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[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man3 / hsearch.3
1 .\" Copyright 1993 Ulrich Drepper (drepper@karlsruhe.gmd.de)
2 .\" and Copyright 2008, Linux Foundation, written by Michael Kerrisk
3 .\"     <mtk.manpages@gmail.com>
4 .\"
5 .\" %%%LICENSE_START(GPLv2+_DOC_FULL)
6 .\" This is free documentation; you can redistribute it and/or
7 .\" modify it under the terms of the GNU General Public License as
8 .\" published by the Free Software Foundation; either version 2 of
9 .\" the License, or (at your option) any later version.
10 .\"
11 .\" The GNU General Public License's references to "object code"
12 .\" and "executables" are to be interpreted as the output of any
13 .\" document formatting or typesetting system, including
14 .\" intermediate and printed output.
15 .\"
16 .\" This manual is distributed in the hope that it will be useful,
17 .\" but WITHOUT ANY WARRANTY; without even the implied warranty of
18 .\" MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.  See the
19 .\" GNU General Public License for more details.
20 .\"
21 .\" You should have received a copy of the GNU General Public
22 .\" License along with this manual; if not, see
23 .\" <http://www.gnu.org/licenses/>.
24 .\" %%%LICENSE_END
25 .\"
26 .\" References consulted:
27 .\"     SunOS 4.1.1 man pages
28 .\" Modified Sat Sep 30 21:52:01 1995 by Jim Van Zandt <jrv@vanzandt.mv.com>
29 .\" Remarks from dhw@gamgee.acad.emich.edu Fri Jun 19 06:46:31 1998
30 .\" Modified 2001-12-26, 2003-11-28, 2004-05-20, aeb
31 .\" 2008-09-02, mtk: various additions and rewrites
32 .\" 2008-09-03, mtk, restructured somewhat, in part after suggestions from
33 .\"     Timothy S. Nelson <wayland@wayland.id.au>
34 .\"
35 .\"*******************************************************************
36 .\"
37 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
38 .\"
39 .\"*******************************************************************
40 .TH HSEARCH 3 2011\-09\-10 GNU "Linux Programmer's Manual"
41 .SH 名前
42 hcreate, hdestroy, hsearch, hcreate_r, hdestroy_r, hsearch_r \- ハッシュテーブルの管理
43 .SH 書式
44 .nf
45 \fB#include <search.h>\fP
46 .sp
47 \fBint hcreate(size_t \fP\fInel\fP\fB);\fP
48 .sp
49 \fBENTRY *hsearch(ENTRY \fP\fIitem\fP\fB, ACTION \fP\fIaction\fP\fB);\fP
50 .sp
51 \fBvoid hdestroy(void);\fP
52 .sp
53 \fB#define _GNU_SOURCE\fP         /* feature_test_macros(7) 参照 */
54 .br
55 \fB#include <search.h>\fP
56 .sp
57 \fBint hcreate_r(size_t \fP\fInel\fP\fB, struct hsearch_data *\fP\fIhtab\fP\fB);\fP
58 .sp
59 \fBint hsearch_r(ENTRY \fP\fIitem\fP\fB, ACTION \fP\fIaction\fP\fB, ENTRY **\fP\fIretval\fP\fB,\fP
60 \fB              struct hsearch_data *\fP\fIhtab\fP\fB);\fP
61 .sp
