release/man7/udp.7

   1 .\" This man page is Copyright (C) 1999 Andi Kleen <ak@muc.de>.
   2 .\"
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   7 .\" of the modification is added to the header.
   8 .\" %%%LICENSE_END
   9 .\"
  10 .\" $Id: udp.7,v 1.7 2000/01/22 01:55:05 freitag Exp $
  11 .\"
  12 .\"*******************************************************************
  13 .\"
  14 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
  15 .\"
  16 .\"*******************************************************************
  17 .\"
  18 .\" Japanese Version Copyright (c) 1999 NAKANO Takeo all rights reserved.
  19 .\" Translated 1999-12-06, NAKANO Takeo <nakano@apm.seikei.ac.jp>
  20 .\" Updated 2005-10-09, Kentaro Shirakata <argrath@ub32.org>
  21 .\" Updated 2007-01-05, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>, LDP v2.43
  22 .\" Updated 2008-12-29, Akihiro MOTOKI, LDP v3.14
  23 .\" Updated 2010-04-10, Akihiro MOTOKI, LDP v3.24
  24 .\"
  25 .TH UDP 7 2013\-07\-31 Linux "Linux Programmer's Manual"
  26 .SH 名前
  27 udp \- IPv4 の ユーザーデータグラムプロトコル
  28 .SH 書式
  29 \fB#include <sys/socket.h>\fP
  30 .br
  31 \fB#include <netinet/in.h>\fP
  32 .br
  33 \fB#include <netinet/udp.h>\fP
  34 .sp
  35 \fBudp_socket = socket(AF_INET, SOCK_DGRAM, 0);\fP
  36 .SH 説明
  37 これは RFC\ 768 で記述されている User Datagram Protocol の実装である。 UDP
  38 はコネクションレスの、信頼性の低いデータパケットサービスである。 パケットは到着前に並び替えられたり複製されたりする。 UDP
  39 は転送エラーを検出するためにチェックサムを生成・チェックする。
  40
  41 UDP ソケットが生成されるとき、 ローカルアドレスやリモートアドレスは指定されない。 正しい行き先アドレスを引数として \fBsendto\fP(2)  や
  42 \fBsendmsg\fP(2)  を呼べば、データグラムはただちに送信される。 ソケットに対して \fBconnect\fP(2)
  43 を呼ぶと、デフォルトの行き先アドレスが設定され、 \fBsend\fP(2)  や \fBwrite\fP(2)
  44 を使って、行き先アドレスの指定なしにデータグラムを送信できるようになる。 この場合でも、行き先アドレスを \fBsendto\fP(2)  や
  45 \fBsendmsg\fP(2)  に渡せば、デフォルト以外のアドレスに送信可能である。 パケットを受信するために、まずソケットを \fBbind\fP(2)
  46 を用いてローカルなアドレスにバインドさせることもできる。 そうでない場合は、ソケット層は自動的に
  47 \fI/proc/sys/net/ipv4/ip_local_port_range\fP で定義されている範囲の外で空いているローカルなポートを割り当て、
  48 ソケットを \fBINADDR_ANY\fP にバインドする。
  49
  50 受信動作はパケットを一つだけ返す。渡したバッファよりもパケットが 小さければ、そのパケットの大きさのデータだけが返される。
  51 逆にバッファよりも大きい場合はパケットは丸められ、 \fBMSG_TRUNC\fP フラグがセットされる。 \fBMSG_WAITALL\fP
  52 はサポートしていない。
  53
  54 IP オプションは、 \fBip\fP(7)  に記述されているソケットオプションを用いて読み書きできる。 これらは適切な \fI/proc\fP
  55 パラメータが有効な場合に限ってカーネルによって処理される (しかし無効になっている場合でもユーザーには渡される)。 \fBip\fP(7)  を参照のこと。
  56
