Modified 2004-05-27 by Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
36 .\" 2005-03-23, mtk, Added description of SCHED_BATCH.
37 .\" 2007-07-10, Carsten Emde <Carsten.Emde@osadl.org>
38 .\"     Add text on real-time features that are currently being
39 .\"     added to the mainline kernel.
40 .\" 2008-05-07, mtk; Rewrote and restructured various parts of the page to
41 .\"     improve readability.
42 .\" 2010-06-19, mtk, documented SCHED_RESET_ON_FORK
43 .\"
44 .\" Worth looking at: http://rt.wiki.kernel.org/index.php
45 .\"
46 .\"*******************************************************************
47 .\"
48 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
49 .\"
50 .\"*******************************************************************
51 .TH SCHED_SETSCHEDULER 2 2013\-02\-12 Linux "Linux Programmer's Manual"
52 .SH 名前
53 sched_setscheduler, sched_getscheduler \- スケジューリング・ポリシーとパラメータを設定/取得する
54 .SH 書式
55 .nf
56 \fB#include <sched.h>\fP
57 .sp
58 \fBint sched_setscheduler(pid_t \fP\fIpid\fP\fB, int \fP\fIpolicy\fP\fB,\fP
59 .br
60 \fB                       const struct sched_param *\fP\fIparam\fP\fB);\fP
61 .sp
62 \fBint sched_getscheduler(pid_t \fP\fIpid\fP\fB);\fP
63 .sp
64 \fBstruct sched_param {
65     ...
66     int \fP\fIsched_priority\fP\fB;
67     ...
68 };\fP
69 .fi
70 .SH 説明
71 \fBsched_setscheduler\fP()  は \fIpid\fP で指定された ID を持つプロセスのスケジューリング・ポリシーや
72 それに関連するパラメータを設定する。\fIpid\fP が 0 の場合は 呼び出したプロセスのスケジューリング・ポリシーとパラメータが設定される。 引き数
73 \fIparam\fP の解釈は選択されたポリシーによる。 現在のところ、Linux では 以下に示す「通常」(リアルタイムでない)
74 スケジューリング・ポリシーが サポートされている。
75 .TP  14
76 \fBSCHED_OTHER\fP
77 .\" In the 2.6 kernel sources, SCHED_OTHER is actually called
78 .\" SCHED_NORMAL.
79 標準の、ラウンドロビンによる時分割型のスケジューリング・ポリシー。
80 .TP 
81 \fBSCHED_BATCH\fP
82 「バッチ」形式でのプロセスの実行用。
83 .TP 
84 \fBSCHED_IDLE\fP
85 「非常に」低い優先度で動作するバックグラウンド・ジョブ用。
86 .PP
87 どの実行可能プロセスを選択するかについて、より正確な制御を必要とする 時間の制約が厳しい特別なアプリケーション用として、
88 以下の「リアルタイム」ポリシーもサポートされている。
89 .TP  14
90 \fBSCHED_FIFO\fP
91 ファーストイン、ファーストアウト型のポリシー。
92 .TP 
93 \fBSCHED_RR\fP
94 ラウンドロビン型のポリシー。
95 .PP
96 これらのポリシーのそれぞれの動作については以下で説明する。
97
98 .\"
99 \fBsched_getscheduler\fP()  は \fIpid\fP で識別されるプロセスに現在適用されている
100 スケジューリング・ポリシーを尋ねる。\fIpid\fP が 0 ならば、呼び出した プロセス自身のスケジューリング・ポリシーが返される。
101 .SS "スケジューリング・ポリシー (scheduling policy)"
102 スケジューラ (scheduler) とはカーネルの構成要素で、 次に CPU で実行される実行可能なプロセスを決定するものである。
