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[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man3 / fmemopen.3
1 .\" Copyright 2005 walter harms (walter.harms@informatik.uni-oldenburg.de),
2 .\" and Copyright 2005, 2012 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
3 .\"
4 .\" %%%LICENSE_START(GPL_NOVERSION_ONELINE)
5 .\" Distributed under the GPL.
6 .\" %%%LICENSE_END
7 .\"
8 .\" 2008-12-04, Petr Baudis <pasky@suse.cz>: Document open_wmemstream()
9 .\"
10 .\"*******************************************************************
11 .\"
12 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
13 .\"
14 .\"*******************************************************************
15 .\"
16 .\" Japanese Version Copyright (c) 2005, 2006 Akihiro MOTOKI
17 .\"                     all rights reserved.
18 .\" Translated 2005-12-26, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
19 .\" Updated 2006-01-20, Akihiro MOTOKI
20 .\" Updated 2006-07-20, Akihiro MOTOKI
21 .\" Updated 2008-11-08, Akihiro MOTOKI, LDP v3.13
22 .\" Updated 2010-04-18, Akihiro MOTOKI, LDP v3.24
23 .\" Updated 2012-05-30, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
24 .\"
25 .TH FMEMOPEN 3 2015\-01\-22 GNU "Linux Programmer's Manual"
26 .SH 名前
27 fmemopen, open_memstream, open_wmemstream \- メモリをストリームとしてオープンする
28 .SH 書式
29 .nf
30 \fB#include <stdio.h>\fP
31
32 \fBFILE *fmemopen(void *\fP\fIbuf\fP\fB, size_t \fP\fIsize\fP\fB, const char *\fP\fImode\fP\fB);\fP
33
34 \fBFILE *open_memstream(char **\fP\fIptr\fP\fB, size_t *\fP\fIsizeloc\fP\fB);\fP
35
36 \fB#include <wchar.h>\fP
37
38 \fBFILE *open_wmemstream(wchar_t **\fP\fIptr\fP\fB, size_t *\fP\fIsizeloc\fP\fB);\fP
39 .fi
40 .sp
41 .in -4n
42 glibc 向けの機能検査マクロの要件 (\fBfeature_test_macros\fP(7)  参照):
43 .in
44 .sp
45 \fBfmemopen\fP(), \fBopen_memstream\fP(), \fBopen_wmemstream\fP():
46 .PD 0
47 .ad l
48 .RS 4
49 .TP  4
50 glibc 2.10 以降:
51 _XOPEN_SOURCE\ >=\ 700 || _POSIX_C_SOURCE\ >=\ 200809L
52 .TP 
53 glibc 2.10 より前:
54 _GNU_SOURCE
55 .RE
56 .ad
57 .PD
58 .SH 説明
59 \fBfmemopen\fP()  関数は、ストリームをオープンし、そのストリームに \fImode\fP で指定されたアクセス許可を設定する。
60 そのストリームを通じて、 \fIbuf\fP で指定された文字列やメモリバッファへの読み書きができる。 このバッファは少なくとも \fIsize\fP
61 バイトの長さでなければならない。
62 .PP
63 引き数 \fImode\fP は \fBfopen\fP(3) の場合と同じである。 \fImode\fP で追記モード
64 (append mode) が指定された場合、ファイル位置の初期値は バッファ中の
65 最初のヌルバイト (\(aq\e0\(aq) の位置に設定される。
66 それ以外の場合は、ファイル位置の初期値はバッファの先頭になる。
67 glibc 2.9 以降では、文字 \(aqb\(aq を \fImode\fP の二番目の文字として指定
68 することができる。 この文字は「バイナリ」モードを指定するものである。
69 このモードでは、書き込み時に文字列終端のヌルバイトが黙って追加 される
70 ことはない。また、 \fBfseek\fP(3) \fBSEEK_END\fP は、文字列の長さからの相対値
71 ではなく、バッファの末尾 (\fIsize\fP で指定した値) からの相対値となる。
72 .PP
73 書き込み用にオープンされたストリームをフラッシュ (\fBfflush\fP(3))  やクローズ (\fBfclose\fP(3))  した時に、
74 (バッファに空きがあれば) ヌルバイトがバッファの末尾に書き込まれる。 このようにするためには、呼び出し元は バッファに 1バイト余裕を作る
75 (\fIsize\fP にこの 1バイトを含めた値を指定する) 必要がある。
