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(split) LDP: Release pages for LDP v3.39.
[linuxjm/LDP_man-pages.git] / release / man7 / sem_overview.7
index e09884c..a828d10 100644 (file)
@@ -1,4 +1,4 @@
-'\" t
+.\" t
 .\" Hey Emacs! This file is -*- nroff -*- source.
 .\"
 .\" Copyright (C) 2006 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
 .\" Formatted or processed versions of this manual, if unaccompanied by
 .\" the source, must acknowledge the copyright and authors of this work.
 .\"
-.\" Japanese Version Copyright (c) 2006 Akihiro MOTOKI all rights reserved.
-.\" Translated 2006-04-18, Akihiro MOTOKI <amotoki@dd.iij4u.or.jp>
-.\" Updated 2008-08-07, Akihiro MOTOKI, LDP v3.05
-.\" Updated 2009-02-23, Akihiro MOTOKI, LDP v3.19
+.\"*******************************************************************
 .\"
-.TH SEM_OVERVIEW 7 2010-05-22 "Linux" "Linux Programmer's Manual"
+.\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
+.\"
+.\"*******************************************************************
+.TH SEM_OVERVIEW 7 2010\-05\-22 Linux "Linux Programmer's Manual"
 .SH 名前
 sem_overview \- POSIX セマフォの概要
 .SH 説明
-POSIX セマフォを使用すると、プロセスやスレッド間でその動作を
-同期させることができる。
+POSIX セマフォを使用すると、プロセスやスレッド間でその動作を 同期させることができる。
 
-セマフォは整数であり、その値は決して 0 未満になることは許されない。
-セマフォに対してできる操作は 2 つである:
-セマフォ値を 1 増やす
-.RB ( sem_post (3));
-セマフォ値を 1 減らす
-.RB ( sem_wait (3))。
-セマフォの値がすでに 0 の場合、セマフォ値が 0 より大きくなるまで
-.BR sem_wait (3)
-操作は停止 (block) する。
+セマフォは整数であり、その値は決して 0 未満になることは許されない。 セマフォに対してできる操作は 2 つである: セマフォ値を 1 増やす
+(\fBsem_post\fP(3)); セマフォ値を 1 減らす (\fBsem_wait\fP(3))。 セマフォの値がすでに 0 の場合、セマフォ値が 0
+より大きくなるまで \fBsem_wait\fP(3)  操作は停止 (block) する。
 
-POSIX セマフォには、名前付きセマフォ (named semaphore) と
-名前なしセマフォ (unnamed semaphore) の 2つの形がある。
-.TP
-.B 名前付きセマフォ
-名前付きセマフォは
-.I /somename
-という形式の名前で識別される。
-その名前は、最大で
-.BI NAME_MAX \-4
-(すなわち 251) 文字の NULL 終端された文字列で、
+POSIX セマフォには、名前付きセマフォ (named semaphore) と 名前なしセマフォ (unnamed semaphore) の
+2つの形がある。
+.TP 
+\fB名前付きセマフォ\fP
 .\" glibc allows the initial slash to be omitted, and makes
 .\" multiple initial slashes equivalent to a single slash.
 .\" This differs from the implementation of POSIX message queues.
-スラッシュで始まり、スラッシュ以外の文字が 1 文字以上続く形式である。
 .\" glibc allows subdirectory components in the name, in which
 .\" case the subdirectory tree must exist under /dev/shm, and
 .\" the fist subdirectory component must exist as the name
 .\" sem.name, and all of the subdirectory components must allow the
 .\" required permissions if a user wants to create a semaphore
 .\" object in a subdirectory.
-.BR sem_open (3)
-に同じ名前を渡すことにより、2 つのプロセス間で同じ名前のセマフォ
-に対し操作を行うことができる。
+名前付きセマフォは \fI/somename\fP という形式の名前で識別される。 その名前は、最大で \fBNAME_MAX\fP\fI\-4\fP (すなわち 251)
+文字の NULL 終端された文字列で、 スラッシュで始まり、スラッシュ以外の文字が 1 文字以上続く形式である。 \fBsem_open\fP(3)
\81«å\90\8cã\81\98å\90\8då\89\8dã\82\92渡ã\81\99ã\81\93ã\81¨ã\81«ã\82\88ã\82\8aã\80\812 ã\81¤ã\81®ã\83\97ã\83­ã\82»ã\82¹é\96\93ã\81§å\90\8cã\81\98å\90\8då\89\8dã\81®ã\82»ã\83\9eã\83\95ã\82© ã\81«å¯¾ã\81\97æ\93\8dä½\9cã\82\92è¡\8cã\81\86ã\81\93ã\81¨ã\81\8cã\81§ã\81\8dã\82\8bã\80\82
 
