release/man7/feature_test_macros.7

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   2 .\"
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   5 .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are
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   7 .\"
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  20 .\"
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  23 .\" %%%LICENSE_END
  24 .\"
  25 .\"*******************************************************************
  26 .\"
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  28 .\"
  29 .\"*******************************************************************
  30 .\"
  31 .\" Japanese Version Copyright (c) 2006 Akihiro MOTOKI all rights reserved.
  32 .\" Translated 2006-07-16, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
  33 .\" Updated 2007-05-01, Akihiro MOTOKI, LDP v2.46
  34 .\" Updated 2007-09-08, Akihiro MOTOKI, LDP v2.64
  35 .\" Updated 2009-04-23, Akihiro MOTOKI, LDP v3.21
  36 .\" Updated 2012-04-30, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
  37 .\"
  38 .TH FEATURE_TEST_MACROS 7 2014\-03\-20 Linux "Linux Programmer's Manual"
  39 .SH 名前
  40 feature_test_macros \- 機能検査マクロ
  41 .SH 書式
  42 .nf
  43 \fB#include <features.h>\fP
  44 .fi
  45 .SH 説明
  46 機能検査マクロ (feature test macro) により、プログラマは プログラムがコンパイルされる際にシステムのヘッダファイルにより
  47 公開される定義を制御することができる。
  48
  49 \fB注意:\fP 機能検査マクロを機能させるには、機能検査マクロの定義を 「どのヘッダファイルのインクルードよりも前で」行わなければならない。
  50 これを実現するには、 コンパイルコマンドで指定する方法 (\fIcc \-DMACRO=value\fP)  と、ソースコード内で必要なマクロの定義を
  51 どのヘッダのインクルードよりも前で行う方法がある。
  52
  53 機能検査マクロを使うと、非標準の定義が公開されないようにでき、 移植性のあるアプリケーションを作成するのに役立つ。
  54 他のマクロを使うと、デフォルトでは公開されない非標準の定義を 公開することができる。 以下で説明する機能検査マクロのそれぞれの正確な影響を確認するには、
  55 ヘッダファイル \fI<features.h>\fP を調べればよい。
  56 .SS マニュアルページでの機能検査マクロの要件の規定
  57 関数が機能検査マクロの定義を必要とする場合、 マニュアルページの書式 (SYNOPSIS) の節に 以下の形式の注釈を入れる (以下の例は
  58 \fBacct\fP(2)  のマニュアルページからの引用である)。
  59 .RS 8
  60 .sp
  61 \fB#include <unistd.h>\fP
  62 .sp
  63 \fBint acct(const char *\fP\fIfilename\fP\fB);\fP
  64 .sp
  65 .nf
  66 .in -4n
  67 glibc 向けの機能検査マクロの要件
  68 (\fBfeature_test_macros\fP(7)
  69 参照):
  70 .fi
  71 .in
  72 .sp
  73 \fBacct\fP(): _BSD_SOURCE || (_XOPEN_SOURCE && _XOPEN_SOURCE\ <\ 500)
  74 .RE
  75 .PP
  76 \fB||\fP は、 \fBacct\fP(2)  の定義を \fI<unistd.h>\fP
  77 から得るには、以下のマクロの定義のいずれかを、どのヘッダファイルの インクルードよりも前で行わなければならないことを意味する。
  78 .RS
  79 .nf
  80
  81 #define _BSD_SOURCE
  82 #define _XOPEN_SOURCE        /* 500 未満の任意の値 */
  83 .fi
  84 .RE
  85 .PP
  86 別の方法としては、等価な定義をコンパイル用のコマンドで 指定することもできる。
  87 .RS
  88 .nf
  89
  90 cc \-D_BSD_SOURCE
  91 cc \-D_XOPEN_SOURCE           # 500 未満の任意の値
  92 .fi
  93 .RE
  94 .PP
  95 後で述べるが、 \fB「いくつかの機能検査マクロはデフォルトで定義される」\fP 点に注意すること。 このため、「書式」に記載された機能検査マクロを常に
  96 明示的に指定する必要があるわけではない。
  97
  98 あまり多くないが、マニュアルページによっては、 機能検査マクロの要件を以下のように簡単な表現で記載する場合がある。 (以下の例は
  99 \fBreadahead\fP(2)  のマニュアルページからの引用である)。
 100 .RS
 101 .nf
 102
 103 \fB#define _GNU_SOURCE\fP
 104 \fB#include <fcntl.h>\fP
 105 .sp
 106 \fBssize_t readahead(int \fP\fIfd\fP\fB, off64_t *\fP\fIoffset\fP\fB, size_t \fP\fIcount\fP\fB);\fP
 107 .fi
 108 .RE
 109 .PP
 110 関数定義の公開に使える機能検査マクロが一つだけで、 デフォルトではそのマクロが定義されない場合に、 この形式の表現を利用する。
 111 .SS "glibc が解釈する機能検査マクロ"
 112 .\" The details in glibc 2.0 are simpler, but combining a
 113 .\" a description of them with the details in later glibc versions
 114 .\" would make for a complicated description.