103 各々のプロセスには、スケジューリング・ポリシーと 「静的」なスケジューリング優先度 \fIsched_priority\fP が対応付けられ、 これらの設定は
104 \fBsched_setscheduler\fP()  で変更できる。 スケジューラは、システム上の全プロセスのスケジューリング・ポリシーと
105 静的優先度に関する知識に基づいて決定を行う。
106
107 通常のスケジューリング・ポリシー (\fBSCHED_OTHER\fP, \fBSCHED_IDLE\fP, \fBSCHED_BATCH\fP)
108 の下でスケジューリングされるプロセスでは、 \fIsched_priority\fP はスケジューリングの決定に使用されない
109 (\fIsched_priority\fP には 0 を指定しなければならない)。
110
111 リアルタイム・スケジューリング・ポリシー (\fBSCHED_FIFO\fP, \fBSCHED_RR\fP)  の下でスケジューリングされるプロセスは、
112 \fIsched_priority\fP の値は 1 (最低) から 99 (最高) の範囲となる
113 (数字から分かるように、リアルタイム・プロセスは常に通常のプロセスよりも 高い優先度を持つ)。 ここで注意すべきなのは、POSIX.1\-2001
114 が要求しているのは、 リアルタイム・ポリシーの実装において最低 32 種類の異なる優先度レベルが
115 サポートされることだけであり、いくつかのシステムではこの最低限の数の 優先度しか提供されていない、ということである。 移植性が必要なプログラムでは、
116 \fBsched_get_priority_min\fP(2)  と \fBsched_get_priority_max\fP(2)
117 を使って、あるポリシーがサポートする優先度の範囲を調べるべきである。
118
119 概念としては、 スケジューラはその \fIsched_priority\fP の値それぞれに対して 実行可能なプロセスのリストを管理している。
120 どのプロセスを次に実行するかを決定するために、 スケジューラは静的優先度の最も高い空でないリストを探して、 そのリストの先頭のプロセスを選択する。
121
122 各プロセスのスケジューリング・ポリシーは、 そのプロセスが同じ静的優先度を持つプロセスのリストの中のどこに挿入され、
123 このリストの中をどのように移動するかを決定する。
124
125 全てのスケジューリングはプリエンプティブ (preemptive) である: より高い優先度のプロセスが実行可能になると、現在実行中のプロセスは実行権を
126 取り上げられ (preempted)、そのプロセスの静的優先度レベルの待ちリストに 戻される。スケジューリング・ポリシーは同じ静的優先度を持つ実行可能な
127 プロセスのリストの中で順番のみを決定する。
128 .SS "SCHED_FIFO: ファーストイン・ファーストアウト・スケジューリング"
129 \fBSCHED_FIFO\fP は 0 より大きな静的優先度でのみ使用できる。このポリシーでは、 \fBSCHED_FIFO\fP
130 プロセスが実行可能になった場合、 そのポリシーが \fBSCHED_OTHER\fP、 \fBSCHED_BATCH\fP、 \fBSCHED_IDLE\fP の
131 現在実行中のプロセスは直ちに実行権を取り上げられる。 \fBSCHED_FIFO\fP は時分割のない単純なスケジューリング・アルゴリズムである。
132 \fBSCHED_FIFO\fP ポリシーでスケジューリングされているプロセスには以下の ルールが適用される:
133 .IP * 3
134 より高い優先度の他のプロセスによって取って代わられた \fBSCHED_FIFO\fP プロセスはその優先度のリストの先頭に留まり続け、
135 より高い優先度のプロセス全てが停止 (block) した場合に実行を再開する。
136 .IP *
137 \fBSCHED_FIFO\fP プロセスが実行可能になった時、その優先度のリストの最後 に挿入される。
138 .IP *
139 .\" In 2.2.x and 2.4.x, the process is placed at the front of the queue
140 .\" In 2.0.x, the Right Thing happened: the process went to the back -- MTK
141 \fBsched_setscheduler\fP()  や \fBsched_setparam\fP(2)  は \fIpid\fP で指定された
142 \fBSCHED_FIFO\fP (または \fBSCHED_RR\fP) プロセスが 実行可能な場合、リストの最初に置く。
143 結果として、もし優先度が同じだった場合、 現在実行中のプロセスに先んじるかもしれない。 (POSIX.1\-2001
144 ではプロセスはリストの最後に行くべきと規定されている。)
145 .IP *
146 \fBsched_yield\fP(2)  を呼び出したプロセスはリストの最後に置かれる。
147 .PP