-.BR sem_open (3)
-関数は、新しい名前付きセマフォを作成するか、既に存在する名前付き
-セマフォをオープンする。
-セマフォをオープンした後は、
-.BR sem_post (3)
-と
-.BR sem_wait (3)
-を使ってセマフォを操作できる。
-プロセスがセマフォの使用を終えた際は、
-.BR sem_close (3)
-を使ってセマフォをクローズできる。
-あるセマフォをどのプロセスも使用しなくなると、
-.BR sem_unlink (3)
+\fBsem_open\fP(3)  関数は、新しい名前付きセマフォを作成するか、既に存在する名前付き セマフォをオープンする。 セマフォをオープンした後は、
+\fBsem_post\fP(3)  と \fBsem_wait\fP(3)  を使ってセマフォを操作できる。 プロセスがセマフォの使用を終えた際は、
+\fBsem_close\fP(3)  を使ってセマフォをクローズできる。 あるセマフォをどのプロセスも使用しなくなると、 \fBsem_unlink\fP(3)
 を使ってそのセマフォをシステムから削除することができる。
-.TP
-.B 名前なしセマフォ (メモリベース・セマフォ)
-名前なしセマフォは名前を持たない。その代わり、セマフォは、
-複数スレッド間で共有されるメモリ領域、もしくは複数プロセス間で
-共有されたメモリ領域に置かれる (前者を
-.IR "スレッド共有セマフォ (thread-shared semaphore)" 、
-後者を
-.IR "プロセス共有セマフォ (process-shared semaphore)"
-と呼ぶ)。スレッド共有セマフォは、同じプロセス内のスレッド間で共有される
-メモリ領域、例えば大域変数 (global variable) に配置される。
-プロセス共有セマフォは、共有メモリ領域 (例えば、
-.BR shmget (2)
-を使って作成できる System V 共有メモリ・セグメントや
-.BR shm_open (3)
-を使って作成できる POSIX 共有メモリ・オブジェクト)
-内に配置しなければならない。
+.TP 
+\fB名前なしセマフォ (メモリベース・セマフォ)\fP
+名前なしセマフォは名前を持たない。その代わり、セマフォは、 複数スレッド間で共有されるメモリ領域、もしくは複数プロセス間で
+共有されたメモリ領域に置かれる (前者を \fIスレッド共有セマフォ (thread\-shared semaphore)\fP、 後者を
+\fIプロセス共有セマフォ (process\-shared semaphore)\fP
+と呼ぶ)。スレッド共有セマフォは、同じプロセス内のスレッド間で共有される メモリ領域、例えば大域変数 (global variable) に配置される。
+プロセス共有セマフォは、共有メモリ領域 (例えば、 \fBshmget\fP(2)  を使って作成できる System V 共有メモリ・セグメントや
+\fBshm_open\fP(3)  を使って作成できる POSIX 共有メモリ・オブジェクト)  内に配置しなければならない。
 
