OSDN Git Service

dc55eea766fdf6bf1359bb563eb8a4a71db21a94
[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man4 / random.4
1 .\" Copyright (c) 1997 John S. Kallal (kallal@voicenet.com)
2 .\"
3 .\" %%%LICENSE_START(GPLv2+_DOC_ONEPARA)
4 .\" This is free documentation; you can redistribute it and/or
5 .\" modify it under the terms of the GNU General Public License as
6 .\" published by the Free Software Foundation; either version 2 of
7 .\" the License, or (at your option) any later version.
8 .\" %%%LICENSE_END
9 .\"
10 .\" Some changes by tytso and aeb.
11 .\"
12 .\" 2004-12-16, John V. Belmonte/mtk, Updated init and quit scripts
13 .\" 2004-04-08, AEB, Improved description of read from /dev/urandom
14 .\" 2008-06-20, George Spelvin <linux@horizon.com>,
15 .\"             Matt Mackall <mpm@selenic.com>
16 .\"     Add a Usage subsection that recommends most users to use
17 .\"     /dev/urandom, and emphasizes parsimonious usage of /dev/random.
18 .\"
19 .\"*******************************************************************
20 .\"
21 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
22 .\"
23 .\"*******************************************************************
24 .TH RANDOM 4 2013\-03\-15 Linux "Linux Programmer's Manual"
25 .SH 名前
26 random, urandom \- カーネル乱数ソースデバイス
27 .SH 書式
28 #include <linux/random.h>
29 .sp
30 \fBint ioctl(\fP\fIfd\fP\fB, RND\fP\fIrequest\fP\fB, \fP\fIparam\fP\fB);\fP
31 .SH 説明
32 (Linux 1.3.30 から提供されている) \fI/dev/random\fP 、 \fI/dev/urandom\fP キャラクタスペシャルファイルは
33 カーネル乱数ジェネレータへのインタフェースを提供する。 \fI/dev/random\fP ファイルはメジャーデバイス番号 1 マイナーデバイス番号 8
34 である。 \fI/dev/urandom\fP はメジャーデバイス番号 1 マイナーデバイス番号 9 である。
35 .LP
36 乱数ジェネレータはデバイスドライバやその他の源からの環境ノイズを エントロピー・プールへ集める。
37 また、ジェネレータはエントロピー・プール内のノイズのビット数の推定値を 保持する。 このエントロピー・プールから乱数が生成される。
38 .LP
39 読み込みが行われると、 \fI/dev/random\fP デバイスはエントロピー・プールのノイズビットの数の推定値のうち、 ランダムバイトのみを返す。
40 \fI/dev/random\fP はワンタイムパッド (one\-time pad) や鍵の生成のような
41 非常に高い品質を持った無作為性が必要になる用途に向いているだろう。 エントロピー・プールが空の時は、\fI/dev/random\fP からの読み出しは、
42 更なる環境ノイズが得られるまで、ブロックされる。
43 .LP
44 \fI/dev/urandom\fP デバイスから読み出しでは、 エントロピーがより高くなるのを待つためのブロックは行われない。
45 その結果、もしエントロピー・プールに十分なエントロピーが存在しない場合、 返り値はこのドライバで使われているアルゴリズムに基づく暗号攻撃に対して、
46 論理的には弱くなることになる。 この攻撃をどのように行うかという事については、現在研究論文などの
47 形で入手できる資料はない、しかし、そのような攻撃は論理的に存在可能である。 もし、この事が心配なら、(\fI/dev/urandom\fP ではなく)
48 \fI/dev/random\fP を利用すればいい。
49 .LP
50 \fI/dev/random\fP や \fI/dev/urandom\fP に書き込みを行うと、 書き込まれたデータでエントロピー・プールが更新される。 しかし、
51 エントロピー・カウントが増えるわけではない。 つまり、 \fI/dev/random\fP と \fI/dev/urandom\fP
52 の両方のファイルから読み出される内容に影響があるが、 \fI/dev/random\fP からの読み出しが早くなるわけではないということだ。
53 .SS 使い方