 115 以下では、Linux glibc 2.\fIx\fP (\fIx\fP > 0) において、 機能検査マクロがどのように扱われるかを説明する。
 116
 117 Linux/glibc は以下の機能検査マクロを解釈する:
 118 .TP
 119 \fB__STRICT_ANSI__\fP
 120 ISO 標準の C。 \fBgcc\fP(1)  を \fI\-std=c99\fP や \fI\-ansi\fP などのフラグを付けて起動した場合、
 121 このマクロは暗黙のうちに定義される。
 122 .TP
 123 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP
 124 このマクロを定義すると、ヘッダファイルで以下の定義が公開される。
 125 .RS
 126 .IP \(bu 3
 127 値が 1 の場合、POSIX.1\-1990 と ISO C (1990) に準拠する定義が公開される。
 128 .IP \(bu
 129 値が 2 以上の場合、 POSIX.2\-1992 関連の定義も追加で公開される。
 130 .IP \(bu
 131 .\" 199506L functionality is available only since glibc 2.1
 132 値が 199309 以上の場合、 POSIX.1b (リアルタイム拡張) 関連の定義が追加で公開される。
 133 .IP \(bu
 134 値が 199506 以上の場合、 POSIX.1c (スレッド) 関連の定義が追加で公開される。
 135 .IP \(bu
 136 (Since glibc 2.3.3)  The value 200112L or greater additionally exposes
 137 definitions corresponding to the POSIX.1\-2001 base specification (excluding
 138 the XSI extension)  and also causes C95 (since glibc 2.12) and C99 (since
 139 glibc 2.10) features to be exposed.
 140 .IP \(bu
 141 (glibc 2.10 以降)  値が 200809L 以上の場合、 (XSI 拡張を除く) POSIX.1\-2008
 142 基本仕様に対応する定義が追加で公開される。
 143 .RE
 144 .TP
 145 \fB_POSIX_SOURCE\fP
 146 このマクロは廃止予定である。 このマクロが定義されると、値に関わらず、 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP を値 1 で定義するのと等価となる。
 147 .TP
 148 \fB_XOPEN_SOURCE\fP
 149 このマクロを定義すると、ヘッダファイルで以下の定義が公開される。
 150 .RS
 151 .IP \(bu 3
 152 どんな値でも、ヘッダファイルで POSIX.1, POSIX.2, XPG4 に準拠する定義が公開される。
 153 .IP \(bu
 154 値が 500 以上の場合、 SUSv2 (UNIX 98) 関連の定義が追加で公開される。
 155 .IP \(bu
 156 (glibc 2.2 以降)  値が 600 以上の場合、 SUSv3 (UNIX 03; POSIX.1\-2001 基本仕様 + XSI 拡張と同じ)
 157 関連の定義と C99 での定義が追加で公開される。
 158 .IP \(bu
 159 (glibc 2.10 以降)  値が 700 以上の場合、 SUSv4 (POSIX.1\-2008 基本仕様 + XSI 拡張と同じ)
 160 関連の定義が追加で公開される。
 161 .RE
 162 .IP
 163 If \fB__STRICT_ANSI__\fP is not defined, or \fB_XOPEN_SOURCE\fP is defined with a
 164 value greater than or equal to 500 \fIand\fP neither \fB_POSIX_SOURCE\fP not
 165 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP is explicitly defined, then the following macros are
 166 implicitly defined:
 167 .RS
 168 .IP \(bu 3
 169 \fB_POSIX_SOURCE\fP が値 1 で定義される。
 170 .IP \(bu
 171 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP は、\fB_XOPEN_SOURCE\fP の値に基づいて定義される。
 172 .RS 7
 173 .TP
 174 \fB_XOPEN_SOURCE\fP < 500
 175 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP が値 2 で定義される。
 176 .TP