148 その他のイベントによって \fBSCHED_FIFO\fP ポリシーで スケジューリングされるプロセスが同じ優先度の実行可能な
149 プロセスの待ちリストの中を移動することはない。
150
151 \fBSCHED_FIFO\fP プロセスは I/O 要求によって停止するか、 より高い優先度のプロセスによって置きかえられるか、
152 \fBsched_yield\fP(2)  を呼び出すまで実行を続ける。
153 .SS "SCHED_RR: ラウンドロビン (round\-robin)・スケジューリング"
154 .\" On Linux 2.4, the length of the RR interval is influenced
155 .\" by the process nice value -- MTK
156 .\"
157 \fBSCHED_RR\fP は \fBSCHED_FIFO\fP の単純な拡張である。 上述された
158 \fBSCHED_FIFO\fP に関する記述は全て \fBSCHED_RR\fP に 適用できる。異なるのは
159 それぞれのプロセスは最大時間単位までしか実行できない ということである。
160 \fBSCHED_RR\fP プロセスが時間単位と同じかそれより 長い時間実行されると、
161 その優先度のリストの最後に置かれる。 より高い優先度のプロセスによって
162 置きかえられ、その後実行を再開した \fBSCHED_RR\fP プロセスは、そのラウンド
163 ロビン時間単位を完全に使い切る まで実行される。その時間単位の長さは
164 \fBsched_rr_get_interval\fP(2) を使って取得できる。
165 .SS "SCHED_OTHER: Linux のデフォルトの時分割スケジューリング"
166 .\"
167 \fBSCHED_OTHER\fP は静的優先度 0 でのみ使用できる。 \fBSCHED_OTHER\fP は Linux 標準の時分割スケジューラで、
168 特別なリアルタイム機構を必要としていない全てのプロセスで使用される。 実行するプロセスは、静的優先度 0 のリストから、このリストの中だけで
169 決定される「動的な」優先度 (dynamic priority) に基いて決定される。 動的な優先度は (\fBnice\fP(2)  や
170 \fBsetpriority\fP(2)  により設定される) nice 値に基づいて決定されるもので、
171 単位時間毎に、プロセスが実行可能だが、スケジューラにより実行が拒否された 場合にインクリメントされる。 これにより、全ての \fBSCHED_OTHER\fP
172 プロセスでの公平性が保証される。
173 .SS "SCHED_BATCH: バッチプロセスのスケジューリング"
174 (Linux 2.6.16 以降)  \fBSCHED_BATCH\fP は静的優先度 0 でのみ使用できる。 このポリシーは (nice 値に基づく)
175 動的な優先度にしたがってプロセスの スケジューリングが行われるという点で、\fBSCHED_OTHER\fP に似ている。
176 異なるのは、このポリシーでは、プロセスが常に CPU に負荷のかかる (CPU\-intensive)  処理を行うと、スケジューラが仮定する点である。
177 スケジューラはプロセスを呼び起こす毎にそのプロセスにスケジューリング上の ペナルティを少し課し、その結果、このプロセスはスケジューリングの決定で
178 若干冷遇されるようになる。
179
180 .\" The following paragraph is drawn largely from the text that
181 .\" accompanied Ingo Molnar's patch for the implementation of
182 .\" SCHED_BATCH.
183 .\"
184 このポリシーは、非対話的な処理だがその nice 値を下げたくない処理や、 (処理のタスク間で) 余計なタスクの置き換えの原因とある対話的な処理なしで
185 確定的な (deterministic) スケジューリング・ポリシーを適用したい処理に 対して有効である。
186 .SS "SCHED_IDLE: 非常に優先度の低いジョブのスケジューリング"
187 (Linux 2.6.23 以降)  \fBSCHED_IDLE\fP は静的優先度 0 でのみ使用できる。 このポリシーではプロセスの nice
188 値はスケジューリングに影響を与えない。
189
190 .\"
191 非常に低い優先度でのジョブの実行を目的としたものである (非常に低い優先度とは、ポリシー \fBSCHED_OTHER\fP か \fBSCHED_BATCH\fP
192 での nice 値 +19 よりさらに低い優先度である)。
193 .SS 子プロセスでのスケジューリング・ポリシーのリセット
194 Linux 2.6.32 以降では、 \fBsched_setscheduler\fP() を呼び出す際に \fIpolicy\fP に
195 \fBSCHED_RESET_ON_FORK\fP フラグを OR で指定できる。このフラグが指定されると、 \fBfork\fP(2)