62 \fBvoid hdestroy_r(struct hsearch_data *\fP\fIhtab\fP\fB);\fP
63 .fi
64 .SH 説明
65 \fBhcreate\fP(), \fBhsearch\fP(), \fBhdestroy\fP()  の 3 つの関数を利用すると、キー (文字列)
66 と対応するデータから構成される エントリを格納できるハッシュ検索テーブルを作成、管理することができる。
67 これらの関数を使って、一度に使用できるのは一つのハッシュテーブルだけである。
68
69 \fBhcreate_r\fP(), \fBhsearch_r\fP(), \fBhdestroy_r\fP()  の 3
70 つの関数はリエントラント版で、これらを利用すると、 一つのプログラムで同時に複数のハッシュテーブルを使うことができる。 最後の引き数 \fIhtab\fP
71 は関数の操作対象となるテーブルを示す構造体へのポインタである。 プログラマはこの構造体をブラックボックスとして扱うべきである
72 (つまり、この構造体のフィールドに直接アクセスしたり変更したり しないこと)。
73
74 .\" e.g., in glibc it is raised to the next higher prime number
75 最初に、 \fBhcreate\fP()  関数によってハッシュテーブルを作成しなければならない。 引き数 \fInel\fP でテーブルの最大エントリ数を指定する
76 (この最大値は後で変更することはできないので、よく考えて選択すること)。 作成されるハッシュテーブルの性能を向上させるために、
77 関数内部の実装によりこの値は増やされる場合もある。
78
79 \fBhcreate_r\fP()  関数は \fBhcreate\fP()  と同じ動作をするが、構造体 \fI*htab\fP
80 で示されるテーブルを対象として動作する。 \fIhtab\fP が指し示す構造体は、 \fBhcreate_r\fP()  を初めて呼び出す前に 0
81 で埋めておかなければならない。
82
83 \fBhdestroy\fP()  関数は、 \fBhcreate\fP()  で作成されたハッシュテーブルが占有していたメモリを解放する。
84 ハッシュテーブルによって占有されていたメモリを解放し、 新しいテーブルを作成できるようにする。 \fBhdestroy\fP()  を呼び出すと、その後は
85 \fBhcreate\fP()  を使って新しいハッシュテーブルを作成することができる。 \fBhdestroy_r\fP()  関数は、同様の処理を、それ以前に
86 \fBhcreate_r\fP()  を使って作成した \fI*htab\fP で示されるハッシュテーブルに対して実行する。
87
88 \fBhsearch\fP()  関数は、\fIitem\fP と同じキーを持つ項目をハッシュテーブルから
89 検索し、項目が見つかった場合にはその項目へのポインタを返す (「同じ」かどうかは \fBstrcmp\fP(3)  を使って判定する)。
90
91 引き数 \fIitem\fP は \fBENTRY\fP 型であり、\fI<search.h>\fP の中で 以下のように定義されている。
92 .in +4n
93 .sp
94 .nf
95 typedef struct entry {
96     char *key;
97     void *data;
98 } ENTRY;
99 .in
100 .fi
101 .sp
102 フィールド \fIkey\fP は検索キーとなる NULL 終端された文字列を指す。 フィールド \fIdata\fP は、このキーに対応するデータを指す。
103
104 検索が失敗した後の動作は、引き数 \fIaction\fP により決まる。 この引き数には \fBENTER\fP か \fBFIND\fP
105 のいずれかの値を指定しなければならない。 \fBENTER\fP は \fIitem\fP のコピーを挿入することを
106 (関数の結果として新しいハッシュテーブルエントリへのポインタを返す)、 \fBFIND\fP は NULL を返すことを意味する (\fIaction\fP が
107 \fBFIND\fP の場合、 \fIdata\fP は無視される)。
108
109 \fBhsearch_r\fP()  関数は \fBhsearch\fP()  と同様だが、 \fI*htab\fP で示されるハッシュテーブルに対して処理を行う。
110 \fBhsearch_r\fP()  関数が \fBhsearch\fP()  と異なるのは、見つかった項目へのポインタを、 関数の結果としてではなく、
111 \fI*retval\fP に格納して返す点である。
112 .SH 返り値
113 \fBhcreate\fP()  と \fBhcreate_r\fP()  は、成功した場合 0 以外の値を返し、 エラーの場合 0 を返す。
114
115 成功すると、 \fBhsearch\fP()  は、ハッシュテーブル内のエントリへのポインタを返す。 エラーの場合、 \fBhsearch\fP()  は NULL
116 を返す。 エラーとなるのは、 \fIaction\fP が \fBENTER\fP でハッシュテーブルがいっぱいの場合か、 \fIaction\fP が \fBFIND\fP
117 で \fIitem\fP がハッシュテーブル内に 見つからない場合である。 \fBhsearch_r\fP()  は、成功すると 0 以外を返し、エラーの場合 0
118 を返す。
119 .SH エラー
120 .LP
121 \fBhcreate_r\fP()  と \fBhdestroy_r\fP()  は以下の理由で失敗する可能性がある。
122 .TP 
123 \fBEINVAL\fP
124 \fIhtab\fP が NULL である。
125 .PP
126 \fBhsearch\fP()  と \fBhsearch_r\fP()  は以下の理由で失敗する可能性がある。
127 .TP 
128 \fBENOMEM\fP