 177 500 <= \fB_XOPEN_SOURCE\fP < 600
 178 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP が値 199506L で定義される。
 179 .TP
 180 600 <= \fB_XOPEN_SOURCE\fP < 700
 181 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP が値 200112L で定義される。
 182 .TP
 183 700 <= \fB_XOPEN_SOURCE\fP (glibc 2.10 以降)
 184 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP が値 200809L で定義される。
 185 .RE
 186 .RE
 187 .TP
 188 \fB_XOPEN_SOURCE_EXTENDED\fP
 189 このマクロが定義され、さらに \fB_XOPEN_SOURCE\fP が定義されていると、XPG4v2 (SUSv1) UNIX 拡張 (UNIX 95)
 190 に対応する定義が公開される。 \fB_XOPEN_SOURCE\fP が 500 以上の値で定義された場合、このマクロは暗黙のうちに定義される。
 191 .TP
 192 \fB_ISOC99_SOURCE\fP (glibc 2.1.3 以降)
 193 ISO C99 標準に準拠した宣言を公開する。
 194
 195 初期のバージョン 2.1.x の glibc では、これと等価な \fB_ISOC9X_SOURCE\fP という名前のマクロが使われていた
 196 (なぜなら、C99 標準はまだ確定していなかったからである)。 \fB_ISOC9X_SOURCE\fP マクロの使用は廃止されているが、 glibc
 197 は過去との互換性のため今でもこのマクロを認識する。
 198
 199 Defining \fB_ISOC99_SOURCE\fP also exposes ISO C (1990) Amendment 1 ("C95")
 200 definitions.  (The primary change in C95 was support for international
 201 character sets.)
 202 .TP
 203 \fB_ISOC11_SOURCE\fP (glibc 2.16 以降)
 204 Exposes declarations consistent with the ISO C11 standard.  Defining this
 205 macro also enables C99 and C95 features (like \fB_ISOC99_SOURCE\fP).
 206 .TP
 207 \fB_LARGEFILE64_SOURCE\fP
 208 LFS (Large File Summit) により "暫定拡張 (transitional extension)" Single UNIX
 209 Specification として規定された代替 API (alternative API) に関する定義を公開する (
 210 .UR http:\:/\:/opengroup.org\:/platform\:/lfs.html
 211 .UE
 212 参照)。 代替 API は新規オブジェクト
 213 (関数と型) の集合で構成され、 その名前は "64" で終わる (例えば、 \fIoff_t\fP に対応するのは \fIoff64_t\fP、
 214 \fBlseek\fP()  に対応するのは \fBlseek64\fP()  である)。 新しいプログラムではこのマクロを利用しないこと。 代わりに
 215 \fI_FILE_OFFSET_BITS=64\fP を利用すること。
 216 .TP
 217 \fB_LARGEFILE_SOURCE\fP
 218 This macro was historically used to expose certain functions (specifically
 219 \fBfseeko\fP(3)  and \fBftello\fP(3))  that address limitations of earlier APIs
 220 (\fBfeek\fP(3)  and \fBftell\fP(3))  that use \fIlong int\fP for file offsets.  This
 221 macro is implicitly defined if \fB_XOPEN_SOURCE\fP is defined with a value
 222 greater than or equal to 500.  New programs should not employ this macro;
 223 defining \fB_XOPEN_SOURCE\fP as just described or defining \fB_FILE_OFFSET_BITS\fP
 224 with the value 64 is the preferred mechanism to achieve the same result.