54 \fI/dev/random\fP と \fI/dev/urandom\fP のどちらを使うべきか迷った場合、たいていは \fI/dev/urandom\fP
55 の方を使いたいと思っているはずだろう。 一般に、長期に渡って使われる GPG/SSL/SSH のキー以外の全てのものに \fI/dev/urandom\fP
56 を使用すべきである。
57
58 下記で推奨しているように再起動の前後で乱数種ファイルが保存される場合 (全ての主な Linux のディストリビューションは少なくとも 2000 年以降は
59 乱数種を保存するようになっている)、起動シーケンスにおいて乱数種が 再ロードされた直後から、その出力はローカルのルートアクセスができない
60 攻撃者に対して暗号的に安全なものとなり、ネットワーク暗号化のセッションキー として使うには完全に最適なものとなる。 \fI/dev/random\fP
61 からの読み出しは停止 (block) する可能性があるので、ユーザは普通 このファイルを非停止 (nonblocking) モードで開こうとし
62 (もしくはタイムアウトを指定して読み出しを実行し)、希望するレベルの エントロピーはすぐには利用できない場合には、何らかの通知を行うことだろう。
63
64 カーネルの乱数ジェネレータは、暗号疑似乱数ジェネレータ (Cryptographic pseudo\-random number generator;
65 CPRNG) の種として使用できる 高品質な乱数種の材料を少し生成するために設計されている。 これは速度ではなく安全性を重視して設計されており、
66 ランダムなデータを大量に生成するのには全くもって適していない。 ユーザは \fI/dev/urandom\fP (と \fI/dev/random\fP)
67 から読み出す乱数種の材料の量をできるだけ節約すべきである。 このデバイスから不必要に大量のデータを読み出すと、このデバイスを使う
68 他のユーザにマイナスの影響を与えてしまうだろう。
69
70 暗号鍵を生成するのに必要な乱数種の材料の量は、鍵の実効サイズと同じである。 例えば、3072 ビットの RSA および Diffie\-Hellman
71 の秘密鍵の実効サイズは 128 ビット (この秘密鍵を破るには 2^128 回の操作が必要ということ) であり、 そのため鍵生成器が
72 \fI/dev/random\fP から読み出す必要がある乱数種の材料の量は 128 ビット (16 バイト) だけである。
73
74 CPRNG アルゴリズムの欠陥に対する保護として、この最小値に対していくらかの 安全上のマージンを取るのはもっともだが、現在利用可能な暗号プリミティブで
75 256 ビットより多くの安全な乱数を必要とするようなものはない。 起動する度に、もしくは乱数種を変更する妥当な間隔 (1 分より短くなることはない)
76 の度に、カーネルの乱数プールから 256 ビット (32 バイト) よりたくさん読み出す
77 ような場合には、そのプログラムの暗号処理がうまく実装されて「いない」可能性が あると考えるべきであろう。
78 .SS Configuration
79 システムにあらかじめ作成された \fI/dev/random\fP と \fI/dev/urandom\fP が存在しないなら、次のようなコマンドで作成できる。
80
81 .nf
82     mknod \-m 644 /dev/random c 1 8
83     mknod \-m 644 /dev/urandom c 1 9
84     chown root:root /dev/random /dev/urandom
85 .fi
86
87 オペレータの操作なしに Linux システムが起動した直後は、 エントロピー・プールは意外性の乏しい均一な状態にあるだろう。
88 これにより、エントロピー・プールの実際のノイズ量は評価値より少なくなる。 この効果を打ち消すために、シャットダウンから (次の) 起動時まで持ち越した
89 エントロピー・プールの情報が助けになる。 エントロピー・プールを持ち越すためには、 Linux システムの起動時に実行される適切なスクリプトに、
90 以下の行を追加すればよい:
91
92 .nf
93     echo "Initializing random number generator..."
94     random_seed=/var/run/random\-seed
95     # 乱数種を今回のスタートアップから次回のスタートアップまで持ち越す。
96     # ロードを行い、その後、全てのエントロピー・プールを保存する。
97     if [ \-f $random_seed ]; then
98         cat $random_seed >/dev/urandom
99     else
100         touch $random_seed
101     fi
102     chmod 600 $random_seed
103     poolfile=/proc/sys/kernel/random/poolsize
104     [ \-r $poolfile ] && bytes=\`cat $poolfile\` || bytes=512
105     dd if=/dev/urandom of=$random_seed count=1 bs=$bytes
106 .fi
107
108 また、Linux システムのシャットダウン時に実行される適切なスクリプトに、 以下の行を追加すればよい:
109
110 .nf
111     # 乱数種を今回のシャットダウンから次回のスタートアップまで持ち越す。
112     # 全てのエントロピー・プールを保存する。
113     echo "Saving random seed..."