76
77 バッファに \fIsize\fP バイトよりたくさん書き込もうとした場合には、エラーとなる。 (デフォルトでは、このようなエラーが見えるのは \fIstdio\fP
78 バッファがフラッシュされた時だけである。 以下の呼び出しを使ってバッファリングを無効にする方法は、 出力操作を行った時点でエラーを検出するのに役立つ。
79
80     setbuf(stdream, NULL);
81
82 別の方法としては、 以下のように、 呼び出し側が明示的に stdio ストリームバッファとして \fIbuf\fP
83 を指定し、バッファの指定時にバッファのサイズを stdio に教える方法がある。
84
85     setbuffer(stream, buf, size);
86
87 .\" See http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=1995
88 .\" and
89 .\" http://sources.redhat.com/ml/libc-alpha/2006-04/msg00064.html
90 .PP
91 読み出し用にオープンされたストリームでは、 バッファ内にヌルバイト (\(aq\e0\(aq) があっても 読み出し操作がファイル末尾
92 (end\-of\-file) を返すことはない。 バッファからの読み出しでファイル末尾が返るのは、 ファイルポインタがバッファの先頭から \fIsize\fP
93 バイトを越えて先に進もうとした場合だけである。
94 .PP
95 \fIbuf\fP に NULL が指定された場合、 \fBfmemopen\fP()  は動的に \fIsize\fP バイトの長さのバッファを確保する。
96 この方法は、一時バッファにデータの書き込みを行ってから、 その内容を再度読み出すようなアプリケーションで有用である。
97 このバッファはストリームがクローズされるときに自動的に解放される。 呼び出し元からはこの関数が割り当てた一時バッファへのポインタ値を
98 知る方法は存在しない点に注意 (下記の \fBopen_memstream\fP()  も参照)。
99
100 \fBopen_memstream\fP()  関数は、バッファへの書き込み用にストリームをオープンする。 バッファは (\fBmalloc\fP(3)
101 を使って) 動的に割り当てられ、必要に応じて自動的に伸長する。 ストリームをクローズした後で、呼び出し元はこのバッファを \fBfree\fP(3)
102 すべきである。
103
104 このストリームが クローズ (\fBfclose\fP(3))  されたりフラッシュ (\fBfflush\fP(3))  された時に、 \fIptr\fP と
105 \fIsizeloc\fP の値はそれぞれバッファへのポインタとそのサイズに更新される。 これらの値は、呼び出し元がそのストリームに新たな書き込みを
106 行わない場合に限り有効である。 ストリームに書き込みを行った際には、これらの変数を参照する前に ストリームを再度フラッシュしなければならない。
107
108 バッファ末尾のヌルバイトは保持される。 このヌルバイトは \fIsizeloc\fP に格納されるサイズには「含まれない」。
109
110 ストリームのファイル位置は \fBfseek\fP(3)  や \fBfseeko\fP(3)  で変更できる。
111 すでにデータが書き込まれた領域の末尾より先にファイル位置を動かすと、 その間の領域は 0 で埋められる。
112
113 \fBopen_wmemstream\fP()  は \fBopen_memstream\fP()
114 と同様だが、バイトではなくワイド文字に対して操作を行う点が異なる。
115 .SH 返り値
116 成功して終了した場合には、 \fBfmemopen\fP(), \fBopen_memstream\fP(), \fBopen_wmemstream\fP()  は
117 \fIFILE\fP ポインタを返す。 失敗した場合は、 NULL を返し、 \fIerrno\fP にエラーを示す値をセットする。
118 .SH バージョン
119 \fBfmemopen\fP()  と \fBopen_memstream\fP()  は glibc 1.0.x ですでに利用可能であった。
120 \fBopen_wmemstream\fP()  は glibc 2.4 以降で利用可能である。
121 .SH 準拠
122 POSIX.1\-2008.  これらの関数は POSIX.1\-2001 では規定れていないが、 Linux 以外のシステムで広く利用可能である。
123
124 .\" http://austingroupbugs.net/view.php?id=396
125 POSIX.1\-2008 では \fImode\fP の \(aqb\(aq は無視されるべきだと規定されて
126 いる。一方、Technical Corrigendum (正誤表) 1 では、\fImode\fP の
127 \(aqb\(aq が指定された場合の扱いは実装依存であることを許容するように
128 標準規格が修正されており、glibc の \(aqb\(aq の扱いは許されている。
129 .SH 注意
130 これらの関数が返すファイルストリームに対応するファイル ディスクリプタはない (つまり、返されたストリームに対して \fBfileno\fP(3)
131 を呼び出すとエラーが返ることになる)。
132 .SH バグ
133 .\" http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=1996
134 バージョン 2.7 より前の glibc では、 \fBopen_memstream\fP()
135 で作成されたストリームの末尾より先にファイル位置を動かしても、 バッファが伸長されず、 \fBfseek\fP(3)  が失敗し \-1 が返る。
136
137 .\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=11216
138 \fIsize\fP に 0 が指定された場合、 \fBfmemopen\fP() はエラー \fBEINVAL\fP で失敗