 225 .TP
 226 \fB_FILE_OFFSET_BITS\fP
 227 このマクロを値 64 で定義すると、ファイル I/O とファイルシステム操作に 関連する 32 ビット版の関数とデータタイプは自動的に 64 ビット版に
 228 変換される。 これは、32 ビットシステムで大きなファイル (> 2 ギガバイト) の I/O を実行する際に役立つ
 229 (このマクロを定義すると、コンパイルし直すだけで大きなファイルを 扱えるプログラムを書くことができる)。
 230
 231 64 ビットシステムは、もともと 2 ギガバイトより大きなファイルを 扱えるので、64 ビットシステムではこのマクロは効果を持たない。
 232 .TP
 233 \fB_BSD_SOURCE\fP (glibc 2.20 以降では非推奨)
 234 このマクロを定義すると、値に関わらず、ヘッダファイルで BSD 由来の定義が公開される。
 235
 236 バージョン 2.18 以前の glibc では、このマクロを定義すると、相容れない標準が存在する状況において BSD 由来の定義を優先するようになる。
 237 ただし、 \fB_SVID_SOURCE\fP, \fB_POSIX_SOURCE\fP, \fB_POSIX_C_SOURCE\fP,
 238 \fB_XOPEN_SOURCE\fP, \fB_XOPEN_SOURCE_EXTENDED\fP, \fB_GNU_SOURCE\fP
 239 が一つでも定義された場合には、BSD 由来の定義は優先されなくなる。 glibc 2.19 以降では、 \fB_BSD_SOURCE\fP
 240 を定義しても相容れない標準があっても BSD 由来の定義が優先されることはもはやなくなった。
 241
 242 .\" commit c941736c92fa3a319221f65f6755659b2a5e0a20
 243 .\" commit 498afc54dfee41d33ba519f496e96480badace8e
 244 .\" commit acd7f096d79c181866d56d4aaf3b043e741f1e2c
 245 .\" commit ade40b10ff5fa59a318cf55b9d8414b758e8df78
 246 Since glibc 2.20, this macro is deprecated.  It now has the same effect as
 247 defining \fB_DEFAULT_SOURCE\fP, but generates a compile\-time warning (unless
 248 \fB_DEFAULT_SOURCE\fP is also defined).  Use \fB_DEFAULT_SOURCE\fP instead.  To
 249 allow code that requires \fB_BSD_SOURCE\fP in glibc 2.19 and earlier and
 250 \fB_DEFAULT_SOURCE\fP in glibc 2.20 and later to compile without warnings,
 251 define \fIboth\fP \fB_BSD_SOURCE\fP and \fB_DEFAULT_SOURCE\fP.
 252 .TP
 253 \fB_SVID_SOURCE\fP (glibc 2.20 以降では非推奨)
 254 このマクロを定義すると (値に関わらず) ヘッダファイルで System V 由来の定義が公開される (SVID == System V
 255 Interface Definition; \fBstandards\fP(7)  参照)。
 256
 257 Since glibc 2.20, this macro is deprecated in the same fashion as
 258 \fB_BSD_SOURCE\fP.
 259 .TP
 260 \fB_DEFAULT_SOURCE\fP (glibc 2.19 以降)
 261 This macro can be defined to ensure that the "default" definitions are
 262 provided even when the defaults would otherwise be disabled, as happens when
 263 individual macros are explicitly defined, or the compiler is invoked in one
 264 of its "standard" modes (e.g., \fIcc\ \-std=c99\fP).  Defining
 265 \fB_DEFAULT_SOURCE\fP without defining other individual macros or invoking the
 266 compiler in one of its "standard" modes has no effect.
 267
 268 The "default" definitions comprise those required by POSIX.1\-2008 as well as
 269 various definitions derived from BSD and System V.  On glibc 2.19 and
 270 earlier, these defaults were approximately equivalent to explicitly defining
 271 the following:
 272
 273     cc \-D_BSD_SOURCE \-D_SVID_SOURCE \-D_POSIX_C_SOURCE=200809
 274
 275 .TP
 276 \fB_ATFILE_SOURCE\fP (glibc 2.4 以降)
 277 このマクロを定義すると (値に関わらず) ヘッダファイルで 名前の末尾が "at" の各種の関数の定義が公開される。 \fBopenat\fP(2)  参照。
 278 glibc 2.10 以降では、 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP が 200809L 以上の値で定義された場合には、
 279 このマクロも暗黙のうちに定義される。
 280 .TP
 281 \fB_GNU_SOURCE\fP
 282 このマクロを定義すると (値に関わらず) 以下のマクロが暗黙のうちに定義される: \fB_ATFILE_SOURCE\fP,
 283 \fB_LARGEFILE64_SOURCE\fP, \fB_ISOC99_SOURCE\fP, \fB_XOPEN_SOURCE_EXTENDED\fP,
 284 \fB_POSIX_SOURCE\fP, 値 200809L の \fB_POSIX_C_SOURCE\fP (バージョン 2.10 より前の glibc では値は
 285 200112L、 バージョン 2.5 より前の glibc では値は 199506L、 バージョン 2.1 より前の glibc では値は
 286 199309L), 値 700 の \fB_XOPEN_SOURCE\fP (バージョン 2.10 より前の glibc では値は 600、 バージョン
 287 2.2 より前の glibc では値は 500)。
 288
 289 Since glibc 2.19, defining \fB_GNU_SOURCE\fP also has the effect of implicitly
 290 defining \fB_DEFAULT_SOURCE\fP.  In glibc versions before 2.20, defining
 291 \fB_GNU_SOURCE\fP also had the effect of implicitly defining \fB_BSD_SOURCE\fP and
 292 \fB_SVID_SOURCE\fP.