  57 \fBMSG_DONTROUTE\fP フラグが送信時にセットされている場合には、 行き先アドレスはローカルなインターフェースアドレスから
  58 参照できなければならない。パケットはそのインターフェースにしか送られない。
  59
  60 デフォルトでは、Linux の UDP は Path MTU Discovery を行う。 つまり、カーネルは特定の宛先 IP アドレスの MTU
  61 (Maximum Transmission Unit; 最大転送単位) を記録し、UDP パケットの書き込みが MTU を超えた場合
  62 \fBEMSGSIZE\fP を返す。 \fBEMSGSIZE\fP を返された場合、アプリケーションはパケットサイズを小さくすべきである。 ソケットオプション
  63 \fBIP_MTU_DISCOVER\fP または \fI/proc/sys/net/ipv4/ip_no_pmtu_disc\fP ファイルを使って Path
  64 MTU Discovery を無効にすることもできる (詳細は \fBip\fP(7)  を参照)。 Path MTU Discovery
  65 を無効にした場合は、パケットサイズが インタフェースの MTU よりも大きいと UDP はそのパケットを フラグメント化して送出する。
  66 しかしながら、性能と信頼性の理由から Path MTU Discovery を 無効にするのは推奨できない。
  67 .SS アドレスのフォーマット
  68 UDP は IPv4 の \fIsockaddr_in\fP アドレスフォーマットを用いる。これは \fBip\fP(7)  に記述されている。
  69 .SS エラー処理
  70 致命的なエラーは、たとえソケットが接続されていなくても、 すべてエラー戻り値としてユーザーに渡される。
  71 これにはネットワークから受け取る非同期エラーも含まれる。 同じソケットを使って送信した昔のパケットに関するエラーを受け取るかもしれない。
  72 この振る舞いは他の BSD ソケットの実装の多くとは異なる。 これらではソケットが接続されていない場合はエラーを全く返さない。 Linux の振る舞いは
  73 \fBRFC\ 1122\fP での指定に従ったものである。
  74
  75 Linux 2.0 と 2.2 では、古いコードとの互換性のために、 \fBSO_BSDCOMPAT\fP \fBSOL_SOCKET\fP
  76 オプションを設定すれば、ソケットが接続されている 場合に限ってリモートのエラーを受信するようにできた (\fBEPROTO\fP と \fBEMSGSIZE\fP
  77 を除く)。 ローカルで生成されたエラーは常に渡される。 このソケットオプションのサポートはそれ以降のバージョンの Linux で 削除された。詳細は
  78 \fBsocket\fP(7)  を参照。
  79
  80 \fBIP_RECVERR\fP オプションが有効になっていると、 すべてのエラーはソケットのエラーキューに保存される。 これは
  81 \fBMSG_ERRQUEUE\fP フラグをセットして \fBrecvmsg\fP(2)  を呼べば受信できる。
  82 .SS "/proc インタフェース"
  83 システム全体の UDP パラメータ設定には、 \fI/proc/sys/net/ipv4/\fP ディレクトリ内のファイルの読み書きでアクセスできる。
  84 .TP
  85 \fIudp_mem\fP (Linux 2.6.25 以降)
  86 これは 3 つの整数からなるベクトル値で、 UDP の全ソケットのキューで利用可能なページ数を制御する。
  87 .RS
  88 .TP  10
  89 \fImin\fP
  90 このページ数より少なければ、UDP はそのメモリ使用に関して 干渉されない。 UDP に割り当てられたメモリ総量がこの値を超過すると、 UDP
  91 はメモリ使用量を調整し始める。
  92 .TP
  93 \fIpressure\fP
  94 この値は \fItcp_mem\fP の形式 (\fBtcp\fP(7)  参照) と合わせるために導入された
  95 .TP
  96 \fImax\fP
  97 UDP の全ソケットのキューで利用可能なページ数。
  98 .RE
  99 .IP
 100 これらの 3 つの値のデフォルト値は、 ブート時に利用可能なメモリ総量から計算される。
 101 .TP
 102 \fIudp_rmem_min\fP (integer; デフォルト値: PAGE_SIZE; Linux 2.6.25 以降)
 103 メモリ使用量の調整中に、UDP ソケットが使用できる受信バッファの最小値 (バイト単位)。 UDP の全ソケットのページ使用量の合計が
 104 \fIudp_mem\fP pressure を超過している場合であっても、 各 UDP ソケットはデータの受信にこのサイズ分だけは使用することができる。
 105 .TP
 106 \fIudp_wmem_min\fP (integer; デフォルト値: PAGE_SIZE; Linux 2.6.25 以降)
 107 メモリ使用量の調整中に、UDP ソケットが使用できる送信バッファの最小値 (バイト単位)。 UDP の全ソケットのページ使用量の合計が