196 で作成された子プロセスは特権が必要なスケジューリング・ポリシーを継承しない。この機能はメディア再生を行うアプリケーションを想定して作られ、この機能を使うことで、アプリケーションが複数の子プロセスを作成することで
197 \fBRLIMIT_RTTIME\fP リソース上限 (\fBgetrlimit\fP(2) 参照) を回避するのを防ぐことができる。
198
199 より正確には、 \fBSCHED_RESET_ON_FORK\fP フラグが指定された場合、それ以降に作成される子プロセスに以下のルールが適用される。
200 .IP * 3
201 呼び出したプロセスのスケジューリング・ポリシーが \fBSCHED_FIFO\fP か \fBSCHED_RR\fP の場合、子プロセスのポリシーは
202 \fBSCHED_OTHER\fP にリセットされる。
203 .IP *
204 子プロセスが負の nice 値を持っている場合、子プロセスの nice 値は 0 にリセットされる。
205 .PP
206 一度 \fBSCHED_RESET_ON_FORK\fP フラグが有効にされた後は、このフラグをリセットできるのは、プロセスが \fBCAP_SYS_NICE\fP
207 ケーパビリティを持つ場合だけである。このフラグは \fBfork\fP(2) で作成された子プロセスでは無効になる。
208
209 .\"
210 \fBSCHED_RESET_ON_FORK\fP フラグは、 \fBsched_getscheduler\fP() が返すポリシー値で参照できる。
211 .SS 特権とリソース制限
212 2.6.12 より前のバージョンの Linux カーネルでは、 特権プロセス (\fBCAP_SYS_NICE\fP ケーパビリティを持つプロセス) だけが
213 0 以外の静的優先度を設定する (すなわち、リアルタイム・スケジューリング・ポリシーを設定する) ことができる。 非特権プロセスができる変更は
214 \fBSCHED_OTHER\fP ポリシーを設定することだけであり、さらにこの変更を行えるのは \fBsched_setscheduler\fP()
215 の呼び出し元の実効ユーザ ID がポリシーの変更対象プロセス (\fIpid\fP で指定されたプロセス) の実ユーザ ID か実効ユーザ ID と
216 一致する場合だけである。
217
218 Linux 2.6.12 以降では、リソース制限 \fBRLIMIT_RTPRIO\fP が定義されており、 スケジューリング・ポリシーが
219 \fBSCHED_RR\fP と \fBSCHED_FIFO\fP の場合の、非特権プロセスの静的優先度の上限を定めている。
220 スケジューリング・ポリシーと優先度を変更する際のルールは以下の通りである。
221 .IP * 3
222 非特権プロセスに 0 以外の \fBRLIMIT_RTPRIO\fP ソフト・リミットが設定されている場合、
223 非特権プロセスはそのプロセスのスケジューリング・ポリシーと優先度を 変更できるが、優先度を現在の自身の優先度と \fBRLIMIT_RTPRIO\fP
224 ソフト・リミットの大きい方よりも高い値に設定できないという制限が課される。
225 .IP *
226 \fBRLIMIT_RTPRIO\fP ソフト・リミットが 0 の場合、優先度を下げるか、 リアルタイムでないポリシーへ切り替えるかの変更だけが許可される。
227 .IP *
228 ある非特権プロセスが別のプロセスに対してこれらの変更を行う際にも、 同じルールが適用される。変更を行えるのは、変更を行おうとするプロセス の実効ユーザ
229 ID が変更対象のプロセスの実ユーザ ID か実効ユーザ ID と 一致している場合に限られる。
230 .IP *
231 .\" commit c02aa73b1d18e43cfd79c2f193b225e84ca497c8
232 \fBSCHED_IDLE\fP の場合には特別なルールが適用される。 2.6.39 より前の Linux
233 カーネルでは、このポリシーで動作する非特権プロセスは、 \fBRLIMIT_RTPRIO\fP
234 リソース上限の値に関わらず、自分のポリシーを変更することができない。 2.6.39 以降の Linux カーネルでは、非特権プロセスは、自分の nice
235 値が \fBRLIMIT_NICE\fP リソース上限 (\fBgetrlimit\fP(2) 参照)
236 で許可された範囲である限りは、自分のスケジューリング・ポリシーを \fBSCHED_BATCH\fP か \fBSCHED_NORMAL\fP
237 ポリシーに切り替えることができる。
238 .PP
239 特権プロセス (\fBCAP_SYS_NICE\fP ケーパビリティを持つプロセス) の場合、 \fBRLIMIT_RTPRIO\fP の制限は無視される;
240 古いカーネルと同じように、スケジューリング・ポリシーと優先度に対し 任意の変更を行うことができる。 \fBRLIMIT_RTPRIO\fP
241 に関するもっと詳しい情報は \fBgetrlimit\fP(2)  を参照のこと。
242 .SS "応答時間 (response time)"
243 .\" as described in
244 .\" .BR request_irq (9).