 293 .TP
 294 \fB_REENTRANT\fP
 295 このマクロを定義すると、いくつかのリエントラント (再入可能) な関数 定義が公開される。マルチスレッド・プログラムでは、この代わりに \fIcc\ \-pthread\fP を使用すること。
 296 .TP
 297 \fB_THREAD_SAFE\fP
 298 \fB_REENTRANT\fP の同義語。 他のいくつかの実装との互換性を提供するためのもの。
 299 .TP
 300 \fB_FORTIFY_SOURCE\fP (glibc 2.3.4 以降)
 301 .\" For more detail, see:
 302 .\" http://gcc.gnu.org/ml/gcc-patches/2004-09/msg02055.html
 303 .\" [PATCH] Object size checking to prevent (some) buffer overflows
 304 .\" * From: Jakub Jelinek <jakub at redhat dot com>
 305 .\" * To: gcc-patches at gcc dot gnu dot org
 306 .\" * Date: Tue, 21 Sep 2004 04:16:40 -0400
 307 このマクロを定義すると、文字列やメモリの操作を行う様々な関数を使用する際にバッファオーバーフローを検出するための軽めのチェックが実行されるようになる。すべてのバッファオーバーフローが検出されるわけではなく、あくまでよくある例についてだけである。
 308
 309 ついてだけである。 現在の実装では、以下の関数にチェックが追加されている: \fBmemcpy\fP(3), \fBmempcpy\fP(3),
 310 \fBmemmove\fP(3), \fBmemset\fP(3), \fBstpcpy\fP(3), \fBstrcpy\fP(3), \fBstrncpy\fP(3),
 311 \fBstrcat\fP(3), \fBstrncat\fP(3), \fBsprintf\fP(3), \fBsnprintf\fP(3), \fBvsprintf\fP(3),
 312 \fBvsnprintf\fP(3), \fBgets\fP(3)
 313
 314 \fB_FORTIFY_SOURCE\fP が 1 に設定された場合、コンパイラの最適化レベルが 1 (\fIgcc\ \-O1\fP)
 315 かそれ以上であれば、規格に準拠するプログラムの振る舞いを 変化させないようなチェックが実行される。 \fB_FORTIFY_SOURCE\fP が 2
 316 に設定された場合、さらなるチェックが追加されるが、 規格に準拠するプログラムのいくつかが失敗する可能性がある。
 317 いくつかのチェックはコンパイル時に実行でき、コンパイラの警告として 表示される。他のチェックは実行時に行われ、チェックに失敗した場合
 318 には実行時エラーとなる。
 319
 320 このマクロを使用するにはコンパイラの対応が必要であり、 バージョン 4.0 以降の \fBgcc\fP(1)  で利用できる。
 321 .SS デフォルトの定義、暗黙の定義、組み合わせ定義
 322 .PP
 323 機能検査マクロが一つも明示的に定義されなかった場合、 デフォルトで機能検査マクロ \fB_BSD_SOURCE\fP (glibc 2.19 以前),
 324 \fB_SVID_SOURCE\fP (glibc 2.19 以前), \fB_DEFAULT_SOURCE\fP (glibc 2.19 以降),
 325 \fB_POSIX_SOURCE\fP, \fB_POSIX_C_SOURCE\fP=200809L が定義される (バージョン 2.10 より前の glibc
 326 では値は 200112L、 バージョン 2.4 より前の glibc では値は 199506L、 バージョン 2.1 より前の glibc では値は
 327 199309L)。
 328 .PP
 329 \fB__STRICT_ANSI__\fP, \fB_ISOC99_SOURCE\fP, \fB_POSIX_SOURCE\fP, \fB_POSIX_C_SOURCE\fP,
 330 \fB_XOPEN_SOURCE\fP, \fB_XOPEN_SOURCE_EXTENDED\fP, \fB_BSD_SOURCE\fP (glibc 2.19 以前),
 331 \fB_SVID_SOURCE\fP (glibc 2.19 以前) のいずれかが明示的に定義された場合、 \fB_BSD_SOURCE\fP,
 332 \fB_SVID_SOURCE\fP, \fB_SVID_SOURCE\fP はデフォルトでは定義されない。
 333
 334 \fB_POSIX_SOURCE\fP と \fB_POSIX_C_SOURCE\fP が明示的に定義されない場合で、 \fB__STRICT_ANSI__\fP
 335 が定義されない、もしくは \fB_XOPEN_SOURCE\fP が 500 以上の値で定義されたときには、
 336 .IP * 3
 337 \fB_POSIX_SOURCE\fP が値 1 で定義され、かつ
 338 .IP *
 339 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP は以下の値のいずれか一つで定義される。