139 する。この場合にはストリームの作成に成功して、最初の読み出しを行った際に
140 EOF (end of file) が返される方が、ストリームの扱いの一貫性が増すだろう。
141 また、 POSIX.1\-2008 ではこの場合のエラーは規定されていない。
142
143 .\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=13152
144 \fBfmemopen\fP() に追記モード ("a" や "a+") を指定すると、
145 ファイル位置の初期値は最初のヌルバイトに設定されるが、(ファイル
146 オフセットをストリームの末尾以外の位置に再設定した場合)それ以降の
147 書き込みではストリームの末尾への追記が行われる訳ではない。
148
149 .\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=13151
150 \fBfmemopen\fP() の \fImode\fP 引き数に追記モード ("a" や "a+") を指定し、
151 \fIsize\fP 引き数で指定した範囲の \fIbuf\fP 内にヌルバイトがない場合、
152 POSIX.1\-2008 では、ファイル位置の初期値はバッファの末尾の直後の
153 バイトに設定すべきとされている。しかし、glibc の \fBfmemopen\fP() では
154 この場合ファイル位置は \-1 に設定される。
155
156 .\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=12836
157 \fBfmemopen\fP() でバイナリモードを指定するには、
158 \(aqb\(aq は \fImode\fP の \fI2 文字目\fP でなければならない。
159 例えば、 "wb+" は意図通りの効果になるが、 "w+b" はそうではない。
160 これは \fBfopen\fP(3) の \fImode\fP の扱いとは異なる。
161
162 .\" http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=6544
163 glibc 2.9 での \fBfmemopen\fP() の「バイナリ」モードの追加は、
164 ABI (Application Binary Interface) が黙って変更された。
165 それ以前の \fBfmemopen\fP() では \fImode\fP 内の \(aqb\(aq は無視されていた。
166 .SH 例
167 このプログラムは \fBfmemopen\fP()  を使って出力バッファをオープンし、 \fBopen_memstream\fP()
168 を使って動的にサイズが変化する出力バッファをオープンしている。 (プログラムの第一コマンドライン引き数から取った) 入力文字列を
169 スキャンして整数を読み込み、これらの整数の二乗を出力バッファに書き出す。 このプログラムの実行例は以下のようになる。
170 .in +4n
171 .nf
172
173 $\fB ./a.out \(aq1 23 43\(aq\fP
174 size=11; ptr=1 529 1849
175 .fi
176 .in
177 .SS プログラムのソース
178 \&
179 .nf
180 #define _GNU_SOURCE
181 #include <string.h>
182 #include <stdio.h>
183 #include <stdlib.h>
184
185 #define handle_error(msg) \e
186     do { perror(msg); exit(EXIT_FAILURE); } while (0)
187
188 int
189 main(int argc, char *argv[])
190 {
191     FILE *out, *in;
192     int v, s;
193     size_t size;
194     char *ptr;
195
196     if (argc != 2) {
197         fprintf(stderr, "Usage: %s <file>\en", argv[0]);
198         exit(EXIT_FAILURE);
199     }
200
201     in = fmemopen(argv[1], strlen(argv[1]), "r");
202     if (in == NULL)
203         handle_error("fmemopen");
204
205     out = open_memstream(&ptr, &size);
206     if (out == NULL)
207         handle_error("open_memstream");
208
209     for (;;) {
210         s = fscanf(in, "%d", &v);
211         if (s <= 0)
212             break;
213
214         s = fprintf(out, "%d ", v * v);
215         if (s == \-1)
216             handle_error("fprintf");
217     }
218     fclose(in);
219     fclose(out);
220     printf("size=%zu; ptr=%s\en", size, ptr);
221     free(ptr);
222     exit(EXIT_SUCCESS);
223 }
224 .fi
225 .SH 関連項目
226 \fBfopen\fP(3), \fBfopencookie\fP(3)
227 .SH この文書について
228 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.78 の一部
229 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
230 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。