245 I/O 待ちで停止したより高い優先度のプロセスは再びスケジューリングされる 前にいくらかの応答時間がかかる。デバイス・ドライバーを書く場合には
246 "slow interrupt" 割り込みハンドラーを使用することで この応答時間を劇的に減少させることができる。
247 .SS その他
248 子プロセスは \fBfork\fP(2)  の際に親プロセスのスケジューリング・ポリシーとパラメータを継承する。 \fBexecve\fP(2)
249 の前後で、スケジューリング・ポリシーとパラメータは保持される。
250
251 リアルタイム・プロセスは大抵、ページングの待ち時間を避けるために \fBmlock\fP(2)  や \fBmlockall\fP(2)
252 を使ってメモリ・ロックをしなければならない。
253
254 \fBSCHED_FIFO\fP や \fBSCHED_RR\fP でスケジューリングされる プロセスが停止せずに無限ループに陥ると、
255 他の全てのより低い優先度のプロセスを永久に停止 (block) させてしまうので、 ソフトウェア開発者はコンソールのシェルの静的優先度をテストする
256 アプリケーションよりも常に高く保つべきである。 これによって期待通りに停止したり終了したりしないリアルタイム・
257 アプリケーションを緊急終了させることが可能になる。 \fBgetrlimit\fP(2)  のリソース制限 \fBRLIMIT_RTTIME\fP
258 の説明も参照のこと。
259
260 POSIX システムでは \fI<unistd.h>\fP に \fB_POSIX_PRIORITY_SCHEDULING\fP
261 が定義されている場合にのみ \fBsched_setscheduler\fP()  と \fBsched_getscheduler\fP()  が使用できる。
262 .SH 返り値
263 成功した場合、 \fBsched_setscheduler\fP()  は 0 を返す。 成功した場合、 \fBsched_getscheduler\fP()
264 は現在のそのプロセスのポリシー (非負の整数) を返す。 エラーの場合、\-1 が返され、 \fIerrno\fP が適切に設定される。
265 .SH エラー
266 .TP 
267 \fBEINVAL\fP
268 スケジューリング・ポリシー \fIpolicy\fP が間違っている。
269 または \fIparam\fP が NULL である。
270 または \fIparam\fP がそのポリシーでは意味をなさない。
271 .TP 
272 \fBEPERM\fP
273 呼び出したプロセスが適切な特権を持っていない。
274 .TP 
275 \fBESRCH\fP
276 プロセス ID \fIpid\fP のプロセスが見つからなかった。
277 .SH 準拠
278 POSIX.1\-2001 (但し、下記のバグの節も参照)。 \fBSCHED_BATCH\fP と \fBSCHED_IDLE\fP ポリシーは Linux
279 固有である。
280 .SH 注意
281 POSIX.1 は、非特権プロセスが \fBsched_setscheduler\fP()  を呼び出すために必要な権限の詳細を規定しておらず、
282 詳細はシステムにより異なる。 例えば、Solaris 7 のマニュアルページでは、 呼び出し元プロセスの実ユーザ ID または実効ユーザ ID が
283 設定対象のプロセスの実ユーザ ID か保存 (save) set\-user\-ID と 一致していなければならない、となっている。
284 .PP
285 Linux では、 スケジューリングポリシーとスケジューリングパラメータは、 実際にはスレッド単位の属性である。 \fBgettid\fP(2)
286 の呼び出しの返り値をこのシステムコールの \fIpid\fP 引き数として渡すことができる。 \fIpid\fP に 0 を指定すると、
287 呼び出し元のスレッドの属性が設定される。 \fBgetpid\fP(2) コールからの返り値を \fIpid\fP に指定すると、
288 スレッドグループのメインスレッドの属性が設定される (POSIX スレッド API を使用している場合は、 \fBsched_*\fP(2)
289 システムコールの代わりに \fBpthread_setschedparam\fP(3), \fBpthread_getschedparam\fP(3), and
290 \fBpthread_setschedprio\fP(3) を使用すること)。
291 .PP
292 もともとは、標準の Linux は一般目的のオペレーティングシステムとして 設計されており、バックグラウンド・プロセスや対話的アプリケーション、
293 リアルタイム性の要求が厳しくないリアルタイム・アプリケーション (普通はタイミングの応答期限 (deadline) を満たす必要があるアプリケーション)
294 を扱うことができた。 Linux カーネル 2.6 では、 カーネルのプリエンプション (タスクの置き換え) が可能であり、 新たに導入された O(1)
295 スケジューラにより、 アクティブなタスクの数に関わらずスケジューリングに必要な時間は 固定で確定的 (deterministic)
296 であることが保証されている。 それにも関わらず、カーネル 2.6.17 までは 真のリアルタイム・コンピューティングは実現できなかった。
297 .SS "本流の Linux カーネルでのリアルタイム機能"
298 .\" FIXME . Probably this text will need some minor tweaking
299 .\" by about the time of 2.6.30; ask Carsten Emde about this then.