 340 .RS 3
 341 .IP \(bu 3
 342 2 (\fB_XOPEN_SOURCE\fP が 500 未満の値で定義された場合)
 343 .IP \(bu
 344 199506L (\fB_XOPEN_SOURCE\fP が 500 以上 600 未満の値で定義された場合)
 345 .IP \(bu
 346 (glibc 2.4 以降)  200112L (\fB_XOPEN_SOURCE\fP が 600 以上 700 未満の値で定義された場合)
 347 .IP \(bu
 348 (glibc 2.10 以降)  200809L (\fB_XOPEN_SOURCE\fP が 700 以上の値で定義された場合)
 349 .IP \(bu
 350 古いバージョンの glibc では \fB_POSIX_C_SOURCE\fP の値として 200112L や 200809L は存在せず、
 351 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP の値がどうなるかは glibc のバージョンにより異なる。
 352 .IP \(bu
 353 \fB_XOPEN_SOURCE\fP が未定義の場合、 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP の値は glibc のバージョンにより異なる。 バージョン
 354 2.4 より前の glibc では 199506L、 バージョン 2.4 以降 2.9 未満では 200112L、 glibc 2.10 以降では
 355 200809L となる。
 356 .RE
 357 .PP
 358 また、複数のマクロを定義することもできる。 この場合、定義したマクロはすべて有効になる。
 359 .SH 準拠
 360 POSIX.1 では \fB_POSIX_C_SOURCE\fP, \fB_POSIX_SOURCE\fP, \fB_XOPEN_SOURCE\fP が規定されている。
 361 \fB_XOPEN_SOURCE_EXTENDED\fP は XPG4v2 (別名 SUSv1) で規定されていた。
 362
 363 \fB_FILE_OFFSET_BITS\fP はどの標準でも規定されていないが、 他のいくつかの実装で採用されている。
 364
 365 \fB_BSD_SOURCE\fP, \fB_SVID_SOURCE\fP, \fB_DEFAULT_SOURCE\fP, \fB_ATFILE_SOURCE\fP,
 366 \fB_GNU_SOURCE\fP, \fB_FORTIFY_SOURCE\fP, \fB_REENTRANT\fP, \fB_THREAD_SAFE\fP は Linux
 367 (glibc) 固有である。
 368 .SH 注意
 369 \fI<features.h>\fP は Linux/glibc 固有のヘッダファイルである。
 370 他のシステムにも同様の目的のファイルがあるが、普通は違う名前である。 このヘッダファイルは、他のヘッダファイルにより必要に応じて
 371 自動的にインクルードされる。機能検査マクロを利用するために 明示的にインクルードする必要はない。
 372
 373 上記の機能検査マクロのうちどれが定義されたかにしたがって、 \fI<features.h>\fP は、他の glibc
 374 ヘッダファイルでチェックされる各種の他のマクロを、 内部で定義する。これらのマクロの名前はアンダースコア 2つで始まる (例えば
 375 \fB__USE_MISC\fP)。 ユーザプログラムはこれらのマクロを \fI決して\fP 直接定義すべきではない。
 376 代わりに、上記のリストにある適切な機能検査マクロを利用すべきである。
 377 .SH 例
 378 下記のプログラムを使うと、各種の機能検査マクロが glibc のバージョン に応じてどのように設定されるかや、どの機能検査マクロが明示的に
 379 設定されるか、を調べることができる。 以下に示すシェル・セッションは、 glibc 2.10 のシステムでの実行結果の例である。
 380 .in +4n
 381 .nf
 382
 383 $ \fBcc ftm.c\fP
 384 $ \fB./a.out\fP
 385 _POSIX_SOURCE defined
 386 _POSIX_C_SOURCE defined: 200809L
 387 _BSD_SOURCE defined
 388 _SVID_SOURCE defined
 389 _ATFILE_SOURCE defined
 390 $ \fBcc \-D_XOPEN_SOURCE=500 ftm.c\fP
 391 $ \fB./a.out\fP
 392 _POSIX_SOURCE defined
 393 _POSIX_C_SOURCE defined: 199506L
 394 _XOPEN_SOURCE defined: 500
 395 $ \fBcc \-D_GNU_SOURCE ftm.c\fP
 396 $ \fB./a.out\fP
 397 _POSIX_SOURCE defined
 398 _POSIX_C_SOURCE defined: 200809L
 399 _ISOC99_SOURCE defined