114     random_seed=/var/run/random\-seed
115     touch $random_seed
116     chmod 600 $random_seed
117     poolfile=/proc/sys/kernel/random/poolsize
118     [ \-r $poolfile ] && bytes=\`cat $poolfile\` || bytes=512
119     dd if=/dev/urandom of=$random_seed count=1 bs=$bytes
120 .fi
121 .SS "/proc インタフェース"
122 ディレクトリ \fI/proc/sys/kernel/random\fP にあるファイル (2.3.16 から存在する) は、 \fI/dev/random\fP
123 デバイスへのその他のインタフェースを提供する。
124 .LP
125 読み込み専用のファイル \fIentropy_avail\fP は使用可能なエントロピーを表す。 通常、これは 4096 (ビット)
126 になり、エントロピー・プールが満杯の状態である。
127 .LP
128 ファイル \fIpoolsize\fP はエントロピー・プールのサイズを表す。 このファイルの意味はカーネルバージョンにより異なる。
129 .RS
130 .TP  12
131 Linux 2.4:
132 このファイルはエントロピー・プールのサイズを「バイト」単位で規定する。 通常、このファイルの値は 512 になるが、書き込み可能であり、
133 アルゴリズムで利用可能な任意の値に変更できる。 選択可能な値は 32, 64, 128, 256, 512, 1024, 2048 である。
134 .TP 
135 Linux 2.6:
136 このファイルは読み出し専用であり、 エントロピー・プールのサイズを「ビット」単位で規定する。 値は 4096 である。
137 .RE
138 .LP
139 ファイル \fIread_wakeup_threshold\fP は \fI/dev/random\fP
140 からのエントロピーを待って休止しているプロセスを起こすのに必要な エントロピーのビット数を保持している。 デフォルトは 64 である。 ファイル
141 \fIwrite_wakeup_threshold\fP はエントロピーのビット数を保持しており、この値以下になったら \fI/dev/random\fP
142 への書き込みアクセスのために \fBselect\fP(2)  または \fBpoll\fP(2)  を実行するプロセスを起こす。
143 この値はファイルに書き込みを行うことによって変更できる。
144 .LP
145 読み込み専用のファイル \fIuuid\fP と \fIboot_id\fP は 6fd5a44b\-35f4\-4ad4\-a9b9\-6b9be13e1fe9 のような
146 ランダムな文字列を保持している。 前者は読み込みの度に新たに生成され、 後者は 1 度だけ生成される。
147 .SS "ioctl(2) インタフェース"
148 以下の \fBioctl\fP(2) 要求が \fI/dev/random\fP や \fI/dev/urandom\fP
149 に接続されたファイルディスクリプタに対して定義されている。 実行されたすべての要求は、 \fI/dev/random\fP と \fI/dev/urandom\fP
150 に影響を与える入力エントロピー・プールとやり取りを行う。 \fBRNDGETENTCNT\fP 以外のすべての要求には \fBCAP_SYS_ADMIN\fP
151 ケーパビリティが必要である。
152 .TP 
153 \fBRNDGETENTCNT\fP
154 入力エントロピー・プールのカウントを取得する。 取得される内容は proc の \fIentropy_avail\fP ファイルと同じである。
155 結果は引き数が指す整数 (int) に格納される。
156 .TP 
157 \fBRNDADDTOENTCNT\fP
158 入力エントロピー・プールのカウントを引き数が指す値だけ加算または減算する。
159 .TP 
160 \fBRNDGETPOOL\fP
161 Linux 2.6.9 で削除された。
162 .TP 
163 \fBRNDADDENTROPY\fP
164 入力プールに追加のエントロピーを追加し、エントロピー・カウントを増やす。 この要求は \fI/dev/random\fP や \fI/dev/urandom\fP
165 への書き込みとは異なる。 \fI/dev/random\fP や \fI/dev/urandom\fP への書き込みでは、 何らかのデータが追加されるだけで、
166 エントロピー・カウントは増やされない。 以下の構造体が使用される。
167 .IP
168 .nf
169     struct rand_pool_info {
170         int    entropy_count;
171         int    buf_size;
172         __u32  buf[0];
173     };
174 .fi
175 .IP
176 \fIentropy_count\fP はエントロピー・カウントに加算 (または減算) する値である。 \fIbuf\fP は大きさが \fIbuf_size\fP
177 のバッファで、この内容がエントロピー・プールに追加される。
178 .TP 
179 \fBRNDZAPENTCNT\fP, \fBRNDCLEARPOOL\fP
180 すべてのプールのエントロピー・カウントを 0 にし、何らかのシステムデータ (現在の時刻など) をプールに追加する。
181 .SH ファイル
182 /dev/random
183 .br
184 .\" .SH AUTHOR
185 .\" The kernel's random number generator was written by
186 .\" Theodore Ts'o (tytso@athena.mit.edu).
187 /dev/urandom
188 .SH 関連項目
189 \fBmknod\fP(1)
190 .br
191 RFC\ 1750, "Randomness Recommendations for Security"
192 .SH この文書について
193 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.52 の一部
194 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
195 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。