300 カーネル 2.6.18 から現在まで、 Linux は徐々にリアルタイム機能を備えつつ
301 あるが、 これらの機能のほとんどは、 Ingo Molnar, Thomas Gleixner,
302 Steven Rostedt らによって開発された、 以前の \fIrealtime\-preempt\fP パッチ
303 からのものである。 これらのパッチが本流のカーネルに完全にマージされるま
304 では (マージの完了はカーネル 2.6.30 あたりの予定)、 最高のリアルタイム
305 性能を達成するには realtime\-preempt パッチを 組み込まなければならない。
306 これらのパッチは
307 .in +4n
308 .nf
309
310 patch\-\fIkernelversion\fP\-rt\fIpatchversion\fP
311 .fi
312 .in
313 .PP
314 という名前で、
315 .UR http://www.kernel.org\:/pub\:/linux\:/kernel\:/projects\:/rt/
316 .UE
317 からダウンロードできる。
318
319 このパッチが適用されず、かつパッチの内容の本流のカーネルへのマージが 完了するまでは、カーネルの設定では \fBCONFIG_PREEMPT_NONE\fP,
320 \fBCONFIG_PREEMPT_VOLUNTARY\fP, \fBCONFIG_PREEMPT_DESKTOP\fP の 3つのプリエンプション・クラス
321 (preemption class) だけが提供される。 これらのクラスでは、最悪の場合のスケジューリング遅延がそれぞれ
322 全く減らない、いくらか減る、かなり減る。
323
324 パッチが適用された場合、またはパッチの内容の本流のカーネルへのマージが 完了した後では、上記に加えて設定項目として
325 \fBCONFIG_PREEMPT_RT\fP が利用可能になる。この項目を選択すると、 Linux
326 は通常のリアルタイム・オペレーティングシステムに変身する。 この場合には、 \fBsched_setscheduler\fP()  で選択できる FIFO と
327 RR のスケジューリング・ポリシーは、 真のリアルタイム優先度を持つプロセスを最悪の場合のスケジューリング遅延が
328 最小となる環境で動作させるために使われることになる。
329 .SH バグ
330 POSIX では、成功時に \fBsched_setscheduler\fP()  は直前のスケジューリング・ポリシーを返すべきとされている。 Linux の
331 \fBsched_setscheduler\fP()  はこの要求仕様に準拠しておらず、 成功時には常に 0 を返す。
332 .SH 関連項目
333 .ad l
334 .nh
335 \fBchrt\fP(1), \fBgetpriority\fP(2), \fBmlock\fP(2), \fBmlockall\fP(2), \fBmunlock\fP(2),
336 \fBmunlockall\fP(2), \fBnice\fP(2), \fBsched_get_priority_max\fP(2),
337 \fBsched_get_priority_min\fP(2), \fBsched_getaffinity\fP(2), \fBsched_getparam\fP(2),
338 \fBsched_rr_get_interval\fP(2), \fBsched_setaffinity\fP(2), \fBsched_setparam\fP(2),
339 \fBsched_yield\fP(2), \fBsetpriority\fP(2), \fBcapabilities\fP(7), \fBcpuset\fP(7)
340 .ad
341 .PP
342 \fIProgramming for the real world \- POSIX.4\fP by Bill O. Gallmeister, O'Reilly
343 & Associates, Inc., ISBN 1\-56592\-074\-0.
344 .PP
345 Linux カーネルソースファイル \fIDocumentation/scheduler/sched\-rt\-group.txt\fP
346 .SH この文書について
347 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.52 の一部
348 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
349 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。