 400 _XOPEN_SOURCE defined: 700
 401 _XOPEN_SOURCE_EXTENDED defined
 402 _LARGEFILE64_SOURCE defined
 403 _BSD_SOURCE defined
 404 _SVID_SOURCE defined
 405 _ATFILE_SOURCE defined
 406 _GNU_SOURCE defined
 407 .fi
 408 .in
 409 .SS プログラムのソース
 410 \&
 411 .nf
 412 /* ftm.c */
 413
 414 #include <stdio.h>
 415 #include <unistd.h>
 416 #include <stdlib.h>
 417
 418 int
 419 main(int argc, char *argv[])
 420 {
 421 #ifdef _POSIX_SOURCE
 422     printf("_POSIX_SOURCE defined\en");
 423 #endif
 424
 425 #ifdef _POSIX_C_SOURCE
 426     printf("_POSIX_C_SOURCE defined: %ldL\en", (long) _POSIX_C_SOURCE);
 427 #endif
 428
 429 #ifdef _ISOC99_SOURCE
 430     printf("_ISOC99_SOURCE defined\en");
 431 #endif
 432
 433 #ifdef _ISOC11_SOURCE
 434     printf("_ISOC11_SOURCE defined\en");
 435 #endif
 436
 437 #ifdef _XOPEN_SOURCE
 438     printf("_XOPEN_SOURCE defined: %d\en", _XOPEN_SOURCE);
 439 #endif
 440
 441 #ifdef _XOPEN_SOURCE_EXTENDED
 442     printf("_XOPEN_SOURCE_EXTENDED defined\en");
 443 #endif
 444
 445 #ifdef _LARGEFILE64_SOURCE
 446     printf("_LARGEFILE64_SOURCE defined\en");
 447 #endif
 448
 449 #ifdef _FILE_OFFSET_BITS
 450     printf("_FILE_OFFSET_BITS defined: %d\en", _FILE_OFFSET_BITS);
 451 #endif
 452
 453 #ifdef _BSD_SOURCE
 454     printf("_BSD_SOURCE defined\en");
 455 #endif
 456
 457 #ifdef _SVID_SOURCE
 458     printf("_SVID_SOURCE defined\en");
 459 #endif
 460
 461 #ifdef _DEFAULT_SOURCE
 462     printf("_DEFAULT_SOURCE defined\en");
 463 #endif
 464
 465 #ifdef _ATFILE_SOURCE
 466     printf("_ATFILE_SOURCE defined\en");
 467 #endif
 468
 469 #ifdef _GNU_SOURCE
 470     printf("_GNU_SOURCE defined\en");
 471 #endif
 472
 473 #ifdef _REENTRANT
 474     printf("_REENTRANT defined\en");
 475 #endif
 476
 477 #ifdef _THREAD_SAFE
 478     printf("_THREAD_SAFE defined\en");
 479 #endif
 480
 481 #ifdef _FORTIFY_SOURCE
 482     printf("_FORTIFY_SOURCE defined\en");
 483 #endif
 484
 485     exit(EXIT_SUCCESS);
 486 }
 487 .fi
 488 .SH 関連項目
 489 \fBlibc\fP(7), \fBstandards\fP(7)
 490
 491 .\" But beware: the info libc document is out of date (Jul 07, mtk)
 492 \fIinfo libc\fP の "Feature Test Macros" の節。
 493
 494 \fI/usr/include/features.h\fP
 495 .SH この文書について
 496 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.64 の一部
 497 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
 498 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。