draft/man2/pivot_root.2

   1 .\" Copyright (C) 2000 by Werner Almesberger
   2 .\"
   3 .\" %%%LICENSE_START(GPL_NOVERSION_ONELINE)
   4 .\" May be distributed under GPL
   5 .\" %%%LICENSE_END
   6 .\"
   7 .\" Written 2000-02-23 by Werner Almesberger
   8 .\" Modified 2004-06-17 Michael Kerrisk <mtk.manpages@gmail.com>
   9 .\"
  10 .\"*******************************************************************
  11 .\"
  12 .\" This file was generated with po4a. Translate the source file.
  13 .\"
  14 .\"*******************************************************************
  15 .\"
  16 .\" Japanese Version Copyright (c) 2000 NAKANO Takeo all rights reserved.
  17 .\" Translated Wed Jun 14 2000 by NAKANO Takeo <nakano@apm.seikei.ac.jp>
  18 .\"
  19 .TH PIVOT_ROOT 2 2012\-07\-13 Linux "Linux Programmer's Manual"
  20 .SH 名前
  21 pivot_root \- root ファイルシステムを変更する
  22 .SH 書式
  23 \fBint pivot_root(const char *\fP\fInew_root\fP\fB, const char *\fP\fIput_old\fP\fB);\fP
  24
  25 \fI注\fP: このシステムコールには glibc のラッパー関数は存在しない。「注意」の節を参照。
  26 .SH 説明
  27 .\"
  28 .\" The
  29 .\" .B CAP_SYS_ADMIN
  30 .\" capability is required.
  31 \fBpivot_root\fP()  は呼び出し元のプロセスの root ファイルシステムを \fIput_old\fP ディレクトリに移動し、
  32 \fInew_root\fP を呼び出し元のプロセスの新しい root ファイルシステムにする。
  33
  34 \fBpivot_root\fP()  の典型的な利用法は、システムの起動中にシステムが一時的な root ファイルシステム (例えば \fBinitrd\fP)
  35 をマウントし、これに続いて本当の root ファイルシステムをマウントし、 後者を必要な全てのプロセス・スレッドの カレント root
  36 に変更するような場合である。
  37
  38 古い root ディレクトリを使っていた全てのプロセスやスレッドの カレント root とカレントワーキングディレクトリを、
  39 \fBpivot_root\fP()  が変更するかどうかはわからない。 \fBpivot_root\fP()  の呼びだしプロセスは、古い root
  40 やカレントワーキングディレクトリを使っていた プロセスが、いずれの場合でも正しく動作することを保証しなければならない。
  41 これを簡単に行うには、それらのプロセスの root と カレントワーキングディレクトリを \fBpivot_root\fP()  を呼び出す前に
  42 \fInew_root\fP に変更しておくことである。
  43
  44 上記の段落は、将来 \fBpivot_root\fP()  が変更されるかも知れないことを鑑みて、わざと曖昧に書いてある。 本ページを記述している時点では、
  45 \fBpivot_root\fP()  は古い root ディレクトリを用いている全てのプロセス・スレッドの root と カレントワーキングディレクトリを
  46 \fInew_root\fP に変更する。これはカーネルのスレッドが古い root ディレクトリを busy 状態にしないために必要である。これらのスレッドが
  47 古いディレクトリを root やカレントワーキングディレクトリとしていると、 ファイルシステムに一切アクセスしない場合でも 古い root が busy
  48 になってしまうからである。 将来は、カーネルスレッドがあらゆるファイルシステムへのアクセスを 明示的に放棄するメカニズムができ、このでしゃばりな機能は
  49 \fBpivot_root\fP()  から削除されるかもしれない。
  50
  51 これは呼び出し元のプロセスについても当てはまることに注意。 \fBpivot_root\fP()
  52 がカレントプロセスのカレントワーキングディレクトリに影響するかどうかは 分からない。したがって \fBpivot_root\fP()  の直後に
  53 \fBchdir("/")\fP を呼び出すとよい。
  54
  55 \fInew_root\fP および \fIput_old\fP には以下の制限がある:
  56 .IP \- 3
  57 ディレクトリでなければならない。
  58 .IP \- 3
  59 \fInew_root\fP と \fIput_old\fP は現在の root と同じファイルシステムにあってはならない。
  60 .IP \- 3
  61 \fIput_old\fP は \fInew_root\fP 以下になければならない。すなわち \fIput_old\fP を差す文字列に 1 個以上の \fI../\fP
  62 を付けることによって \fInew_root\fP と同じディレクトリが得られなければならない。
  63 .IP \- 3
  64 他のファイルシステムが \fIput_old\fP にマウントされていてはならない。
  65 .PP
  66 利用例については \fBpivot_root\fP(8)  を参照のこと。
  67
  68 現在の root がマウントポイントではない (\fBchroot\fP(2)  や \fBpivot_root\fP()  の後など。以下も参照) 場合、 古い
  69 root ディレクトリではなく、 そのファイルシステムのマウントポイントが \fIput_old\fP にマウントされる。
  70
  71 \fInew_root\fP はマウントポイントでなくてもよい。 この場合 \fI/proc/mounts\fP は、 \fInew_root\fP を root
  72 (\fI/\fP)  とするファイルシステムのマウントポイントを表示する。
  73 .SH 返り値
  74 成功した場合は 0 が返される。エラーの場合は \-1 が返され、 \fIerrno\fP が適切に設定される。
  75 .SH エラー
  76 \fBpivot_root\fP()  は \fBstat\fP(2)  の返すあらゆるエラーを (\fIerrno\fP に)
  77 返す可能性がある。さらに以下を返すことがある:
  78 .TP
  79 \fBEBUSY\fP
  80 \fInew_root\fP または \fIput_old\fP が、現在の root ファイルシステム上にあるか、既に \fIput_old\fP
  81 になんらかのファイルシステムがマウントされている。
  82 .TP
  83 \fBEINVAL\fP
  84 \fIput_old\fP が \fInew_root\fP の下層にない。
  85 .TP
  86 \fBENOTDIR\fP
  87 \fInew_root\fP または \fIput_old\fP がディレクトリでない。
  88 .TP
  89 \fBEPERM\fP
  90 呼び出し元のプロセスが \fBCAP_SYS_ADMIN\fP ケーパビリティを持っていない。
  91 .SH バージョン
  92 \fBpivot_root\fP()  は Linux 2.3.41 で導入された。
  93 .SH 準拠
  94 \fBpivot_root\fP()  は Linux に固有のものなので、移植性はない。
  95 .SH 注意
  96 glibc はこのシステムコールに対するラッパー関数を提供していない。 \fBsyscall\fP(2)  を使って呼び出すこと。
  97 .SH バグ
  98 \fBpivot_root\fP()  はシステムの他のプロセス全ての root と カレントワーキングディレクトリとを変更しなくてもよいはずである。
  99
 100 \fBpivot_root\fP()  の使い方がもうちょっと曖昧になると、 あっという間にわけのわからない状態になってしまうだろう
 101 .SH 関連項目
 102 \fBchdir\fP(2), \fBchroot\fP(2), \fBstat\fP(2), \fBinitrd\fP(4), \fBpivot_root\fP(8)
 103 .SH この文書について
 104 この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.53 の一部
 105 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
 106 http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。