129 \fIaction\fP が \fBENTER\fP で、 \fIkey\fP がテーブル内に見つからず、 テーブルに新しいエントリを追加する余地がなかった。
130 .TP 
131 \fBESRCH\fP
132 \fIaction\fP が \fBFIND\fP で、 \fIkey\fP がテーブル内に見つからなかった。
133 .PP
134 POSIX.1\-2001 が規定しているのは、エラー \fBENOMEM\fP だけである。
135 .SH 準拠
136 関数 \fBhcreate\fP(), \fBhsearch\fP(), \fBhdestroy\fP()  は SVr4 から導入されたもので、POSIX.1\-2001
137 に記述されている。 関数 \fBhcreate_r\fP, \fBhsearch_r\fP, \fBhdestroy_r\fP は GNU の拡張である。
138 .SH 注意
139 通常、ハッシュテーブルの実装は、衝突を最小限にするために テーブルに十分な空き領域がある場合に効率がよくなる。 このため、普通は、 \fInel\fP
140 を、呼び出し側がテーブルに格納しようと思っている エントリの最大数より少なくとも 25% は大きな値にすべきである。
141
142 \fBhdestroy\fP()  と \fBhdestroy_r\fP()  は、ハッシュテーブルのエントリの要素である \fIkey\fP と \fIdata\fP
143 が指すバッファを解放しない (これができないのは、これらのバッファが動的に割り当てられたのかを 知ることができないからである)。
144 これらのバッファを解放する必要がある場合、 プログラムでは、これらのバッファを解放できるように管理用のデータ構造を 設けて、これを管理しなければならない
145 (解放が必要となる理由は、たいていは、プログラム自身と生存期間が同じ ハッシュテーブルを一つだけ作成するのではなく、そのプログラムでは複数の
146 ハッシュテーブルを繰り返して作成したり破棄したりするからであろう)。
147 .SH バグ
148 SVr4 と POSIX.1\-2001 の規定では、 \fIaction\fP は検索が失敗したときにだけ意味を持つとなっている。
149 よって、検索が成功した場合、\fIaction\fP の値が \fBENTER\fP でも 何もすべきではない。 (バージョン 2.3 より前の) libc と
150 glibc の実装はこの規格に違反しており、 この状況で、指定された \fIkey\fP に対応する \fIdata\fP が更新される。
151
152 ハッシュテーブルエントリーの追加はできるが、削除ができない。
153 .SH 例
154 .PP
155 次のプログラムは、ハッシュテーブルに 24 個の項目を挿入し、 それからそのうちのいくつかを表示する。
156 .nf
157
158 #include <stdio.h>
159 #include <stdlib.h>
160 #include <search.h>
161
162 char *data[] = { "alpha", "bravo", "charlie", "delta",
163      "echo", "foxtrot", "golf", "hotel", "india", "juliet",
164      "kilo", "lima", "mike", "november", "oscar", "papa",
165      "quebec", "romeo", "sierra", "tango", "uniform",
166      "victor", "whisky", "x\-ray", "yankee", "zulu"
167 };
168
169 int main()
170 {
171     ENTRY e, *ep;
172     int i;
173
174     hcreate(30);
175
176     for (i = 0; i < 24; i++) {
177         e.key = data[i];
178         /* データは、ポインタではなく、単なる整数値である。 */
179         e.data = (void *) i;
180         ep = hsearch(e, ENTER);
181         /* エラーは起こらないはずである。 */
182         if (ep == NULL) {
183             fprintf(stderr, "entry failed\en");
184             exit(EXIT_FAILURE);
185         }
186     }
187
188     for (i = 22; i < 26; i++) {
189         /* テーブルにある 2 つのエントリを表示し、
190            あとの 2 つがテーブルにないことを示す。 */
191         e.key = data[i];
192         ep = hsearch(e, FIND);
193         printf("%9.9s \-> %9.9s:%d\en", e.key,
194                ep ? ep\->key : "NULL", ep ? (int)(ep\->data) : 0);
195     }
196     hdestroy();
197     exit(EXIT_SUCCESS);
198 }
199 .fi
200 .SH 関連項目
201 \fBbsearch\fP(3), \fBlsearch\fP(3), \fBmalloc\fP(3), \fBtsearch\fP(3)
202 .SH この文書について
203 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.50 の一部
204 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
205 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。