-名前なしセマフォは、使用する前に
-.BR sem_init (3)
-を使って初期化しなければならない。
-セマフォは
-.BR sem_post (3)
-と
-.BR sem_wait (3)
-を使って操作できる。
-セマフォがもはや必要なくなったときや、
-セマフォが置かれているメモリを解放する前には、
-.BR sem_destroy (3)
-を使ってセマフォを破棄すべきである。
+名前なしセマフォは、使用する前に \fBsem_init\fP(3)  を使って初期化しなければならない。 セマフォは \fBsem_post\fP(3)  と
+\fBsem_wait\fP(3)  を使って操作できる。 セマフォがもはや必要なくなったときや、 セマフォが置かれているメモリを解放する前には、
+\fBsem_destroy\fP(3)  を使ってセマフォを破棄すべきである。
 .PP
-この節の残りでは、POSIX セマフォの Linux の実装の詳細
-について説明する。
-.SS バージョン
-バージョン 2.6 より前のカーネルでは、Linux は
-名前なしのスレッド共有セマフォのみをサポートしていた。
-Linux 2.6 と NPTL スレッド実装を提供している glibc が入った
-システムでは、POSIX セマフォの完全な実装が提供される。
+この節の残りでは、POSIX セマフォの Linux の実装の詳細 について説明する。
+.SS Versions
+バージョン 2.6 より前のカーネルでは、Linux は 名前なしのスレッド共有セマフォのみをサポートしていた。 Linux 2.6 と NPTL
+スレッド実装を提供している glibc が入った システムでは、POSIX セマフォの完全な実装が提供される。
 .SS 持続性
-POSIX 名前付きセマフォはカーネル内で保持される。
-.BR sem_unlink (3)
-で削除されなければ、セマフォは
+POSIX 名前付きセマフォはカーネル内で保持される。 \fBsem_unlink\fP(3)  で削除されなければ、セマフォは
 システムがシャットダウンされるまで存在し続ける。
 .SS リンク
-POSIX セマフォ API を使用したプログラムは
-.I cc \-lrt
-でコンパイルし、リアルタイムライブラリ
-.I librt
+POSIX セマフォ API を使用したプログラムは \fIcc \-lrt\fP でコンパイルし、リアルタイムライブラリ \fIlibrt\fP
 とリンクしなければならない。
 .SS ファイルシステム経由での名前付きセマフォへのアクセス
-Linux では、名前付きセマフォは仮想ファイルシステム
-(virtual file system) 内に
-.I \fBsem.\fPsomename
-という形の名前で作成される。仮想ファイルシステムは通常
-.I /dev/shm
-以下にマウントされる。
-(これが、セマフォの名前の文字数の上限が
-.B NAME_MAX
-ではなく
-.BI NAME_MAX \-4
-となっている理由である。)
+Linux では、名前付きセマフォは仮想ファイルシステム (virtual file system) 内に \fBsem.\fP\fIsomename\fP
+という形の名前で作成される。仮想ファイルシステムは通常 \fI/dev/shm\fP 以下にマウントされる。 (これが、セマフォの名前の文字数の上限が
+\fBNAME_MAX\fP ではなく \fBNAME_MAX\fP\fI\-4\fP となっている理由である。)
 
 Linux 2.6.19 以降では、このディレクトリ配下のファイルに対して ACL を
-設定でき、オブジェクトへの許可をユーザ単位、グループ単位で制御することが
-できる。
+設定でき、オブジェクトへの許可をユーザ単位、グループ単位で制御することが できる。
 .SH 準拠
-POSIX.1-2001.
+POSIX.1\-2001.
 .SH 注意
-System V セマフォ
-.RB ( semget (2),
-.BR semop (2)
-など) は古いセマフォ API である。 POSIX セマフォは System V よりも
-簡単で、うまく設計されたインタフェースを提供している。
-一方で、POSIX セマフォは System V セマフォと比べると
+System V セマフォ (\fBsemget\fP(2), \fBsemop\fP(2)  など) は古いセマフォ API である。 POSIX セマフォは
+System V よりも 簡単で、うまく設計されたインタフェースを提供している。 一方で、POSIX セマフォは System V セマフォと比べると
 利用できるシステムが少ない (特に、古いシステムでは少ない)。
 .SH 例
-各種の POSIX セマフォ関数を使用した例が
-.BR sem_wait (3)
-に記載されている。
+各種の POSIX セマフォ関数を使用した例が \fBsem_wait\fP(3)  に記載されている。
 .SH 関連項目
-.BR sem_close (3),
-.BR sem_destroy (3),
-.BR sem_getvalue (3),
-.BR sem_init (3),
-.BR sem_open (3),
-.BR sem_post (3),
-.BR sem_unlink (3),
-.BR sem_wait (3),
-.BR pthreads (7)
+\fBsem_close\fP(3), \fBsem_destroy\fP(3), \fBsem_getvalue\fP(3), \fBsem_init\fP(3),
+\fBsem_open\fP(3), \fBsem_post\fP(3), \fBsem_unlink\fP(3), \fBsem_wait\fP(3),
+\fBpthreads\fP(7)