 108 \fIudp_mem\fP pressure を超過している場合であっても、 各 UDP ソケットはデータの送信にこのサイズ分だけは使用することができる。
 109 .SS ソケットオプション
 110 UDP ソケットオプションを設定または取得するには、 取得には \fBgetsockopt\fP(2)  を、設定には \fBsetsockopt\fP(2)
 111 をオプションレベル引数に \fBIPPROTO_UDP\fP を指定して呼び出す。 注釈がない限り、 \fIoptval\fP は \fIint\fP
 112 へのポインタである。
 113 .TP
 114 \fBUDP_CORK\fP (Linux 2.5.44 以降)
 115 .\" FIXME document UDP_ENCAP (new in kernel 2.5.67)
 116 .\" From include/linux/udp.h:
 117 .\" /* UDP encapsulation types */
 118 .\" #define UDP_ENCAP_ESPINUDP_NON_IKE      1 /* draft-ietf-ipsec-nat-t-ike-00/01 */
 119 .\" #define UDP_ENCAP_ESPINUDP      2 /* draft-ietf-ipsec-udp-encaps-06 */
 120 .\" #define UDP_ENCAP_L2TPINUDP     3 /* rfc2661 */
 121 このオプションが指定されると、このソケットの全てのデータ出力は 一つのデータグラムに蓄積され、このオプションが無効化された時に 送信される。
 122 このオプションは移植性を考慮したコードでは用いるべきではない。
 123 .SS ioctl
 124 以下に示す ioctl は \fBioctl\fP(2)  を使ってアクセスできる。 正しい文法は以下の通り。
 125 .PP
 126 .RS
 127 .nf
 128 \fBint\fP\fI value\fP\fB;\fP
 129 \fIerror\fP\fB = ioctl(\fP\fIudp_socket\fP\fB, \fP\fIioctl_type\fP\fB, &\fP\fIvalue\fP\fB);\fP
 130 .fi
 131 .RE
 132 .TP
 133 \fBFIONREAD\fP (\fBSIOCINQ\fP)
 134 .\" See http://www.securiteam.com/unixfocus/5KP0I15IKO.html
 135 .\" "GNUnet DoS (UDP Socket Unreachable)", 14 May 2006
 136 整数へのポインタを引き数に取り、そのポインタに、次の処理待ちのデータグラムの
 137 サイズをバイト単位で返す。処理待ちのデータグラムがない場合は 0 を返す。
 138 \fB警告\fP: \fBFIONREAD\fP を使った場合、処理待ちのデータグラムがない場合と、
 139 次の処理待ちデータグラムが 0 バイトのデータの場合を区別することができない。
 140 この両者を区別したい場合は、\fBselect\fP(2), \fBpoll\fP(2), \fBepoll\fP(7)
 141 を使う方が安全である。
 142 .TP
 143 \fBTIOCOUTQ\fP (\fBSIOCOUTQ\fP)
 144 ローカル送信キューにあるデータサイズをバイト単位で返す。 Linux 2.4 以上でのみ対応している。
 145 .PP
 146 さらに、 \fBip\fP(7)  と \fBsocket\fP(7)  で述べられている全ての ioctl も対応している。
 147 .SH エラー
 148 \fBsocket\fP(7)  や \fBip\fP(7)  に記述されている全てのエラーが、 UDP ソケットの送受信で返される可能性がある。
 149 .TP
 150 \fBECONNREFUSED\fP
 151 行き先アドレスに関連づけられている受信者がいない。 これは以前のパケットがそのパケットを 上書き送信してしまっているからであることが多い。
 152 .SH バージョン
 153 .\" .SH CREDITS
 154 .\" This man page was written by Andi Kleen.
 155 \fBIP_RECVERR\fP は Linux 2.2 の新しい機能である。
 156 .SH 関連項目
 157 \fBip\fP(7), \fBraw\fP(7), \fBsocket\fP(7), \fBudplite\fP(7)
 158
 159 RFC\ 768 : User Datagram Protocol
 160 .br
 161 RFC\ 1122 : ホストの必要条件
 162 .br
 163 RFC\ 1191 : path MTU discovery の記述
 164 .SH この文書について
 165 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.53 の一部
 166 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
 167 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。